爆裂魔法が
その後一瞬より少し遅れて衝撃が波形状に周りへと伝っていき、上から破片やら小さい礫が落ちてくる。
爆風や土埃で見えなくても直撃したのは分かった。
それでもほんの少し冷や汗が頬を伝う。
もし爆裂魔法を喰らっても生きていた場合………。
そんな最悪の想像を考え、目でじっと奴がいた場所を見つめる。
そんな僅かな不安と緊張感を持って煙が晴れていき。
魔法を放った体勢のままのめぐみんが小さく笑うと。
「ふっ、爆裂魔法は最強の攻撃魔法。例え相手が魔法への絶対的な耐性などという巫山戯たスキルを持っていたとしてもダメージを与えることが出来るという事がこれで証明されま…し……た………」
そう嘯きながらペちっ、と前のめりに倒れる。
そしてそのセリフの通り。
煙が完全に晴れた爆心地の中心を見ると。
そこには爆裂魔法の圧倒的火力によって倒された骨の竜がいた。
「た、倒したのか………?」
………ただ未だ倒せた事が信じられないのか冒険者たちの警戒は解けない。
それもそうだ。魔法が効かないとされる相手に魔法を放ったんだ、あれだけの爆裂魔法を見たとしても倒せたかどうかは分からない。
「……………。」
「あっ、おい!」
するとめぐみんの事を知っているダクネスが、他の冒険者が止めるのも構わずにずんずんと進み。
骨の竜の前へ立ち、自分の持つ剣を頭に深く突き刺し完全に動かない事を確認すると。
骨の竜の上へと登り皆に見える様に握り拳をばっ、と掲げた。
「「「う、」」」
するとようやく本当に倒せた事に気づいたのか。
まるで英雄の様なダクネスのその姿に。
「「「うおおおおおおおおおおお!!!!!!!」」」
一緒に戦っていた冒険者たちが新たな英雄の誕生を祝うかの様に喜びの声を上げた。
………あれっ、ダクネスってジャ○プの主人公だっけ?
その様子を離れた場所から見てた俺はダクネスに対しそう疑問を持たざるを得ない。
だって、いつも虐めて欲しいだとか罵倒して欲しいとかハアハアしながら言ってるあいつはどこに行ったのか。
もしかしてダクネスに似ているが全然違う人物なのだろうか。
そんな事を考えていると冒険者たちが口々に。
「す、すげえ!!あいつら本当にやりやがった!!!」
「マジか、なんだよあの魔法!?あんなとんでもない魔法これまで見たことねえぜ!あいつら本当に銅(カッパー)かよ!?」
「それにあの金髪のねーちゃんも凄え!あの巨大な体をその身ひとつで受け止めていたやがったぞ!?」
「そういやあいつら昨日見たぞ!確か昨日冒険者で登録してた奴らじゃないか!?」
「そうだ!確かに昨日テーブルの隅っこでどんよりとした空気を醸し出してた!」
「という事はあの男も仲間か?なんかやってたかあいつ?」
「さあ、よく見てないから知らないがただの荷物持ちとかじゃないか?取り敢えず、骨の竜《スケリトル・ドラゴン》を倒したんだ。冒険者ギルドに報告しに行こうぜ!」
「金髪の美人さん!どうですかこれから一緒に食事でも!」
「え、えーっと………」
骨の竜《スケリトル・ドラゴン》が倒された事でお祝いムードのこの状況。
強大な敵を倒した事で立役者のダクネスやめぐみんに賞賛の声が上がる。
だがそれも当然だろう。
俺たちは当初倒すことは無理だと思っていた骨の竜を倒すことが出来たんだ。
中には浮かれすぎて好き勝手言ってる奴もいるが。
…………そいつ服の下は腹筋がバキバキですよ。
ダクネスにナンパしている軽薄そうな男に対し、そう心の中で突っ込む。
ダクネスもそんな男を相手にどう反応すれば良いのか分からないようだ。
アクセルの街では貴族という事や頑丈さに全振りするやべえ奴というレッテルが貼られていた為、ナンパする様な男は居なかった。
なのでダクネスは困惑しながらも少し嬉しいのか口元をムニムニさせていた。
まあ、普通に断っていたが。
そこを何とか!とさらに食い下がってきてこっちに目で助けを求めるダクネス。
俺はもっとその面白そうな状況を見ていたかったが。
取り敢えずスルーし俺は横目に流し倒れているめぐみんを助けに行く。
ダクネスがすごい目で見てくるが自分で何とかして欲しい。
「おーい、めぐみん大丈夫か?」
「………………。」
…………返事がない、ただのしかばねのようだ。
そんなフレーズが頭の中で流れる程、先程から地面に突っ伏したままピクリとも動かないめぐみん。
仕方がないのでそのまま背負うと何やら後ろからブツブツと。
「………ふ、ふふふっ、やはり強大な敵へ向かって放つ爆裂魔法は最高ですね、ゴブリンを相手にした時とは比較にならない程の心地良さがありますし、それに仲間のピンチに颯爽と登場し魔法が効かない相手にダメージを与えられた時の皆の驚きようと言ったら、もう格好良さでも紅魔族的にも自分で百点満点をあげたいくらいですね!」
「あー、確かに今日のお前はカッコよかったぞ。これまでで一番だったんじゃないか?うん。」
そう目を輝かせて自画自賛しているめぐみん。
俺は疲れていて適当に返事をしただけだったのだが、めぐみんにとってそんな事どうでもいいらしい。
「そうでしょうそうでしょう!」
と、喜びながらバンバンと背中を叩いてくる。
っていうか普通に痛い。
喜ぶのは良いが叩くんじゃない。
俺は背負ってるめぐみんを宙ずりにして反省させた所で、階段を降りて墓地の門の前に立ち来た道を帰ろうとする。
ダクネスは上でまだほかの冒険者たちに囲まれているらしい。
確かに目立ってなかったかもしれないが俺も少しは活躍したはずなのだが。
べ、別に羨ましくなんかないんだからねっ!
…………自分で言っててさぶいぼが立ってきた。
だが、あいつの事は後で思いっきりからかってやろう。
うん。今考えたが絶対そうする。
さて、それじゃあ一先ずあいつらの言う通り冒険者ギルドに戻るとするか。
何か忘れているような気がするが、多分気の所為だろう。
そんな魔力切れや疲れで働かない頭で俺はそう考えて。
そしてめぐみんを背に帰ろうと一歩踏み出そうとすると。
遠くから悲痛な声が聞こえてきた。
「だれがだずげでえええええ!!!!!!!!」
………あっ、ヤバい完全にアクアの事忘れてた。
ちなみに今更ですが作者に感想を投げてくれると喜んでモチベが爆上げします。
何卒……!