このすば勢 IN オーバーロード!   作:ナミカゼ鼠

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5.めぐみんと

 

心地よい風が足下を通りすぎ草木をなびかせる。日はすっかり登っておりその暖かさが今は心地よい。

出発地点のエ・ランテルの街を見ると全体像がギリギリ分かるので結構遠くの方に来たのだろう。

城壁が少しだけ下に見える事から思うにどうやらここは小さな丘のようになっているらしい。

 

こんな所にピクニックに来たらさぞ気持ちいいだろうな。

 

俺は木陰の下で歩き疲れた足を休ませながら俺たちが辿ってきた道を見ながらそんなことを考える。

そしてグッと背筋を伸ばした後よっこらしょと立ち上がりちゅんちゅん丸を腰に巻き直し小休憩を終える。

よく見ると俺だけでなく他の三人も全員剣や杖といった武器を持っており、ダクネスや俺に関しては鎧を装備している。

そして俺達は先程と同じようにモンスターを警戒しながらもノンビリとまた歩き始めた。

 

────そう。今俺達はモンスターと戦う為の用意をしていた。

 

 何故こうなったかというと今日の朝起きて全員で冒険者ギルドに向かった所。無事に全員分のプレートが出来ており、依頼が受けられるようになったからだ。

 ただこういう状況ではふつう情報収集すべきだと思うが、今は手持ちの金が心配だし、それに受付嬢の人から初心者用の簡単なクエストを勧められたので、ひとつ受けてみようと思ったのだ。

 

 クエストの内容はこっから南の方にある場所でどうやらゴブリンがいるかもしれないから調査してきてほしいというものだった。

 クエストの内容がいるかも?なので具体的な事はわからず実際居るかどうも怪しいので低級の依頼だそうだ。

 ただ報酬は良いらしいので結構いい依頼だと思う。

 

 依頼を聞いてダクネスがなんか興奮気味だったが、いつもの事なので無視すると「くっ……さすがカズマ、放置プレイなのか!」とか言って受付嬢をドン引きさせていた。

 

 そうして俺達は一旦宿に戻り荷物の準備をしてから必要そうものを道具屋で買って今に至る。

 クエストの依頼自体は簡単だが調査といっても、ただ見て終了な訳じゃなく、きちんと指定された範囲をまわってこなければならない。

 なので今、俺達は範囲内にいってゴブリンがいないかどうかを調べていた。

 アクアとダクネスはちょっと離れている場所を調べており、後もう少しで合流できそうだ。

 

 めぐみんはどうやら一昨日から爆裂魔法を打っておらず、かなり溜め込んでいるようで、いい感じの的が無いかどうかずっと探していた。

 ただ周りにあるのは草木といった小さなものしかなく大きなものは見当たらないらしい。

 

 するとだんだん呼吸が早くなっていくめぐみんを見て俺は心配になり声をかけた。

 

「なあめぐみん、もういい加減そこら辺の木にでも撃ったらどうだ?さっきからハアハア言っててちょっと怖いんだが」

 

 そう言うと目を紅くしためぐみんがこちらを振り返り一気に喋った。

 

「止めないでくださいカズマ!一昨日から爆裂魔法を撃っておらず、もうそこら辺のものでは納得できないのです!……せめてゴブリン等のモンスターに撃たないとこの衝動は収まりそうにありません!」

 

 ジャンキーなのだろうかコイツは。

 

「そうは言っても、もう後少しで範囲内の調査も終わるぞ。この感じだとゴブリンとかも出なさそうだし、ほらそこら辺の木で我慢しとけ。」

「嫌です!!」

「お前なぁ…………ん?」

 

 その俺の言葉がフラグだったのだろうか、めぐみんと言い合っていると敵感知に反応が……

 

「おい、めぐみん不味いぞ。敵感知に十匹ぐらいの反応がこっちに向かってきてる。…………とりあえずここはアクア達と合流して体勢を……………」

 

 

「──エクスプロージョン!!!!!」

 

 

 立て直すぞとそう言い切る前に前にめぐみんの爆裂魔法がゴブリン達に直撃した。辺りは砂塵に覆われ爆発の衝撃波が辺りを吹き抜けて行く。

その余波は当然俺達のところにも及び、凄まじい風圧で吹き飛ばされ体中土まみれになった。

 

 そしてようやく立ち直れる状況になって敵感知に反応があった所を見ると大きなクレーターができていた。

その様子が分かったのだろう。めぐみんが仰向けに倒れながら小さく一言。

 

「やったぜ」

「お前は!お前って奴はなんでいつもそうなんだ!」

 

 遠くからアクアとダクネスがこちらに走ってくるのを見ながら、俺の叫びは青空の中へと吸い込まれていった。

 

 

 

 

●○◆◇■□▼●○◆◇■□●○◆◇■□

 

 

 

「────はい。確認が終わりました。こちらが今回の報酬となります。調査及びゴブリンの討伐も含まれての報酬となりますのでよくご確認下さい。それではありがとうございました。…………お次の方はこちらへどうぞ!」

 

 そう言って俺達に報酬を渡した後、次の冒険者の相手をしている受付嬢を背に仲間の元へと戻る。

 体全体が土まみれなのでさっさと風呂に入りたいが、そもそもこの辺に銭湯があるのか分からないので今回は見送る事になりそうだ。

 

「────おい、お前ら聞いたかよ例の話」

「ああ……この近くで謎の大きな爆発音と揺れがしたって件だろ…………噂じゃあ巨大な魔物がこの近くに現れたって話だが」

「俺は闇組織の違法実験って聞いたぜ!」

 

