どんなに優秀でも男は女の尻に敷かれる運命なんだと思う。   作:ゆず1252

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第5話

「くぁ〜…。眠い…。」

 

昨日どうにか歌歩ちゃんの誤解を解いた後、やはりと言うか恋バナに発展してしまったが、「茶化してくる人達には教えません。」と一瞥してそのまま寝てしまった。

 

「あ、歌歩ちゃんに連絡しないとだ…。」

 

昨日早めに寝てしまい、来ていた通知を見ていなかった為、改めて内容を見る。

 

『玉狛の人に迷惑かけちゃダメだよ〜。』

『さっき玉狛の人達から連絡来たんだけど、師匠が出来たんだって?』

『しかも女の子らしいね…。小南さんと仲良くなれて良かったね。』

『連絡返って来ないって事は相当楽しんでるみたいだね?』

 

 

 

「話飛躍しすぎじゃない?ここまで来るとメンヘラ感強くて怖いよ…。」

 

とりあえず『メンヘラ彼女のモノマネヤメテ怖い。昨日ご飯食べた後そのまま寝ちゃったんだよ。』とだけ送っておく。

 

「歌歩ちゃん、たまにマジなのか冗談なのか分からないから困るんだよなぁ…。」

 

とりあえず起きて準備するかとベットから降りるとノックが鳴る。

 

「はい?」

 

「お〜い、何時まで寝てるんだ?もう出る時間だぞ?」

 

林藤支部長が扉から顔を出しながらそう伝える。

 

「え?もしかして寝坊しました?」

 

「いや何回か起こしに来たんだが…。」

 

「…記憶に無いですね。」

 

「いやいや…返事はしてたぞ?というかそろそろ出ないとマジで遅刻しちゃうから、準備急げ〜?」

 

「りょーかいっす。」

 

寝ている時誰かに話しかけられると条件反射で返事をしてしまうサイドエフェクトも手に入れてしまったらしい…。困ったもんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お待たせしました〜!あれ、ボスは?」

 

「おはよう。見事に寝坊だな。先に車に言ってるだそうだ。とりあえずパンだけ焼いておいたから車の中で食べておけ。」

 

「レイジさんおはようございます。お言葉に甘えます!それじゃ行ってきます!」

 

「おう。気をつけろよ。」

 

 

 

 

 

 

 

「すいません!お待たせしました!」

 

「お〜う。んじゃ行きますか!」

 

「お願いします!」

 

発進する車の振動を感じながら、レイジさんがくれたパンを齧る。

 

「そういえばお前のサイドエフェクトの話、聞いてなかったな?」

 

「あぁ〜そうでしたね。迅からは何も聞いてないんですか?」

 

「もうさん付けも止めちゃったのね…。ちなみに何も聞いてないぞ?迅から本人に聞いてくれって言われててな。」

 

意外とプライバシーは守ってくれるんだよなあの人。まあ今更態度改めるつもりないけど…。

 

「そうなんですか…。まあざっくり言うと、集中力がめちゃくちゃ高まるって感じです。」

 

「ほ〜う?それって具体的にどんな感じなんだ?」

 

そう聞かれると薫はう〜んと考える。

 

「スポーツ選手とかでよく聞くゾーンって状態に入るらしいんですよね…。情報処理能力が高まるって言うかなんと言うか。」

 

「うん、全くわからん。小南から聞いたけどとんでもない反応速度だったらしいが、それも関係してるのか?」

 

「そうですね。景色がゆっくりに見えるんですよ。だから師匠の動きを初見で避けられたって話です。」

 

「めちゃくちゃ強いなそれ。」

 

「ですね…。ただ自分の知らない知識とか死角から突然奇襲とか、反応する前にやられちゃうとあんまり意味ないですよ。」

 

「なるほどな〜。その集中力って意識して使えたりとかするのか?」

 

