日に日に強さを増していく日差しが、幻想郷の彩りを夏のものへと変えていく。それらは時々吹いてくる涼しい風を、更に気持ちの良いものへと変えてくれた。それは暑さに慣れようとするだらしい身体にとっては、時として食べ物以上に栄養になり活気を生み出すものでもある。そんな今日この頃、犬走椛は、後輩でもあり、友人でもある犬走桜と、休日を一緒に過ごす事にした。
「いやぁ、椛隊長とご一緒出来るなんて、久しぶりで緊張します」
「私もよ。こうやってあなたと仕事抜きで出かけるのは、何年ぶりですかね。とりあえず缶コーヒーでも飲みましょうか?奢りますよ」
「あ、ありがとうございます」
二人は自動販売機で缶コーヒーを購入してから。近くのペンチに座って、缶コーヒーでのどを潤した。
「美味しいですね。幻想郷も発展しましたね」
「そうですね。あぁさっきのお話ですが、私達が休日を合わせられるのは、3年ぶりくらいですよ」
「3年も・・・。やっぱりブラックね妖怪の山は」
「だけど射命丸様や飯綱丸様が、大分改善して下さって、昔よりは働きやすい環境になりましたよ」
「白狼天狗の立場改善は、あなたがいなければ成り立たなかったですよ」
「そう言われると、ちょっと照れます」
「それで、最近はうまくやっていますか?」
「充実はしてるけれど、やる事が多くて疲れますね」
「あははは、私もです。この間なんかね・・・」
二人は人里のベンチに腰を下ろし、コーヒーを飲みながら近況から、つまらない雑談まで、大いに話に花を咲かせた。
ここで今回の登場人物、犬走桜について触れておこう。彼女は先ほども書いた通り、犬走椛の後輩でもあり、友人でもある。また仕事では左腕ポジションでもあり、『白狼天狗随一の頭脳派』の通り名を持っている。 彼女は接近戦特化型の白狼天狗部隊に、魔術を中心とした後方支援部隊を創立し、その隊長を務めている。桜は極端に戦闘能力の低い白狼天狗の子供、いわゆる落ちこぼれと言われていた者達が、魔術の素質がある事に気が付いた。彼らに魔術や治癒術を教え込み、結果、後方支援という役職を築き上げた。
「後方支援など白狼天狗には必要ない」
上層部は最初こそその存在を否定した。しかし彼女たちは。前戦から一歩退き、敵の情報を分析し、戦いでは魔術でサポートし、本部には確実に情報を持ち帰った。また戦いで重傷者が出た場合は治療し、仲間の生存率を大幅に上げた。
落ちこぼれの部隊と言われた後方支援部隊は、今では白狼天狗部隊だけでなく、すべての部隊を支える柱となっていた。
犬走桜は、白狼天狗という立場ながら、妖怪の山始まって以来初めて新たな部隊の設立と、白狼天狗の立場向上という、快挙をなし遂げたのだ。桜は今では山の生きた伝説とまで言われるほどだ。それでも椛の部下に甘んじているのは、謙虚で引っ込み思案な性格から、目立つのが好きではないからだ。
(これでこの子、得意分野をやらせたら、文さんと同等のやり手だからなぁ)
ちなみに飯縄丸龍は、白狼天狗の中でも大天狗の立ち位置、『大白狼天狗』という役職を作りたいと考えていた。そしてその初代大白狼天狗の椅子に座るのは桜の予定だ。 椛は射命丸文の付き人で、上層部とつながりがあるから、この事を知っているが、当の桜は、まだ知らされていない。というよりも椛から見れば、桜は、自分がどれほどの功績を遺したかも、よく自覚していない様子だった。
(まあ、本当の天才とは、そんなものでしょうね。やり遂げる過程にこそ、充実感を味わえるけれど、立場とか地位には固執しない。ホント、あと数年で立場が逆転するな・・・)
