どんなに優秀でも男は女の尻に敷かれる運命なんだと思う。   作:ゆず1252

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第15話

「クソ…やられた。」

 

シンプルな弧月の投擲によりベイルアウトしてしまった菊地原。自身の不甲斐なさを痛感する。あの場面、一挙手一投足も逃すことなく警戒するのが当たり前だというのに、それを怠ってしまった。

 

「でも今は…!」

 

そう今は反省をする時ではない。風間隊のオペレーターは機能していない現状、自分がフォローするしかないのだ。

 

「ごめんなさい…だから、見捨てないで…。」

 

「っ!?」

 

普段年齢よりも大人びている三上が、大粒の涙を流しながら聞いたことも無い声で許しを乞うている。

 

「クソっ!風間さん聞こえますか?菊地原です。」

 

三上には申し訳ないと思いながら、通信機を使い風間に通信を取る。

 

『菊地原?三上は大丈夫なのか?』

 

「大丈夫…とは言えないですね。」

 

『そうか…。お前は三上のフォローを頼む。こうなったのは俺が原因だ。ちゃんと責任は取る。』

 

「出来るだけ早くお願いしますよ。僕こういうの柄じゃないんで…。」

 

そう伝え通信を切る菊地原。作戦ブース内にある毛布を頭から被せて顔が見えないようにする。

 

「…とりあえず今は休んでてください。」

 

何を言えばいいか分からず、頑張って捻り出した普段であれば絶対に言うことのない気遣いの言葉。

 

「菊地原くん…どうしよう。薫くんに嫌われちゃった。薫くんが離れていっちゃう。」

 

歌歩の心の中はソレで一杯だった。

 

「それは無いでしょ。普段から犬みたいにベタベタしてるんだから。この一件でどうこうなるだなんてないと思いますよ。」

 

コレは菊地原の本心。遠征前からずっと一緒に居たのだ。朝来る時も、昼食、帰る時も…。本当に仲が良いと誰もが思っている。

 

「違うの…。薫くんは頭が良いから、きっと今回の事も分かってた。さっき言ってた話したい事って言うのもこの事だったんだ。」

 

風間が作戦を伝える前…話したいことがある、と歌歩に伝えていた。

 

「でも、それはタイミングが悪くて話せなかったじゃないですか。」

 

そう、あの時風間が作戦を伝える為に薫を退出させた。それもそうだ。玉狛支部を攻めるというのに、そこに所属している隊員を居させる訳にはいかないだろう。

 

「確かにそうだけど…あの時出水くんの話が出た時気づくべきだった。薫くんが作戦の事知ってるってことに。」

 

「いや…普通気づかないですよ。仲良かったんでしょ?あの2人って。」

 

「そうだね。だから私だけしか気づけない言い方をしてた。ありえないもん…私に会いに来て、その後出水くんに会いに行くなんて。」

 

長年付き合ってる同士だからこそ分かるヒント。あの時薫は歌歩と帰ったりご飯を食べたりする事を考えていた。だが、用事が入った以上迷惑をかけないように直ぐにその場を去るはず。わざわざ出水の元へ行くだなんて言ったりはしない。

 

「自分は気づいてるよ…だから私に対して関わらないでって。その信頼に、私は応えられなかった。寧ろこの関係を利用しようともしちゃった…ホント最低だよ。」

 

今の歌歩に何を言っても気休めにすらならない。言うべき人間は他にいるのだから…。

 

「違いますよ。それは風間さんと僕らでそうしようとしただけで、三上さんは関係ないです。だから終わったら一旦話せばいいじゃないですか?」

 

「でも…」

 

「風間さんにも付き合ってもらいましょ。元はと言えばあの人が言い出したことですし。」

 

菊地原はきっと大丈夫だと信じている。こんな事で薫と歌歩の関係が終わるわけが無いと…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「歌川動けるか?」

 

「無理ですね…。トリオンも結構削られました。ベイルアウトするのも時間の問題です。」

 

両手足を撃ち抜かれダルマ状態になった歌川。

 

