このすば勢 IN オーバーロード!   作:ナミカゼ鼠

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遅れてすいませええええええん!!!


最終回どうぞ。


21.エピローグ

 

 

 

 

 

 

 

 

「───────ふわぁ〜………、」

 

 

 

城壁から朝日がゆっくりと顔を覗かる。

 

雲の流れは遅く、見るにこれからの天候は非常に良い快晴となることは間違いないだろう。その陽の光が思わず目に当たり眩しさからぎゅっと目を細める。

 

街の中はまだ白いモヤがかかっているが段々と朝日が昇るにつれ徐々に薄くなっていく様が見て取れる。

大通りを歩くと人の数はまだまだまばらだが。これから日が昇るにつれ人通りが増え活気が芽生えて来ることは間違いないだろう。

 

だがしかし今はまだその気配はなく。

大通りにはちらほらと朝早い仕事の人や開店の準備をしている人が居るだけである。

 

そんな中俺は欠伸を噛み締めながら体をぐーっと伸ばしながら。体をボキボキと鳴らしてふうっ、と一息つくと。

 

 

 

「…………体いてぇ………」

 

 

 

そう俺が独りごちて顔を顰めると。

そんな重い体を引きずりながら、まだ人通りの少ない道の真ん中を寂しくとぼとぼと歩いていった────────、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

─────俺が目を覚ますとそこは清潔な白いカーテンに囲まれた固いベッドの上だった。

 

元の世界へ戻ってきた───という訳ではないらしい。

そのまま顔の右側に視線を向けると枕元にある例の呪いの魔道具を見つけ、げんなりとする。

 

………ぶっ壊してやろうかなこれ。

 

そのままむくりと体を起こして魔道具を手に取り、そう物騒な考えが頭をよぎるが。元の世界へ帰るための手掛かりがこれしかないため渋々部屋の隅へ雑に放り投げる。

 

そうして窓から外の様子を見ると。まだ辺りは真っ暗で夜空が見えたが、これからだんだんと日が登ってきそうな様子だった。

 

……あれっ?そういえば確か先ほど倒れた時も夜明け前だったような気がするが。もしかしてあれからそんなに時間は経ってないのか?

だがそれにしてはなんかめちゃくちゃ寝てたような感じがする。

 

…………まあいいか。

 

考える事を放棄しそのまま流れるようにベッドに潜り込みそのまま二度寝に洒落込もう────と、思ったのだが。

 

何故か体はだるいのに眠気がやって来ない。

仕方ないので夜が明けるまでそのまま何も考えずじーっと白い若干薄汚れた天井を見ていると。ふとあのセリフが言う時が来たんじゃないかと、自分の中でふつふつと欲求が湧き上がる。

 

そこで俺はよし言うかと、決心しその欲求に従う事にすると。そしてゆるゆると手を天井へと伸ばし、口を開くとポツリと呟くように。

 

「知らない天じょ───「すまない失礼するぞ……、───って、あ」

 

と途中まで言いかけた所で突然カーテンがシャッと開けられ、そんな声が聞こえた。するとダクネスが俺が起きている事に気がついたのかバッチリ目が合った。

 

…………ヤダ恥ずかしい!

 

そのあまりなタイミングに羞恥心が湧き上がってくる。

だがダクネスは気づかなかったのか。俺が無事に目を覚ましたことが喜ばしいというように此方を覗き込むと。

 

「───!良かったカズマ気がついたか!大丈夫だったか?お前はさっきまで殆ど丸一日眠っていたのだぞ、何処か体に気になる点はないか……?…………というかさっきから気になってたんだがその右手は一体──」

 

「ダクネス俺は何処も怪我してないしピンピンしてるぞ!いやあ!お前の方こそ無事で良かった良かったっ!!」

 

ちくしょう!やっぱりバッチリ見られてた!

