転生者の教え子兵藤一誠 A new HERO new LEGEND   作:影後

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一誠出ません


灼熱

「アギト……見つけたぞ」

 

闇の中で白と金色に輝く装甲を持ったクウガに、ジャガーの顔をした怪人。

ジャガーロードは拳を構えていた。

 

「ジャガーロード……殺すつもりはない、消えろ。私の敵はグロンギと……」

 

「アギトよ……お前は間違えているぞ。我等はアギトを殺すのではない、アギトの可能性を持った者達を進化させる。それが、我等の使命」

 

流暢な日本語でジャガーロードば目の前の存在と会話を続ける。

 

「お前が我等に与すれば」

 

「俺はどの陣営とも組まない、それはどの陣営にしてもだ」

 

「ならば……死あるのみ」

 

高速で迫るジャガーロード、しかし白と金色のクウガはいとも容易くその速度を捉えた。

落ちていた棒切を剣へと変化させ、ジャガーロードの脇腹を抉る。

 

「……俺はたった一人の少年に呪を与えてしまった」

 

「……クウガか……」

 

血を吐きながら、ジャガーロードはじっと白と金色のクウガを見つめている。

 

「………まだ、戦いは終わっていない。お前達がアギトを創り出そうが俺には関係ない。俺は、彼が関わらない限り、お前達ロードの邪魔はしない」

 

クウガはジャガーロードが消え去るのを見送り、変身を解く。

 

「あぁ……何故今、私にこの力を与えたのです。これを与えるならはじめからくれていれば」

 

男は闇に懺悔するように涙を流した。

 

 

 

――――――

 

 

 

夜も更けた、駒王遺跡の碑文の解析が一番行われているのは城南大学考古学部でもなく、1つの一軒家だった。今までのクウガ、兵藤一誠を救ってきた立役者は考古学者の母子である。神崎恵美子と神崎三門である。

 

「三門、解読も良いけど食べなさい」

 

「判ってるよ、でも……一誠さんの助けになりたいの。未確認がまた現れた。お父さんだけなんだよ、全てを知っていたのは。だから……」

 

「そうね、あの人は全てを知っていた。でも、話さずに逝ってしまった。後を……一誠君を私達に託して」

 

「………この一文だけどもうすぐ解けそうなの。この、お父さんが唯一解けなかったこの一文が」

 

「なら、御飯持ってきちゃうわね」

 

恵美子が部屋から出ると、パソコンが動き始めた。

 

「何で?私…何もしてない」

 

解読ソフトがかってに起動し、動き始める。

そして!最後の一文が画面に浮かび上がった。

 

「白き王、世界が、混沌に、在りし、時、蘇らん、清らかなる、戦士、心の力を、極めて、戦い、邪悪を、葬りし、時、真なる、アギト、目覚めん、 アギト、真の闇を、倒し、リントに、祝福を、与えん」

 

現れた碑文、それは恐ろしいものだった。

これを知らせれば、クウガは、一誠はまた心を殺して戦う事になる。

 

「……戦いは……戦いはまだ、終わっていないんだ」

 

「………そうだ、まだ戦いの前半戦が終わったに過ぎない」

 

「誰!」

 

急に窓が開き、パソコン以外のすべてが暗転する。

暗闇の中で男は静かに歩いている。

 

「三門!」「駄目!!お母さん!!」

 

三門を守るように恵美子は男の前に立ち塞がる。

自分の子供すら守れない親はいない、親は子供の未来を守るものだ。

 

「私は、それを解読していた。読めなかったのではない」

 

「……読まなかった、そうなのね」

 

恵美子は確信に満ちた声で男に言葉を発した。

男は恵美子の質問に頷き返す。

 

「お父さん……なの」

 

「…………」

 

男の姿が変わる、白と金色の装甲の未確認4号。

だが、三門と恵美子は眼の前の存在が誰かわかるのだ。

 

「私は白き王『ン・アギト・ゼバ』。クウガに、一誠に伝えろ。真の闇、究極の闇が目覚める。お前は手を出すなとな」

 

アギトは暗闇の中からゆっくりと消えていく、それに三門は手を伸ばした。

 

「待って…待ってよ、」

 

「恵美子、三門を頼むぞ」

 

世界が深い深淵へと呑まれていく。意識がだんだんと重くなり、瞼を開いていられない。だが、三門はひたすらに手を伸ばし続けた。

 

「お父さん!」

 

気がつくと、三門と恵美子はソファに座りブランケットがかけられていた。

そして、家族写真がテーブルの上においてある。

 

