この素晴らしい世界に雷帝を   作:レイファルクス

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第2話

 

 

「おっはー」

 

 

「おはよう…って、もう昼になりますけど」

 

 

ガッシュが半月ぶりに登校してから2日後、ガッシュは遅刻していた。

 

 

「おはようガッシュ君。昨日は登校しなかったけど、何かあったの?」

 

 

「父さん達の手伝い。朝の3時頃に起きて商品の在庫チェックしたり…」

 

 

「…もしかして」

 

 

「…父さん達の仕事手伝っている内に気づいたら、"アルカンレティア"まで来ていたよ。しかも気づいたのは夜だったから、"テレポート"しても意味無かったから…」

 

 

哀愁漂うガッシュに、めぐみんとゆんゆんは心の中で合掌した。

 

 

「ところで…、先生は?」

 

 

「先生なら自習を告げた後教室から出て行きましたよ。何でも近頃里の周辺のモンスターが妙に活発化しているようで、それで里のニート集団にモンスターを狩ってもらうとか」

 

 

「それとお昼になったら帰って良いって」

 

 

ガッシュの質問にめぐみんとゆんゆんが答えた。そこに

 

 

キ~ンコ~ンカ~ンコ~ン…

 

 

「おっ、チャイムだ。…と言う事は、昼飯の時間か」

 

 

チャイムが鳴り、午前の授業の終了を告げた。

 

 

「ねえゆんゆん、どどんこと一緒に向こうでお昼を食べよう?」

 

 

チャイムと同時にクラスメートの"ふにふら"がゆんゆんを食事に誘った。

 

 

「いいの?」

 

 

ゆんゆんはふにふらに誘われた事が嬉しかったようだが、めぐみんをチラ見した。

 

 

「行ってきなよ、めぐみんは俺が面倒見とくからさ」

 

 

ガッシュはゆんゆんの視線を察し、めぐみんの世話を引き受けた。

 

 

「そう?それじゃあ…」

 

 

ゆんゆんはふにふらとどどんこの二人と一緒に席を離れた。

 

 

「…それで、私と一緒になった貴方は何を食べるのですか?」

 

 

「そうつんけんすんなって。めぐみんの弁当も持ってきたんだから」

 

 

「いただきましょう」

 

 

「手のひら返しが早いな…。ほらよ」

 

 

ガッシュは鞄からきんちゃく袋をめぐみんに渡した。めぐみんは早速袋と弁当の蓋を開けた。

 

 

「おお…!」

 

 

「今日の弁当は『ハンバーグ弁当』だ。付け合わせにポテトサラダにスパゲッティ、ご飯にはツナマヨを間に挟んでいるぜ」

 

 

ガッシュの説明を他所にめぐみんは一心不乱に弁当を食べていた。

 

 

「…ご馳走様でした」

 

 

「はいお粗末様。…で、どうだった?」

 

 

ガッシュはマグカップにお茶を注ぎながらめぐみんに弁当の感想を聞いた。

 

 

「とても美味しかったですよ、ありがとうございました」

 

 

「いえいえ、どういたしまして」

 

 

ガッシュとめぐみんはお互いに微笑み合った。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

翌日…

 

 

「そういえば、今日の授業って野外実践だよね?」

 

 

「はい。三人一組だそうですね、それが何か?」

 

 

「なら俺とめぐみんの二人と組むか?」

 

 

ゆんゆんがガッシュから貰った弁当を早弁しているめぐみんに声を掛け、ガッシュはゆんゆんをメンバーに誘った。

 

 

「いいの?」

 

 

「別に問題は無いさ。それに、よく知ってる人のほうが遠慮しなくて済むからな」

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

「今日は我が紅魔族に伝わる『養殖』と呼ばれるレベル上げ方法を使って、この比較的安全になった里周辺で全員のレベルを底上げする」

 

 

里の周辺に来た生徒達は、ぷっちんの説明を聞いていると、茂みからトカゲ型のモンスターが現れた。

 

 

「『フリーズバインド』!…ええこのように俺が片っ端から魔法で凍らせて身動きを取れなくする。お前達はトドメを刺せ。では解散!」

 

 

ぷっちんの号令で生徒達はチームになって別れた。

 

 

「無理…、無理無理!」

 

 

「大丈夫だって」

 

