仮面ライダーアクト another file   作:志村琴音

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前回の続きでございやす。
イチャラブ書くの、ガチで難しい……!


碧、メイドになる(後編)

2021.11.26 12:24 東京都 中野区 ヒガシナカノパーク イベントホール

「お、お待たせしましたー。特製オムライスでございまーす」

 

 声を震わせながら碧がやって来た。

 

 テーブルに乗せられたのはオムライスの入った白い皿であった。黄色い表面に、赤くケチャップでハートが描かれている。

 

「……最後に、仕上げをさせていただきますね……」

 

 碧は胸の前に両手を持ってくると、ハートを作って右に左に移動させると最後にハートをオムライスに向けた。

 

「萌え萌えキュン……!」

 

 それまでそんなことは無かったのに、相手が自身の旦那となった瞬間にいきなり羞恥心が襲いかかって来た。

 すぐにその場を離れて、あまねと一緒に店の端でヒソヒソと会話を始めた。

 

「何で春樹がここにいるの?」

「分からない。でももしかしたら、お昼休み利用して来たんじゃない?」

 

 そうか。

 SOUPの最寄り駅である四谷三丁目駅から、この学校や自宅の最寄り駅である東中野駅まで、大体20分。急いで移動をすれば昼休み中に戻ることも可能だ。

 

 家族の来店に一気に恥ずかしくなってきた一方、接客以外の作業をしていた男子生徒たちは、オムライスを美味しそうに頬張る春樹を睨んでいた。

 この男が現れた瞬間、碧とあまねの様子がおかしくなってきている。

 

 まさか、奴は二人に対して常習的に何か危害を加えているのではないか──。

 

 突如として現れた女神と、いつもその肉付きの良い肉体で自分たちを悶々とさせているクラスメイトに対する危機だと思った男子生徒たちは、殺意に似た感情を乗せた目線を春樹に向けていた。

 

 さらには外にいる女子生徒たちが、男子生徒たちとは違う意味を含んだ目で見ていた。

 碧程ではないが、春樹もそこそこ顔が整っている。年頃の女子は、彼を一瞬にして憧れの的に選んだのだ。

 

 春樹は妻を見る男子の、碧は夫を見る女子の、下心を最早隠そうとしない目線にすぐに気が付いた。

 二人とも、例えどれだけ恥ずかしくとも見せしめなくてはならない。

 

 もう、考えることは止めた──。

 

「実は、貴方だけの特別メニューがあるんです。他のご主人様にはやったことの無い」

 

 碧がいつものような笑顔で春樹の横に座る。

 これまで立って彼女は接客をしていたために、男子生徒たちの胸に嫌な予感が過ぎる。

 

「へぇ。どんなメニューなんだ?」

 

 意外と乗り気な春樹に女子生徒も危機感を覚える。

 

「……こういうのです」

 

 すると碧は前に乗り出し、春樹に顔を寄せた。

 

 まさか──

 

 そして、春樹と碧の唇がピッタリとくっついた。そっと付けるのではなく、静かな音を立てながら長い時間行っている。

 さらには舌をも絡め、互いを味わい始めた。荒い吐息が全員に聞こえるほどに漏れていっている。

 思春期にはなんとも刺激の強い光景であった。

 

 あまねは「またか」とスルー出来るのであるが、他の生徒たちは鬼の形相で二人のことを睨んでいた。自分が狙っていた人が、見知らぬ奴に深いキスをしているのだ。それがあまりにも悔しくて仕方がない。

 

 そんな彼らの目線を気にすることも出来ない程に、自身らの世界に没頭する彼ら。

 自らの世界の中で碧は唇を離し、春樹の耳元で囁いた、というより全員に聞こえるような通常時の声で言った。

 

「続きは、ご自宅で」

 

 さらに生徒たちは気が付いたのだ。

 春樹と碧の手に、同じ形状の指輪が着けられていることを──。

 

 その瞬間、彼らは自らが完全に敗北したことを知った。

 

 

 

────────────

 

 

 

2021.11.26 17:09 東京都 中野区 ヒガシナカノパーク イベントホール

「「「有り難うございました!」」」

「どういたしまして」

 

 閉店後のホールで、生徒たちのお礼に笑顔を見せた碧はその場から颯爽と去って行った。

 

 片付けと明日の準備を終え、後は帰るだけとなった生徒たちは、碧と彼女の横に立って一緒に帰るあまねを見送る。

 

「くっそーっ! まさか、まさか碧さんがあの男のものだっただなんて……!」

 

 一人の男子生徒の言葉で、他の男子も悔しがる。

 男の理想と女の理想を一気に詰め込んだスタイルをした彼女が、他人によって無茶苦茶にされているという事実が、彼らを苦しめているのだ。

 

 すると、

 

「それにしても、あまねちゃんはどうやって碧さんと知り合ったんだろう……?」

 

 全員が碧とあまねの様子を見る。

 二人は手を繋ぎ合って、仲良く見つめ合いながら会場の外へと去って行く。

 

 歳の離れた友人というわけではなさそうな彼女らの空気に、全員は一つの可能性を導き出した。

 だがそんなことはある筈ないと首を横に振る。

 

「そういえば授業参観の時、あの二人来ていたな」

「ホントだ! なんかあまねちゃんに手振ってた!」

 

「「「──まさか!」」」

 

 想像していたことが現実である可能性がかなり高くなってしまった。

 全員が驚愕のあまりに口を大きく開けて何も言えなくなってしまう。

 そして彼らは、驚きを隠せない表情のままで、家路についていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌日、あまねが質問攻めにあったことは、言うまでも無い。




この続きはいつかR-18版とかで書いてみたいですね。

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