どんなに優秀でも男は女の尻に敷かれる運命なんだと思う。   作:ゆず1252

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第16話

「と、とりあえず改めて自己紹介からしましょうか?」

 

もはや顔がコメディ漫画のように腫れ上がった迅を爆笑しながら写真を撮る薫。それを横目に話を進めようとする三雲。

 

「え、あぁそうだな。悪い悪いこっちに夢中になってた。」

 

未だに笑いが治まらないのかニヤニヤしながら返答する薫。

 

「何だかんだ無理矢理チームに誘っちゃった感じだったけど、カオルは平気なのか?」

 

「まぁ元々玉狛の人間だったからな〜。多分そこのクソもソレ狙ってたんだろうよ。」

 

その話を聞いて三雲が確認のため迅に顔を向けるが、腫れ上がった顔のせいで上手く喋れず親指を立てるだけで返答する。

 

「返事しよろやクソが。」

 

それを見て腫れ上がった顔に追い討ちのビンタをかます薫。それを喰らった迅は声にならない声で痛みにもがく。

 

「ちょ、それ以上は見てられないというか…」

 

あまりにも目も当てられない状況に三雲が言う。

 

「馬鹿野郎。ここに塩とレモン汁を塗りたくるまでがワンセットだろ。」

 

「鬼ですか…。」

 

自分のチームメイトがこんな人で平気なのかと不安になる三雲。

 

「ただいま〜。ってアンタも来てたの?」

 

そう問答を繰り返していると小南が帰ってくる。

 

「よっす。玉狛第二に入る事になったから暫く来ると思うよ。」

 

「へ〜そうなの。って、迅!?どうしちゃったのその顔!?」

 

目も当てられない腫れ上がった顔を見て小南が叫ぶ。

 

「それがな…なんか虫に刺されまくったらしいんだ。それで腫れ上がってるんだと。」

 

それに対して堂々と嘘をつく薫。

 

「えぇ〜、大丈夫なのこれ!?」

 

「なんかビンタしたりして刺激を与えると治りが早くなるらしい。でも男の俺達がやると威力が強すぎるから師匠に頼もうかと思って。」

 

勿論嘘である。しかもこういう時に限って師匠呼びする辺り…めちゃくちゃ性格が悪い。

 

「そう言うことなら任せて!!」

 

それにまんまと騙された小南は迅に往復ビンタをする。

 

「えっと…止めなくて良いんですか?」

 

「良いよ。あのクソにはこれくらいが丁度いい。」

 

パシンパシンと小気味よい音が鳴る中そう答える。その後来た木崎と鳥丸にしっかり止められた。

 

 

 

 

「んじゃ、改めて杠薫です。よろしく。」

 

ようやく話せる状況になったため、自己紹介を始める薫。

 

「三雲修です。」

 

「雨取千佳です。」

 

「空閑遊真だよ。よろしくね。」

 

各々自己紹介を終え今後の話しに移る。

 

「確かA級になって遠征部隊に参加するのが目標だったっけ?」

 

その言葉を聞いて力強く3人。

 

「ふむ。じゃあしっかりランク戦勝たないとな〜。俺と遊真で点とって、メガネくんと千佳ちゃんが援護してくれるって布陣?」

 

「はい。そんな感じで動ければなって思ってます。」

 

「ちなみに遊真は結構やれるって言うのは何となく分かるんだけど、2人はどうなの?」

 

「千佳はトリオン量がとても高いです。恐らくボーダー随一かと。」

 

その質問に対して三雲が答える。

 

「んで、オサムはどっちかって言うと参謀寄りだな。実力は大したことないヨ。」

 

「いやいやC級のトリガーでネイバーを倒せるなら、戦闘面でもイけるだろ。」

 

「あ、それ空閑がやりました。」

 

「え、そうなの。じゃあ隊長はメガネくんで決まりだな。」

 

その言葉を聞いて三雲が驚く。

 

「え、良いんですか僕で。明らかに実力が足りてないというか…僕がやるなら杠先輩がやった方が良いんじゃないかなって思うですが?」

 

「別に一番強い奴が隊長をやる訳じゃないだろ。確かに俺がやっても良いぜ?でもそしたらお前は何するんだよ。」

 

