このすば勢 IN オーバーロード!   作:ナミカゼ鼠

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16.邂逅

 

あ……ありのまま今起こったことを話すぜ!

 

「黒い鳥がアクアとダクネスに襲いかかったと思ったら、いつの間にか現れた漆黒の戦士に倒されていた」

 

な……なにを言ってるか分からねーと思うが、俺も何が起きたのか分からなかった………。

催眠術だとか超スピードだとかそんなチャチなもんじゃ断じてない。

 

もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…………

 

 

 

 

 

 

……って、そんな馬鹿なことを考えてる場合じゃねえ!

 

混乱して湧いてきた某セリフを頭から必死に振り払い、俺は目の前にいる男──漆黒の戦士を見ていた。

何処からか現れ颯爽と俺たちを救ってくれたその姿は、まるで本当に歴戦の英雄の様な立ち振る舞いのようで。

俺たちは突然様々な事が一気に起こった影響か、固まってまだ動く事が出来ずにいる。

 

するとダクネスはいきなり現れた漆黒の戦士に警戒する形でアクアを守るようにスっと前へ出ると。

そのままじっと静かに目の前にいる漆黒の戦士を警戒する視線で見つめていた。

しかし漆黒の戦士はその視線に動じた様子も無く事も何気に受け流すような自然体である。

 

ちなみにアクアは未だに祈るポーズのまま姿勢を維持しており、え?え?と何が起きたのか理解出来ていない様子だった。

 

………さて、とりあえず今の状況を整理しよう。

幸い、漆黒の戦士も何故か黙って突っ立ているままのようだし。

 

というかさっきも思ったが一体いつの間に俺達の近くに居たのだろう。全く気配すら感じなかったんだが。

そう。

先程まで俺はアンデッド達に追われていたのだが、周りに利用できるものがないか確認しながら逃げていた。

その時にはアクア達の近くにはアンデッド以外確かに誰も居なかったはずだ。

 

しかし俺は黒い鳥がアクア達に襲ってきた時最悪を想像してほんの少し目を瞑ってしまった。

ただ目を瞑ったといっても瞬きのような時間だった筈だと思う。

だが、瞬きの後にはアンデッドが真っ二つになっており、黒い鎧の男が居たのだ。

俺の視点からはまるでその場に一瞬で現れたかのようだった。

 

もしかしてテレポートだろうか?だが見た感じは完全に剣士職だしな。

……まさか、本当に時を止めたって事はあるまいし

 

そんな疑問が次々と湧いてくる………が、

とりあえず俺は目の前にいる漆黒の戦士に対しお礼を伝える事にした。

助けてくれた事に間違いはないみたいだし、それにこのままずっと黙ってるという訳にもいかないだろうしな。

というかさっきからずっと黙ったままなのって、もしかして俺たちから話し掛けて来るのを待っているんだろうか?

だとしたら申し訳ないと思うが、残念ながらフルフェイスの鎧のせいで相手がどんな表情をしているか分からない。

 

………だが、俺が考えを纏めている間何となく漆黒の戦士は何アクアの事ををじっ、と観察しているようにも見えた気がするが……まあ多分、気の所為だろう。

というかいい加減この空気にも辛くなってきた。

 

そう思うと俺は意を決して警戒しながらも漆黒の戦士の近くにゆっくり歩み寄る。

すると気がついたのかじっ、とこちらを見つめる漆黒の戦士に対し俺は。

 

「し、漆黒の戦士さん、仲間を助けてくれてありゅっ……!」

 

噛んだ。

 

「「……………」」

 

俺と漆黒の戦士の間に変な空気が流れる。

 

どうしようこの空気。

何故この状況で噛んでしまったのか。

恥ずかしすぎて穴に入ってしまいたい気分だ……!

俺はアクアとダクネスの方をチラリと見る。

すると何故か顔を背けており、よく見ると肩が小刻みに揺れていて……

 

笑ってんじゃねーか!

後であいつら絶対に泣かす!

 

多分顔が真っ赤になってプルプルしているであろう俺に対し、漆黒の戦士があー、ゴホンと咳払いをひとつして。

 

「い、いや、間になったなら良かった。………ところで怪我は無いか?それと私の名前はモモンでいい」

 

すごい、大人の対応だ。

どうやら聞かなかった事にしてくれるらしい。

あそこで笑ってる駄女神や変態とは大違いだ。

その優しさが心に沁みる。お陰で恥辱心は随分無くなった。

 

代わりに申し訳なさと罪悪感でいっぱいになったが。

 

漆黒の戦士の名前はモモンと言うらしい。

少し変な名前だが紅魔族とかと比べるとずっとまともである。

良かった。流石に漆黒の戦士とかいう厨二病っぽい名前をずっと連呼するのは俺も恥ずかしい。

 

 