 

そう思った俺は早口でダクネスのセリフに被せる様に慌てて誤魔化す。するとダクネスが若干引き気味だが俺の言葉に照れた様子でポリポリと頬をかくと。

 

「そ、そうかありがとう………そ、それで、今キメ顔で何やら独り言の様なものを言おうとしていたような気が───」

「いやあやっぱり体がだるいかもなー!もう少し寝てようかなあー!スマンなダクネスまた後で!」

 

「っておい!」

 

そう言ってダクネスあたしても追求されそうになったので腰まで掛けられていたシーツをガバッと顔まで持ってくると。そのままダクネスからぐるりと背を向け羞恥心で赤くなってるであろう顔を見せないようにする。

 

さっきとは言ってることが反転している俺にダクネスが何やってんだコイツ、みたいな顔で見て来ている気がするが気にしないことにしよう。

 

……というか現代にいた時のセリフだから別にダクネスに聞かれても全く問題は無いのだが。なんと言うかそれとこれは話が別というかなんというか。

 

やっぱし人に見られて恥ずかしいもんは恥ずかしいわ……!

 

と、また新たに自分の黒歴史の1ページを刻んでいるとダクネスが呆れた様子で強引に布団を引っぺがして来て。

 

「おい、さっきから見るからに元気そうじゃないか。さっさと起きてギルドに向かうぞ。お前が起きたら今回の件について詳しく事情聴取を行うと言われてるからな」

 

「………いや、俺まだ体もダルいしお前から説明しに行ってくれよ。………というかあれから丸一日経ってるらしいけど俺が倒れた後どうなったんだ?それに見たところお前しか居ないけど………」

「アクアとめぐみんはもう既に宿へ帰ってると思うが………さっきここの看護師に聞いたんだが全員入れ違いでお前の見舞いに来たようでな」

「………?お前ら全員一緒じゃなかったのか?」

「ああ、それじゃあその事についても話すとするか。お前が倒れたあと色々大変だったんだぞ」

 

確かにあの時ギルド内はなかなか大変な状況だったとは思うが………。

あの状態から一体どうなったのか気になる所ではある。

 

そう言うどうやらダクネスから後日談というかなんと言うか。今回の顛末を聞いた。

 

俺が倒れた後、やはり予想した通り冒険者ギルド内は混乱の渦だったらしい。

報告で聞いたアンデッドの軍勢が本当に居なくなったのかの確認や、いきなり目の前で倒れた俺の介抱等でてんやわんやの騒ぎだった様だが。

そんな時混乱を収めたのが今回の騒動の黒幕を倒した英雄───モモンらしい。

 

俺らと別れた後、ポーション屋で仲間と合流してそのまま冒険者ギルドへやって来たようで。ダクネスは知らないが俺とめぐみんが一緒にいた時に見た………というか追いかけられそうになったあの美人の女魔法使いもモモンの隣に居たみたいだ。

 

そんなモモンが訪れた事で一時は騒然となったそうだが、組合長へ黒幕を倒した事を伝えると組合長は確認も必要だしほかの冒険者たちも疲労困憊という事で事情聴取はまた後日ということになったようだ。

 

そしてダクネスたちは俺をこのギルドから少し離れた医療部屋へと運び、部屋でぐっすりと睡眠を取ったあと時間的には昨日事情聴取を終えたようだ。

ただパーティーのリーダーが居ないと話が纏まらないという事で一旦中断し、俺の目が覚めたなら早急にギルドへ赴くようにと言われたらしいが。

 

 

…………ちなみに、先にアクアが俺を医療部屋へ運んでヒールとかかけていた時、アクアとダクネスはまだギルドに居たようだが。

段々と落ち着いてきたギルド内でモモンとめぐみんとが出会ったようで。どうやら俺の時と同じであのハムスターの件で笑った事について言及されなかったらしい。

顔を見られてなかったのか、そもそもそんなこと気にしてないのかどうかは分からないが。

 

というかどうしてその事をダクネスが知っているのかと聞くと。どうやら冷や汗ダラダラなめぐみんをアクアとダクネスが疑問に思い問い詰めて、ポロッと零してしまったらしい。

 

そしてそのままダクネスに言われるまま隣で聞いてたモモンと魔法使いの女にめぐみんはすぐさま謝ったようだが。

モモンは気にしてないという風だったが女の方はそれはそれはものすごい顔をしていたらしい。

………具体的には相対していためぐみんの足が子鹿のようにぷるぷると震えてた位には。最終的にモモンが女を必死に宥めたようだ。

 