 

ガッシュチームの横にいるふにふら、どどんこ、あるえチームは凍らせて身動きが取れなくなった"一撃ウサギ"に刃を向けていた。

 

 

「このつぶらな瞳を見たら倒せないよ~っ!」

 

 

「なら私が手伝ってあげましょう」

 

 

そこにめぐみんがどどんこの腕を掴んで押し出し、一撃ウサギの息の根を奪った。

 

 

「……おい君達、なにかヤバいのがいるんだけど」

 

 

そこにあるえが震えながらとある場所を指差す。そこには下級ではあるが悪魔がそこにいた。

 

 

「先生先生先生先生ーーーっ!!」

 

 

「助けてーっ!!」

 

 

めぐみん達はその場から逃げ出すが、悪魔は翼を広げ、めぐみん達の上空に先回りした。

 

 

「皆!喰らえ『テオザケル』!」

 

 

ガッシュはめぐみん達の前に移動すると、テオザケルを使い、悪魔を倒した。倒れた悪魔の後ろには、ぷっちんや他の生徒達が呆然としていた。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

「また午後の授業休みですか」

 

 

「あんなことがあったからね…」

 

 

悪魔の襲来を恐れたぷっちんは、生徒全員を学校に戻らせ、そのまま下校するように言った。そしてめぐみんとゆんゆんはガッシュと共に下校していた。

 

 

「ねえ二人共、あれ…」

 

 

三人がめぐみんの家に到着した時、建物の陰に何やらそわそわしている人物を発見した。

 

 

「おいそこのニート、何をやっているんだ?」

 

 

「うおっ!?…ってガッシュかよ!それにめぐみん、待ってたよ」

 

 

「あの…、この人は…」

 

 

ゆんゆんが不審者について質問をすると

 

 

「我が名は"ぶっころりー"、アークウィザードにして上級魔法を操る者!紅魔族随一の靴屋のせがれ、やがては靴屋を継ぎし者!」

 

 

不審者ことぶっころりーは名乗りを上げ、決めポーズを取った。

 

 

「とどのつまり、コイツは働きもしないニート集団の筆頭だ」

 

 

「おいガッシュ!変な事を言うな!…ってめぐみんも頷かないでくれ!」

 

 

ガッシュの補足にめぐみんは頷き、ぶっころりーはガッシュに詰め寄った。

 

 

「事実を口にして何が悪い?ニートと言われたく無かったらちゃんと仕事しろよ。少なくとも俺は親の仕事の手伝いを毎日しているぞ?」

 

 

「そのせいで学校に遅刻してしまっていますが、彼等のおかげで里の懐が潤っているので、校長も彼の遅刻を見て見ぬふりをしています」

 

 

ガッシュとめぐみんの説明にぶっころりーはガッシュから距離を取った。

 

 

「…で、何か用ですか?」

 

 

「相談したい事があってさ、できればゆんゆんにも来てほしいんだ。若い女の子にしかできない相談でさ…」

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

「"恋"…ねぇ」

 

 

「何だよガッシュ、文句あるのか?」

 

 

ガッシュ達はとある家の近くにある茂みに隠れていた。そしてその近くの木にもたれかかっているガッシュの呟きにぶっころりーが反応した。

 

 

「別に…。っと、出てきたみたいだぜ?」

 

 

ガッシュの言葉にぶっころりーは視線を家に向けた。そこには一人の女性が箒を持って玄関前の掃除を始めた。

 

 

「綺麗だなあ……、ああゴミになってあの人の足元に散らばって集められたい…」

 

 

「流石ニート筆頭、言動一つ一つがドン引きレベルだな」

 

 

「ですね…。しかもよりによって相手は紅魔族随一の美人と呼ばれる"そけっと"ですか。対してぶっころりーは何の変哲も無いニート筆頭……」

 

 

めぐみんはそけっととぶっころりーを交互に見た。

 

 

「冷静に分析しないでくれ!…まず好みのタイプを知らないと!もしかしたらダメ男が好きな変わり者かもしれないじゃないか!だから、めぐみんとゆんゆんの二人に聞いてきてほしいんだ」

 

 

「…そけっとの家は"占い屋"だ、未来の恋人とかを占ってもらえ。めぐみん、ゆんゆん、行こうぜ」

 

