仮面ライダーアクト another file   作:志村琴音

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こんにちは、志村琴音です。
遂に書きました。「仮面ライダーアクト」の番外編です。

感想や読了報告等くださると筆者の励みになります故、何卒宜しくお願いいたします。


碧、メイドになる(前編)

2021.11.23 14:00 東京都 新宿区 SOUP

「班長! 今週の金曜日、有給をください!」

 

 碧が席に座る森田の前で頭を下げる。

 滅多に無い頼みに珍しさを覚えながらも、森田は了承をし、他の者たちは彼女の言葉に耳を貸していた。

 

「構わないが、どうしてだ?」

「私……メイドになります!」

「「「「「……は!?」」」」」

 

 

 

────────────

 

 

 

 事の発端は昨日、あまねが話を持ちかけたことがきっかけだった。

 

 今から1ヶ月前。文化祭を控えた1年6組はオンライン授業内で話し合いをしていた。

 

 校庭が崩壊したために学校でこそ文化祭の実施は不可能となってしまったが、近くの商業施設が協力を申し出てくれ、そこで文化祭を行うことになったのだ。

 そして1年6組は室内の部屋を使用することが出来ることになったので、そこでする出し物を会議するところである。

 

 お化け屋敷に射的、金魚掬い、様々な案が出た中で、一人の男子生徒が「メイド喫茶」と提案をしたのだ。

 

 あまねは確実に没になると思っていた。あんなフリフリの付いた衣装を着て人前に出たいとは誰も思わないだろう。なので投票になった際、自信満々で別の出し物に票を入れた。

 

 ところが想像と違い、ほぼ全員が乗り気であったのだ。

 結果、クラスメイトの女子が交代制でメイドをやることになり、男子は調理や受付とその他の雑用係になることで話は落ち着く筈であった。

 

 だが、ここで思わぬ出来事が起こった。

 

 インフルエンザ、部活の練習での骨折、急遽部活の出し物に呼び出される。以上の理由で4人が出られなくなってしまったのだ。

 これでシフトに影響が出ることになり、金曜日分のメイドが足りないということで、急遽ホームルームで会議が開かれることとなった。

 

 すると、

 

「そういえば、筒井がこないだすっごい美人と歩いてるのを見たぞ」

 

 誰だ?

 最近は学校以外で外に出た覚えは無い。

 けどパパを迎えに行くためにママと病院に行ったなぁ。

 

 ん? 待てよ?

 その美人って──。

 

「私も見た! モデルさんみたいに綺麗だったよ」

「俺もだ! それにヤベェな。胸もケツもデカかった……!」

「俺も!」

「私も!」

 

 画面の共有をしていなかった者たちも共有を始めると、画面の中の全員がカメラをじっと見つめ始めた。

 その狙いが誰なのか、瞬時にあまねは気が付いた。

 

 

 

「ママお願い! 手伝って!」

 

 帰って来た瞬間にあまねが頭を下げて碧に頼み込んできたために、自身があまねの母であることは隠すことを条件に、断りきれず参加することになったのだ。

 

 

 

────────────

 

 

 

「それで、娘さんのお手伝いをすることになった、というわけですか……」

「はい……」

 

 一部始終を聞いた圭吾が呟くと、碧は小さく頷いた。

 

「ちょっと、私も有給とって写真撮りに行って良いですか?」

「駄目だ」

 

 森田に断られて悔しそうな顔をする薫。

 

「ていうか、春樹さんは大丈夫なんですか……?」

 

 深月の言葉で全員が春樹の方を向く。

 自身の妻がメイドの格好をして見知らぬ男の接待をするなど、彼が許さないであろう。

 

 だが、

 

「……まぁ、あまねがいるから大丈夫だろ、多分」

 

 肝心の彼は素っ気無い態度をとり、テーブルの上に置かれていた雑誌で顔を隠す。

 

 その様子を見た碧は引き止めようともしてくれない自身の旦那に対して、頬を大きく膨らませて嫌そうな顔を見せた。

 

 

 

────────────

 

 

 

2021.11.26 07:30 東京都 中野区 ヒガシナカノパーク イベントホール

「というわけで、本日協力してくださる椎名碧さんです」

「よ、宜しくお願いしまーす」

 