だがそれを聞いたモモンは何か気づいたのか少し思案するように顎に手を当てるとめぐみんへと質問していたらしい。

ダクネスが言うには「遊園地について何か知ってるか?」という謎の質問だったようだが。

 

…………当然、めぐみんとダクネスはなんの事か分からないだろう。勿論知らないと、めぐみんは答えたらしいが。

ただもしかすると俺なら知ってるかもしれないとめぐみんがモモンに伝えた所。少し悩むような顔をして私はまだギルドに居るだろうからかカズマ少年が起きたら伝えて欲しいと頼まれたようだ。

 

………その時アクアが居ればワンチャン知っていたかもしれないが、そう聞いていた時は俺のとこにいたらしいし。

ただどうしてモモンは遊園地なんて単語を聞いてきたのか。もしかして何か別の隠語だったりするのだろうか。

 

というか今さら気づいたがユグドラシルってゲームとかでよくある設定のやつだろうか。

だがこの世界にあるかどうか知らないし場所とかも知るよしも無いが。

 

………何か引っかかるが、考えても分からないしギルドに行ったらモモンに酒でも奢りながらちょっと聞いてみるか。

飯は一緒に食えないらしいが、酒とかジュース位なら大丈夫だろ。

 

「おいカズマどうしたいきなり黙り込んで。何か気になる事でもあったか?」

「いやいや大丈夫……で、そっからどうしたんだ?」

「そ、そうか?それじゃあ……ゴホンッ、事情聴取を終えたあと私たち三人はそれぞれ別行動していたんだ。………宿にずっと居るのも暇だしこの世界が元の世界とどんな風に違うのか少し気になってな、どうせならとバラバラに別れて行動することにしたんだ」

 

聞くとどうやらダクネス自身は街の散策をしようと思っていたらしいが。未だに今回のアンデッド騒動で起きた街の復興が思うように進んでない所を見ると。

真面目なダクネスはいてもたってもいられずアンデッドに被害を受けた門部分の修復や、炊き出しなどをわざわざ手伝っていたらしい。

 

めぐみんはこの街の食糧等を買いに出かけた後、近くの森へ爆裂魔法を撃ちに行ったりだとか骨の竜を倒した英雄としてちやほやされに冒険者ギルドに訪れ見事ドヤ顔をかましていたみたいだ。

 

アクアに関してはこの世界にアクシズ教徒を増やしてくるとか何とか言って、何処にあったのか入信申込書を持って宿から飛び出て言ったらしい。

 

しかもちゃんとどうやら成果があったようで。夕方にアクアが宿へ戻ると怪我を直したヤツや蘇生させたニニャ達パーティーの名前が書かれた入信申込書を嬉しそうに持ち帰って来たみたいだ。

 

しかも片手に高級酒を山ほど抱えながら。

 

 

………後で俺にも分けてもらおうっと。

 

 

 

 

────そんなこんなでダクネスから話を聞き終えた俺は。空が段々と明るみ始めた頃に、まだ少し気だるさを感じる体を引きずりながら冒険者ギルドへ向かっていた。

 

ちなみに先ほどダクネスから部屋を出る際に。

 

『………そういえば私たちの冒険者登録をしてくれた受付嬢がいただろう?お前を医療部屋へ運ぼうとした時、その受付嬢からカズマにこの街を救ってくれてありがとうと伝えてくれと言われたぞ………………黒幕を倒したのはモモンだが、どうやらそのモモンからカズマの活躍を聞いてお前にも礼を言いたかったらしい…………良かったじゃないか、お前の頑張りは伝わっているぞ』

 

と、口に微笑みを浮かべるとダクネスそのまま宿へ向かっていった。

 

 

………自分で直接聞けなかったことがほんのちょっぴり残念だが、こうやって感謝されるとやはり嬉しく思う。

 

まあ今回、魔道具の暴走によって骨の竜やアンデッド大群が再び現れた時はどうなるかと思ったが。何とか無事に終わってよかった。

 

幸い今回の件で死傷者は出なかったようで、大怪我をしたやつもアクアが治していったらしい。なので一部では聖女様だ女神様だなんだと崇め祀られて居るらしいが………いったい何時まで持つのか。