「それは、援護とか色々。」

 

「具体的には?」

 

「え?」

 

「具体的にはどうやって俺達の援護をするんだ?」

 

「それは…」

 

「それが一つも出てこない時点でダメだな。それにA級に上がりたいって言うのはお前らが言い始めたことだ。責任持ってお前が連れてけ。」

 

「…はい!」

 

その言葉が激励だということに気づいた三雲は力強く返事をする。

 

「そしたら千佳ちゃんは…まさかの狙撃手?」

 

「は、はい!」

 

「ふむ…トリオン量が多いなら射手とかそっち寄りの方がいいんじゃない?」

 

シンプルにトリオン量が勝負を左右する役割に徹した方が勝率が高いという考えで提案する。

 

「千佳はあんまり機敏な動きは得意じゃないので…。性格的な面で狙撃手に適性有りと判断してます。」

 

それに対して理論的に反応する三雲。

 

「メガネくん、その前提が間違ってるよ。」

 

「え?」

 

「そもそも射手単体で戦う訳じゃない。俺や遊真がフォローしながら弾を飛ばす、そういう戦い方が強いから言ってるんだ。トリオン量が多いならシールドも硬いだろうし、撃ち合いで負ける事は無いんじゃない?」

 

「そ、それは…」

 

「その時点で動きの機敏さなんて、もはや関係ないよ。」

 

薫は雨取にはトリオンお化けの特性を利用して固定砲台になるべきだと言っているのだ。そこで距離を詰めようとする攻撃手は自分や遊真が対応し、そのフォローに三雲がまわる立ち回りが良いと考えている。

 

「狙撃手の案も勿論良いと思う。でも手段は多ければ多いほど良いだろ?」

 

「それは…そうですが。」

 

三雲達は単純に驚いた。薫がここまで理論的に話を進めて来るとは思っていなかったのだ。

 

「ま、もうレイジさんに弟子入りしてるなら良いか…。1つの案として考えておいてくれ。」

 

「わ、分かりました。ちなみに杠先輩のトリガー構成ってどんな感じですか?」

 

「お、それはおれも気になるな。」

 

「今はメインは弧月、サブにバイパーを固定してるよ。シールドとバックワームも入れるとして、後3枠空いてる。」

 

普段よく使うトリガーを伝える。

 

「ほう。残り3枠は何入れるんだ?」

 

「ん〜、相手によって変えていこうとは考えてるよ。基本何でも出来る人間になろうと思ってる。」

 

どんな事においても引き出しの多さは強みになる。出来ることが多ければ多いほど、相手は警戒しなくてはならないことが多くなる。最悪出たとこ勝負になる事もあるだろう。

 

「なるほど…選択肢を多く持つ。シンプルですが強いですね。」

 

「そうは言ってもしっかり使いこなさないといけないけどね。」

 

その言葉に対してですよね…と三雲が返す。

 

「んじゃま、ここの先輩達に色々教わってB級ランク戦を勝ち上がって行こうか。」

 

おー!という言葉を皮切りに各々が自身の師匠達に着いて行きレベルアップを目指す。

 

「あれ?俺だけボッチになってるんだけど…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで俺達の所に来たと。」

 

薫は一人残された状況に耐えれず風間隊の元へ来ていた。

 

「そうなんですよ…。皆レベルアップしたいからって師匠に付きっきりで。」

 

現在の状況を歌歩に膝枕されながら説明する。

 

「お前にも小南という師匠が居るだろう。」

 

その状況をガン無視しながら風間が話し始める。

 

「最近結構勝ち越してるんで、教えて貰うことあんまり無いんですよね〜。」

 

それを聞いて風間隊の面々は驚く。

 

「ほう…アイツに勝ち越しているのか?」

 

「まぁ、まだ6-4とかでギリギリですけどね。」

 

「あの人攻撃手ランク3位とかじゃなかったでしたっけ?」

 

「えっ!?アイツそんな強いの?」

 

菊地原の言葉に薫は驚く。

 

「薫くん知らなかったんだ…。」

 

「そうか…杠時間がある時で良い。俺とも手合わせしてくれるとありがたい。」

 

