今回はスノウアート(https://syosetu.org/user/322833/)の「圭吾と薫の日常が読みたい」とのリクエストから、圭吾と薫のデートを書かせていただきました。
リクエストしてくださり、有り難うございました。
感想や読了報告等くださると筆者の励みになります故、何卒宜しくお願いいたします。
昼下がりの竹下通りには、休日ということもあって人通りが多い。洒落た飲み物や洋服を買うため、スカウトマンに声をかけてもらうため、様々な理由でここを訪れているのだ。
その中で圭吾と薫は手を繋ぎながら歩いていた。アニメのTシャツを着たボサボサの頭の圭吾と、ピンク色の髪の毛をしたギャルの薫が並んで歩く姿は、個性豊かな格好をした群衆の中でもかなり異色を放っていた。
それでも二人はそんなことを気にしない。
折角、休日に互いの予定が合い、こうして初めてデートをすることが出来るのだ。他人の目など気にする必要性は皆無である。
「あの、圭吾さん……。行きたい場所があるんですけど……」
「え、あ、はい……!」
こうして愛する人と二人きりで過ごすのは2回目だ。
以前、激昂する圭吾を落ち着かせるために彼を誘い、そして一つになったのだ。その記憶が大きいがためにかなり恥ずかしい。
以前として緊張した状態の二人は、それ以降特に何も話すことは無いまま足を進めていった。
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「ここですね」
目的地は7階建てのビルの中にあるメイドカフェだった。
薫は碧を含めて可愛いものに目がない。アメリカから帰国して以降一度も入ったことの無いこの場所で、可愛いものをふんだんに摂取しようという算段らしい。
「お帰りなさいませ、ご主人様」
笑顔で出迎えてくれるメイド服の店員に早速目を輝かせる薫。
一方の圭吾はというと、かなり戸惑っていた。オタクとはいえこういう場に来るのは実は初めてであったのだ。同人誌でしか目にしたことの無い台詞は現実に音として存在しているのか。感動で心の中が滅茶苦茶にされている。
誘導されて座った真ん中の席で、薫と圭吾は一先ずオムライスと、「オレンジジュース・スペシャル」という何だか凄そうな飲み物を注文する。何を頼めば良いか判らず、訊いてみたところその二つがお勧めとのことだった。
けれども、確かにオムライスを食べている客はちらほらと見受けられるのだが、肝心のオレンジジュース・スペシャルらしきものを飲んでいる客はいない。
一体どうしてなのかと悩んでいたところで、
「お待たせいたしました〜。オレンジジュース・スペシャルで〜す」
メイドが運んで来たのは、70年代後半の刑事ドラマに出てきそうな大きなワイングラスに入ったオレンジジュースであった。真ん中に螺旋を描くように絡み合ったストローが刺さっている。
「これって、もしかして……」
圭吾が恐る恐る尋ねる。
「はい! カップル専用メニューでございます!」
周りに聞こえる程の大きな声で言われた。端の席ならまだしも、中央の席に座っていたがために目立ってしまう。
全員が二人の方を向いたところで、メイドは会釈をして退散した。
「えぇっと……その……」
「……飲みます、か……?」
薫の言葉に思わず圭吾は目を見開いて彼女の方を見てしまう。
「私は……一緒に飲みたいです」
「分かりました」
もう覚悟は決まった。
圭吾と薫は自身の方に先が向くストローに口を付け、大量のオレンジジュースを吸い込み始めた。
ストローが捩れているがために極限まで顔が近付いている恥ずかしさと、周りの客が見ている恥ずかしさ。
2つの恥ずかしさが同時に襲い掛かるのだが、見つめ合って自分達の世界に入ってしまえば、もう何もかも考えるのを止めた方が良いのだと確信した。
その様子を見ていた客達は、特に圭吾のことを羨望の眼差しで見ていた。
自分と同じような冴えないオタクが、派手なギャルとイチャイチャしている。
所謂「オタクに優しいギャル」が存在するのかという驚きに、羨ましさが混じった店内の空気は何とも言えない感じであったのだが、最早二人の気にすることではなかった。
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その後、メイドカフェで昼食を終えた二人は、アニメキャラのグッズを購入したり、ゲームセンターでプリクラを撮ったりと充実した時間を過ごした。
陽が暮れかかっている。そろそろ遠くの方で時報のチャイムが優しく鳴り響きそうな中、原宿駅の前に到着した。
もう家路につかなければならない。二人は向かい合って互いの顔を見合った。
「また、デートしてくださいね」
「はい。またしましょう」
恥ずかしいのか、これ以上何も言うことが出来ない圭吾の視線が段々と逸れていく。
それを良しとしない薫は圭吾の顔を両手で優しく掴むと、背伸びをして自分の唇を相手の唇に重ねた。
「!?」
驚く圭吾であったが、彼女の最大限の愛情表現なのであると可愛らしさを覚え、すんなりと受け入れた。
そして暫くして唇を離した二人は、さらに恥ずかしくなって沈黙してしまう。
「……じゃ、じゃあまた明日!」
「え、はい! また明日!」
手を振って逆の方向に歩き始めた圭吾と薫。
向かう方向は違えど、愛する者と触れ合った唇を押さえながら恥ずかしがる素振りは同じであった。
後日、二人が碧に「え!? デートしたの?」と茶化されたのは言うまでもない。
もし他の方の作品とのコラボを書くことになった際、another fileの枠で投稿しても宜しいでしょうか?
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問題無い。
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別枠を作れ。