「あ、ああ、俺は大丈夫、あいつらも見た感じ無事みたいだ……いや、本当に助かった。後もう少し遅かったらあいつら大怪我していたかもしれないし」

「礼には及ばん。私も依頼を終えて帰る途中だったしな。………さて、私も色々と聞きたい事があるんだが………」

 

そう言うとチラリとアクアの方を見て、

 

「先程の魔法はいったい誰が「殿ぉー! 殿ぉー! ご無事でござるかー!?」

 

と、なにか聞きたそうだったが何処からか聞こえてきたドタドタと言う足音と声に掻き消された。

そしてその声が聞こえた方を見ると巨大なハムスターが此方へと向かって全力ダッシュして来ていて………。

 

「とうっ!」

 

と、そんな掛け声と共に漆黒の戦士──モモンと俺までジャンプし、目の前で止まるハムスター。

 

デカい。

前は人混みの中で遠目から見ただけだったが、こうして近くで見ると威圧感が凄い。

というかござるって、喋る事はダクネスから聞いていたがござるって!

本っ当にここは前の世界とは別の場所なのか。キャベツとかハムスターとか異世界のモンスターは突飛じゃないとダメなのだろうか。

 

「いやーいきなり殿が目の前から消えてびっくりしたでござるよ!もちろん殿が窮地に陥るとは思ってもござらんが、……そう言えばこちらの方々は一体誰でござる──あれ?殿?」

 

そう言ってつぶらな瞳を此方へ向けるハムスター。

そしてそのハムスターに殿と呼ばれたモモンだが………なんだろう、例のごとく鎧で顔が見えないんだが何故かイライラしている様な……。

その様子に気づいたのか途中で言葉を切って怯えた感じでいると。

 

「ハムすけ」

「は、はいでござる!」

 

と、短く巨大なハムスターの名前を呼んで………ハムすけ?

そんな俺の小さな疑問に構わずモモンがハムスターの目の前まで行き、小さな声で。

 

「私は今重要な話をしているんだ。だから………少し黙ろうか(私の邪魔をするな)

「しょ、承知したでござるうううう!」

 

そう言って慌ててこの場から走り去っていくハムスター──ハムすけとか言うらしい。急に現れたと思ったら直ぐ退場していったんだが。

それにネーミングセンスがめぐみんと同レベルな気がするが、もしかしてモモンがつけたんだろうか。

というかなんだろう、酷い上下関係を見せられた気がする。

そう色々思っているとモモンが変な顔をしているであろう俺に向かって、

 

「中断してすまない……では話し合いを続けようか」

「いやでも」

「続けようか」

「あっ、はい」

 

 

 

 

………どうしてこうなった!!!

 

 

 

 

 

△○□◇△○□◇△○□◇

 

 

 

 

SIDEアインズ 一時間前

 

 

墓地での回収作業を終え、ンフィーレアを連れて都市へ凱旋しようとしていた道中のこと。

アインズは来た時以上の時間をかけながら悪路をただひたすらに進んでいた。

本当だったらもうとっくの前に帰還していても良いものなのだが、何故か倒したはずのアンデッドたちが次々と復活していたのだ。

先程、凱旋だとマントを翻してナーベラル相手にカッコつけていたのだがどうしてこうなったのか。

 

「はぁ………」

 

ユグドラシルの時でも資金集めの為に雑魚狩り周回はしていたが今回は得るものが何も無い。

有るとすれば名声ぐらいだがこんな誰も見ていない状況では伝える者も居なく意味がない。

結論として大量の雑魚モンスをただ機械的に倒すだけとなってしまった。

正直魔法で一掃してしても良いが、つい先程クレマンティーヌとの闘い(殺戮とも言うが)で剣士としてのダメな所を自覚した身としては忘れぬ内に学んでおきたい。

 

ただ奴と違って大剣を雑に振るうだけで大量のアンデッドが空へ舞うので意味があるとは言えないが。

 

「はぁ、全く面倒くさい…………」

 

そもそもどうしてアンデッドが復活しているのか。

もしかしてハムすけに渡した死の宝珠の力がまだ動いているのかとも考え、軽く脅してみたのだが関係ないようだ。

どうやら今はもっと別の力によってこの地の魔力が支配されているらしい。

気になったのでさらに聞いてみたがそれ以上は分からないそうだ。

 

思ったよりも使えないなコイツ。

 

別の力とやらは気になるがただこれ以上時間が経つと日が明けるし、何やりさっきも言った通りめんどくさい。

なのでナーベラルには先にンフィーレアを連れてリイジーの元へ戻ってもらった。

アインズ様のお近くを離れる訳には!とか言っていたが時間をかけてしまいンフィーレアを死なせてしまっては意味が無いだろうと説得すると非常に不服そうにしながらも納得してくれた。

 

ンフィーレアを連れて空へ飛んでいく時、ここから落としてやろうかなこのゴミムシ……みたいな目をしていたが。

やばい今更になって不安になって来た。

多分俺の命令だから大丈夫だと思うが……これまでの行動がなぁ。

 

そんな事を考えながらアンデッドたちをチマチマと倒していると頭に声が響く。伝言《メッセージ》だ。

 

『アインズ様』

 

緊張感を含んだだような綺麗な女性の声。それが静かに呼びかけるように聞こえてきた。

 

「アルベドか?」

『はい』

「確か先程エントマに私の方から連絡すると言ったはずだが」

 

そう言えばリイジーの店でンフィーレアを見つけようとした時にもエントマから連絡してきたが一体何だろうか?