以前小南としのぎを削っていた身として、薫との対戦は自身の糧になるだろうと風間は判断した。

 

「風間さんには恩があるので、俺で良ければいくらでもお付き合いしますよ。」

 

「そうか。代わりと言ってはなんだが、俺から教えられる事があれば言ってくれ。」

 

そう風間が言うと薫が悩みながら答える。

 

「そしたら…スコーピオンについてコツとか教えて欲しいですね。」

 

「へぇ、薫くんスコーピオンも使えるようにするの?」

 

「いや、スコーピオンだけじゃなくてスナイパーとかも使えるようになりたいかな。」

 

その言葉を聞いて風間はなるほどな、と納得する。薫のサイドエフェクトを考慮するのであれば弧月やスコーピオン、弾トリガー、スナイパーとどれをとっても相性が良い。恐らくランク戦に向けて薫なりに手段を増やしておきたいのだろう。

 

「お前なりに考えているようで安心した。今日はお前のチームメイトの入隊日だろうから、手合わせはまた今度頼むことにする。」

 

「あぁ、そういえば今日って言ってたな。風間さんも結構気になってる感じです?」

 

「迅があそこまで体を張って守ったヤツらだ。気にならない方が可笑しいだろう。」

 

「まあそれもそうですね。あ!あのクソサングラスの面白い写真あるんですけど見ます? 」

 

「見せろ。」

 

案外ノリも良い風間であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「おーいメガネくん。」

 

「あ、杠先輩!」

 

「と、鳥丸と木虎もいんのか。」

 

そろそろ入隊後の訓練も一息ついたタイミングだと思い、風間隊のブースから三雲の元へやってきた薫。

 

「この間ぶりね。元に戻っているみたいで何よりだわ。」

 

「あはは、悪かったって。あの時は気が立ってたんだよ。」

 

「なんの話しだ?」

 

「か、烏丸先輩!な、なんでもないんです!」

 

「?そうか。」

 

この時薫は気づいた。木虎のやつは烏丸にほの字だと。

 

「メガネくん。遊真はどんな感じ?」

 

「まぁ目立ってますね…。」

 

「そりゃ目立つだろうな。アイツ強いし。」

 

「お、カオルも来てたのか。」

 

そう話していると空閑がこちらの存在に気づいて話しかけてくる。

 

「そりゃチームメイトの門出は見に来るさ。後で千佳ちゃんのところにも行くつもり。」

 

そう空閑と話していると後ろから見知った人物が来る。

 

「…なるほどな。」

 

「あれ、風間さん?」

 

「あ、あの人は?」

 

突然現れた人物に驚き烏丸に質問する。

 

「A級3位風間隊の隊長だ。」

 

「嵐山に訓練室を一つ借りた。迅の後輩とやらの実力を確かめたい。」

 

「ほう。」

 

空閑は自分に対して言われたと思い反応する。

 

「遊真、多分お前じゃないぞ。」

 

それに対して薫が待ったをかける。

 

「そうだ。俺が興味を持ってるのはお前だ三雲修。」

 

「え!?」

 

「ほう。ウチの隊長が気になるとはお目が高い。」

 

風間がトリガーを起動しながら、訓練用のブースに入るように促す。

 

「実際俺もメガネくんの実力測りかねてるから、気になる所だね。」

 

薫の見立てでは三雲の実力自体は大した事は無いだろうと考えている。だが、迅がここまで体を張って守った人間だ。どこにそんな魅力があるのか気になっていた。

 

「良いじゃないか修。A級レベルのしかも隊長と手合わせなんてなかなか出来る経験じゃない。」

 

その言葉を聞いて三雲が考える様子を見て薫は思う。

 

(ここで受けなきゃ論外。勝ち負けよりもA級を目指す以上、自分達が目指すレベルを測るメリットがデカいだろ。もしそれすら考え付かないと言うなら…A級なんて夢のまた夢だな。)

 

だがその考えは杞憂に終わった。

 

「受けます。やりましょう…模擬戦。」

 

その言葉を聞いて薫は笑みを浮かべていた。




ようやっと話が進んで喜んでおります。
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