「無理ですね。少しでも集中しようとすると勝手に出てきますよ。例えばさっき具体的に?って聞いた時とか、なんて言うか考えたりすると、勝手に反応します。後は車のナンバー見ようとした時とか、風でゴミが舞ってる時とか、割としょうもない時にもですね。」

 

「それじゃ便利か不便か分かんないな。」

 

「もう慣れちゃったんで平気ですよ。」

 

そうか。とだけ答えて会話が止まる。

言っていなかったが、実はデメリットも存在する。単純に疲れるのだ。脳を酷使するのと同義なためエネルギーを多量に消費する。一時期使いすぎた結果、目や鼻から流血した事がある。その結果恋人の三上歌歩から使うなは無理だから、あまり周りに言うなと注意を受けた。

そりゃそうだ。この能力があれば学生の天敵、宿題という悪魔を瞬殺できるのだから。それを知ったクラスメイトに長期休み終わり間近で何度も頼られた。

 

そう思い出に浸っていると車が止まる。

 

「うし、着いたぞ!中に入って案内通りに進めば、講習会場行ける。迷子になるなよ〜?」

 

「何歳児ですか…。もう高3ですよ?」

 

「…そういえばそうだったな。なんかお前見てるとヤンチャなガキって感じで忘れちまうんだよな!」

 

ワハハ!と言わんばかりに笑う。

 

「なんすかそれ。ぶっ飛ばしますよ?月の彼方まで。」

 

「悪い悪い。んま、頑張ってこいよ。」

 

「程々に頑張ります。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

講習会場に着いた後、忍田本部長からありがたーいお言葉をいただき、また案内に従って通路を歩く。

 

「玉狛の人達が適当だっただけで、ちゃんと本部じゃ真面目に案内とか演説的なのやるんだな…。というか訓練生用のトリガー渡されたけど、普通のと何が違うんだ?」

 

そうボヤいていると、目的の場所へ到着する。

 

「皆おはよう!」

 

「うわぁ…めちゃくちゃ爽やかイケメン…。」

 

恐らく今回の担当隊員だろうか?笑顔が眩しすぎて直視できない…。

 

(あの人嵐山さんじゃない?)

(ホントだ!生で初めて見た!)

(爽やかな人だ〜)

 

有名な人なのかな?周りの人がザワついてる。

 

「A級嵐山隊隊長の嵐山だ。今日の講習は俺が受け持つことになった!よろしくな!」

 

A級…って事は風間さんと同じランク隊の隊長ってことか。

 

「早速だが、君らには訓練用のバムスターを相手にしてもらう。制限時間内に倒すのが目的だか、例え倒せなかったからといって、何かあるわけじゃないから安心してくれ!」

 

ふむ。バムスターか…。テレビで見たことあるくらいの知識だな。

 

「トリガーはここにあるものから好きな物を選んでくれ!」

 

周りがどれにしようかと考えている中、薫は迷うことなく孤月を手に取り待機場に向かう。前の方に座るのは何か嫌だったから1番後ろで様子を見ることにした。

 

「昨日ぶりだな。」

 

他の訓練生がどれにしようかと悩んでいる様を眺めていると、後ろから話しかけられる。

 

「あ、風間さん。どうも、昨日ぶりです。」

 

「玉狛はどうだった?」

 

「そうですね。アホが2人いますけど、良い人達でしたよ。」

 

「小南と迅か…。」

 

アホが2人で伝わるってどうなんだろ…。玉狛支部大丈夫か?