正直まだ時間的余裕があるとは言えないが、アルベドの方から連絡してくるとは相当な事態のはずだ。

 

『申し訳ありませんアインズ様。そちらの件も緊急を要しますがアインズ様の御身の事を考えると、今度はまた別の件です』

 

「別?」

 

緊急の事とやらも気になるが……俺の身に起こること?

 

「詳しく聞かせろ」

 

『はっ、アインズ様が監視をするように、と言っていた者たちの事です』

 

「!……何か分かったのか。……まさかプレイヤーだったのか?」

 

あの場で聞いた遊園地という単語。リアルの方じゃ富裕層のみが行けるアーコロジーにあるというものだが……。

ウチのギルメンじゃ誰も行ったことなくて知識だけ色々と教えてもらったんだが、もしかして………。

有り得ないとは知っているがついつい考えてしまう。

そんな期待を込めてアルベドの次の返事を待つが……。

 

『………いえ、申し訳ありません、まだ私どもの監視ではプレイヤーかどうかの判別はついていません』

 

「………そうか」

 

………期待していた分残念ではあるが、まあそんな気はしていた。

そもそもギルメンは疎か他のプレイヤーでさえこの地に居るかどうかすら分からないんだ。こんなにも早く見つかる可能性は低いと元々考えていたが。

だがしかし、だとすると何のためにアルベドは俺に連絡してきたのか。

 

『ですが、監視していたものからの報告によるとどうやら四人組の冒険者のようで今回の墓地の件にも関わっていまして。』

 

「ふむ?続けろ」

 

『詳しい話は省略しますがそのパーティーが骨の竜スケリトル・ドラゴンと相対し、討ち倒す際その内のひとりが爆裂(エクスプロージョン)を使ったようです。』

 

爆裂(エクスプロージョン)って……鑑定対策用のカウンタートラップじゃないか。

確かに第三位階魔法を使えるものが凄いとされるこの世界に驚くべきことだが………。

それよりも益々アルベドが何を言いたいのか分からなくなってきた。

 

「まさかそれだけの為に連絡を寄越したのか?」

『いえ、ただその使用者が言う爆裂魔法という物が我々が知っているものとは似ても似つかない、およそ()()()()()()()()に該当されると思われる魔法でして……』

 

「………何?」

 

強力な魔法を使う現地人の存在。予想していたとは言え、まさかそんな簡単に見つかるとは………。

いや、まだ判別していないだけでプレイヤーという線もあるのだが。

しかしなるほど。ナザリックの面々にとっては俺の近くに仇なす奴が居るだけで血気盛んになるわけで。

だからこそアルベドは心配して俺に連絡してきたのだろう。

そう心で納得しているとアルベドから驚愕すべき情報が届いた。

 

『しかしそれ以上に、同じパーティーに居た青い髪をした女からは、その………いえ、ありえない事なので事実確認を進めていますが………』

 

青い髪の女?

 

そう言われてい思い出すのはリイジーに連れられてポーション屋へ行く最中の事。

 

前から走ってきた変な格好をした青い髪の女が走って通り過ぎながら、そこのポーション屋で人を蘇生したから後はよろしく、的な訳の分からない事を言っていたことを思い出す。

その時点では気にも止めなかったが、ポーション屋の中で戦闘の後を発見した時はあの青い髪の女が犯人ではないかと疑ったものだ。

結局、目を覚ました漆黒の剣のメンバー達に話を聞き違うと分かったが。

 

その後、なんやかんやあって忘れていたがもしかしてアルベドが言っている奴と同一人物だろうか。

というかこの世界で人を蘇生させるのって結構凄いんじゃ…………。

その事に今更ながら気が付き俺は慌ててアルベドに対し、

 

「どうした、早く言え」

 

と、珍しく言い淀むアルベドに先を言うように急かす。

アルベドが言い淀むというこの時点で嫌な予感はしていたが。

 

すると意を決したのか先程よりも幾分か固い声で、

 

 

『その女からアインズ様と同等かそれ以上の魔力量を感じ取ったとの事です』

 

 

 

言われた内容がしばらく理解出来ず、時間をかけてようやく脳に染み込み把握した俺は。

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………はあ!?」

 

 

と、間抜けた言葉を口にするしか出来なかった。

 

 

 

 

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