どんなに優秀でも男は女の尻に敷かれる運命なんだと思う。   作:ゆず1252

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第4話

「だぁー!疲れた…。」

 

その後20戦ほど行い、心身共にヘトヘトになった薫。

 

「お疲れ。飲むか?」

 

「あ、いただきます。」

 

レイジさんからお茶を貰い喉を潤す。

 

「オマエが新しい新人か…。カンゲイするゾ!」

 

幻覚だろうか。ボーダーという組織にこんな小さな子供がいると思えない。だが自分の事を新人と呼ぶ当たり先輩に当たるのだろうが…。

 

「え、えっと…」

 

「ソイツは陽太郎。ここの支部長の甥っ子よ。」

 

「あぁそういう事ね。よろしく陽太郎くん。」

 

「うむ…。センパイとよんでくれ。」

 

「りょーかい、センパイ。」

 

自己紹介があらかた済んだ所で、キッチンの入口の扉が開く。

 

「お!お前が迅の言ってたヤツだな。」

 

「た、多分?」

 

「そう固くなるなって!俺は玉狛支部長の林藤だ。よろしくな!」

 

「杠薫です。よろしくお願いします、ボス。」

 

「ボスって…軍隊じゃないんだから。まぁいいか。とりあえずお前はコレ読んでおいて。」

 

そう言われて林藤から紙を受け取る。

 

「これは…あぁ、明日の予定表的なやつですか。」

 

「そーそー、噂通り勘が鋭いな。ちなみに今日はココに泊まっていくか?明日起きてから俺とかが本部まで乗せて行ってもいいが、どうする?」

 

「あぁー、じゃあお言葉に甘えて。」

 

「よーし!じゃあ今日はパーッと良いもん食べに行くか!」

 

「あ、今日は鍋っす。もう準備しちゃったんで。」

 

「あ、そう…。」

 

「…俺鍋好きですよ?」

 

「変な気遣いヤメテ…。」

 

うちのボスの扱い方を学んだ気がする。

 

 

 

 

 

 

 

「そういえば小南先輩。薫とやってみてどうだったんすか?」

 

「ぐっ…!ま、まぁまぁ何じゃないかしら?」

 

「え…?もしかして負けたとかじゃないっすよね?」

 

「負けてないわよ!!1回だけ相打ちになっただけだし!というかアレはノーカンよ!!」

 

その言葉を聞いて玉狛全員が「マジか…」と言った表情になる。

 

「小南と引き分けるとかやるな。」

 

「あざます。」

 

平然と言ってのけるが、小南は隊員としてのレベルが高い。それも1人で1部隊と数えられる程に。

 

「だってコイツの戦い方気持ち悪いのよ!?」

 

「弟子の悪口言うってどうなんですか…。」

 

「弟子?小南先輩が師匠って事っすか?」

 

「えぇ…ムカつくけど鍛えがいありそうだったから。」

 

このセリフにも一同驚く。小南桐絵という人間はプライドがお子様レベルではあるがそれなりに高い。あまり他人を認めることが無いというのに、数時間足らずで認めさせる技量を持つ薫に関心を覚えた。

 

「というかアンタどんなサイドエフェクト持ってるのよ。」

 

「あれ?サイドエフェクト持ってる事言いましたっけ?」

 

「そりゃ反射であんな変則的な防ぎ方普通は出来るわけないじゃない。他にも意味わかんないくらい反応良い時あったし、迅と同じ予知って言われても驚かないわよ?」

 

んー、と唸りながら言い淀む薫。

 

「まあ無理していうものでもないだろ。」

 

「そうッスね。」

 

「師匠に隠し事とか良くないに決まってるでしょ!」

 

いやそれはお前が知りたいだけじゃん…。と心の中で皆思いながら黙る。

 

「んー、言ってもいいのかなぁ…。」

 

「おいおい、その歳になって許可が必要ってことはないよな?」

 

思わずレイジさんが突っ込む。

 

「歌歩ちゃんに止められてるんですよ。あんまり言いふらすなぁ〜って。」

 

「「歌歩ちゃん?」」

 

「前にそれでめちゃくちゃ怒られた事あるんで、下手に言えないんですよ…。」

 

顔を青ざめながらそう呟く。

 

「えっと…歌歩ちゃんはゆずくんの彼女さんってことで合ってる?」

 

「そうそう。あの子怒ると怖いんだ…。」

 

「確かに怖い。俺も1回マジ怒体験したけど、2度と経験したくなかも。」

 

「え、迅さんどういう事っすか?」

 

まるで会った事があるかの様な言い回しに鳥丸が声を上げる。

 

「ありゃ、もしかして薫伝えてなかったの?」

 

「伝えるって…何を?」

 

「三上ちゃんのことだよ。」

 

「あ〜…あれ?そもそもバラしていい内容なのかこれ?」

 

前にボーダーの人にな付き合ってること言ってない的な事言ってたような、言ってないような。

 

「…やっぱり今の無しで。」

 

「三上って…風間隊のオペレーターのあの三上!?」

 

思わず小南が叫ぶ。

 

「いや、違います。彼女いますけどその三上じゃないです。だから体揺らすのやめてください。」

 

「な、なんだぁ…。違うのかぁ。」

 

「いやいや、もう確信犯でしょ。それ騙されるとかアホですか小南先輩。」

 