 

「そういえば歌歩ちゃんから、今日の講習終わったら風間隊の所に行くって話してたんですけど。」

 

「お前が入隊式でどんな活躍をするか見てやろうと思ってな。」

 

なるほど…。ここで要件済ますつもりじゃなかったのか。それもそうだよな、一応俺は今講習中の身だし。

 

「変に緊張させるの止めてくださいよ。」

 

「冗談だ。」

 

「風間さん。真面目な顔しながら冗談言っても、間にしか受けられないので止めた方がいいですよ?」

 

その言葉にそうかと軽く返す。

 

「そろそろお前の出番だろう。行ってこい。」

 

「あぁホントだ。それじゃ終わったら歌歩ちゃんに連絡するんで、また後で。」

 

そう言いながら訓練室へ向かう薫。

中に入ると玉狛の所と変わらない白い殺風景な部屋が広がる。暫く見渡していると目の前にバムスターが現れた。

 

「バムスターって意外と大きいんだな。」

 

孤月を逆手で握り何時でも動けるように準備をする。周りが「なんだアレ?」「ドラマの見すぎじゃない?」などの声が上がるが、そんな声など知らぬと訓練開始の機械音声が流れる。

 

「よっ!」

 

走って近づくのでもなく、様子を見るのでもなく、ただ投げた。それは顎下から見事供給機関、つまりは急所に刺さりバムスターは消滅する。

 

「1.8秒…凄い成績だな。」

 

訓練室から出ると教官の嵐山が話しかけてきた。

 

「そうなんですか?実感無いですね。」

 

「いやいや、新隊員は1分切れば良い方と言われてるんだぞ?それを1秒足らずで終わらせたんだから素晴らしい成績だ!」

 

「あ、ありがとうございます。」

 

爽やかでちょっとアツい人なんだなこの人と思いながら、引き気味で答える。

ただ周りの隊員からは意外と否定的な意見が挙がっていた。

 

『投げるの卑怯じゃね?』

『そもそも当たらなかったらヤバいじゃん。』

『結果的に当たったからよかったけど、外したら不利だよね〜』

『そもそも投げるなら銃手使っとけよ。』

 

確かに防がれたり、避けられたりしたら不利だろうし、そもそも近距離で仕留めないのなら遠中距離トリガーを使った方が良いだろう。

ただ他の訓練生が闘っているの見て、あのバムスターには攻撃する術はあるが、シールドの類はないと分かった。かつスピードも遅い。つまりは避ける術も防ぐ術も無いのだ。

確かにそれだけ聞けば遠中距離トリガーに有利と考えられるが、バムスターはデカい。急所を狙うには頭を下げてもらうか、同じ高さに自分が跳ぶ必要がある。

そのため、顎下から孤月を貫通させて無理矢理倒した。というのが今回の動きを理論的に言葉にしたものである。ただ付け加えると面倒臭いから早く終わらせたかったという気持ちもあるだろうが。

 

その様子を見かねた嵐山が、言及しようとする。

 

「嵐山さん。気にしないでください。」

 

「いいのか?」

 

「ええ。雑魚に構うだけ無駄です。」

 

嵐山は驚く。初対面の薫への印象は、真面目で礼儀正しいだったため、そんな言葉が出るとは思わなかったのだ。

 

「せめて俺よりいい成績出してから文句言えよボンクラ共。」

 

勘違いしてはいけない。杠薫は敬意を払うべき人には、礼儀正しく接する。寧ろ初対面の人に対しては大体敬語で話しかける為、幼さが未だ残った顔から歳下に見られることと多々ある。ただもし相手に対して負の感情を抱いた場合、辛辣な言葉を並べ徹底的に潰すのだ。喧嘩など売った際には、目も当てられない事になるだろう。

 

その言葉を聞き周りからは『たまたまの癖に…。』『イキがりやがって』なんて言葉が挙がる。それを聞いた薫は、そのまま訓練室に再入室し直し、再度孤月を構える。

 

今回は投げる事はせず、シンプルに懐に入り込み供給機関を一刀両断した。記録は1.8秒。

 

「あんな防御もしない攻撃も動きもノロい玩具に、何をチンタラやってんだよ。」

 

センスねぇな〜とボヤキながら待機場に戻る。

そんな不穏な空気が流れる中、入隊式は無事終了したのであった。

 




主人公のプロフィールそのうち書きます〜!
何書けばいいのか分からないもので…!
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