「ん……ここは」

 

「お母さん」

 

「……生きていた………いえ、なんで……」

 

「ねぇ、お母さん。やっぱり」

 

「馬鹿よね、お父さんは。こんなの……」

 

《口に合うかわかりませんが、簡単な夜食を用意しました。冷蔵庫に入ってるので、温めて食べて下さい。

PS:必ずお前達の所に帰るから、それまでは待っていて欲しい》

 

「……本題と逆じゃない」

 

恵美子は涙を流すことはせず、ぎゅっとその置き手紙を握りしめた。

 

 

―――

 

 

某所にて

 

「はい、此方は」

 

「ゲギバスゲゲルンザジラシザ」

 

「いや……助けて!」

 

「何が?!」

 

それは白昼堂々と行われた。警察署にて婦警が首の骨を折られて殺されたのだ。犯人はその場にいた全員が見ていた。

人間だったそれはゴキブリの様な黒い甲殻を持った人型の怪物へと変化した。

 

「未確認……未確認だ!」

 

警察署はパニックに陥る、市民の居る中で警察は例え未確認が居たとしても拳銃の発砲はできなかった。

 

 

―――――

 

 

 

ソーナ・シトリーは眷属と共に一つの捜査を行っていた。

それはリアス・グレモリー眷属の洗い出しである。

兵藤夫妻襲撃の容疑者がグレモリー眷属の中にいるという情報。

おかしいとは思わなかった、むしろ何故行わなかったのか。

シトリー家の自分がグレモリー家の眷属の情報を探す事はあくまでも情報収集であると言い、苦手な姉の力さえ使って調べていた。

 

「……さて、皆集まった情報を教えて」

 

一番はじめに匙が手を挙げた。この捜査に一番乗り気だったのは匙である。

匙と一誠は親友と言っても刺し違えない仲だ、学業スポーツのライバルであり、切磋琢磨する存在。それを苦しめた存在を許さないと誓ったのだ。

 

「リアス・グレモリー眷属のクイーン。姫島朱乃。堕天使と人間のハーフでありましたが、現在は転生悪魔てして生活しています。魔術主体の戦闘な為、接近戦は苦手とされていますが、被害者はそもそも人間です。また、所謂サディスティックな面もあり、敵対者になら残虐な事もできるのではないでしょうか?」

 

「匙、主観を入れるのはやめなさい。あくまでも客観的な意見だけを私達は求めています。」

 

「…すみません」

 

「では私が」

 

「椿姫、お願いします」

 

「では木場裕斗について……正直な所わかりませんでした。グレモリー眷属となる以前情報は一切無く、まるでいきなり現れたかのような……まさにジョン・ドゥ。しかし、兵藤夫妻が襲撃されたと思われる時間帯ですが、悪魔として召喚されていますね」

 

「わかりました。仁村さん、お願いします」

 

「……あの、塔城さんは違います。主観的な意見は駄目ってわかってます。でも………」

 

「話しなさい」

 

「調べたらわ塔城さんは猫又という妖怪の転生悪魔でした」

 

「……猫又…仁村、確か鋭利な爪って」

 

「違う!塔城さんは……一誠先輩がきっと好きなんです!いつも、何時も何処か視線を向ける際には一誠先輩がいて……それで」

 

「アリバイはあるのかよ!」

 

匙は普段見せないどすの利いた声で迫る。

 

「匙!」

 

「ちぃ………クソっ」

 

「ありません……その時、悪魔としての仕事もしてなくて、学園にも居なかったって」

 

「……怪しいですが、決めつけるには情報が足りません。最後は草下さん」

 

「はい……正直な話し調べるのが億劫でしたよ。荒島賢人、三馬鹿の一人で私達を悩ませる変態の一人。家はどこにでもある一般市民。人間じゃないということもありません。よく一誠君に突っかかる姿や邪魔する姿を皆に見られています。神器があるという話ですが物は不明、グレモリー眷属がその情報が出回らない様にしています。正直なところ、私達が一誠君を守る様にグレモリー眷属も荒島の秘密を守っていますね。ポーン8つ使用した眷属なだけあって力は強めですね。後、結構黒い噂もありますね。女子生徒を昔襲おうとしたとか、被害届けとかは無いので噂ですけど。まぁ……一誠君に恨みはありますね。アリバイも無しです」

 

「………容疑者は2名ですか」

 

ソーナ達はホワイトボードに貼られた塔城小猫と荒島賢人の顔をみて苦虫を噛み潰したような顔をした。


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