「へ?また騙したの!?」

 

「烏丸先輩…。お願いだから黙っててください。人命がかかってるんです。」

 

そう問答を繰り返していると、机に置いていた薫の携帯が鳴る。

 

画面には【三上歌歩】と表示されていた。

それを見るにじーっと薫を見つめる玉狛メンバー。

 

「出ないの?」

 

「今出たら皆して絶対茶化すでしょ…。」

 

「いやお前は出た方が良い。俺のサイドエフェクトがそう言ってる。」

 

「アンタが言うと何かありそうで怖いんだけど…。」

 

「玉狛に居るって知ってて架けて来てるなら気にしなくていいんじゃないか?」

 

「なるほど一理ある。」

 

その言葉で安心したのかそのまま電話に出る薫。

 

「もしもし?」

 

『もしもし?今大丈夫だった?』

 

(ちょっと!もう少し詰めなさいよ!)

(いやいやそ言われても、これ以上は無理っすよ)

 

「あ、うん。平気。それでどうかしたの?」

 

(この声はやっぱり三上だな。薫もやるなぁ〜)

(林藤さんオヤジ臭いな。)

(てか、レイジさんもこういうの興味あったんすね)

(そりゃ人並みにはな)

(ぬぅ〜聞こえない!)

 

『玉狛の人達どうだったかなぁ〜って。なんか声が聴こえるけど誰かいるの?』

 

「へ?あぁ、外の声じゃない?チアンワルイナー」

 

流石にヤバいと思い迅の顔を掴んで突き放す。その拍子にアイタ!と声が出てしまう。

 

『なんか迅さんみたいな声聞こえたけど?』

 

「そんな胡散臭いクソサングラスは近くにいないよ?」

 

(ク、クソサングラス…)

(意外と毒舌なんだな)

(普段の行いが悪いのよ)

 

『もしかしてまだ玉狛に居たりとかしないよね?』

 

ここで気がついた…。時間は既に20時を回っており、普通に考えれば家に帰っている時間なのでは?と。

更に薫は玉狛に泊まるという事を伝えていない。

 

「そ、そんなことないよ…。」

 

『…薫くん?』

 

「あー!そうそう!!ボーダーに入隊することになりました!!」

 

『え!そうなの?じゃあ明日の新人講習には参加するんだね!』

 

「なんかそんなのあるらしいね。だから早起きしないとなんだよ。」

 

『良かったら明日一緒に行かない?私も本部でやることあるから。』

 

「あー、ごめん。明日は林藤さんが乗っけてってくれるらしいから無理かも…。」

 

『ん?林藤支部長が迎えに来てくれるの?』

 

「いや?玉狛からそのまま行く感じ。」

 

(あっ)

(あぁ…)

(はぁ)

(ちょっとなんて言ってたのか聞こえなかったんだけど!とりまる詰めてよ! )

 

『玉狛から行くんだ〜。家に居るのに?』

 

「……」

 

思わず周りにいる偉大なる先輩方に助けを求める。

 

『もしかしてだけど…周りに皆居たりしないよね?』

 

「い、いないよ?」

 

「かおるー!お風呂出たぞ〜!」

「ばっか!!陽太郎黙ってなさい!」

 

なんと間の悪いセンパイと、なんとお間抜けな師匠だろうか…。

 

『ふーん…。嘘ついたんだ…。』

 

「い、いや!嘘とかじゃないよ!」

 

『じゃあ何?』

 

「…スーッ、すいませんでした。」

 

情けないことに電話の前で土下座である。そのままおもむろに迅が電話を取る。

 

「あ、迅だけど、三上ちゃんごめんね?茶化すつもりは無かったんだけど、偶々薫の彼女の話になってだもんでさ。」

 

『迅さん?はぁ…なるほど。タイミングが悪かったんですね。分かりました。薫くんに変わってもらえます?』

 

迅が、ほいっと電話を渡す。

 

「も、もしもし?」

 

『全く…なんでこうなったのかは今度詳しく聞くけど、浮気してるわけじゃないって分かったから、今回は不問とします。』

 

「ありがたき幸せ。」

 

『そうだ!明日講習終わったら時間空いてる?』

 

「今のところ何も予定ないけど。どしたの?」

 

『風間さんが話をしたいって言ってたから、良かった来ない?』

 

さっき迷惑をかけたという自覚があり、どこかのタイミングで謝罪しようと思っていたため悩むことは無かった。

 

「うん。良いよ。明日終わったら連絡する。」

 

『分かった。じゃああんまり迷惑かけないようにしてね〜。』

 

そう言って電話を切る。

 

「だぁ〜…助かった。」

 

「何よそれくらいで情けない。」

 

流石にそのセリフにはイラッときた薫。

 

「もう迅と師匠には敬語使わないから。」

 

最早先輩として敬う価値無しと判断して、そう告げる。

 

「おいおい、俺もかよ。ちゃんと助け舟出してやったろ?」

 

「ちょっと!師匠に向かって何なのその態度!」

 

「ホントにちょっと黙ってろ。セクハラ大魔神クソサングラスとすっとぼけ天然のクソアマが…。」

 

「え、何でその事知ってんの?」

 

「く、クソアマ…?」

 

この短い時間で分かったことは、玉狛のこの2人はろくでもない奴らだって事だった。

 

 

 

 




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