「おいおい…いきなり2人持ってかれたぞ?」

 

「おいクソサングラス。俺はどれを殺れば良いんだ?」

 

「お前には三輪隊を任せたい。」

 

迅の指示に、三輪隊?と、どこの隊だか分かっていない様子を見せる。

 

「この間メガネくんに会う前に顔合わせしただろ。忘れたのか?」

 

「あぁ…居たなそんなヤツら。」

 

その言葉を聞いて当人の三輪、米屋はムッとした表情を出す。

 

「薫…悪いな。こんな事に「黙れ」…。」

 

「終わったら原型が無くなるくらい死ぬ程殴ってやるから覚悟しとけ。今はさっさと終わらせないといけない理由が出来た。」

 

その言葉を聞いて迅は安心した。歌歩の事をまだ気にしているという事が分かったから。

 

「俺もほとぼりが冷めたら謝りに行くよ。」

 

「当たり前だ、そうじゃなきゃ殺す。次同じ様な事をしても殺す。お前が玉狛支部の人間だから譲歩してやる。次は無ぇぞ。」

 

「あぁ…約束する。」

 

「さて、時間が勿体無い。さっさと終わらせるぞ。」

 

それを皮切りに嵐山隊、迅、薫は構え直す。

 

「陽介、あの時の借りを返すぞ。」

 

「当たり前よ。サクッと終わらせて援護に行こうぜ。」

 

最初に動いたのは薫だった。

 

「バイパー。」

 

初手はキューブを展開。そのまま4分割をして米屋と三輪に放つ。

 

「シールド」

 

三輪は無難にシールドを、米屋は体捌きで避けながら接近する。

 

「はっ、そんな甘い弾幕で当てられると思うなよ!」

 

「なっ!?陽介!後ろだ!!」

 

突如三輪から声が届き、咄嗟に背面にシールドを展開する。

 

「チッ!リアルタイムで弾道引けんのかよ!」

 

米屋が避けたバイパーはそのまま反転し、背後を撃ち抜く形で迫っていた。三輪の警告で何とかシールドを展開する事が間に合うが、その隙を逃さず薫は弧月を構え接近する。

 

「ぐっ!?」

 

「踏ん張りが甘ぇよ。」

 

「って、思うじゃん?」

 

米屋と鍔迫り合いになるが体勢が悪く力で押し負ける。が、流石はA級アタッカー。薫が前に押す力を受け流し逆に薫の体勢を崩す。その隙を三輪が逃す筈もなく仕留めようと動こうとする。

 

「な!?」

 

が突如左右からの射撃。急所は咄嗟にシールドでカバーしたが、狙いは手足。防ぐことは出来ず被弾する。

 

「置き弾だと!?」

 

「余所見か?」

 

そこで米屋を仕留めることはせず三輪に接近。弧月で斬り掛かるがバックステップで距離を取られる。離れ際に射撃を行うが難なく避けられてしまう。

 

「陽介、まだやれそうか?」

 

「あぁ、何とかな。てか、見るからにアタッカーって面してんのに、置き弾にリアルタイムで引けるバイパーって…チートかよコイツ。」

 

「は?何言ってんだ…?さっきがリアルタイムな訳ねぇだろ。予めそう設定してただけだ。」

 

その言葉を聞いて驚愕する。米屋がそう動くと読み切った上での弾道設定。

 

「もし俺の想定と違う動きだったとしたらリアルタイムで引くさ。でも良かった…お前が馬鹿で。お陰で読みやすかったぜ?」

 

相手はB級上がり立ての新米。そう思って慢心した結果がコレだ。

 

「お前じゃ今の俺には勝てねぇよ。」

 

普段であればこんな未来視のような読みは出来ない。現在薫はサイドエフェクトをフル活用している。トリオン体であれば問題なく使えはするが、その状態に慣れてしまうと日常生活にまでサイドエフェクトを使う癖が付いてしまう。だから歌歩使う事を止められていた…が、今現在それを止める者は誰もいない。

 

「ほら、行くぞ。」

 