 クラス委員から紹介をされ、恥ずかしそうに生徒たちに挨拶をする碧。

 

 今の彼女は白いフリルが所々に付いた黒いワイシャツとミニスカートを着ており、脚は黒いストッキングが隠してくれている。髪の毛は後ろでツインテールになっており、頭には白いカチューシャが着いている。

 

 そして何よりも目を惹くのは、ワイシャツを内側から圧迫して重なった布の間に隙間を作っている、その良く熟れた2つの果実である。

 多感な時期の、特に男子生徒にとって、こんな肉体を持つ美女はあまりにも刺激が強すぎるのだ。

 

 男子たちが碧に釘付けになっている中、彼女の正体を知ってしまっている日菜太は隣にいあるあまねに耳打ちをした。

 日菜太はタキシードを身につけ、あまねは碧と同じメイド服を着ている。

 

「ねぇ。あれ、大丈夫なの?」

「大丈夫。正体を知っているのは私と長谷部先生だけだから」

 

 すると碧にこのクラスの担任をしている長谷部が近寄って来た。そして彼女に深々と頭を下げる。

 

「本当に有り難うございます」

「いえいえ。とんでもないですよ」

 

 申し訳なさそうな顔をする長谷部。それもそうだ。生徒主体の文化祭に、生徒の保護者を参加させる羽目になってしまったのだから。

 そして彼も碧に耳打ちをした。

 

「あの、もし他の保護者の方にバレでもしたら──」

「大丈夫です。事情は話してあるので、なんとか──」

 

 実はあまねの願いを了承したその日のうちに、1年6組の所謂ママ友のLINEグループに事情を説明しておいたのだ。何か変なことでも言われるかと思ったが、見てみたいと寧ろワクワクしていた。

 

「それじゃあ、始めましょう!」

「「「はい!」」」

 

 

 

 

 

 そして文化祭が始まった。

 生徒の家族や地域住民に加え、この学校に入学したいという受験生もやって来た。

 

 外の広場でやっている軽音楽部のライブや同じホールで行われているお化け屋敷等、様々な出し物のがある中で、他のクラスが嫉妬する程に客を集めていたのは、1年6組であった。

 その一番の理由は言うまでも無いだろう。

 

「お帰りなさいませ。ご主人様」

 

 笑顔で接客をする碧という、化け物がいるからだ。

 

 モデル顔負けの美貌とスタイルを持つ彼女の姿を見に、男性客が集まってきたのだ。

 全員が鼻の下を伸ばして下品な目線を向ける。そのくらい気が付くのだが、そんなことはしょっちゅうであるために、最早気にしてはいない。

 

 とにかく店の外には行列が出来、特に昼食を摂る昼頃は大変に繁盛をしていた。

 

 すると、何故だか外が少しだけ騒がしくなった。

 騒がしいとは言っても、女性の小さな悲鳴が連続しているがためにそう聞こえているだけであるのだが。

 

 一体何だ何だと他の女子生徒が外を確認すると、彼女たちも顔を赤くしながらゆっくりと持ち場に戻って行った。

 

 何が起こっているのか検討つかない男子生徒たちに碧とあまね。

 けれどもそんなことを考える間も無く、次の客が入って来た。

 

「お帰りなさいませ、ご主人さ、ま……」

 

 入り口で出迎えた碧の言葉が詰まる。

 そして黒いパーカーに黒いズボンを着た客の顔を見たまま、固まってしまった。

 

 今まで接客していてもそんなことは無かったがために、心配になったあまねが彼女の元に駆け寄った。

 

「どうしたの……。っ!?」

 

 碧と同じようにあまねも来客の顔を見て固まってしまった。

 何故なら──

 

 

 

 

 

「ただいま」

 

 ()()()()()()()()()が来店したからである。




なんか、メイド服着た碧を見てみたいという声があったので、書いてみました。
因みになんと後編に続きます。
乞うご期待ください!

次、何を読んでみたいですか?

  • ぎゅうでの猥談
  • 圭吾と薫のデート
  • 椎名家の一日(平日・休日共に)
  • あまねの進路相談
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