冒険者達のザワザワと雑多な音を聞き流し、そこそこの報酬に満足しながら冒険者ギルドから出て行く。

とりあえず当面の資金はゲット出来た事だし、明日からはこの街を回って本格的な情報収集をしていくか。

 

そんな事を魔力の使い過ぎで動けないめぐみんを背負いながら考えていると、珍しく真面目っぽい顔をしたアクアが話しかけてきた。

 

「………ねえカズマ」

「ん?どうしたアクアそんな顔して、何か変なもんでもくったか?」

「違うわよ!そうじゃなくて………どうやったら、前の世界に帰れるかっていうことよ!私早く帰ってゼル帝の餌やりしなきゃいけないんだけど」

「………そうですね、確かにいつまでもこのままと言うのも困りますね。私もちょむすけの世話がありますので。……その為にはあの魔道具の文字の意味を考えなくてはいけませんが」

 

「……………。」

 

 ………俺も別に何も考えていなかった訳じゃない。ただどうしても元の世界に戻る為の方法が浮かばないのだ。

 あの魔道具の文字……『元の世界に戻りたくば、その世界での役割を果たせ。』……その世界の役割とは一体どういうことなのか。

そんな事を珍しくシリアスな雰囲気で話しているとダクネスがふと気づいたように顔を上げた。

 

「そういえば文字の最後の方に小さく何か書いてなかったか?」

「え?ホントか?」

「あ、ああ……あまりハッキリとは覚えてないが………ちょっと魔道具を見せてくれ。」

 

 そう言っているダクネスに魔道具を渡すとダクネスが確認し指を指した。

 

「これだ、小さくて分かりにくいがやはり何か書いてある」

「なんだこれ、骸骨の……エンブレムか?」

「確かに何でしょう、この私のセンスにビンビンくるカッコイイ模様は」

 

ダクネスが指し示した場所を確認すると確かに何か模様の様なものが彫ってあった。それは細い線を組み合わせて恐ろしい顔の骸骨を表しており、めぐみんの言う通り中々カッコイイデザインだった。

しかし一体これは何なのか。これがなにか元の世界に戻る方法を示しているのだろうか。

 

そう疑問に思いながらも何故か俺はその模様に不気味でひどく恐ろしいものを感じた気がした。

 

 

 

 

●○◆◇■□●○◆◇■□●○◆◇■□

 

 

 

 

あの後、魔道具に他の手掛かりになるようなものがないか探したが結局それらしいものは発見出来なかった。

 なのでひとまず魔道具の調べるのは辞めることにして、宿で食事を取った後皆で情報収集を兼ねて、買い物に行くこととなった。

 

 大通りは夕方なのにかなり賑わっており、今日の晩御飯の食材を買うであろう奥様方や、家に帰る子供達が大勢いた。

 俺達はどこで道具屋に行ったり、武器屋に行って冷やかしたりしてるとかなり時間が経ち、もうそろそろ宿に帰ろうかと言う時、ダクネスがあっと声を上げた。

 

「すまない……皆ちょっと先に帰っててくれないか。少し買い忘れたものがあった。」

「ああ、別にいいけど……何を買い忘れたんだ?」

「き、今日の戦闘でちょっとあってな、ポーションを使ってしまったんだ。だから買い置きしておこうと思ったんだ」

「そ、そうなのよ。ついでに私も一緒に行ってくるから宿で待っててちょうだい」

 

 ?どういうことだろうか、確か今日の調査ではこいつらは戦闘をしていなかったはずだが。

 

 何故か顔を少し赤くして目を泳がせているダクネスとそっぽを向いて、下手な口笛を吹いているアクアに、俺は怪しいと思ったがそれ以上の追求を止めた。

 ただどうやらアクアもダクネスについて行きたいようなので二人と別れ先に俺とめぐみんで帰る事にした。

 

 なんか最近コイツと二人きりになる事が多いような気がするが。

 そう思ったのはどうやら俺だけみたいでめぐみんは全く変わらない感じでさっきの二人について話しかけてきた。

 

「あの二人どうしたんでしょうか。なんか誤魔化していた様ですけど」

「あ、ああ……どうせダクネスが自分の不器用で派手に転んだ所、アクアが自分で回復魔法を使えるのに間違えてダクネスにポーションを使っちまったて所だろ」

 

そう俺がめぐみんに答えるとそのめぐみんがこっちをじっと見てきて………。

 

「お、おいなんだよ」

「いえ……、実際に見た訳じゃないのに良くそこまで分かるなあと感心していたんです。普通そこまで深くは分かりませんから」

 

そう言うとめぐみんはぷいっと顔を逸らした……。

 

「まあ、そりゃあ結構お前らとも長い付き合いだしな、それによく振り回されたりするから理解出来るようになっとかなくちゃな」

「そうですか………。」

 

どうしたんだろうかコイツは、いつもならこの辺で今日の爆裂魔法の事についてぶっ込んでくるはずだが。

 

俺はそう思ってめぐみんに何か話しかけるべきか悩んでいる時にふと、通りの向こう側が騒がしい事に気が付いた。

どうやらその事にめぐみんも気づいたようで、

 

「?どうしたんでしょうか、何やらあちらの方が騒がしいですね………。カズマ、ちょっと行ってみましょう」

「あ、ああ」

 

さっきまでの変な空気がなくなり、俺とめぐみんで騒がしい音がする方へ向かって行った。

さっきまでのめぐみんについてもう少し話しかったが仕方ない……。

どうやら騒ぎは大通りの方でなっているらしい。

 

俺達は路地裏を抜け、一体何を騒いでいるのかと確認すると────

 

 

「「ブフォッ!!!!」」

 

 

 

────そこには大きなハムスターに跨がり、大通りを歩んでいる全身鎧姿の男がいた。

 

 

 

 

 

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