このすば勢 IN オーバーロード!   作:ナミカゼ鼠

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7.合流

 

「あのカズマ、謝りますからもうそろそろ機嫌を直してくれませんか?……ほらこのハンカチで涙を拭いてください。」

「な、泣いてねえし!ただちょっと大きめのゴミが目に入っただけだし!…………な、なんだよその目は!」

 

 冒険者ギルドを飛び出した後。めぐみんに指摘された俺はもう一度墓地の方へ向かって行ったが、追いかけてきためぐみんにあっさりと捕まり慰められていた。

 そして俺のそんな言い訳じみたセリフにめぐみんは、分かってますよ的な顔でこちらに強引にハンカチを渡してきた。

 ………というか全力で走ったのに追いつかれて年下の女の子に慰められるってどうなんだろうか。

 その事実に俺が再び落ち込んでいると、それに気付いたのかめぐみんが慌てて別の話題を持ってきた。

 

「そ、それよりカズマ、アクアとダクネスは一体何処に居るんでしょうか?冒険者ギルドには結局居なかったみたいですし………。」

 

 あ、そういえばすっかり忘れてたが確かにあいつら何処に居るんだろうか。めぐみんの言う通り冒険者には居なかったし。

 めぐみんにそう言われて首を傾げたが、はたと気づき俺は立ち止まった。

 

 ………ん?ってかそういえば、あいつらあの鐘の音の意味分かんのか?

 俺もめぐみんも宿のおっさんに言われるまで分かんなかったんだが………

 

 そして、その事に自分で言ってて気付いたのだろう。だんだん顔は青くなっていくめぐみんを見て、同じ様な顔をしてるであろう俺は冷や汗を出しながら、

 

「ま、まあ!もしかしたら、先にこの異常を察知して墓地に居るのかもしれないしな!」

「そ、そうですよね!アクア達の事ですからきっと私達よりも先に墓地に着いていますよね!………ですよね?」

 

 ヤバい。何がやばいって、アクアとダクネスが何も知らずにそのまま宿に戻っていればいいが、もしこの混乱の中から全く土地勘の無いこの街全体からあいつらを見つけるとか絶対無理だぞ。

 

 意外な落とし穴に俺たちは不安そうな顔を見合わせるのだった。

 

 

 

 

 

 

「なんか冒険者が増えてきたな。」

 

 

 あの後。あそこでどう悩んでも現状ではどうしようも出来ないと結論を出した俺たちは再び目的地へと歩き出した。

 しかしどうやら目的地に結構近いて来ていたらしい。あちらこちらの道から様々な冒険者が慌てて走っていた。

 

 それを見た俺たちも慌てて走り出し道を抜け、角を曲がった所で四〜五メートルはあるだろう大きな門に出くわした。

 そして、あそこの中が例の不死者の大量発生の場所なのだろう。あちらの方角から敵感知にたくさんの反応が………、

 

「はあ!?なんだこれ!?」

 

 それを感知した俺は思わず大声をあげ、

 

「ど、どうしたんですかカズマ、いきなり大きい声を上げて」

 

「いや、どうしたもこうしたもねえよ!俺の敵感知に有り得ないぐらいの数が反応しているんだが!」

 

 マジかよ。この距離からでも分かるだけで数百体以上の反応があるし、中にはそこそこでかい反応を持った敵もいる。

 それを感知した俺は真顔となり、めぐみんと向き合って………、

 

「よし、逃げよう」

 

 そう言って今来た道を引き返そうとする俺のマントをめぐみんがガシッと掴んできて………

 

「やめろぉ!バカな事してないでさっさと離せ!俺はこれから宿に戻って知らないフリをするんだ!」

「バカな事を言ってるのは貴方の方ですよ!さっき言ってた事をもう忘れたんですか!というか冒険者ギルドのお姉さんに頼まれたのはどうするんですか!?」

「後で考える!」

 

「こ、この男……!」

 

 めぐみんとそう言い争いをしていると大きな門の中から大きな声が聞こえてきた。

 その冒険者達のものであう声を聞いた俺とめぐみんは顔を見合わせ……とりあえず言い争いをやめ、そこに向かっていった。

 

 

 

 

 

「おいおい、大丈夫かあれ」

 

 俺とめぐみんが門の前までいくと中から怪我人が運び出されていた。

 その中にはかなり重症なものもいて呼吸が荒く、見た限りもう余命は後少しといった所でその冒険者の周りには仲間であろう人達が声をかけあっていた。

 

「おい!お前はこんな所で死ぬやつじゃねえだろ!」

「頑張れ!後もう少しでギルドからポーションが届くからな!」

「そうだ!あともう少し耐えろ!必ず助ける!」

「ゴフッ………いや、いいんだ……お前らとパーティーが組めて良かったぜ………また、いつかあっちで一緒に酒を飲もうぜ。……じゃあな先に行っ『セイクリッド・ハイネスヒール!』」