そう考え、後輩に対して少し劣等感を抱く椛だった。しかし犬走椛も自分では自覚がないが、白狼天狗の立場を向上させた功績者である事は変わりない。その戦闘力は、白狼天狗の中では突出しており、上位の鴉天狗をも超えている。彼女の指導方法も良いようで、椛の弟子や後輩たちも、どんどん強くなり、華やかな功績を残している。しかし真面目で、これからを見据える椛にとっては、そのような成果はどうでもよかった。ただ高みに近づきたい。今よりももっと強くなりたい。それだけだった。 椛と桜、要はこの2人は似た者同士である。最も当の本人たちは気が付いていないが。
「椛隊長、今日はどのような予定を組まれているのですか?私、あまり人里に行かないので、今日はワクワクしてるんです」
「それで、そんなにお洒落しているのですか?」
「えへへへ、わかりますか?ちょっと気合入れてみました」
桜は照れたようにエヘヘヘと笑う。白狼天狗自慢の犬耳に、ひまわりの形をしたリボンをつけ、尻尾は綺麗にブラッシングされている。椛よりも長い髪は、風が吹けばなびくほどサラサラで、ふわりと良い香りが漂ってくる。白狼天狗のデフォルトとも言える衣装にも、花の挿絵があったり、袴が実はスカートだったりと、よく見なければわからない、しかし確実に彼女の雰囲気を変えるアレンジが施されていた。
(いやぁ、かわええな。東方女子が百合に奔るのもわかるわぁ~)
「隊長?」
「いや、ごめん。私はお洒落とかうといものだから。なんか可愛い桜が羨ましくなっちゃいますよ」
「ありがとうございます。今日のためにアリスさんにばっちりと決めてもらったんです」
「意外な名前が出てきましたね?アリスさんって、マーガトロイドさんですよね?」
「そうですよ。アリスさんにはお菓子作りも教わってます。この間も、山で採れた果物を持って行ったら、美味しいジャムを作ってくれて、霊夢さんと魔理沙さんと一緒に、そのままお茶会になっちゃいました」
「へ、へぇ・・・。意外ですね。桜があの3人とつるむなんて・・・」
「つるむって、言い方・・・」
「ご、ごめんなさい。桜は、あと、なんというか山以外では、どんな方と交友があるのですか?」
「後方支援部隊なので、鈴仙さんから薬を仕入れてます。その関係か、妖夢さんと咲夜さんを交えて、ランチを頂いたりしています。あとは紅魔館のパチュリーさんから本を貸して頂いてます。アリスさんと共同で、魔法の実験をしたりもしますね。あとレミリアさんにお茶会に呼んで頂きました。あと命蓮寺で修行をさせて頂いたり・・・」
「へ、へぇ、山以外でそんなに・・・」
(交友関係ひろ!引っ込み思案で目立つのが苦手って、出たばかりの設定を、早速壊しにかかってる!っていうか天狗は排他的な種族って設定なのに。この子絶対白狼天狗の設定そのものを壊しにかかってる)
「椛隊長?」
「いや、ごめん。あまりの交友関係の広さにびっくりちゃって。ほら、私達天狗って、排他的じゃないですか」
「そうですよね。だけど今の山の姿勢に疑問を持っている子も多いのも事実です。山を閉鎖して、他の勢力を権勢するより、友好関係を広げて、交流を深めていく方が、後の山の発展のためだと思うのです。それこそ100年も前なら、射命丸様や、飯綱丸様レベルの妖怪は鬼くらいでしたが、今の幻想郷には、それ以上の力や能力の持ち主は多いですからね。力で語る時代は、そろそろ終わりにしないといけないって、私は考えてるんです」
(わ、私は武力行使しか考えてなかった・・・。そういえば、文さんも同じような事言ってたような・・・)
