どんなに優秀でも男は女の尻に敷かれる運命なんだと思う。   作:ゆず1252

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マジで見切り発車なので、反響あれば続けます!


第1話

とある河川敷で、青年がポツリと立っていた。

 

「スーッ…ハァー。」

 

左手に煙草を持ちながら、無気力に口から煙を吐く。顔立ちはそれなりで背丈もある。スタイルも悪くなく引き締まった体をしているため、夕日があればそれなりに絵になるだろうが、生憎曇天の空である。

 

「はぁ…。また怒られっかな、こりゃ。」

 

くすんだ灰色の髪の毛をガシガシと掻きながらボヤく。

 

「ゲホッ…くそ…化物かよ。」

 

「しぶといな。めんどくさいから寝ててくれよ。」

 

青年の背後にはボロボロになった複数の不良達が横たわっていた。

 

「くそがァァ!!」

 

大声を張り上げ気合を入れるが、足が震えて言うことを聞かないため、立ち上がれない。

 

「煩いから。ご近所…って言っても周りには誰もいないか。」

 

青年はうーんと考え、結論を出す。

 

「また絡まれても面倒臭いし…」

 

歩を進め、横たわる不良に近づく。

 

「二度と絡もうなんて考えないように、」

 

不良の目の前まで来て、しゃがみ顔を近づける。

 

「徹底的に分からせるか。」

 

「ヒッ…」

 

その不良の目には、青年が殺人鬼に見えるくらいに恐ろしく感じたであろう。

 

「や、やめ…」

 

ガシッと不良の髪の毛を掴みあげる。

 

「悪いけど、先に手を出したのはそっちだから。俺に何されても文句はないよね?」

 

空いた右手で拳を作り、肘を引く。

 

「安心してよ。死にはしないから、さ!!」

 

不良の顔に青年の右拳が当たる寸前で止まる。

 

「そこまでだ。」

 

何者かによって右腕を抑えられていた。

 

「チッ!」

 

青年は舌打ちをして体勢を整える。

 

「本当にめんどくさい人種だよアンタら。どんどん湧いて出てくるゴキブリみたいだ。」

 

「その表現は的を得ているとは思うが、俺はそいつらの仲間じゃない。」

 

「はぁ?じゃあ誰なんだ…よ。」

 

その男の後ろにいる人をみて青年は固まる。

 

「こんにちは薫くん。」

 

「あ…え?」

 

先程の獰猛さは何処に行ってしまったのか…。親に悪い事したのを見つかってしまった子供みたく動揺している。

 

「何をしてるの?」

 

「えーっと。か、会議?」

 

「こんな物騒な会議があってたまるか。」

 

「本当にちょっと黙ってくださいお願いします!」

 

「ウチの隊長にちょっと失礼じゃないかな?」

 

「え!?隊長!?てことはボーダーの人ですか!それは大変失礼いたしました!お見苦しい所を!それじゃお仕事頑張ってください失礼します!!」

 

早口に伝えその場を去ろうとするが隊長とやらの男に肩を掴まれる。

 

「流石に無理があるだろう。」

 

「ですよねぇ…。」

 

観念したのか抵抗せず振り返る。

 

「三上…本当にコイツが?」

 

「本当にお恥ずかしい限りなんですが…はい。」

 

普段動揺しない風間蒼也の動揺したレアシーンを思いもしない所で見れたなぁと思うオペレーターの三上歌歩。

 

「はぁ…話は後できく。改めて初めましてだな。俺はボーダーの風間隊隊長の風間蒼也だ。三上にはいつも世話になっている。」

 

「あ、ご丁寧どうも。ただの高校3年生杠薫です。」

 

「薫くん。話は後でゆーっくり聞くから着いてきてくれる?」

 

「え、別にいいけど…何で?」

 

不良達をボコボコにして、煙草を吸ってる時点で悪い所のオンパレードだが、ボーダーに世話になるレベルで悪い事をした思い出は無い。

 

「詳しい話はこれから会うやつに聞け。それと余り三上に迷惑はかけるなよ。」

 

「あ、はい。すいません。」

 

怖い人かと思ったけど、意外と優しい人なのか〜と呑気に考えながら2人の後ろに着いていく。

 

「それで?行くついでに聞くけど何でこんなことになってるの?もうケンカはしないって言ってたよね。あと煙草も。」

 

「歌歩ちゃんに手を出す〜って言ってたからつい…。」

 

果たし状と書かれた紙を見せる。

 

「今時果たし状って…。そっか、それじゃあこれに関してはありがとだね。」

 

「気にしないでいいよ。」

 

「それで?タバコに関しては?」

 

「ついすってしまいました。」

 

パシンと頭を叩かれる。

 

「痛、くない…。」

 

「全く…あんまり酷いともう遊んであげないからね?」

 

「いや本当にごめんなさい。」

 

「仲良くしてるとこ悪いが着いたぞ。」

 

「あ、はい。」

 