 

今回、俺たちパーティーが中心となって活躍したお陰でどうやらギルド内ではメインのモモンに次いで注目の的になっているらしい。アダマンタイトとまではいかないが、戦いを一緒にしたもの達からはミスリルまでは確実に行くとダクネスは聞いたようだが……。

 

…………ただやはり俺らの居場所はあの素晴らしくもふざけた世界だと思う。流石に長年いた事で執着も湧くしあっちの世界に置いてあるものも知り合いも沢山いる。

 

いきなりこの世界に連れて来られてどうしようと言うのが正直な感想だ。…………未だ元の世界に戻る方法は思いつかないが、なるべく早く帰還の方法を見つける事にしよう。

 

鞄の中に入れた魔道具をその上からさらりと撫でながら新たに決意を固め、歩きながら考えていた頭をあげると。冒険者ギルドの看板が目に見えたのでそのまま扉の前へいき少し立ち止まる。

 

そして服のシワを伸ばしたり、髪をせっせと整えると。

 

 

…………さて!それじゃあ俺もちやほやされに行くか!

 

と、先ほどまでの決意はどこにいったんだと他の仲間がいたら冷たい目で見てきそうだが。

それはそれ、これはこれである。

というかアイツらも昨日ちやほやされたらしいんだから俺にもされる権利はある筈だ。

 

多分扉の向こうに待つであろう女の子たちが、きゃーカズマさんすごい!とか、冒険者たちのあいつはやる時はやる奴だぜ!とか此方を褒め称える状況が見える……!

 

扉の前でデヘヘと緩む頬でそんな想像をしている光景を誰にも見られなかったのが幸いか。

 

おっと、と緩んだ頬を引き締めてキリッとした顔を作ると。俺は扉を開けギルドに響き渡るよう元気良く声をあげた───!

 

「おっはようございま──「───だから俺は見たんだよ!あの冒険者のガキがなんか墓地に投げたと思ったら、光り輝いて墓地にアンデッドがわらわらと生み出される瞬間をよぉ!」

「い、いやしかし……」

「………お、俺も見た気がする……!……あの時暗くてよく見えなかったけどあの男がなにか投げたら墓地全体が光ってたし……!」

「ま、まさかそんな──」

 

 

………………えっ

 

 

「………あの冒険者たちが言ってる事は本当だ」

「あ、あなたは……?」

 

そう先ほどの冒険者を押し退けるように立派な軽鎧を着けた男がそう断言する。

見ると似たような格好の集団が五人ほどギルド受け口前にたむろしていた。

 

……………あれっ?あいつって墓地の時隊長とか言われてたやつじゃ…………。

 

「私はあの夜あの墓地で衛兵部隊の隊長としてアンデッド掃討の人を任されて居たものだ。………例の漆黒の英雄が現れて一度アンデッドの大群を殲滅した後、加勢に行く為に城壁近くで準備を行っていたところ例のパーティーの男が墓地に何か投げたあと、いきなりそれまで前以上のアンデッドが生成された………しかも言うにはその前にそのパーティーが城壁の上へと上がる姿が確認されている……」

 

と、確かあの墓地で隊長と呼ばれていた男がそこまで言ったところで一息つけると。最初に詰めかけた冒険者が冷や汗を書きながら。

 

「………つまり衛兵様が言うにはあのパーティーの男が今回の黒幕だって?」

「………確証は無いがアンデッド発生の一員を担ってるのは間違いないだろう。もしその男がここに来たら有無を言わさずに連行するつもりだ」

 

そう隊長が言い切るとザワザワとまた冒険者たちが騒がしくなる。

 

まずい。

この状況前にも覚えがある。冤罪で捕まった時と全く同じパターンだ。あの時は俺の口八丁で何とか誤魔化したり、仲間の協力もあってどうにかなったが。

 

というか今回の最初のアンデッドに関して俺たちは全く関係ないが………二度目の発生の原因となったのは間違いなくこの鞄の中に入っている魔道具である。

だからあの連中が言ってることはだいたいあってる。

 

ただ勘違いしないで欲しいがあれは事故みたいな物だ。

そもそも悪いのはこの魔道具だし、俺らに責任は………ちょっとあるかも知れないが!

