転生者の教え子兵藤一誠 A new HERO new LEGEND   作:影後

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灼熱 肆

そこに、既に優しさは、思いやりの心はなかった。

守れなかった、救えなかった。

学園で戦ったあの日のことが思い出される。 

足りなかった、覚悟も、力も、

 

(もっと力があれば)

(そうだ、アーシアを救えた。俺が殺した)

(俺が……アーシアを)

 

クウガは未確認49号に右手を向けた。

瞬間、未確認49号の体は燃え盛り灰とかす。

恐怖を感じていた。悪魔よりも恐ろしく、強い存在。

 

「攻撃よ!4号を倒して!」

 

「やってやる!」

 

龍の紋様が描かれた篭手を装備した少年が突貫するが、クウガは突貫した男の首を掴む。

 

「仲間を離してもらおうか!」

 

少年が剣を振り下ろすが、クウガは逆に剣を奪い自らの武器である紫の剣へと変える。だが、刀身は漆黒に染まり紫色ではない。

 

「ごふっ!」

 

少年いや木場裕斗の体を刃ではなく刀身で吹き飛ばす。

 

(コイツが……犯人か?)

 

怒りの中でもたった一つの目的は忘れていない。

家族の復讐、その為にここまでしてきた。

姉は心配しているだろう、だが犯人を殺せば笑ってくれると。

 

「裕斗君、距離を」

 

「朱乃!」

 

クウガが漆黒の刀身を姫島朱乃に突き刺そうとした瞬間、何者か

が邪魔をする。

 

「はぁ、契約だし色々とあるからねー。オニーサン、少し本気出そうか」

 

「なっ…何故貴男が!」

 

「正直、君の眷属がどうなろうと知ったこっちゃない。俺は労働の有難味を知り、自分なりに好きに過ごす。でも、そこに君が居ないと始まらんのだよね。俺のブレンドコーヒーを美味いって飲んでくれるお客さんが居ないとさ」

 

男の名はオリビエ•マーキス。本名、ライザー・フェニックス。

堅苦しい家にうんざりし、婚約者からも、家からも逃げ、喫茶店ポレポレのマスターとなった男である。

 

「さて……漆黒の目ね、リアスの嬢ちゃん。さっさと眷属連れて逃げな」

 

「ふざけないで!ここは私の領地で」

 

「もう小娘一人でやれる訳じゃないんだよ!とっとと失せろ!」

 

ライザーはリアス眷属をとの間に炎の壁を創り出した。

地獄の業火だけではない。もう一つの力、神聖な炎。

唯一、ライザーはフェニックスの別側面も受け入れる事が出来た。元は悪魔ではない、教会では再生のシンボルである。

フェニックスの炎は光と闇の2つの反発する力を唯一持った存在なのだ。

 

「くそ……難度死んでる!やばすぎるぞ!」

 

自身の体を何度も燃やし、再生させるが段々と力が弱くなる。

相手は究極の存在、凄まじき戦士クウガ。

腕力も、耐久力も、何もかもが違いすぎる。

転生者であるライザーにとって兵藤一誠を殺害するのは不可能に近い。

元々がリアス・グレモリーを押し付ける筈がまさかの世界はクウガとクロスオーバーを果たしている上、一誠は『仮面ライダークウガ』の五代雄介(主人公)であり、『ハイスクールD×D』の兵藤一誠(主人公)ではない。涙を仮面の下に隠し、1年もの間戦い続けた歴戦の戦士。

ライザーは実力者であるが、対人戦闘など久しく行っていない。

 

「リアス共は逃げ…なんで居るんだい白猫ちゃん‼️」

 

「にゃーお」

 

ライザーは驚きながらもクウガの攻撃が止まった事に安堵した。

 

「なーお」

 

塔城小猫は『シロ』としてクウガの足に寄り添おうとしている。

クウガの腕を離し、少しずつ距離を取る。

 

「家族に見られたくは無いよな、君も」

 

クウガが漆黒の瞳から赤い瞳へと変化する、優しく撫でるその様は店で見た優しい青年のソレだ。

 

「戻ったかい、良かったよ」

 

「マスター…悪魔だったんですね」

 

「正確にはな、今は喫茶店ポレポレのマス、危ないっ!!」

 

励ますように、お気楽な口調で話すライザーが攻撃される。

漆黒のローブを身に纏い、怨嗟の目を向ける何者かからの斬撃を身を挺して防いだのだ。

狙いは見えていた、クウガ、つまり一誠だ。

 

「ふー…随分と巫山戯たマネするじゃない」

 

「兵藤一誠がクウガだったとはな、だがこの際だ。お前も、お前の両親も今度こそ殺してやる。ついでに、お前もだ。ライザー・フェニックス」

 

「やってみせろよ」

 

ライザーはそう言うが、実際には短時間でクウガに殺されすぎたせいで再生が追いついていない。

いま戦えば、十中八九【死】だ。

 

「マスター、シロをお願いします」

 

「一誠くん、戦えるんだね」

 