片方は素直に、片方は顔を赤くしながら答える。

 

「どーも!初めまして実力派エリートの迅悠一でーす!」

 

「えっと…杠です。迅さん?が俺を呼んだって事ですか?」

 

「そうそう。三上ちゃんと風間さん忙しいのに無理言っちゃってごめんね!それじゃコイツ借りてくから後はよろしく!」

 

そう肩を組まれながら施設の中に連れ込まれていく。

 

 

「薫くんを止めてくれてありがとうございました。」

 

「気にするな。ただの知性の無い不良かと思ったが…思った以上に礼儀正しいんだな。」

 

マイナスからスタートしているため、余計にそう感じる所もあるのだろうが、事実ボーダーと知ってからの言動は礼儀正しいの一言に尽きた。

 

「風間さんの言う通り、普段は凄い良い子なんですけど…アツくなるとああなっちゃうんです。」

 

「そうか。ならお前がしっかり手網を握っておけ。迅が呼び出したということは、予知が関係しているのだろう。ここで問題行動を起こされても困る。」

 

「はい!了解です。」

 

 

 

 

 

 

「ようこそ玉狛支部へ!」

 

「えーっとお邪魔します?」

 

「今は皆出払ってるから畏まらなくて平気だよ。」

 

「そうですか。それで?結局どういうご要件なんですか?」

 

さっさと本題に入れと促す。

 

「アハハ…目が怖いなぁ。まあ単刀直入に言うけど、ボーダーに入る気はない?」

 

「は?」

 

唐突に言われた提案に素っ頓狂な声を出す。

 

「いやいや…急に言われてもっていうか何でっていうか…。」

 

「ごめんごめん。色々すっ飛ばして結論から言ったから

驚くのも無理ないか。」

 

「ホントですよ。で、理由は何かあるんですか?」

 

「ボーダーにとっての利益になるからって俺のサイドエフェクトがそう言ってる。」

 

「サイドエフェクト…。予知とかそんなんですか。」

 

「当ったり〜いい頭持ってるね。」

 

「具体的には…「おっと!」」

 

深掘りして情報を聞き出そうとしたが、止められる。

 

「これ以上は一般市民の君には話せないな。ボーダーに入るってなったら話すさ。」

 

「そう言われても意味わかんないですよ。急に呼び出されたと思ったらボーダーに入れ、利益あるから〜とか言われても。新手の詐欺かなんかだと思いますよ。」

 

「確かにそうだな。」

 

笑いながら言うが目は真剣だ。

 

「でも、間違いなく。君自身のメリットにもなる。」

 

「俺自身の?」

 

「そうだ。」

 

頭を捻るが、何もイメージが湧いてこない。

 

「俺は別に近界民に恨みなんてないですよ。むしろ親を殺してくれたことに感謝すらしてる。」

 

「知ってる。三上ちゃんから聞いた。サイドエフェクトが関係してるんだろ?」

 

「えぇまぁ。」

 

「ただ今回の勧誘に杠のサイドエフェクトは関係ない。もっと根本的なものが関係してるんだ。それ以上は今は言えないけど。」

 

サイドエフェクトとは関係ない。ボーダーと俺で関係する事と言えば…。

 

「歌歩ちゃん…とか?」

 

「どうだろうね。」

 

その瞬間殺気立つ杠に迅は冷や汗をかく。

 

「迅さん。あの子はオペレーターのはずだろ?危険があるってのはどういう事だ?」

 

「落ち着けよ。予知って言っても確定事項じゃない。何個もある事象の中の1つってだけだ。それを潰すために君が必要なんだよ。」

 

「ボーダーの身内が危険だからって一般市民に声かけるとか…終わってんじゃねぇの?」

 

そろそろ我慢の限界と言わんばかりに怒気を露わにする。

 

「そう言われると耳が痛い。本来ならそうしたいが、出来ない理由がある。だが杠が入るだけでその危険が無くなるんだ。それにそこまで頭が回って動ける人材で、トリオン量もある…結構有望株なんだぜ?」

 

「歌歩ちゃん情報か…。」

 

それでも悩む。半端な気持ちでボーダーに入って後悔しないだろうかと。

 

「トリオン体で煙草吸っても、生身には害はないし、三上ちゃんとも会える。」

 

「えっ?」

 

「悩むお前に耳寄りな情報と思ってな。」

 

「い、いやでも忙しいだろうし。」

 

「馬鹿なこと言うんじゃない。それで仕事終わるまで待って一緒に帰るなんて青春じゃないの。」

 

「せ、青春?」

 

言った本人ですら似合わねぇ〜と、思うようなセリフだが杠には刺さっていた。

 

「ご飯とか行るしな。なんならお昼ですら…「入ります。入らせてください!」お、おう。」

 

「じゃ、じゃあ手続きとかこっちでやるからよろしくな、薫。」

 

握手を求めるように手を差し伸べる。

 

「よろしくお願いします。」

 

ここから杠薫の青春?が始まる…のかも?

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