 

だからこそ不味い。

今、あいつら衛兵にこの街の詰所に連行されて尋問とかされて、お前らどこから来た?とか聞かれた時上手く誤魔化す自信が無い。

自分たちの出身を正直に言っても信じて貰うどころか、モモンと一緒にいた時に考えてたのと同じで嘘をついてると見られるのがオチだ。

 

その為には一先ず今のうちに宿に戻ってアイツらと口裏を合わせておかないと……!

 

思考が完全にアリバイを作ろうとする犯罪者のそれだが。それでも俺はやってない。

 

ギルドの入口近くで出来るだけ気配を消して壁の染みと同化してどうするかと冷や汗を流しながら考えていたのだが。

 

いきなり後ろの扉からカランコロンと音が聞こえると話し声が聞こえてきて………、

 

 

「────いややっぱりよぉ、あの怪しい入信書にサインしたのは間違いだったんじゃねえか?あの聖職者のネーチャンは確かに美人だったけどよお………」

 

「何を言ってるんですかルクルット!?あの方は殺されてしまった僕達をその慈悲深き心で無償で蘇生してくれたんですよ!?それに実際、人を蘇生させるのにはとてつもなく高度な腕が必要で…………!」

「まあまあ、落ち着くのであるニニャ。そのセリフ昨日だけで10回以上聞いて耳にタコができたのである」

「そうだぞニニャ、それに無償という訳では無いだろう?…………お酒が欲しいと言ってて、お礼として街で一番の高級酒を買ったわけだからモモンと一緒にいった依頼料は全部吹っ飛んだし…………」

 

「それが信じられないと言ってるんです!普通、蘇生させてもらうには大量のお布施が必要で………!………ってあれ?貴方は確か………」

 

確かこのパーティーは墓地の時加勢してくれた奴らだったか。そう言い合ってる最中此方に気づいたのか思い出すような顔をしているニニャがこちらへと話しかけてきて。

 

「………あのすいません!確か貴方ってアクア様と同じパーティーの人じゃないですか!?」

「あ、ああそうだけど……………って、あ」

 

………そこではっ、と気づく。

 

そんな大声で言い合う声にギルド中の視線が入口に集まっていて。そしてそのまま流れるように俺に視線が向いている事に。

 

そして後ろから肩にポンッ………いやガシッと掴まれると。そのままギギギと後ろを向き────!

 

「おいお前、確かあの時墓地にいたやつだな、お前には今回のアンデッド発生について容疑が出ている」

「………えっとあのすいません、その方がどうかしたんですか?」

「お前たちには関係ない。……それじゃあお前は此方についてきてもら……………って、消えた!?」

 

そう言って肩を掴む力が緩んだ瞬間。

咄嗟に『隠密スキル』を使用し、慌てて冒険者ギルドから飛び出した──────!

 

 

 

「おい今の男どこに行った!!?」

「目の前で消えた………?何かの魔法か?とりあえず周辺を探せ!」

 

「えっと、一体何がどういうこと?」

「さあ………?─────あ、モモンさん!」

 

 

 

 

 

 

 

「─────この騒ぎは一体何だ?」

 

 

 

●○■□◆◇●○■□◆◇●○■

 

 

 

 

 

ギルドから慌てて宿へと帰って来る。

そのままダダダッと階段を駆け上がり………うるせえぞ!コノヤロウ!という宿の主人の怒鳴り声が聞こえてくるが………無視して自分の部屋の扉をバンっ!と開く。

すると部屋に一人で居ためぐみんが驚いた表情でこちらへ話しかけて。

 

「おや、カズマもうギルドから戻ってきたのですか?どうでしたか事情聴取は…………というかそんなに慌てて荷物を纏めて一体どうしたんですか?何処か出かけんですか?」

「詳しい説明は後でするっ!とりあえずみんな今直ぐに街を出る準備を…………いやそれもだけど、まずアクアとダクネスはどこ行った!?」

 

「あれ?下で見ませんでしたか?アクアは貰ってきた高級酒の飲み比べをしていて、ダクネスはそんなアクアを羽目を外しすぎないように見守っていたはずですが………」

 

くそっ、羨ましいな俺も貰いに…………じゃなくて!