「戦います、守るために。…変身‼️」

 

赤のクウガが月光に照らされる。拳を構えたクウガは憎しみや怒りではなく、守るために立ち向かった。

 

 

 

 

 

『ソーナ・シトリー』

 

匙を連れて転移したソーナが見たのは傷ついたライザーと抱きかかえられる白猫。

そして赤のクウガで戦闘している一誠。

 

「ライザー様⁉️なぜ失踪していたはず」

 

「げっ…セラフォルー様の妹のソーナ嬢、この事は内密に。一応俺もクウガの協力者だから」

 

「わかりました、説明をお願いします」

 

「あの悪魔が一誠君の両親を襲ったらしい、ちなみに塔城小猫じゃないよ。彼女はここ」

 

そう言いながらライザーは白猫を指差す。

 

「バラさないでください、一誠先輩は私を本気で白猫だと思ってるので」

 

「…聞いていたわ。昔飼っていた猫が帰ってきたと。そう、悪魔だったのね」

 

「部長には内密にお願いします、一誠先輩がクウガであることも話してないので」

 

そう言いながらクウガを見つめる。

攻防はクウガが有利に動いているが何処か攻めあぐねている様に感じる。

 

「俺はお前を許さない。だから、この手で倒す」

 

「笑わせるなよ出来損ない!お前ごときがこの俺を赤龍帝を!」

 

赤龍帝、その言葉は悪魔たちを震撼させる、だが、クウガ。

一誠にはそんなのは関係ない。

 

「俺は、守りたい。皆の笑顔を……そして、お前のような奴を許しはしない」

 

一誠は金にはならない。赤のママ決着を付ける。

 

「馬鹿め!」

 

飛び上がったクウガに火炎弾が放たれるが、クウガはそれさえを突き破り赤龍帝の胴体にキックを与えた。

 

「がっは……」

 

「一誠、大丈夫なのか?」

 

「…」

 

匙がそう言いうとクウガは振り返り月光に照らされながら、サムズアップをした。

 

「…まだだ、今度だ。今度こそ、殺してやるぞ。兵藤一誠!」

 

「なっ、まだ立ち上がるのですか!」

 

「お前の役割は所詮俺の踏み台だ!俺の邪魔ばかりするお前を…必ずだ!必ず、殺す!お前の家族も!お前の仲間も!」

 

ローブの悪魔が消えるとそのままライザーは倒れ込んでしまう。

 

「ぐっ…つぅ」

 

「マスター!」

 

「……まったく……ヒーローになるのも辛いねぇ」

 

「治療は私の眷属が」

 

「要らないよ、それに……埋葬しなくちゃ行けない子が」

 

「……未確認4号、ソーナ…それに…ライザー」

 

「だよなぁ、戻って来るか」

 

そこにいたのは烈火のごとく赤い髪をした少女。

ライザーが逃げた元婚約者、リアス・グレモリー。

 

「……その少女、蘇らせてあげる」

 

「リアス、なんの真似だ」

 

「……ライザー、黙りなさい。これは4号に言っているの」

 

「…彼女は生き返るのか」

 

「……人間ではないわ。悪魔としてだけれどね」

 

「何故、俺に」

 

「人質かしら、貴男が救おうとした少女。ソレが私の眷属に居るなら、貴方は手出し出来なくなると思ってね」

 

リアスとクウガの会話にソーナ、匙、小猫、ライザーは入れない。守れなかったのはクウガ、一誠なのだ。

人質とむしろ正直に話す当たり、何処か怒りよりも達観を感じる。

 

「……すまない、アーシア」

 

クウガはアーシアの遺体を抱きかかえると、リアスの前にそっと置く。すると、チェスの僧侶の駒のような物がアーシアの体に入っていく。

 

「これで終わりよ、4号。貴方は」

 

その場に既に4号はいない。

遠くの方からバイクの音がなっているだけだ。

 

「え…私は……」

 

アーシアが起き上がる頃にはクウガは居ない。

 

「リアス、貴方は!」

 

「ソーナ、貴女にも聞きたいことが出来たわ。ライザーもだけれどね。明日の放課後、部室に来てもらえるわよね」

 

「…良いでしょう、わかりました」

 

「仕方ないか……あと、俺は悪魔の陣営には戻らんからな。婚約者とかもゴメンだ」

 

「そう、アーシアさんは私と来てもらうわよ」

 

「あの、私は」

 

アーシアの返答を待たず、リアスは転移で消える。

もう一人の眷属には気づかずに。

 

「私は家に帰ります、ライザー様。申し訳ありませんが途中までは歩きますので、家までは運んでください」

 

「……わかったよ。ソーナちゃんと眷属君も気を付けなよ。夜は未確認生命体が良く暴れる。一誠君に、もう友達の死をみせんなよ」

 

ライザーはそう言いながら転移する。

 

「…帰りましょう、問題は明日です」

 

「会長、明日は」

 

「良いですね、一誠君の事は隠し通します。必ずです」

 

灼熱は未だにあり続ける。

 

 

 

 

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