「そ、そうですね。さ、桜の言う通りかも、しれませんねェ」
(あれ、ひょっとして私、隊長とか肩書だけ?ひょっとして桜の方が・・・)
椛は考えるのを強制的にやめた。 そんな事を話していると、いつの間にか日が傾いていた。
「桜、そろそろ行きましょうか。今日は初夏のお祭りです。軽く腹ごしらえして、たくさん遊びましょう」
「お、お祭りなんて初めてだから、緊張します」
「フフフ、大丈夫ですよ。私がついていますから」
「はい!宜しくお願いします!」
二人はとりあえずミスティアの店へ向う事にした。
「えっと、なんかこうやって隊長と出かけるのって、久しぶりだから、この一番高い刺身定食なんてどうですか?山では新鮮な魚なんて、滅多に食べられないし」
「ふふふ。桜、それが本当にあなたの食べたいものですか?」
「え」
「滅多にない休日。故に高く珍しいものを食べたくなる気持ちはわかります、しかし、それは本当に食べたいものを見逃してしまう事につながります」
「は、はあ。そういうものなの、ですか?」
「そういうものなのですよ。さて、先ほどの話では、貴女はお茶会に参加しているし、お菓子作りもしていますね。そして山でのお弁当は、オムレツ弁当や焼きそば弁当が最近多かった。ズバリならば我々が求めるのは肉!しかも血の滴るレア!」
「う、そ、そう言えば最近はがっつりと肉を食べていませんでした。あ、肉の事を考えたら、急にお腹空いて・・・」
「ミスティアさん。酒乱牛のニクニク牛丼を二人前、お願い致します」
「はい、畏まりました」
数分後。2人の前に、牛肉が山のように積まれた牛丼がドンと置かれた。
「お待たせ致しました。酒乱牛のニクニク牛丼です」
「う、うわぁ・・・」
桜は驚きとも喜びとも取れる声をあげる。そんな桜を見ながら、椛は笑みを浮かべる。
「これは普通の牛丼ならば入っている玉ねぎも、紅ショウガすらも乗っていないのです。妖怪の山名物酒乱牛の厚切り肉と特性タレが、ご飯を覆いつくしている。まさにお肉が食べたい者のための牛丼です。しかも焼き加減はレアです」
「そ、そうですね。肉の野性的な香りが本能をぶち抜いて、テキーラの香りが、心地よく鼻孔を刺激して、あぁ・・・」
「火を通しているので、適度にアルコールは弱まっています。これから祭りを回るのだから、ほろ酔いくらいが丁度良いでしょう」
「うぅ、お腹から腕が生えてきそう・・・!唾液が、止まらない」
「さぁ、頂きますよ。お行儀なんて無視して、ガツガツとやろうではありませんか」
「はい!頂きます!」
言うなり2人は丼を持ち上げ、一気にがっついた。
ガツガツガツ!! 少女頬張り中!
「くはぁ!!美味しい!肉の力強いコクを、テキーラの風味が更に引立てて!味に酔うって言うのは、こういう時に使う言葉だなって納得させられます!」
「肉はレアでジューシー!これぞ肉って感じですね!狼の本能が目覚めてくるようですゥ!」
「それにこの濃い味付け!初夏と重労働でバテ気味の身体に、染み込んできやがります!」
「血肉が躍り、どんどんスタミナになっているって感じですね!!」
「ね。牛丼には紅ショウガや玉ねぎが絶対だと思いますが、これを食べると、そんなもの必要ないってわかるでしょ?」
「はい!これほど肉欲を満たしてくれる牛丼は初めてです!」
(ふふん、食べ物に関しては、まだ私が上ですね。よしよし、次はお祭りを案内しますよ)
椛は丼で顔を隠してニヤリと笑う。
(これからは、ずっと私のターン!!ライフがゼロになっても、攻め込んでやりますよ!!)