 

「すまんめぐみん!急いでアイツらを呼んできてくれないか?非常に不味い事態になって────」

 

 

「ちょっとカズマしゃ〜ん、そんなに汗だくになっへ、どうひたのよ〜、でっへへ〜ん!ほらほらみへご覧なはい!わたひが治したぼうへんしゃのみんなからこ〜んなにおしゃけ貰ったわよ〜!わたひってやさしいからカズマしゃんにもちゃ〜んと分けてあげるわ!」

 

「お、おいアクア、止めなかった私も何だがいい加減そこら辺にしておいた方が………」

 

 

「─────って酒臭!!」

 

俺が開けた後ろの扉からそんなへべれけな状態のアクアが空いた酒瓶を持って突撃してくる。

ダクネスが抑えようとしているが当の本人は呑気にふにゃふにゃ笑ってる。

 

てかこいつこんな朝っぱらこんなベロンベロンに酔ってんのかよ。完璧なダメ人間じゃないか。

 

…………いやだからそうじゃなくて!

 

「おいアクア今は酒を飲んでる場合じゃない!どうやら今回のアンデッド発生の容疑が俺らにかかってるらしくて、衛兵に見つかったら有無を言わさずに連れていかれそうだ………!」

 

「えっ……!?カズマそれ本当ですか!?だとしたらかなりヤバい事態だと思うんですが………!」

「だからさっきからそう言ってるじゃないか!」

 

「おい不味いぞ………!という事はもし私たちが今ここで捕まった場合、ここに至るまでの経緯を説明しなくちゃならないだろう………?信じてくれるのか?私自身未だに信じられてないんだが………」

「ああ、そうならない為に今のまだ情報が出回ってない内に街を出て────」

 

「ねえねえカズマしゃ〜ん、このまほうぐいま鞄からおひたわよ〜。まっらくしっかりしてよね!」

 

「いや聞けよ!」

 

……っていうかしっかりするのはお前の方だろうがっ……!

駄目だこの酔っ払い使いもんになんねえ……!

 

「…………仕方ない、アクアはダクネスが抱えて連れ出すとして「えっ」………アクアをここまで放っといた罰な。……一先ずできる限り早く荷物を詰め込むぞ!……………アクアわかったら取り敢えずその魔道具こっちに渡せ。その呪いの装備しまっとくから」

 

そう言うと聞いてるのか聞いてないのか。アクアはあっちへこっちへ頭を傾けながら魔道具をジーッと見つめると。何か閃いたように手のひらをポンッと叩いた。

 

「ね〜、もしわらひがまたまりょくをぶわーっ、て入れたらまたこれ動くんじゃらいの〜?」

「アクア言いたいことは分かるが今は急いでるんだ、街の外へ出る馬車でも探してその中に乗ったら幾らでも試していいから─────」

 

「───────えいっ」

 

「「「あ」」」

 

そんな間の抜けた声と共にアクアが魔道具に力を入れて魔力を込めると。

膨大な魔力が渦巻き魔道具が再び光り輝いて…………、

 

 

 

───────って、ちょっ!!

 

 

 

こちらの世界と来た時と似たような同じ白い光が視界を埋め尽くすと………!

一際眩しくピカッと魔道具が光り輝き、視界が白で埋まった…………!

 

 

 

 

 

 

………………………。

 

 

 

 

 

「───────っ!」

「──────すいよー!」

「───────がいるんだが売ってないか?」

「──王都でも一番の露店だぜうちは!」

 

 

…………………王都?

 

大勢の人の喧騒が聞こえてくる。

どうやら前の時と違って意識は無くならなかったらしい。地面に足が着いて立っている感覚がある。

 

まさかアクアが適当に試した事が上手くいったのか?

 

そんなアクセルの街へ帰ってくることが出来たのかと僅かな期待を持つ。

そして強い光にシパシパしていた目が徐々に回復してきて周りを見ると。どうやらここは大きな露天通りとなっているようだ。

 

仲間たちは先程の光を直視してしまったのか。目がー!目がー!とかどこぞの大佐のような事を言いながら未だ悶えている。

 

そんな俺たちを周りは何やってんだ、みたいな冷たい目で俺たちの脇を通り過ぎていく。

 

…………つーか此処は何処だろうか?アクセルの街にこんな場所は無いと思うんだけど………。

 

もしかして王都って聞こえたからもしかしてアクセルの街じゃなくてそっちへ移動してしまったのか?