 

 映画のワンシーンの様な光景。だがそんな光景に場違いな声が響きわたった。

 そして、つい先程まで死んでしまいそうだった冒険者の傷が綺麗に回復し、非常に見覚えのある青い頭のやつが、唖然とする冒険者にニコニコと話しかけた。

 

「はい、これで大丈夫よ!これでまたパーティーも組めるし、お酒も飲みに行けるわよ!良かったわね!そうそう、別に見返りが欲しくってやったわけじゃないんだけど、もし貴方がどーしてもって言うならお酒を奢ってくれても構わないわよ!」

 

 と、非常に空気の止めていない発言をするアクアを俺は見つけれた事に安堵すべきなのだろうか。

 しかしとりあえず今は、何が起こってるか分かってない冒険者に怒涛に話しかけているアクアを止めることにした。

 

「おい、アクア」

 

「あっ、もちろんただのお酒じゃ駄目よ。命が助かったんだからそれ相応のものを用意しないとね。それから」

「死にかけだった奴にたかるなこの駄女神が」

 

 そう言って俺は聞こえてないアクアの後頭部を思い切りひっぱたいた。

 

「痛い!何するのよ!………ってカズマとめぐみんじゃないなんでここに居るの?先に宿に戻ってたんじゃなかったの?」

「それはこっちのセリフだ、お前らが全然帰ってこなくて探しに行こうかと思ってたんだぞ。というかお前は一体何をやってるんだよ」

 

 そういうとアクアは俺が叩いた部分をヒールで癒しながら、

 

「見ての通り怪我人を回復させてるのよ。何故だかわからないけど、墓地の方からいきなりとんでもないアンデットを感じてここに来たのよ。全く訳が分からないわ。ポーション屋では痴女に襲われるし………。」

「おいアクアその話詳しく」

 

「カズマ、バカな事言ってないでとりあえずそこの冒険者さん達に説明してやって下さい。ずっと呆けてますから。」

 

 そこでめぐみんに言われてようやく気付いたのか冒険者も自分の傷を確かめて………、

 

「な、無い!傷が無いぞ!全部塞がってやがる!」

 

と、驚いた声をあげた。そうして仲間であろう冒険者たちも声をあげた。

 

「おい!まじかよ!あそこまでの傷を治せるなんて第4いや、第5位階魔法に匹敵するんじゃないのか!?」

「なっ!本当かよ!それが本当だったらあの嬢ちゃん英雄級と同じってことじゃないのか!?」

 

 そう驚いている声を出している冒険者達を見て、なんだか面倒臭そうな感じになりそうな予感をした俺は傷が治ったやつに話しかけて。

 

「えーと、大丈夫そうですね。じゃ、これで俺たちは失礼しまーす。」

「えっ?ちょ、ちょっと待っt」

 

 呼び止める声を無視し、俺はアクアとめぐみんを引き連れてさっさとその場を後にした。

 

 

●○◆◇■□▼●○◆◇■□▼

 

 

「そういやアクア、ダクネスは何処に居るんだ?お前ら一緒に行動してたんじゃなかったか?」

 

  さっきの所からいろいろ面倒になる前に、と急いで離れている最中。俺はアクアにそんな事を聞いていた。

  先程はそれどころではなくアクアに聞きそびれてしまったが、俺が見た所あの場にダクネスは居なかったのだ。

  それを疑問に思いアクアに聞いてみると、突然の質問にキョトンとした顔で。

 

「ダクネスなら多分今は、墓地の最前線で戦ってると思うわよ?」

「……は?最前線?」

 

  なんであいつはそんな危険そうな場所にいるんだ?

 

「えっと……、なんでダクネスはそんな所にいるんでしょうか?二人共宿へは帰らなかったんですか?」

 

  めぐみんも疑問に思ったようでアクアにそう聞くと、アクアがヤレヤレといった感じで。

 

「いや〜実はね、私たちがポーション屋へいった時に何かトラブルに巻き込まれちゃったのよ。」

「トラブル?」

 

  俺がそう聞き返すとアクアはコクリと頷いた。

 

「私とダクネスがポーション屋へ行ったのはいいんだけど、お店が閉まっていたのよね。」

「なんだ、閉まっていたんならそこで何かあったわけじゃないんだろ。それでどうしたんだよ。」

 

  コイツの事だから誤ってポーションを壊してしまうぐらいの事はしてしまいそうだと思っていたのだが………まあ、開いてなかったなら大丈夫だろう。

 

「ええ。だけどそのまま帰るのもなんか癪だから中に入ってみたのよ」

「ちょっと待て」

 

 なんでそこで勝手に中に入るという思考になるんだこいつは!

