気付いているか?
オバロ要素を少しでも出す為にサブタイトルをそれっぽくしている事に………。
「ようやく見えてきたな、あそこが目的地か」
ここに辿り着くまでいろいろあったが、ようやく俺たちが墓地の前にたどり着くことが出来たらしい。
俺たちよりも先に着いたこの街の冒険者達が武器を持って、大きな扉の前でたむろしており、城壁の上にも鎧を着たやつがチラホラと見えた。
冒険者の中には俺たちが冒険者ギルド見た覚えのある顔の奴らの姿もチラホラと見受けられる。
………ちなみにアクアはここに着いた途端、さっさとどこかへ行ってしまった。
多分、ダクネスを探しに行ったんだろうがせめて一言ぐらい声をかけて行けよと思わずにはいられない。
そう考えながら辺りを見渡すと、門の前には冒険者達だけではなく、何故か冒険者じゃないただの一般人たちも集まっていた。
見た感じこの近くの住人だろうか。どうしてここにいるのだろう?ここら辺の避難はとっくに終わってるはずだが。
そう疑問に思っていると、隣のめぐみんが彼らを見て、帽子を深く被り杖をギュッと握りしめ呟くように、
「………彼らは自分たちでこの街を守ろうとしているんですね………」
と言い、ようやく俺も彼らがあそこにいる理由が分かった。
よく見ると全員各々大きめの包丁だとか、明らかに手入れされてないような剣を持って、門の前に並んでいた。
……………もし、この街がアンデッドによって壊滅させられてしまったら、ここにいる彼らだけではなくその家族までもが帰る場所を失ってしまう。
そうならない為にも彼らはお粗末な武器を取り、自分達にも何かできないだろうかと思い、ここにいるんだろう。
現に、今彼らは墓地の門の前で戦意を高めて…………?
そこまで考えてふと、何かおかしい事に気がついた。
確かに彼らは武器を持って墓地の前にいるが、戦意とかではなく、呆然とだったり困惑とした感じである。
呆然とするのは分かる。あまりの敵の多さに呆けてしまうだろうが………って、うん?
そう俺がいろいろ考えているとめぐみんが袖をくいくいと引っぱってきて。
「カズマカズマ、何かやけに静かじゃないですか?」
「……いや、そりゃあもうこんな時間帯だし、もう大体避難してここら辺にはもうあそこの奴らぐらいしか居ないんじゃないか?」
「いえ、そうではなく………先程までのアンデッド達の音はどこへ行ったんですか?」
そこまで言われて俺はようやくめぐみんの言いたい事に気付いた。
ここに来るまで途中ずっとアンデッドの骨がガチャガチャと鳴っていたのだが、先程からそれが聞こえてこないのだ。
そして俺は、アンデッド達がどうしたのか敵感知スキルを発動すると…………、
「………あれ?」
「どうしたんですかカズマ、それとも何かわかったんですか?」
自分が感じたものが信じられず、口から思わず疑問の言葉が出る。これを正直に伝えてもいのか迷うが、めぐみんがすぐに問いかけて来たため口篭りながらも本当のことを話す。
「いや、なんかアンデッドの数がめちゃくちゃ減ってるんだが………」
「…………はい?すいません、もう一度言ってもらって良いですか?何だか今、アンデッドが居なくなったって聞こえたんですが………」
「俺も知らねーよ!気づいたら敵感知の反応がほぼなくなってんだよ!」
めぐみんに聞かれてキレ気味に返すが、俺もマジで訳がわからない。
どうすればあれ程の数のアンデッドの反応が消えるという事になるのか。
………というか今更だが何でこっちに来て、一週間も経たないうちにトラブルに巻き込まれているんだろうか?せめてあのふざけた世界から離れたのなら少しぐらい落ち着いてもいいと思うんだが。
そんな事を考えながら若干現実逃避している間にもひとつ、またひとつと反応が消えていく。
とりあえずいったい門の向こう側で何が起きてるのか調べようと近くの冒険者に話かけようとした時、知っている声が後ろの方から聞こえて来た。
