星川真凛の兄である、星野アクアの突然死から、一年が経過していた。
真凛はアクアの墓をボンヤリと見つめた後、
手を合わせて、祈っていた。
(兄貴が天国に逝ってしまって、一年。
俺は兄貴の遺言通りに、ルビーを守っているぜ?
こっちの世界でも、役者はやっているか?
俺がそっちの世界に逝くのは、もう少し先かもしれないし、
ひょっとしたら、そう遠くない未来かもしれない。
人は、いつ死ぬかもわからないからな)
真凛は、高校二年生になっており、
ルビー専属の裏方になって、彼女を支えていた。
高校生活も、一時、どうなるかとは思っていたが、
どうにか、仲間たちとも巡り合えて、充実とした高校生活を送れていた。
「おーい!真凛ー!」
「姉貴」
星野ルビーは、今でも現役のアイドル。
母に似ていると、よく言われているが、
俺が聞いても、ピンとこなかった。
「ねーねーせっかくのオフだから、
どっかに行こうよー!」
「兄貴にも、言っているじゃん」
「もーう!本当は、お兄ちゃんと一緒に行きたかったけど…
天国にいるからなー」
「そうだな」
ルビーが、少し穏やかな顔に変化した。
「お兄ちゃんは、きっと遠い所にいて、
それも雲の上。私たちの事、応援してくれるかな?」
「間違いなく、姉貴の事は応援しているだろ?
俺は…どうだが」
「きっと、見守りつつ、お兄ちゃんは、
私と真凛の事、フレーフレー!って、言ってくれている!」
「そうだな…」
その後、一日が終わり、真凛の夢の中に、アクアが現れた。
(兄貴…)
(真凛。ルビーは!)
(あー大丈夫だよ。アイドル活動も、
トップ街道まっしぐらだし、
それに、よく誰かが、お袋に似てきたって、よく言うしなー)
(へーお母さんに似ているんだー)
(この人は?)
(アイだ。俺達の母親だ)
(お袋…!)
(真凛くん!会いたかったよー!
ほら、お母さんが、ハグしてあげる!)
(はぁ…)
真凛はアイに抱き着かれた。
何だろう…この感覚…温もりって言うのかな?
間違いない。これは紛れもなく、噓でも無い、本物の優しさだ。
(本当は真凛と一緒に過ごしたかったけど、
でも、一緒に居てくれなくて、ごめんね!)
(ううん。大丈夫だよ。俺も兄貴や姉貴に会えて、
それに、幸せに生きられて、俺は幸せだ)
(真凛らしいな)
(そ、そうか…?)
(あぁ。とっても。
俺とお母さんは天国で、ルビーと真凛を見守っているぜ…?
それに、夢の中だったら、常にやってくるぜ?)
(あぁ。ルビーの事は任せておきな)
夢から醒めた。
だが、アクアとアイは、間違いなく、
真凛の事も愛しているだろう。
これだけは嘘でもない、本当の愛だ。
伝説のアイドルの子 完結