「「ご馳走様でした!!」」
食後2人は、縁日へ向かった。
会場である稗田阿求の屋敷へ近づくにつれて、暗い道がどんどん明るくなっていった。人里の住民は基本的に、日が沈むと外に出ないが、今日は違う。この日だけはちょうちんや街灯が飾られ、華やかに明るい夜となる。だんだんと人と賑わいが増している。屋台もちらほらと出ているし、太鼓の音や音楽の音も聞こえてくる。
「人里のイベントなのに、妖怪もかなりいますね。昔では考えられない」
「幻想郷もだいぶ変わりましたからね。人間と妖怪も、昔よりは距離が近くなりました。文さんも取材に来ていると思いますよ」
「面白いですね。初夏の祭りの意味は、人間が夏と秋に実りが迎えられるように、神様へお願いするためのもの。そこには妖怪から身を護って下さいという安全祈願の意味も込められています。そこへ妖怪が参加するなんて・・・。まあ、私達もですが」
「だからこそ、私達のような警備がしっかりとしていなくてはなりません。こういう騒ぎの時は、不良妖怪や人間が悪さをしでかしやすいですからね。それにこれからの時期も、人間の働き手や、作物を狙って妖怪が出回ります。山の妖怪も活発になります。我々の警備の仕事は、これからどんどん忙しくなってきます」
「はい」
「ですが今日は、仕事の事は忘れて、羽を伸ばしましょう。こんな休日、次はいつ取れるかわかったものじゃないですからね」
「はい。隊長はやっぱりすごいです。私は休日でも、仕事の事ばかり考えて、なんと言うか、どうやって遊んだりしていいかわからなくて・・・」
「休日にマニュアルなんてありませんよ。心身を休めるために、やりたい事をやればいいのです。それにあなたのような仕事熱心な子がいるから、仕事がスムーズに進む事も事実ですしね。これからも期待していますよ、桜隊長」
「あ、ありがたきお言葉!身にしみます」
人が増えてくるにしたがって、人見知りのある桜は椛に近づいてきた。そんな自分より小柄な桜を庇うようにエスコートしながら、椛は淡々と口を開く。
(うぅ、今私、先輩やってるゥ!たまりません本当に!)
ニヤニヤを隠せない椛の顔を、桜は見る事が出来ない。椛自身も自分の口角が上がっているのを抑えきれない。結果、通りすがる人は、ニヤニヤする椛をやや避けながら歩いていた。
そしてここから二人はお祭りを楽しんだ!
焼トウモロコシを片手に、屋台を巡り、パフォーマンスを見たり、プリズムリバー三姉妹の演奏を聴いたり・・・。
「くぅ!ホッカホカの焼き鳥とキンキンのビール!ただでさえ美味しいのに、こういう場だと、更に美味しくなります!」
「このフランクフルトって言うのも、ボリュームがあってジューシー!ビールに合いますよォ!」
「おぉたい焼き!」「こっちにはフライドポテト!!」
「イカ焼きの醤油の焦げる香り、最高!!」
「なんで海のない幻想郷で、海のものが食べられるんだって感じですが、そんな事どうでもいいくらい美味しい!」
「「ど、ドネルケバフ!? なんだかわからないけど美味しい!!」」
「つい買っちゃうりんご飴!砂糖たっぷり!」
「チョコバナナの甘ったるさが、無性に嬉しい!!」
椛と桜は、食べ物を中心に。祭りを堪能した。
出店とは本来、普段食べるもの以上に味が落ち、値段が高いものが殆どだ。日頃汗水垂らして働いた銭を、このようなものに使うなんて損だ!と理性ではわかるのだが、縁日ではそれらを大量に買わなければ、むしろ損をしたという気持ちになってしまう。祭りあるあると言えばそれまでだが、それでもこのような雰囲気の中で食べるものが、時に高級料亭をしのぐほどに美味しいというのは、いったいなぜなのだろう?著者はこれを福岡県五大ミステリーくらいにあげても良いと思っている。
「説明なんていらないんですよ!!楽しんで満腹になったものの勝ちなんですよォ」
こうして散々遊び歩いた2人だったが、流石に腹が膨れてきた。それでも何か足りない。
「粉ものに、ソースものですよ。あえてスルーしてましたが、締めといきますか!」
「そうでした!タコ焼きにお好み焼きに、焼きそばですね!」
何故だろう?縁日と言えばたこ焼き、お好み焼き、焼きそばだ。どうしてイカ焼きは醤油なのに、たこ焼きはソースなのだろう?
