ぶっころりーがそけっとに(間接的に)フラれた数日後…。
「モンスターの活性化に伴い、今日の夕方から、邪神を強引に再封印することになった。万が一失敗したら里に邪神の下僕が溢れるので、儀式が始まったら家から出ないように。一時間目は魔道具製作の授業だ、全員実験室に集まること」
ぷっちんは連絡事項を伝えると、教室を後にした。
「ゆんゆん、一緒に…」
「…ごめん、私今からちょっと用事があるから。先に行っててくれる……?」
めぐみんはゆんゆんを誘うが、ゆんゆんはそれを断り、一人でどこかへ行ってしまった。
…
……
………
「ありがとうゆんゆん!おかげで助かったよー!お礼は必ずするからね!」
「い、いいよお礼なんて!と、友達だから!」
めぐみんとガッシュはゆんゆんの行動が気になり、ゆんゆんの後を尾行した。するとゆんゆんは校舎裏でふにふらに袋を渡していた。
「次の授業地下室でやるんだからさ、先に行ってるね!」
「う…うん」
ふにふらはどどんこを連れてその場を離れる。ゆんゆんは哀愁を漂わせながら校舎裏から去った。
「ちょっと良心が…」
「うん…、痛むよね」
「まさか俺の知り合いにカツアゲをする奴がいるとはな…」
ふにふらとどどんこが向かう先には、ガッシュとめぐみんがいた。
「ガッシュ…、めぐみん…」
「……別にカツアゲじゃないわよ。病弱の弟に使う薬代をゆんゆんから借りただけよ」
「そうか…。なら、これは俺が預かろう」
ガッシュはふにふらが持っている袋を奪い取った。
「ちょ…」
「学校が終わったら、俺がお前の家に行って薬が本当に必要なのか見定める。そして必要な薬を父さん達に言って取り寄せてもらうが、必要無かったと判断した場合、この金はゆんゆんに返す。それでいいな?」
ガッシュがふにふらの家に訪問する事を告げると、ふにふらは気まずそうに視線を反らした。
「まあまあガッシュ、意地悪もそれくらいにしといて下さい。…ふにふら、貴女は薬が手に入ればそれで良いのですよね?」
「えっ…?えっと…うん」
「なら、紅魔族随一の天才たる私に任せてください」
めぐみんの物言いにガッシュ達は首を傾げた。
…
……
………
「火が!」
「めぐみん何作ってるの!?」
「高難易度の病治療ポーションです」
一時間目の魔道具製作の授業が行われている地下実験室では、めぐみんがポーションの材料であるマンドラゴラと格闘していた。
マンドラゴラとの戦いが終わり、めぐみんの手がカモネギ(ポケモンでは無い)に伸びた所をゆんゆんが捕まえた。
「…ゆんゆん、調合の邪魔です。離してください」
「そ…それ以上はダメ!」
「ゆんゆん、コイツは見た目は可愛くてもモンスターだ」
めぐみんの調合を邪魔したゆんゆんにガッシュが近づいて手を離そうとする。そして全員の視線がめぐみんとガッシュに向けられた。
「めぐみん、ガッシュ、ポーションづくりに必要な材料はカモネギのどの部位なんだい?」
「それに関しては俺も知らないんだ。めぐみんが『全部私に任せて下さい』って言って…」
「……カモネギが背負っているネギが材料です。これで安心しましたか?」
めぐみんがポーションの材料がカモネギのネギだと告げると、ゆんゆんを含むほぼ全員が胸を撫で下ろした。
「よかった…。カモネギは薬の材料になるだけじゃなく、倒すと大量の経験値を得られるし、食べるとすごく美味しいって聞くから…」
ゆんゆんの言葉を聞いためぐみんは目の色を変え、カモネギを仕留めた。
当然、ゆんゆんからの批判を浴びたのは言うまでもない。
…
……
………
この日の放課後、めぐみんはガッシュと一緒にふにふらとどどんこを校舎裏に呼んだ。
「なによカモネギスレイヤー、こんな所に呼び出して」
「今度カモネギスレイヤーと呼んだら痛い目に遭わせますよ。一時間目の騒ぎだって、もとはと言えば二人が原因なのですよ?」
めぐみんの言葉を聞いて、ふにふらとどどんこはまさかと思った。
