伝説のアイドルの子   作:アッシュクフォルダー

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第三十四話 マリンの箱舟

星野アクアという、一人の兄貴を失った、星川真凛。

 

そして、微かに感じ取ったことがある。

 

(俺の兄貴が親父を殺した理由…)

 

兄の墓参りを終えた、真凛。

孤児院に帰って、昼ご飯を食べていた。

 

「味がしない…!?」

 

「真凛、どうしたの?」

 

「ごめん。舞。迷惑かけてばっかりで」

 

「真凛が、ここまで元気が無いの、初めてだよ…」

 

「舞。4月から、高校生だろ?」

 

「そうだけど?」

 

「楽しまないと、ダメだよ」

 

「う、うん…」

 

真凛は兄貴である、アクアマリンが死んだ海辺の海浜公園へと向かった。

そこには、花束が多くあった。

 

(兄貴。教えてくれ。どうして、兄貴は親父を殺したんだ?

あの、カミキヒカルって奴。いかにも人を殺したことがあるような、

目つきだった。オーラがあった。

まさか…)

 

星川真凛の後ろに、ある女性が声を掛けた。

 

「キミが星川真凛くんだね」

 

「誰だ?」

 

「私は黄泉。貴方に言う事があってここに来たの」

 

「何が言いたい?」

 

「星野アクアは、これ以上、被害者を出さない為にも、

それに、カミキヒカルをこの世から消し去るために、

自ら犠牲になって、親子共々、帰らぬ人になったんだ」

 

「だから、兄貴は…!」

 

黄泉という少女、よく見ると、足元が薄く見える。

幽霊を見ているのか?と感じるくらいに。

 

「あなたがどうして生まれたか?知ってる?」

 

「は?」

 

「ルビーを守るための、存在として生まれてきたんだよ。

あなたのお兄さんは、ルビーの未来を守るために、

あなたにルビーの未来を支えてもらうために、

死を選んだんだよ?」

 

「…!」

 

「数多くの夢を見てきたのは、神様からのメッセージかもしれないね」

 

「あんなに幻覚ばかり見て、あんなに妙な夢ばかりにうなされて、

それに、次は幽霊が見えるようになったと?」

 

「そうね。私も実際、殺人被害者だしね。

幽霊が見えるってことは、ある一種の才能かもね?」

 

「いらねぇな。そんな才能」

 

「あなたは生きるべきよ。

ルビーを守れるのは、あなたの役目だから」

 

「あぁ…」

 

真凛は感じた。人の命は重いようで本当に軽い。

カミキヒカルは、死ぬべき存在だったのかもしれないと、

微かに感じてしまう。

 

だが、もし止めてしまえば、今度はルビーだけじゃない、

他の人が亡くなって、人生が終わってしまう。

 

ふと思った。完全犯罪が成立するなら、

手伝ってもよかったかもしれないと。

 

だが、成功したとしても、いずれはバレてしまい、

歪んだ未来が待ち受けているのは、目に見えていた。

 

「俺は兄貴を助けられなかったのか?」

 

「あなたはルビーを守りなさい。

それが、あなたの使命で役目。生きなさい」

 

と、黄泉と名乗る少女は消えてしまった。

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