もしそうなら王都に居るアイリスに泣きついて帰りの馬車とか手配してもらった方が良いんじゃないだろうか。

 

そんなことを考えてると仲間たちの目が回復してきたのか。

俺と同じく辺りをキョロキョロしていたのだが。その内のダクネスが何故か冷や汗をかきながら俺の背中をトントンと叩いてきて……、

 

「お、おいカズマ………私の記憶が間違いじゃ無ければあそこに建ってる王城らしきものが私の知ってものとは全く違うんだが………」

「………それにカズマ、あの冒険者らしき人たちの胸元にあるのってもしかして…………」

 

そうダクネスとめぐみんに言われてようやく気づく。

少し離れた場所にある立派なお城。確かに前に王都に来た時に訪れたものとは全然違っていて。

そして周りの鎧を着ている冒険者と思わしき人々の胸元に俺と同じ様な金属製のプレートが着いている事に。

 

その事に気が付いた俺たちはギギギと後ろを振り返ると。今のこの現状の原因となった奴を引きつった顔で見る。

そこには未だ酒瓶を持ってボケっとしているアクアを此方が見ている事に気づくと。

 

するとそこでようやく今の状況に気づいたのか。

アクアが酒瓶を持ってない方の手をゆっくりと頭の上に持っていく。

そして何をするのかと疑問顔の俺らを正面に。

そのままコツンッと片目を閉じて舌をちょっぴり出すと。

 

「てへっ☆」

 

と、てへぺろと全く反省して無い顔でこんな言葉を宣うのだった。

 

「「「「………………」」」」

 

思わずピューっと四人の中に風が吹き、そのまま無言の空間が出来上がる。

アクアは未だ片目を瞑っていてそのまま両手でごめんのポーズを作る。

俺を含めて三人とも宇宙猫の様な顔になっている事だろう。

だがアクアが何と言ったのか段々理解してくると。

 

「………………………て、」

 

俺はわなわなと怒りに震える声で。

 

「てへっ☆、じゃねえよ!!!こぉんの駄女神がああああああああああ!!!!!!!!!!」

 

そんな俺の絶叫が辺りに響き渡る。

 

「あああああああ!!ごめんなさーい!!!!」

 

「おい待て逃げんな!!!今日という今日はタップリ反省させてやらああああああああ!!!」

 

「────ちょ、二人ともー!?」

 

そして逃げる涙目のアクアを捕まえようと追いかける。怒りで視野が狭くなる。後ろのめぐみんとダクネスが慌てているのが見えたが、既に遠くへ行ったアクアを見て直ぐにアクアを追いかけることに思考を戻す。

 

ってか逃げ足早すぎだろ!

 

それだけ今の俺の怒りがヤバいということにアクアが気付いたのだろう。

捕まらないように必死の逃げているアクアを追い詰める為に思考を回転させる…………!

 

 

 

「───だ、ダクネス不味いです!また知らない街であの二人と別れたらどうなるか………!というかあそこまで怒ってるカズマは滅茶苦茶ヤバいです!前にアクアが何故かアクセルの街にいたサキュバスを滅っさせようとした時と同じレベルで不味いです!」

「た、確かあの時はブチ切れたカズマにアクアが本気で土下座して許して貰っていたしな…………カズマはああなるとホントにとんでもない方法に手を出し始めるからな…………私もカズマが持っていた怪しい謎の本を燃やそうとした時も…………うぅ………」

「ああもう、何を悠長に回想しようとしてるんですかッ!?もうカズマ達見えなくなりそうなんですが!ほらっ早く追いかけますよ!!」

「ってああ待ってくれ!」

 

 

 

 

……………………。

 

 

ダクネスが慌てて走り去った場所の地面。

そこにコロコロと転がる魔道具の宝石が若干ポワンっと光ると。

そのまま我関せずといった様子でポツンと沈黙したのだった。

その後、女性がその場から落し物として持ち帰ったのだが。俺たちが気がつくのはまた後の話。

 

 

そして俺たちの先程の絶叫はどうやら既に未だ変わらぬ大空に吸い込まれていったようで。今度はギャーギャーワーワーと知らない土地での鬼ごっこが強制的に始まり。

 

衛兵に見つかり捕まるまで街中で騒ぎを起こすのだった。

 

 

 

 

 

 

 

こんの駄女神が!!!