「カズマ〜!ダクネスが隅っこの方に1人で寂しそうにしているのを居るのを見つけたから連れてきたわよ!」
「ア、アクアその言い方だと私が可哀想な子みたいだからやめてくれ…………すまない皆!先に冒険者ギルドに行ったんだがすれ違いになったようだ!」
「おお!良かった、ダクネス大丈夫だったか……って、うわっ! お前どうしたんだよその格好!?」
アクアとダクネスの声に振り向きながらそう答えるが、ダクネスの姿を見た瞬間思わず声を上げてしまった。
どうしてかと言うと先程までは暗く、遠くからは見えなかったが、近づいてきたダクネスの姿はところどころ血に塗れていて、鎧には引っ掻き傷のような跡が数多く着いていたからだ。
そのダクネスの様子を見て慌ててめぐみんが。
「だだだ、ダクネス本当に大丈夫なんですか!? 何だかとてつもなく猫に引っ掻かれたような感じですが!?」
「ん? ……ああ、これの事か。ありがとう心配してくれて。先程誘拐犯と戦った時に少しばかり傷を負ってな。何、もうアクアに治して貰ったから大丈夫だ。………それよりもカズマ!何だか少し妙な事になって来た。」
「お、おお、ダクネスが無事なら良いけど………妙な事?」
俺たちは、アクアがダクネスを『ピュリフィケーション』で血を洗い流している間、これまでの事も含めて情報交換を行った。
すると、どうやら今回のアンデッド騒動にはやはりアクア達がポーション屋で出会った誘拐犯達が関係あるらしい。
ダクネスアクアと分かれて誘拐犯達を追っていた後。一度見失ってしまったらしく、冒険者ギルドの方に向かったが、その途中で屋根の上を駆けながら墓地の方へ向かう痴女………もとい、誘拐犯を見つけたらしい。
同じくダクネスも墓地の奥の方へと向かおうとしたがどうやらそこでアンデッドの大量発生が起き、襲われようとしていた人達を守るため足止めを食らったんだが………。
「だが?」
「ああ、そこで妙な三人組がやって来てな……いや、二人と一匹と言うべきか?プレートを下げていたから冒険者だと思うが、そいつらがアンデッドをまるで一騎当千というように蹴散らして行ってな。門の周辺のアンデッドは粗方そいつらが倒していってな、………お陰で犠牲者はほとんど出なかったんだが、とりあえず妙な奴らだったな…………」
なるほど、門の前にいるヤツらはいざ戦おうとしたら、いきなり敵が居なくなってて呆然としていたのか。
だけど、何故いきなりそんな奴らがここに現れたのか?まだその時はアンデッドが発生したばっかで冒険者ギルドにも連絡が行って無かったと思うんだが……。
「ダクネス、結局その妙な人達ってどんな感じだったんですか?」
そう考えているとやはり気になったのかめぐみんがそう質問していた。
確かにダクネスがそこまで妙と言うからにはどんな奴か気になる。
するとダクネスは顔を赤くして、言いにくそうに
「そ、その……信じて貰えないかもしれないだが、………一人は普通の魔法使いの女なんだが、もうひとりが……その……」
「どうしたんだよ、はやく言えよ」
何故か言い淀むダクネスに俺が急かすと、意を決したように早口で。
「……でかいハムスターに乗った全身鎧姿の大男だったんだ!コレでいいか!?私だって信じられないが本当にいたんだ!」
「ダクネス何を言ってるの?人が乗れるくらい大きなハムスターなんか居るわけないじゃない。戦った時に頭でもうっちゃったの?」
「本当なんだ信じてくれ!カズマ、めぐみん……ってどうしたんだ二人とも変な顔をして?」
「「…………」」
とてつもなくデカいハムスター………なんだろう物凄く身に覚えがある気がする。
めぐみんも気づいたのだろう。その証拠に汗がダラダラと流れている。
俺とめぐみんは大量のアンデッド相手に戦うことができる相手に噴き出した事と、美女に恐ろしい顔で追われそうになってた事を思い出し、どうしたことかと顔を見合わせた。