 そう思ってアクアに問い詰めるとどうやらアクアも何も考え無しにそんな事をした訳じゃないらしい。

 

 どうやら詳しく聞いてみると。

 

 アクア曰く店内から物音が聞こえたのでもしかしたらまだ店員が店の中に残ってるかもと考えて中を覗いてみたようで。

 ダクネスからは中を覗くだけで店の中には入らないよう注意されたらしいが。

  すると、店の奥の方で何やらさらに大きな物音がしたのでダクネスとアクアが何かを感じ顔を見合わせて、注意しながら店の奥へ行き扉を開けるとそこでは………!!

 

「痴女の格好をした変な女が男の子を誘拐しようとしていたのよ!!」

 

「うん」

 

……………うん。

 

「とりあえずアクアが何を言ってるか全く理解出来ないことは分かった。」

 

  何がどうなったら店に入ったら、痴女が男の子を誘拐する場面に繋がるんだよ!

  俺がそういうとアクアはムッとした顔で。

 

「仕方ないわよ!ホントにそうなんだから!しかもその後、ネクロマンサーのおっさんも出てきて殺されてた人達をアンデッドにしようとしてたから私が強制的に止めたのよ!」

「えっ?」

 

 殺されてた人達だって?

 

「どういうことですかアクア?それってその誘拐犯が殺したって言うことですか!?」

「おいおい、それが本当だとしたらやばいぞ!立派な殺人じゃないか!しかもアンデッドだって!?」

 

 ヤバい 。 何がヤバいって、もしかしたらその事件と今回のアンデッド騒動が同じ奴の仕業かもしれないってことがだ。

 そりゃそうだ。こんな事件が起きた同じ日にアンデッドに関する事が共通してあったら当然そう疑うべきだろう。

 というかアクアとダクネスはその後どうなったんだ?アクアがここに居るって事は無事だったようだが………。

 

「それで、その後一体どうなったんだ?お前がここに居るってことは無事だったらしいが。」

 

 そう聞くとアクアは思い出すような顔をして、

 

「えっと、その後ネクロマンサーのおっさんが痴女に私たちを殺すように命令してたんだけど、ダクネスが私を守ってくれてね。痴女の攻撃じゃ全然ダクネスに効かなかったんだけど、ダクネスの攻撃も当たんなくて千日手になってたわ。そのうちにアンデッドのおっさんは居なくなってて、次第に痴女も攻撃が効かない事に苛立ってきて最終的には男の子を気絶させて誘拐していったのよ!」

 

 なんということだろうか。

 まさか俺とめぐみんが巨大なハムスターに乗った男と出会った時にそんな大変な事が起きているなんて一体誰が想像出来るんだろうか。

 

「そして、ダクネスが逃げた誘拐犯を追っていったんだけど見失っちゃったのよ。そうしたら墓地の方からアンデッドの大量発生が起きたからダクネスはそっちに向かっていっちゃったわ!」

「ダクネスは、って………じゃあその間お前は一体何をしてたんだ?」

「そりゃあ、殺されてた人達を治してあげてたわよ。幸い殺されてて直ぐだったらしくて死体も綺麗だったから簡単に蘇生する事ができたわ」

 

 なるほど、こいつはこいつでちゃんと行動していたらしい。

 ……………だが、気になる事がもうひとつある。

 

「それでアクアその殺されてた人達を蘇生した後どうしたんだ?まさか放置して行ったんじゃ無いだろうな」

 

 そんな状況で放置させられてたら訳がわからなくて混乱するだろう。

 俺がそんな心配をしているとアクアはドヤ顔で、

 

「あたしを何だと思ってるのよ。もちろんちゃんと近くに居た全身黒い鎧を着た冒険者に冒険者ギルドに通報するように言ったわよ!………ただまあ、急いでダクネスを追いかけなくちゃいけなかったし、走りすぎる横で喋っただけだからその後の事は分からないけどね!」

 

 本当に大丈夫なのだろうか。

 いきなり知らない女が訳の分からない事を喋って走っていったってことでスルーされてないよな?

 というかそれってさらに混乱するだけじゃ…………

 

 そんな一株の不安を覚えつつ……俺たちはダクネスが居るであろう墓地の最前線へと向かっていくことにした………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………………」

 

「?どうしたんですかアクア、いきなり後ろを振り返って」

「……………いや、なんか今誰かに見られてるような気がしたんだけど…………」

「おーいアクアー!めぐみんー!何してんだよさっさとダクネスの元へ向かうぞ!」

「あ、はい分かりました!すぐ向かいます!…………ほらアクア行きますよ」

 

「…………………?」

 

 首を傾げたアクアは疑問に思いながらもめぐみんと共にカズマの元へ走っていった─────

 

 

 

 

 ────── その後ろ姿を高い建物から見下ろしていた不気味な黒い鳥の姿に気づかずに。

 

 

 

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