 

 

 

 

 

 

○●◇◆■□○●◇◆■□○●◇◆■□

 

 

 

SIDEアインズ

 

 

 

「消えた?」

 

「はい、言われたようさらに監視を増やして宿を見張っていたのですが………宿から膨大な魔力と光が溢れた後に確認するとそこにはもう………」

 

「転移のスキルか……?だがそれでも痕跡は追えるだろう………?」

 

「はい昨日アインズ様に言われた方法で確認してみた所詳しい詳細は分かりませんがどうやらこの国の王都へ転移したと思われます」

 

「なるほど……だが分からんな、何故このタイミングで王都へ?」

 

「申し訳ありませんアインズ様、それは我々にも……」

 

「そうだろうな……まあ王都にいると分かっているならばまた眷属を使って探し出せば良い」

 

「はっ!そのように手配致します」

 

「宜しく頼むぞ………ところでなにやら下が騒がしいな」

 

「アインズ様のお耳を煩わせるとは……、下等生物共が、やはり今から喧しい羽音を出す口を削り取って……!」

 

「ナーベ」

 

「はい!」

 

「やめなさい」

 

「……了解しました」

 

 

 

「全く………ん?ああ、どうしました組合長そんなに慌てて、事情聴取は終わったと思うんですが……そもそもこの騒ぎは一体……?」

 

 

「えっ?カズマ少年が我々が聴取を受けている最中に来て?その時、他の冒険者からカズマ少年がアンデッド騒動の黒幕だというタレコミがあり、冒険者達が捕まえようとしたところ気が付いたら包囲網から居なくなっていて?宿へも向かったがもぬけの殻だと?」

 

「───その件のことについては我々から先程伝えていた筈だが……ああ、ちょうど事情聴取の時に来ていたから伝わらなかったのか……というかなるほどそういう事か…………いや、此方の話だ」

 

「…………今回の首謀者については先程言った通りで、カズマ少年たちは巻き込まれただけだろう。我々が保証しよう。

 

「………はぁ、全く面倒なことをしてくれる………アルベド我々は宿に戻るぞ」

 

 

 

 

「ん?伝言《メッセージ》………ああアルベドからか、……………そう言えばあの後連絡するのを忘れてたな………」

 

 

 

「………そう言えば確か緊急みたいな事とか言ってたけど…………もしかしてナザリックで何かあったのか?」

 

 

 

「………済まないな連絡が遅れた。それで要件は何だ?」

 

 

 

「………………は?…………シャルティアが反旗を翻した?………それに並行して私の安全の確保の為、ナザリック全軍をこの街へ向けて出発させているだって?

 

 

 

 

 

 

─────────────え???????」

 

 

 

 

 

 

 






頑張れアインズ!ナザリックの明日はどっちだ!!?




はい。という訳で取り敢えずここで完結です。
一回、最終回のプロットの方を消したと思ったら間違えてメインを消してしまって萎えて放ったらかしにしたんですが。
流石にあと一話だけ頑張ろうって書いてたら段々継ぎ足されて一万字超えました。
最後はちょっと適当でしたが許せサスケ。

この後どうなるかは皆さんのご想像にお任せします。
もしかしたらこの後アクシズ教が王都で流行るかもしれないですし、ナザリックで雑用として頑張るかもしれません。

この続きを書いてくれる方がいたら靴を舐めるのも辞さない覚悟です。


嘘です。
ただこの小説から他の人にアイデアが湧いたら良いなって思います。

最後まで見てくれた人が居るかは分かりませんがちょっとした暇つぶしにいかがでしたでしょうか。
また気が向いたら続きを書くかもです。
感想はゆっくり書いてこうかなって考えてます。

それじゃおやすみなさい。
いい夢を。
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