「ソースの香りと甘辛い濃い味付け!まさに縁日のラストを飾るのにぴったりです」
「で、ですが隊長、いくら私達が大食いだと言っても、もうそんなには入りませんよ」
「さ、流石に考えなしに食べすぎましたね」
「ふむ・・・」
桜は何か考えながら辺りを見回したあと、ポンと手を叩いた。そしてたこ焼き、お好み焼き、焼きそばの出店に走った。
「すみません。たこ焼き、お好み焼き、焼きそばを、それぞれ5人前下さい」
「さ、さささささささ桜、さん!?」
桜のあまりの注文に椛はドン引きした。
「みんなへのお土産、にしては少ないし・・・。私達はお腹いっぱいになりかけてるし・・・」
「ま、見ていて下さい」
香ばしい香りと共に、頼んだものが出来上がった。桜はそれらを受け取り、祭りの本部テントがある稗田阿求の屋敷へと向かった。
「思った通りです」
稗田阿求の屋敷には、主催者の東風谷早苗を中心に、村の代表・稗田阿求。それに霊夢や魔理沙、レミリア、咲夜、妖夢・・・。更に射命丸文といった馴染の顔が揃っていた。
「おや、椛さんに桜さん、お祭りは楽しめていますか?」
「ええ。とっても。それでこれはつまらないものですが、皆さんでどうぞ」
出迎えてくれた早苗に、桜は先ほど買ったものを渡す。
(な、なにぃ!!必要以上に色々買って、それを人様に!?いや確かにみんな知ってる顔ですけど・・・。それにしてもあまりにも・・・。私たちは確かに白狼天狗の中じゃ、高給取かもだけど・・・)
「わぁ、ありがとうございます!みなさん、椛さんと桜さんから差し入れですよォ」
「あ、あんた達、気が利くじゃない」
「ありがたく頂くのぜ!」
霊夢や魔理沙はもうかなり出来上がっているようだ。
「では、お二人もこちらへどうぞ」
「へ?」
当然のように早苗は、椛と桜の手を取った。
「え、いいのですか?」
「お祭りはみんな一緒の方が楽しいんだぜ!それにこんなに差し入れを貰っておいて、ただで帰すわけにはいかないんだぜ」
「そういう事よ。料理もたくさんあるから、お腹に余裕があるのなら食べていきなさい」
魔理沙は酒が並々と注がれたコップを椛と桜に手渡し、咲夜は空いている席に料理を並べた。
(ま、まさか、桜の狙いは、これ??)
こうして二人はありついた。お好み焼き、たこ焼き、焼きそば+色々な料理!それにただ酒に飲み仲間!まさに桜の機転、いやこれはもはやサクラアジックというしかないだろう。
(目立つのが苦手で、)引っ込み思案とか言う設定は、どこへいったのだろう・・・)
「もーみーじ。完全に先を行かれましたね。でも私は椛が頑張って桜をエスコートしたのをちゃぁーんと知っていますよ」
料理と酒に満足しつつも、先輩として威厳を示せなかったと思い込む椛に、射命丸文が近寄って来た。2人はコツンとコップを合わせた。
「文さん、ひょっとして見てましたか?どこらへんから?」
「ミスティアさんのお店に入る所くらいからずっとです」
「ほぼ最初からじゃないですかぁ!!」
「ふふ。私の気配に気付けないなんて、まだまだ椛ちゃんも甘いですね」
「く・・・。精進します」
椛は酒を飲みながら、チラリと桜の横顔を見た。楽しそうに食事をし、皆と話す彼女の顔は、山で仕事をしている彼女よりも、ずっと輝いていた。
「ま、いっか。私も楽しかったですし」
「そうですよ。さぁ、じゃんじゃん食べて飲みますよ!!」
「文さん、今夜は寝かせませんよ!!」
「そのいきよ!!今夜は宴会!さぁ、まだまだ!とことん飲むわよ!!」
締めくくるように博麗霊夢が言うと、再び皆のどんちゃん騒ぎが始まった。椛も桜も、仕事の事など忘れて、明け方まで飲み食いして楽しい時間を過ごした。
が・・・。
「食べすぎに飲み過ぎね。しばらくは病院でお粥生活よ。その後もお酒は控えて、消化の良いものを食べるように」
「「はい・・・」」
椛と桜は、仲良くお腹を壊して、永遠亭に入院した。八意永琳は心底呆れたといわんばかりの表情をしていた。
「おえっぷ、ぎもぢわるい・・・。おなかいたい」
「ま、まあ楽しかったのだから、OK、なのかな・・・」
これから縁日が増えると思うけれど、くれぐれも食べすぎ飲みすぎには注意してね!
あとがき
ここまでのおつきあい、ありがとうございます。今回もナガレボシ時代に書いたもののリメイクです。これからは祭りごとも多くなりますが、同時にコロナの感染も、また増えている状況です。 皆様もお体には気を付けて、ほどほどに楽しんで下さい。