そのまま米屋に接近。三輪は援護しようとするが、薫はバイパーで牽制。弾道設定の多彩さから下手な防御は出来ずフルガードで対処する。が、結果米屋へのフォローが遅れてしまう。

 

「はっ!サシでこの距離なら負けねーぞ!」

 

脚を撃ち抜かれた今、機動力が半減している。逆に接近してくれるのは米屋からしたらありがたいのだ。そのまま再度首を狙い槍を突く。

 

「な!?」

 

避ける事はせず、槍の柄の部分を蹴りつける。

 

「シッ!!」

 

再度体勢が崩れた所へ連撃。

 

「おいおい!?ホントにB級かお前!!」

 

何とか猛攻を凌ぐが、このままではジリ貧。だが三輪からの援護が入ろうとする。

 

「バイパー!」

 

しかし米屋へ攻撃を行いながら、並行して三輪を足止めする。薫は自身のサイドエフェクトを最大限駆使して、三輪の位置取り、次の動作までの猶予等を予測していた。米屋に対しては防ぎ方の癖などを学習しながら、フェイントを織り交ぜジワジワと削る。

 

その攻防を何度か繰り返した後、薫はワザと一呼吸置いて攻撃を仕掛ける。

 

「クソッタレ!!」

 

B級相手にギリギリの状態。自身の領域である接近戦ですら、三輪を捌きながら追い詰めてくる事実が米屋を焦らせた。

 

「待て!陽介!!」

 

誘いなのは明白。だが米屋は止まれなかった。自身の得意とする渾身の突きで薫を討ち取ろうとする。

 

「グラスホッパー。」

 

槍の進行方向にグラスホッパーを展開。それに当たってしまった槍は進行方向とは逆の力が作用する。結果米屋の体勢が崩れるのは当然。

 

「死ね。」

 

弧月を逆袈裟斬りの形で振り抜く。辛うじてシールドを展開するが、意味がある訳もなく米屋はベイルアウトしてしまった。

 

「シールド」

 

突然薫は頭部付近に集中シールドを展開する。そこに弾がヒット…そうスナイパーだ。

 

「狙うなら…ここだよなぁ?スナイパーの位置も読めた。どうする隊長さん?」

 

薫のサイドエフェクトによりスナイパーの狙撃すら対応してしまう。

 

「何故だ…何故お前らはネイバーの味方をする!!いつか必ず…必ず後悔するぞ…!!」

 

追い詰められた三輪は捨て台詞のように心の本音を吐き出す。

 

「お前は…ネイバーに恨みでもあんのかよ。」

 

「俺の家族を殺された!!だから俺はネイバーを皆殺しにすると誓ったんだ!!」

 

「そうか…。家族を殺されたならそう思うのも仕方ねぇだろうな。」

 

驚く事に薫の口から出た言葉は肯定だった。

 

「俺も歌歩ちゃんがネイバーに殺されたら同じ事を思うよ。」

 

「なら…何故だ!!」

 

「俺には明確な優先順位がある。最近までは歌歩ちゃんが一番だった。歌歩ちゃんの為なら何だってする。この手がいくら汚れようと、この体がいくら傷つこうと、あの子を守れるならそれで良い。でも、もう1つ最近新しい大事な人達が出来たんだよ。」

 

それはを聞いて三輪はハッとする。薫が言っているのは玉狛支部の人間だと気づいたのだ。

 

「お前らが狙う遊真、真面目なメガネくん、まだ会ったことない雨取千佳ちゃん。アイツらも玉狛支部に入った。なぁ…分かるか?」

 

遊真の黒トリガーを奪うということは、命を奪うということと等しい。しっかりとした説明は受けていないが、薫は直感でそう理解していた。かつ過激な事もする城戸派の事だ。殺してでも奪うつもりだろう。

 

「でも他の奴らは命令に従って動いているだけだろうが、お前は違う。自分の気持ち優先で動いてんだろ?なら、この作戦が失敗しようがしまいが、遊真を殺しにくる可能性があるって事だ…俺の大事な友達を殺しにな。」

