暑さが厳しくなっています。熱中症には気をつけてください。
決闘当日、早朝。IS学園内の射撃場にて、
「……。」
すぐさま次の的に狙いを定め、再び引き金を引く。再びの轟音と共に、次の的に風穴が空いた。そしてそのまま2つ、3つと続けていく。弾倉の中にある弾丸全てを撃ち切って、初めて彼女は一息をついた。
「…私は。」
己の前にある穴の空いた的。それを見た彼女は、何故か今日戦うことになる男2人を想起した。片や身の程を知らない、無知な男。片や野蛮な風貌をした、過剰な筋肉に身を包んだ粗野な男。ただ、その両者に共通して言えるのは─この時勢にあってなお、一切の卑屈さを見せないその姿。
「絶対に負けませんわ。この誇りに賭けて。」
その姿を見てなお。彼女は一族の誇りを、
「ってことは、なんだ、織斑。」
昼飯時。目の前にたっぷり3人分のスペースをとって並べられた料理に箸を伸ばしながら、優は一夏へと話しかけた。
「お前はISに一度も乗らず、剣道ばかりしていた、と。」
「…はい。」
「…アリーナ使用の許可は取れなかったのか?」
限られた時間の中でできる限り早く、それでいて丁寧に味わいながら料理を咀嚼する。世界各国から集うこの学園は、本当にただの学食かと思えるほどに料理の質が良い。
「山田先生とか千冬姉には聞いたんですけど、この時期は予約がいっぱいで、アリーナが使えないって言われて…。」
「
「え?」
まだ温かいままの生姜焼きを口に放り込む。その次は米。その
「時間外なら俺はアリーナを使えてる。」
「時間外?」
「俺がアリーナを
その発想はなかった、と一夏は呻いた。それを気にもせずに、優は食べ終えた生姜焼き定食のトレイを傍に置き、次のトレイへと手を伸ばす。…彼の周りにはすでに3つのトレイが空になって置かれている。
「…てかどんだけ食べるんですか。」
「この
皿いっぱいに、大盛りを超えた特盛サイズのパスタにフォークを絡めた優は言った。
「今食べているものが俺の
「…いやどんな例え?」
「具体的には俺の1日の摂取カロリーは10,000kcalを下回ることはねえ、ってとこか。」
その量凡そ─成人女性の
「い、いちまん…。」
「俺の知り合いには10万なんてバケモンもいる。それに比べりゃ普通だ、普通。…にしてもだ、織斑。」
「はい?」
その規格外の食事量に、『いったい食費がいくらかかるんだろうか』なんて考えていた一夏だったが、突然に問いかけられて肩を震わせた。
「それにしちゃあお前のこの1週間の剣道…間違ってないかもしれねえぞ。」
「…え?」
「まあIS乗ってねえのは
くるくると、優はフォークに大量のパスタを巻きつけた。
「生まれた
「うまれた、ときから…。」
「そう考えりゃあ、この1週間、紛いなりにも『戦い』に身を置いた脳は、
お前さんの狙いはそうだろ?そう言って優は先ほどから一夏の隣に座る箒へと顎をしゃくった。
「…別にそういうわけではない。ただ私は、一夏の剣が錆びついているのを見ていられなかっただけだ。」
「…そうかい。」
違うのか。憮然とした表情で優はその事実を受け止めた。
「まあ、知識は抑えてるんだろう?なら…」
「あ、いや、金丸さん。」
「なんだ?」
「俺、全然ISに関する知識とか無いです。」
そして一夏から申告されたその事実に、優はパチクリと目を瞬かせた。そのまま視線が虚空を彷徨い─一夏の方へと向きなおる。
「……なんでェ?」
「…いや、その、剣道ばっかりしてたんで。」
「それ以外にも時間はあっただろうが!どうするんだお前ッ!」
「いやその!箒も教えてくれなかったんですよ!」
「人のせいにする気か、一夏?」
呆れ果てる優に、一夏が必死に弁明するがそれで別にこの状況が打破できるわけでは無い。むしろこれから、放課後までのわずかな時間で如何にISを使えるようになるかを考えなければならないのである。
「…いや、もういい。ただ、織斑。」
「はい。」
「言っておくが…あまりオルコットを嘗めるなよ。」
あまりにも相手に対する緊張感も敬意も無さすぎる。それに気がついた彼は眼光鋭くそう言った。
「あのオルコットはまあ、態度と性格こそアレだが…曲がりなりにも一国家が『最新鋭機を託しても良い』と認めた存在。弱い訳が
「正々堂々と
その迫力に押されてゴクリと唾を飲む一夏の向かい。そこに座る優の手首につけられた
一日の摂取カロリー
調べた限り力士で7000から8000。そう考えるとオリバの10万はマジでやばい。