 

ガッシュがめぐみんとゆんゆんの二人をぶっころりーから遠ざけた。

 

 

「ニートなめんな、占いをしてもらう金があったら毎日店に通い詰めているさ。だからせめて占い代だけでも…」

 

 

「年下の女の子に金をたかるなアホニート。今日からお前の名はぶっころりーからアホニートに改名だ。めぐみん、ゆんゆん、これ以上アホニートに近づくなよ?アホニート菌に感染してしまうからな」

 

 

ガッシュはめぐみんとゆんゆんを更に遠ざけた。

 

 

「俺を得体の知れない病原菌扱いするな!そうじゃ無くて、金を稼ぐ方法があるから、一緒に来てくれって意味だよ!」

 

 

「ならそう言えアホニート」

 

 

「いい加減にしないとぶっ飛ばすぞ落ちこぼれ。…こっちだ」

 

 

ぶっころりーはガッシュ達を連れて森の中へと入って行った。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

「ねえ…、本当に大丈夫なの…?またさっきみたいに…」

 

 

「安心しろゆんゆん、俺が一緒にいるから。それに、いざとなればこのアホニートを囮にすれば良いし」

 

 

「お前が囮になれよ落ちこぼれ。…っとようやく見つけた」

 

 

ガッシュ達が森の中を探索していると、ぶっころりーが目的のものを発見した。

 

 

「"一撃熊"、あれの肝は高く売れるんだ。……よし、"ライト・オブ・リフレクション"」

 

 

ぶっころりーは光を屈折させる魔法を使って姿を消した。

 

 

「ちょっ!?」

 

 

「き…消えた!?」

 

 

「バカ!声が大きい!」

 

 

ぶっころりーが姿を消した事に驚愕しためぐみんとゆんゆんが声を上げ、ガッシュがそれを咎めるが時既に遅し。一撃熊はガッシュ達を見つけてしまった。

 

 

「グオオオオッッッ!!」

 

 

一撃熊は雄叫びを上げ、ガッシュ達に近づく。

 

 

「ほら言わんこっちゃない…、『ソルド・ザケルガ』!」

 

 

ガッシュは雷で生成した剣を握ると

 

 

「セイッ!」

 

 

一撃熊を一振りで倒した。

 

 

「おいガッシュ!お前何倒してんだよ!?折角格好良く倒すタイミングを見計らっていたのに!」

 

 

ふざけんな!!幾ら上級魔法を扱えるとは言え、まだ魔法を使えない女の子二人を危険に晒しやがって!ただでさえ一撃熊は危険なモンスターなんだぞ!?もし彼女達に何かあったらお前は族長やひょいざぶろーさんに説明できるのか!?」

 

 

ぶっころりーはガッシュに文句を言うが、ガッシュはソルド・ザケルガの切っ先をぶっころりーに向けながらどれだけ危険な状況だったのかを言うと、ぶっころりーは黙ってしまった。

 

 

「ガッシュ、それくらいでいいですよ。貴方のおかげで私達は無事だったのですから」

 

 

めぐみんがガッシュの腕を握ると、ガッシュはゆっくりと腕を降ろし、剣を消した。

 

 

「…めぐみんに感謝しろよ?もし止めてくれなかったら、今頃首から先が無くなっていただろうからな。めぐみん、ゆんゆん、行こうぜ」

 

 

ぐうの音も出なくなったぶっころりーを置いて、ガッシュ達は森を去った。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

「まったく、何考えてんだあのアホニートは」

 

 

ここは紅魔の里随一の酒屋。その一角でガッシュ達は食事を取っていた。

 

 

「まあまあ。…しかし、あのまま放っておいて大丈夫なのでしょうか?」

 

 

「ああいった輩は全人類が大嫌いな"アイツ"並にしぶといからな、大丈夫だろ」

 

 

「でも…、そけっとさんの占い代はどう工面するのでしょう?」

 

 

ゆんゆんが占い代の事を口にすると

 

 

「今そけっとの名前が出たけど、何か用なの?」

 

 

デザートを運んで来た"ねりまき"が声を掛けた。

 

 

「用があるのは俺達じゃなくてあのアホニートだかな…。で、そけっとさんがどうかしたのか?」

 

 

「うん、お母さんが森にいくそけっとを見たって…」

 