 

「友達?ふざけるな!!ネイバーとそんな関係になれる訳が無い!!どうせ良いように利用されるのが目に見えている!」

 

「お前ならそう言うと思ったよ。良かった…簡単に終わりそうで。」

 

そう言って弧月を構える。

 

「文字通り殺すよ。お前は止める気はないんだろ?なら殺す。ベイルアウトさせてそのまま本部に行って生身のお前を叩き切る。それで終いだ。」

 

三輪は理解した。コイツは本気だと。

 

「どっちにしろ俺もお前もどっちかを殺すまで終わらない。復讐ってそういうもんだろ?だから…覚悟を決めとけ。」

 

それは死ぬ覚悟なのか…それとも薫を殺す覚悟なのか。それを決めきる前に薫は歩み出す。それに対して三輪は後退。

 

「おい、ビビってんのか?」

 

「お前がやろうとしてるのは人殺しなんだぞ!?」

 

「それをお前が言うか…。」

 

その言葉を聞いて呆れたように溜息をつく薫。

 

「お前が人型のネイバーを殺すのと、俺がお前を殺すのにどんな違いがある?同じ命を奪う行為に差なんてねぇだろ。」

 

「ネイバーは敵だ!それを処理する行為は間違っていない!」

 

「そうだな…ネイバーは敵だ。敵を殺す事は間違ってない。じゃあ俺の仲間を殺そうとしてるお前は…敵だよな?」

 

その言葉を聞いて三輪は理解した。薫は本気だという事に。薫にとって自分は敵。だが、同じ世界に住み同じボーダーに所属しているから情けをかけられている。自分が引くならそれで終わりだと。その状況に三輪のプライドは傷つけられた。

 

「舐めるな裏切り者…!俺は俺の意思を曲げたりはしない!!」

 

だから覚悟を決めた。

 

「そうか。じゃあ…死ね。」

 

『ストップだ薫、もう終わった。そこまでする必要はない。』

 

戦闘が再開する寸前で迅から連絡が入る。三輪にも同じ連絡が入っているのか苦虫を噛み潰したような顔をしている。

 

「ちっ…了解。これで遊真の安全は保証されるのか?」

 

『あぁ、まあここからが大詰めだけど、それは俺が上手くやるよ。』

 

「そうか。終わったらちゃんとトリガーオフにしとけよ。じゃないと殴っても意味ねぇからな。」

 

『ははは…お手柔らかにお願いします…。とりあえずお前にもまだやる事があるだろ?行ってこいよ。』

 

「誰のせいでこんな事になってると思ってんだクソ野郎。」

 

『分かってる。全部終わったらちゃんと謝りに行くよ。』

 

「当たり前だボケ。」

 

そう言って三輪を放置し、その場を立ち去る薫。向かうは当然本部、風間隊の作戦ブースである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(そうは言ったものの、どう何を話せば良いのか…。多分付き合ってから初めて本気で怒った気がする。歌歩ちゃんが悪いわけじゃないのに大人気なかったかな…。)

 

薫は風間隊のブース前まで来たがなんて言って入ればいいのか?入った時に何を話せば良いのか悩んでいた。

 

「ねぇ、そこにずっと居られてもウザいから入りなよ。」

 

菊地原は薫の存在に気づいており、ブース内に入って来いと催促する。

 

「失礼します。」

 

「来たか…。」

 

入室すると風間隊の面々と歌歩が出迎える。雰囲気は決して明るいものではなく、暗く重い。

 

「先程ぶりですね。」

 

「そうだな。コッチは迅に良いようにやられたが、そちらはお前が良いように動き回っていた様だな。」

 

「えぇ、サイドエフェクトをフル活用しましたからね。」

 

その言葉を聞いて歌歩が反応する。

 

「その口振りだと普段は全力じゃないように聞こえるぞ。」

 

「生身の体でサイドエフェクトを全力使用すると、脳みそがショートするんですよ。だから普通は半分くらいの出力で使ってます。」

 

「トリオン体だったら問題なさそうだけど?」

 