「そう、自作の病治療ポーションです」
めぐみんはポーションが入った瓶を取り出した。その色は毒々しい色をしていた。
「不安なのはわかりますが、ぷっちん先生からのレシピ通りに作ったので問題ないですよ」
「なるほど…、授業が始まる前に先生の所へ行っていたのはこの為か」
ガッシュはめぐみんの行動に納得がいったようだった。
「ささっ、遠慮なく受け取ってください」
「う…」
ふにふらは嫌々な感じでポーションを受け取った。
「……ふむ、その薬があれば父さん達に頼む必要は無さそうだな。ならこの金はゆんゆんに返すとするか」
「えっ!?」
「ちょ、ちょっと待ってよ!まだこの薬が効くかどうかわからないに…!」
「……言ったはずだ、『必要無かったと判断した場合は、この金はゆんゆんに返す』…と」
ガッシュの言葉を思い出したのか、二人は苦虫を噛み潰したかのような顔をした。
「これで俺達の用事は終わりだ。めぐみん、帰ろうぜ」
ガッシュはめぐみんを連れて校舎裏を離れたのだった。
…
……
………
「…あれ?あそこにいるの、ゆんゆんじゃないか?」
ガッシュとめぐみんが帰ろうと校門を潜ろうとしていた時、その校門にゆんゆんが佇んでいるのを発見した。
「…あっ!めぐみん、ガッシュ君!」
「ゆんゆん、そんな所に一人でいて何をしているのですか?」
「クロちゃんを置きっぱなしでどっかに行ってたから、ここで待ってたのよ!」
めぐみんがゆんゆんに質問をすると、ゆんゆんは待っていた理由を話した。
「そう言えば、ずっと気になっていたんだが…。その黒猫、何なんだ?」
「私の使い魔です。家に置いていくとこめっこに食べられそうになるので、連れて来ているのですよ」
ガッシュが黒猫について質問をすると、めぐみんが答えた。
《ガッシュよ…》
「(バオウ?珍しいな、そっちから声を掛けてくるなんて…)」
《茶化すな。…そんな事より、その獣から"邪悪な気配"を感じる…》
「(マジかよ!?)」
《うむ…。何が起こるか分からぬのでな、用心しておいて損は無かろう》
「……ガッシュ?」
めぐみんはガッシュを心配そうに見つめる。どうやら急に立ち止まって、しかも黙ってしまっているのを見て、不安になったようだ。
「んっ?…ああすまない、大丈夫だ。…それとゆんゆん、これ」
ガッシュはゆんゆんに金が入っている袋を渡した。
「…えっ?何でガッシュ君がこれを…」
「ふにふらからだ。それと伝言も預かっている、『弟の薬は何とかなったから、それは返す』だとよ」
ガッシュの言葉を聞いたゆんゆんは、一時間目の魔道具製作の時にめぐみんがポーションを作っているのを思い出した。
…
……
………
「ふぅ…」
ガッシュ達は泉の畔にあるベンチで休憩をしていた。
「めぐみん、ガッシュ君、ありがとう」
「別にお礼を言われるような事はしていないさ」
「そうですよ。それはそうと、私は後一回スキルポーションをもらえれば卒業できるのですが」
めぐみんは魔法習得まで後一歩の所まで来た事をドヤ顔で言った。
「えっ!?めぐみん確か魔法習得まで後4ポイントって言ってなかった?こないたのポーションで残り3ポイントに…ああっ!!今朝のカモネギ!」
「なるほど、カモネギを倒した事でレベルが上がり、スキルポイントが上がったってわけか」
「そうです、あれでレベルが二つも上がりました。おそらく次のテストで卒業です」
「そんなぁ…、せっかくスキルポイントを合わせていたのに…。一緒に卒業できないなんて…」
「はあっ?!スキルポイントを合わせて!?…まさか今まで手を抜いていたのですか!?」
めぐみんの質問にゆんゆんはゆっくりと頷いた。
「一緒に卒業したいのなら、ポイントが足りていても習得しなければいい話じゃないですか!?」
「だって…、めぐみんいつの間にか抜いてたんだもの…」
