転生者の教え子兵藤一誠 A new HERO new LEGEND 作:影後
レーティングゲーム、ソレは悪魔の格付けとも言える重要な物。
その中でも、ライザー・フェニックスは公式戦無敗、非公式戦無敗。忖度による敗北を教示せず、己の身一つで戦い常に勝利をもぎとって来た戦士。
「……さぁ、俺とタッグを組むのはこの男。リアス・グレモリーの眷属に憎しみを抱き、全てを破壊し尽くさんと怒りによって目覚めた究極の闇。悪魔も天使も恐れ慄け、今此処に究極の闇が顕現した!」
意気揚々と仲間を話すライザー、それぞれの向かう方向は決まっている。
「では、クウガ。わかっているね?まだ、殺しは無しだ」
「(コクリ)」
ライザーが話すことではないが、目は赤だがその身体は戦う為か、心からの怒りか、凄まじき戦士となっている。
完全にコントロールしているようだが、いつ暴走するか
気が気でない。静かな業火、今観客に居るだろうソーナと
その眷属達も同じ気持ちだろう。
「……クウガ」
「退け、俺の目的は貴女ではない」
「いいえ、仲間を狙う貴方を」
クウガはそう言われる前に首を締め上げた。
本来の彼ならこんな戦い方はしないだろう、
だが瞳の色は赤く、そして涙を流しているように鮮やかだ。
「なん………」
「ごめんなさい」
相手は自分も知っているほどの学園のアイドル的存在。
姫島朱乃。その首を掴み、苦しむ様に激しく心が痛む。
だが、それでも己の目的の為にはこの手を緩めるわけには、
絶対にいかないのだ。
「ぐっ……」
何度も何度も腕を殴られるが、
凄まじき戦士へはダメージが一向に与えられない。
それどころか、クウガに傷をつけようとするたびに
己の拳が酷く焼けるように痛む。
「……」
完全に意識を失ったのだろう。
力なく腕は地面に向けてだらんと落ち、戦う力は無いだろ事が
姿から理解できる。
クウガは姫島朱乃を横抱きにすると安全な位置を探す。
「回収は此方で行います」
銀髪のヴィクトリアメイドがスカートの裾を上げて立っている。
敵ではない、そう考えゆっくりと地面に下ろす。
「……」
クウガは女性に軽く頭を下げ、目的の為に走り出した。
悪魔と堕天使はクウガを傷付けることが叶わない。
その大きなアドバンテージから来る油断ではない、
クウガとして仮面の下で、涙を流しながら戦った戦士。
いや、高校生『兵藤一誠』としての心がそうする。
「4号…僕達の邪魔は」
「祐斗先輩、よしましょう。
姫島先輩が簡単に倒されたんです。私達では勝てません」
「小猫ちゃん…でも、」
「戦力は大事です。
今、第三勢力に潰される訳には行きません。
4号さん……その、貴方の狙いはリアス部長ですか?」
「……」
クウガは無言で首を横に振る。
「私達のどちらかですか?」
同じ様に首が動く。
「……行ってください」
「小猫ちゃん!」
「祐斗先輩……何れ、理由は知らされます」
「……小猫ちゃんは知っているのかい?
4号が、荒島君を狙う理由」
「……知ってますよ。だって、病院を襲撃したんだから。
4号が…虐殺をする未確認生命体を許すはず無いですよ」
クウガは走る。
凄まじき戦士となりて、心の奥底から湧き上がる怒りを、
決して憎しみではなく、正義の怒りで走る。
父と母を殺された怒りもある、だが…あの男。
荒島賢人は病室を丸々一つ爆破した。
無論、壁は吹き飛び両隣の部屋。
上下の部屋も被害を被り、患者、職員、見舞者含めた13名が
一瞬にして殺害された。
荒島賢人は奴と、『未確認生命体第42号』と同じだ。
嗤っていたのだ、奴は………
「来やがったな…兵」
言葉を言い終わる前にクウガは、
凄まじき戦士は未確認生命体を殴り飛ばした。
馬乗りになり、何度も、何度も、何度も何度も何度も、
頭蓋骨の形が変わろうとするほどに殴る。
「な……貴方!私の眷属に何を」
リアス・グレモリーが叫んだが、
周囲を自然発火能力を利用した聖なる炎の結界に閉ざされ、
身動きが取れない。
「部長……たす……け」
「笑わせるな……助けてだと……お前が殺した13人は……
そんな事を言えなかった!!!」
それは兵藤一誠の叫び、観客は理解していない。
いや、そこにいる一部の悪魔達以外は理解していない。
「……一誠くん」
「……クウガ」
「お前は!彼奴と…42号と同じだ!
人を嬲って、それを見て笑っている!
神も、悪魔も知ったことか!
未確認は…お前は…俺が必ずここで倒す!」
「黙れ!お前如きに……お前の様な!
何もない奴に!」
荒島の肉体が変わる。その姿は人間ではなかった。
蜥蜴の様な鱗が生え、人間とは思えない頭部。
殴られた痕は消え、醜く、おぞましい姿が現れる。
「クウガ…仮面ライダークウガ!