菊地原が疑問を投げかける。

 

「癖ついちゃうんだよ。ただでさえオンオフが自由に効かないから、変な癖つくと病院送りになる。だから歌歩ちゃんにお願いされて無闇矢鱈に使わないようにしてる。」

 

今回の様に感情が爆発した際などは制御が難しくなる。普段であれば歌歩が待ったをかけるのだが、それは出来なかった。

 

「なるほどな。まあお前はこんな話をしに来たのではだろう。俺達はブースを空ける。暫く2人で話すといい。」

 

「…ありがとうございます。」

 

「それと…済まなかったな。俺の行動は軽率だった。許してくれとは言わないが、謝罪は受け取って欲しい。」

 

「良いですよ、許します。そもそも今回の大元の作戦は風間さんが立案したわけじゃないでしょ。ならそれを責めるのは筋違いですから。」

 

思ってた以上にすんなりと謝罪を受け入れた薫。それを見て風間隊全員が安心した様子を見せる。

 

「歌歩ちゃんもごめんね。アツくなって強く当たっちゃった。」

 

「…ううん。私の方こそごめんなさい。薫くん色んなヒント出しててくれたのに、気づけなかったから…。」

 

少し落ち着きはしたが、目を腫らし、鼻声で話す姿を見て罪悪感を抱く薫。

 

「そっか…。じゃあお互い様って事で、仲直りしてくれる?」

 

「うん、する。」

 

そのやり取りを見て心の底から安堵する風間隊。

 

「風間さん。」

 

「なんだ?」

 

「貴方には恩があります。さっき言ったように貴方を攻める気は無い。でも次同じようなヤリ方するなら覚悟してくださいね。」

 

「上からの命令次第だが…今回のような汚い真似はしないことは約束しよう。」

 

「ありがとうございます。じゃあ僕はまだ用事があるんで…歌歩ちゃんの事頼んでも良いですか?」

 

「っ!!」

 

その言葉を聞いて歌歩は青ざめる。

 

「ああ!!違う違う!!別に一緒に帰りたくないとかじゃなくて…寧ろ帰りたいんだけどさ、玉狛に用事があるのと、あのクソ野郎を半殺しにする約束があるから。」

 

その場にいる全員が思った「あぁ、コイツまだ怒ってるな」と。

 

「ホントにごめんね?だから泣かないで、ね?」

 

「大丈夫だよ。一瞬ドキッとしたけど…そういう事なら平気。」

 

そう言って渋々、本当に渋々風間隊のブースを後にする薫。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、迅さんおかえり〜。」

 

「お疲れ様です。」

 

「ふぃ〜す」

 

最後の大仕事を終えて玉狛支部へ帰った迅。

 

「今日は随分と遅いんだね。」

 

「あっちこっちで大人気なんだよ、実力派エリートは。あ、そういえばもうすぐ薫が来るぞ。」

 

「お、カオルの奴やっと帰ってくるのか。アイツと決着つけなきゃいけないからな。」

 

「杠先輩ってやっぱり強いんですか?」

 

三雲が前々から気なっていたことを質問する。

 

「あぁ、強いよ。サイドエフェクトを全力で使ったらタイマンで勝てる奴はそうはいない。そうじゃなくても小南と10本で勝ち越す時も有るくらいだ。」

 

「そんな人が俺達のチームに…。」

 

「心強いだろ?でも、あんまり怒らせるなよ?アイツ怒るとマジで怖いから!」

 

笑いながらあっけらかんと言う迅。その後ろに真顔で立っている薫。

 

「おいクソグラサン。」

 

「…え?」

 

「謝罪行ってねぇだろ。」

 

そう言いながら頭を鷲掴みにする薫。

 

「い、いや、もう遅かったし、明日改めてって思っ、いででででで!!!」

 

「言い訳はどうでもいいから早く謝ってこいクソ野郎!!」

 

空いた片方の手で思いっきり顔面をぶん殴る薫。

それをたまたま目撃してしまった雨取は、とんでもない人がチームにいると察したそう。

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