「バカにしないでください!私は既に上級魔法を覚えるまでのポイントはとっくに貯まっていますよ!この際ですからゆんゆんとガッシュには教えておきますが、私は上級魔法よりももっとずっと超威力の必殺魔法を習得するのです!」
めぐみんは冒険者カードをゆんゆんに見せた。
「……めぐみん、その覚えたい魔法ってのは何なんだ?」
「爆裂魔法です。私は子供の頃、魔獣に襲われた事があります。そして助けてくれた人がいまして、その人が爆裂魔法を使ったのです。…今でもあの時の爆裂魔法が見せた光景は、鮮明に覚えています」
「私は爆裂魔法を習得した後、頃合いを見て旅に出ます。そしてあの人に会った時に、私の爆裂魔法はどうですかと聞きたいのです」
めぐみんは目を輝かせながら夢を語った。
「……そっか。ゆんゆんは族長の後を継ぐのか?」
「…うん。今はまだめぐみん達に助けられたりする身だけど、いつかは里で一番の魔法使いになって…」
「めぐみんは今晩のおかずをゲットした!」
めぐみんはゆんゆんの話を聞いておらず、足元にいたカモネギを仕留めていた。
「……話くらい聞いてやれよ…」
ガッシュがめぐみんの行動に呆れていると
カーン…、カーン…。
「なんだ?」
「警報…でしょうか?」
モンスターの襲来を告げる警報が里中に鳴り響いた。そして無数の影が里の上空に現れた。
「あれって…」
「こっちに来てない?」
「…あっ」
ガッシュはふと、今朝ぷっちんが言っていた事を思い出した。
「まさか…封印の儀式が失敗したのか?」
「こうしてはいられません!ゆんゆん、ガッシュ!私の家に!」
「了解した!」
「うんっ!」
ガッシュ達はめぐみんの家に向かう為、走り出した。
…
……
………
「着きました……」
めぐみんとゆんゆんは走り続けたせいで息が上がっていたが、目の前の光景は息をするのを忘れるくらいのものだった。
めぐみん達の目の前には、扉が無造作に壊された家があった。
「…………こめっこ?こ、こめっこ!こめっこ!どこですか!?私です!姉です!」
めぐみんは黒猫を入れた鞄を落とし、家中を隅々まで探すが、こめっこの姿は見当たらなかった。
…
……
………
「くそっ、どこにもいねぇ…」
パンッ
ガッシュが家の周辺を捜索していると、何かを叩く音がした。ガッシュは音がした方へ向かうと、ゆんゆんがめぐみんの頬両を叩いていた。
「めぐみん落ち着いて!しっかりしてっ!」
どうやらパニックになっていためぐみんに喝を入れたようだ。
「……ありがとうございます。妹はきっと外です!私は妹を探してきますので、ゆんゆんとガッシュはこめっこが戻ってきた時の為にここに残って…」
「私も一緒に行く!」
「俺もゆんゆんに賛成だ。それに家の周辺は俺が探したが、姿は見えなかったぞ?めぐみん、他に心当たりはないか?」
ガッシュはめぐみんにこめっこが行きそうな所に心当たりが無いか質問をする。
「そうですね…「ああ~っ!!」って何ですかゆんゆん!」
「あれ!」
ゆんゆんが指差した所には、下級の悪魔に黒猫が連れ去られている所だった。
「めぐみんの黒猫が!」
「大丈夫です!見た限りではありますが、手荒な事はされていないようですし。それよりもこめっこです!きっと、どこかにいるはずです!」
めぐみんは必死にこめっこがいそうな所を思い浮かべる。だが中々思い浮かばなかった。だが…。
「……あっ」
「思い浮かんだか!?」
「はい!恐らく"あそこ"です!」
めぐみんは心当たりがある場所へ向かう為、走り出した。
…
……
………
「……いたわね」
「……いたな」
「……いましたね。毛玉も無事なようですし」
ここは邪神が封印されている場所。そこに悪魔に連れ去られた黒猫とこめっこがおり、その後ろの茂みにガッシュ達がいた。
「めぐみん、何でそんなに落ち着いてるの?」
「こういったピンチの時には、隠された力が目覚めたり、何者かが救援に駆けつけてくれたりするものです」
めぐみんは冷静を装っているが、体は震えており、顔も少々青ざめていた。