 

ねりまきの言葉を聞いたガッシュ達は顔を青ざめた。

 

 

「すまん、お金は置いていく!」

 

 

ガッシュは財布からお金を出し、テーブルに置いた。

 

 

「ちょっと!デザートとお釣りは…」

 

 

「デザートは後で取りにくるから!お釣りはいらん!」

 

 

ガッシュ達は酒屋を飛び出した。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

「これは……」

 

 

ガッシュ達が森に到着すると、周辺の木々がへし折られており、黒焦げになった一撃熊の死骸が転がっていた。

 

 

「…あっ!あそこ!」

 

 

めぐみんが指差した所にはぶっころりーが立っていた。

 

 

「おいアホニート、そんな所で何やってんだ?」

 

 

「それはやめてくれ。俺はさっきまで一撃熊の肝を取っていたんだが、そうしたら一撃熊の雄叫びを聞いて、来てみたら…」

 

 

「この有り様…ってわけか」

 

 

ガッシュはぶっころりーに説明を要求すると、ぶっころりーは素直に答えた。すると

 

 

「……ガッシュ、向こうで落雷が見えました」

 

 

めぐみんがひときわ高い木に雷が落ちるのを見た事をガッシュに告げた。

 

 

「……今日の天気は曇り。落雷があっても可笑しくは無いが、気になる。めぐみん、ゆんゆん、俺の側を離れるなよ?」

 

 

ガッシュは落雷があった所へ向かった。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

「『ライトニング・ストライク』!」

 

 

ガッシュ達が見た光景は、笑いながら魔法の刻印が施された木刀を振り、魔法を放つそけっとの姿だった。するとそけっとの後ろから一撃熊が姿を現した。

 

 

「危ない!」

 

 

ぶっころりーが一撃熊に魔法を放とうとしたその時、ガッシュが虹色の光を放ちながら一撃熊に急接近し、一撃熊を殴り飛ばした。

 

 

「ハアアァァァッッ!!」

 

 

ガッシュは一撃熊にラッシュを浴びせ、アッパーで一撃熊の顎を殴り上空に殴り飛ばすと、ものすごい跳躍で一撃熊を追い越し、かかと落としを一撃熊の脳天に直撃させ、仕留めた。

 

 

「……大丈夫でしたか?そけっとさん」

 

 

「…はい、大丈夫ですよ"師匠"」

 

 

「「「…師匠?」」」

 

 

「そういや、言ってなかったな。そけっとさんは俺の"剣術の弟子"なんだよ」

 

 

ガッシュの暴露にめぐみん達は呆然となってしまった。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

「師匠のお願いだから仕方ないから、一回だけね」

 

 

ガッシュ達はそけっとの家に向かい、一回だけと言う理由で無料でぶっころりーの占いをしてもらう事となった。

 

 

「それで一体何を占って欲しいの?」

 

 

「それは…その…」

 

 

「はぁ…。そけっとさん、コイツの"未来の恋人"について占ってもらえますか?」

 

 

そけっとの質問にぶっころりーが言い淀んでいると、ガッシュが横槍を入れた。

 

 

「了解。この水晶の中に、将来結ばれる可能性の高い女性が見えてくるわ」

 

 

ぶっころりー達はドキドキしながら水晶を見つめる。

 

 

「……あら?何も見えないんだけど?おかしいわね、普通なら最低でも一人は浮かんでくるんだけど…」

 

 

だが結果は散々なものだった。

 

 

「普通に断られるより余計辛いんだけど!!」

 

 

ぶっころりーは泣きながら家を飛び出してしまった。

 

 

「あ~あ…、後で慰めてやるか。…そけっとさん、申し訳ないが、俺の占いもしてもらえますか?内容はアイツと同じで」

 

 

ガッシュはそけっとなの代金を払いながら占いをお願いした。

 

 

「了解よ。…見えてきたわ、……これは!」

 

 

「そけっと、どうしたのですか?」

 

 

「"二人"…、師匠の未来の恋人が二人見える。それも…貴女達よ」

 

 

そけっとはめぐみんとゆんゆんの二人を指差した。

 

 

「「……えっ?」」

 

 

「マジかよ…」

 

 

ガッシュは占いの結果に驚いたのだった…。

 

 

 

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