俺が…俺がこの世界の中心だ!この世界は俺のものだ!
俺が!…俺が!支配する!俺が!全てを!
なのに…なのにお前は…なんだ!
俺の邪魔をするな!この力も…命も!全てが俺のものだ!
なのに!何故お前が居る!何故!俺よりも強い!
巫山戯るな!ふざけるな!フザケルナ!
お前は、俺にコロされるべきなんだ!」
未確認生命体、グロンギやアンノウンとも違う。
人間が真に変貌した悍ましい何か。
力に呑まれ、自分勝手な憎しみが生み出した怪物。
「……他人を傷つけ、嗤う奴に世界を支配なんてさせない。
俺は……俺は戦う!あの時から……
俺が、護れなかったあの日から!変わらない!
お前みたいな奴のせいで!悲しむ人を見たくない!
だから……」
走馬灯が浮かぶ。
殺された両親、大切な姉と飼い猫。
チャンスをくれたちょっと、調子の良いお兄さん。
秘密を受け入れてくれた、仲間だと言ってくれた生徒会。
共に戦ってきた、警察官。
「先輩っ!勝ってください!」
「(見ててください、俺の)……変身ッ!」
凄まじき戦士、その姿が変わった。
形は変わらない、だがその色が違う。
4号-Bの様に何者にも染められない純白。
凄まじき戦士と同じ様に金色の装飾が施されている。
そして、決定的に違う瞳の色。
普段の赤でも、呑まれた黒でもない。
クウガの瞳は…金色に輝いていた。
「……優しい…気配」
「……なんだ色が変わった程度で!!」
荒島はクウガの胴体に拳を当てた。
地面がえぐれ、激しい衝撃波が会場で巻き起こる。
「は、」
「ふっ…」
だが、クウガは一歩も動かなかった。
それどころか、たった一度のパンチで荒島を吹き飛ばす。
「なんだ……なんだ……よ…それ!」
「……」
何も言わない、ただそこに立っている。
だが、それだけで悪魔達は理解する。
クウガから溢れ出る聖なる何か。
本来、聖なる光は悪魔にとって毒にしかならないもの。
「……優しくて…温かい……コレは……イッセーさん?」
「なんだ……まるで……母上に抱かれていた時の様な……
でも…なんだ………涙が…勝手に」
「何……この………悲しみは……まさか…一誠くん。
貴方の……貴方の悲しみなのですか」
アーシア、ライザー、ソーナは感じ取った。
全てを慈しむ様な優しさを、そして理不尽に嘆く悲しみを。
「気持ち悪いんだよ!」
荒島は殴る。クウガの頰を。
荒島は蹴る。クウガの脇腹を。
だが、総てが等しく、虚しい。
「なんだよ……なんなんだよ、お前は!」
殴るたびに焼かれていく。
痛みも感じていないのか、苦しみも理解できないのか、
荒島は一心不乱に殴る蹴るを繰り返す。
「……俺は……俺は貰ったんだ!俺は……力を」
「お前の力、それに意味が無い。
ただ殺戮を繰り返すだけの、お前なんかが…持ってて良い
力じゃない!」
クウガが動いた。
パンチ、一撃、一撃が金の赤よりも重い。
凄まじき戦士の時よりも重いと感覚的に理解する。
そんな一撃を左腕、右腕と交互に繰り出す。
「よせ……やめ……」
正拳突きの要領で荒島を吹き飛ばし、
クウガはその場に両腕を開き、腰を落とした構えを取る。
「ひっ……」
小さな悲鳴と共に荒島は惨めに逃げる。
だが、上手く立ち上がれない。
クウガは止まらない。その場で高く飛び上がる。
一回転し、右足を突き出す形で荒島に向かってキックが
放たれた。
「がぁぁぁ……」
荒島の肉体が朽ちていく。
それは、荒島にとって優しい光では無かった。
封印エネルギーが体内で暴走する。
グロンギの様にエネルギーがあり得ないほど溢れ出る。
だが、それは決して管理できないもの。
原子炉がメルトダウンするように身体が熱くなる。
「クウガ……いっ…せ……いっ!…せ!!!!」
激しい爆発と共に荒島は消えた。
肉片一つ残さず、世界から消えたのだ。
「……コレは」
「貴方…貴方よくも…私の眷属を!」
クウガに話しかけるリアス。だが、気にしていない。
それどころか、
目の前に落ちている篭手に不思議と興味が持たれる。
「……それは…赤龍帝の篭手?!渡しなさい!」
「?!」
だが、リアスが奪おうとするまでもなくクウガに
『赤龍帝の篭手』は吸収された。
「なっ……アナタ、形見まで奪うの!」
「……俺は未確認を…世界の敵を倒しただけだ」
「待ちなさい!」
「駄目です!部長!」
「離して……離しなさい!」
小猫がリアスを抑えた。
だが、叫ぶ。己の眷属を殺された主は、
ただクウガに向かって慟哭を叫んだ。