「きしゃー!」
「こうしてはいられません!」
こめっこが悪魔に威嚇していると、めぐみんは冒険者カードを手にした。
「めぐみん…まさか!?」
「…この手だけは使いたくなかったのですが、私ぐらいの天才なら、ガンガンモンスターを狩ってポイントぐらい、またすぐに貯められますから」
「……声も体も震えてるわよ。踏ん切りがつかないんでしょ?」
めぐみんが踏ん切りがつかない事を察したゆんゆんはめぐみんよりも先に冒険者カードを操作した。
「あっ姉ちゃん!」
「…こめっこちゃんから離れてっ!"ライトニング"!」
ゆんゆんは中級魔法の1つであるライトニングを放ち、悪魔を牽制した。
「クロちゃんは私が回収するから、めぐみんはこめっこちゃんとガッシュ君を連れて逃げて!」
「それは出来ない相談だな」
ゆんゆんはめぐみんにガッシュと一緒に逃げるように言うが、ガッシュはいつの間にか"ソルド・ザケルガ"を持ってゆんゆんの前に立った。
「後衛職が活躍するには前衛職が必要だろ?俺が奴らを牽制するからゆんゆんはトドメの一撃を!めぐみん、こめっこちゃんを連れて走れ!」
ガッシュに言われ、めぐみんはこめっこを連れてその場から走り出した。
…
……
………
《めぐみんside》
「ゆんゆん凄かったね!雷がドーンって!」
「そうですね、凄かったですね」
私はこめっこを連れて走っていた。私が夢である爆裂魔法を捨てて上級魔法を覚えるのを躊躇している間に、にゆんゆんが中級魔法を覚えてしまった…。これからはもうスキルアップポーションも貰えず、上級魔法を覚えるまで未熟者扱いされてしまう…。
「こめっこ、お姉ちゃんのことは好きですか?」
「好き!」
「最強の魔法が使えなくて最強のお姉ちゃんでなくなっても?」
「わたしが代わりに最強の魔法使いになるから大丈夫!」
こめっこ…。ありがとうございます。私は覚悟を決めました!例え何年、何十年掛かっても絶対爆裂魔法を覚えてみせます!
《めぐみんside end》
…
……
………
めぐみんが来た道を戻り、ゆんゆん達の所へ戻ると
「ハアッ!」
「『ブレード・オブ・ウインド』!」
ガッシュが牽制した悪魔を、ゆんゆんの風の中級魔法が切り裂いた。
「(中級魔法なのに…、ゆんゆん凄い!)」
「我が名はこめっこ!家の留守を預かるものにして紅魔族随一の魔性の妹!とられたご飯は取り返す!」
「こめっこちゃん!?それにめぐみんも!?逃げたんじゃなかったのか!?」
こめっこが名乗りを上げたのを聞いたガッシュはめぐみん達が戻って来た事に驚いていた。
「何で戻って来たの!?私が何のために中級魔法を覚えたと思って…」
ゆんゆんは近づいてきた悪魔に『ファイヤーボール』を浴びせた。
…
……
………
「何とかなった…な」
それから数分後、ガッシュ達はめぐみんとゆんゆんの援護の甲斐あって、悪魔達を全て倒した。
「姉ちゃん、またたくさんきた!」
こめっこが空を見上げると、そこには悪魔達が集まりだしていた。
「…恐らくだが、里の連中達がこの場所に追い込んでいるようだな」
「そんな…、いつ襲ってくるかもわからないのに…!」
ゆんゆんは絶望的な顔をし、めぐみんは自分のカードを見る。そしてめぐみんは笑いだした。
「…めぐみん?」
「めぐみん、どうし…まさかあのカモ…!」
「三人共、頭を低くして伏せていなさい」
めぐみんはカードを操作すると、とある魔法を習得した。
「我が名はめぐみん!紅魔族随一の天才にして爆裂魔法を操りし者!ひたすらに…ただひたすらに追い求め続けやっと手にしたこの魔法!私は今日という日を忘れません!食らうがいい!」
『エクスプロージョン!!』
めぐみんは悪魔達に狙いを定め、
「(なんという爆裂!なんという破壊力!なんという心地いい爽快感…)」
爆裂魔法に根こそぎ魔力を奪われためぐみんは、うつ伏せになりながら倒れてしまった。
「こりゃすげぇ…」
「うん…」
ガッシュとゆんゆんは爆裂魔法の威力に度肝を抜かれた。
「……あっ!まだモンスターが残ってる!」
「なにっ!?」
ゆんゆんが指差した所には、爆裂魔法の範囲から逃れたのか悪魔達が大量に残っていた。
「どうしよう…!このままじゃ…!」
ゆんゆんが慌てふためいていると、ガッシュはソルド・ザケルガを消した。
「…ガッシュ君?」
「……『我が
ガッシュが呪文を唱えると、ガッシュの周りに雷が迸り、右手のフィンガーグローブが破れ、右手の甲に金色に輝く雷の紋章が浮かび上がった。
「バオウ・ザケルガアアアアアッッッッ!!!」
《バオオオオオオオオオッッッッ!!》
ガッシュが右手を前に突き出すと、右手から極太の雷が放たれた。そして雷は螺旋を描きながらその姿が金色の龍に変えた。
バオウは上空に昇ると、残っていた悪魔を片っ端から食い始め、最後の一体を食い終わったと同時にその姿を消した。
「……すごい」
ゆんゆんは目の前の光景に見とれていると、ガッシュがめぐみん同様に倒れてしまった。
「ガッシュ君!?」
「くっ…、やはりバオウの力は強大過ぎる…。俺の力を使い果たすとは…」
どうやらバオウ・ザケルガを使用するには爆裂魔法並の魔力が必要であり、使用した後は力が抜け、倒れてしまうようだ。
その後爆裂魔法とバオウ・ザケルガを見た里の大人衆がめぐみん達の所へ駆けつけ、大変な騒ぎになった。その翌朝、ガッシュ達はぷっちんに呼び出され、こってり絞られたが事実を内緒にしてくれるそうだ。
めぐみん達の両親にはめぐみんの妹を探しに行ったとだけ伝えられ、めぐみんの爆裂魔法、ゆんゆんの中級魔法、そしてガッシュのバオウは伏せられた。
そして数日後、ガッシュ、めぐみん、ゆんゆんの三人による卒業式が密かに行われた。
…
……
………
「ゆんゆん、ガッシュ、今日もダメなのでしょうか」
「ダメに決まってるでしょ!?折角騒ぎが収まったばかりなのに」
「そうだぞ?爆裂魔法を撃ったらまた里の大人衆が騒いじまう」
卒業後、めぐみん達は泉の畔に集まっていた。
「……ねぇ、クロちゃんってば結局何なのかな?どうして狙われたんだろう?」
「確かに。そう考えるとただの子猫じゃなさそうだな」
めぐみんの膝の上であくびをした黒猫の正体をゆんゆんは考えていた。
「この子、これからどうするの?」
「…どうしましょうか?我が家においておくと何時こめっこの餌食になるか…。かと言って、放り出すのもかわいそうですし…」
「…ならいっそのこと、本当に使い魔にしたらどうかな?」
「んっ?どういうことだ?その黒猫はめぐみんの使い魔じゃないのか?」
ガッシュは黒猫が既にめぐみんの使い魔になっていると思っていたので、ゆんゆんの提案の意味が分からなかった。
「実はこの子ですが、こめっこが何処からか連れて来てしまったのです。それで仕方なく私の使い魔と言う嘘を…」
めぐみんは気まずそうに事情を説明した。
「…なるほどな。だったらゆんゆんの提案は悪くないな、家においていたらこめっこちゃんに狙われるわけだろ?だったらゆんゆんの言う通り使い魔にして四六時中一緒にいる方が安全じゃないか?」
ガッシュが黒猫を撫でようと手を伸ばすが、黒猫はまるで怯えるかのようにガッシュの手から逃げた。
「あらら?」
「クロちゃん、どうしたのかな?」
「さあ…?まるで何かに怯えてるみたいですが…?」
黒猫の行動に三人は首を傾げた。
「それはともかく、使い魔にするならいつまでも仮名のままではきまりが悪いですね」
「えぇっ!?クロちゃんが正式名称じゃダメなの!?」
「ダメです。そんなセンスの無い変わった名前ではかわいそうではないですか」
「センスが悪いって…」
めぐみんの否定した理由にガッシュは頭を抱える。
「……決まりました!お前の名は"ちょむすけ"。そう、ちょむすけです!」
こうして黒猫ことちょむすけは正式にめぐみんの使い魔となった。