転生者の教え子兵藤一誠 A new HERO new LEGEND   作:影後

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戦場弐

「……いや…いやぁ…いやぁぁぁ!!!!」

 

「熱い…熱い!!」

 

「貧弱、貧弱ゥ!」 

 

「くらえぇぇ!!!」

 

「無駄!無駄ッ!無駄ァ!」

 

グレモリー眷属とクウガ、一誠の戦闘が行われている頃、

反対側ではたった1人による虐殺が行われていた。

 

「何故……いや…助け」

 

「我が妹以外の眷属が死ぬ様はどうだ?愚弟よ」

 

「なんで……なんでこんな事を!

皆……皆俺の仲間で」

 

「くだらん」

 

レイヴェル・フェニックスは目と耳を塞ぎ、

聞こえてくる悲鳴から現実逃避していた。

自分の尊敬する兄の、今の姿を決して目に焼き付けたく

無かったからだ。

最低な理由とはいえ、一時は仲間だった者達の悲鳴を

聞きたく無かったからだ。

忘れられないのだ。幼き日に起きた惨劇が。

愛する家族が、笑いながら殺戮をしていたあの日が。

 

「フフッ…フハハハハ。

見ているか、父上、母上!お前達は間違えたのだ!

ベルギット!お前も…お前の仲間のように今ここで!

何もなせず、我が炎に焼かれ、消え去るが良い!」

 

ライザーの家族愛は本物であった。

兄を尊敬し、敬愛し、弟と妹を守護する兄の中の兄。

だからこそ許せない。

 

「なんと…フェニックスの涙か。

くくっ…クハハハッ!フハハハハハッ!」

 

ベルギットの眷属たちがライザーの前に立ち上がる。

傷一つ無いが、その目に浮かぶのはただ一つ。

〘恐怖〙だ。

 

「んん~」ぱちんっ

 

ライザーが指を鳴らすと

聖なる炎がベルギットの足、腕を燃やす。

 

「ぎゃぁぁぁぁぁぁ」

 

「甘美な悲鳴だぁ……そう思わないか?諸君」

 

逃げない事に褒めはするが、それはそれとして敵対者だ。

 

「お兄……様?」

 

「レイヴェル、少し眠ろうね」

 

「え………」

 

ライザーもこれ以上の惨劇を

愛する妹に見せるつもりは無かった。

優しい炎がレイヴェルを包む。

まるで、布団の中のような心地よさが彼女を包み、

優しい眠りへと誘った。

 

「さて、出てもらうか。グレイフィア・ルキフグス」

 

パンパンと、手をたたくと現れたメイド。

 

「ライザー様、何用でしょうか?」

 

「妹を頼みますよ。えぇ、私は……コイツラを血祭りに」

 

「………はい」

 

グレイフィアも止めることはしない。

止められないのだ、ライザーの参戦は

フェニックス家、グレモリー家、シトリー家、レヴィアタン家、

という名家が支持した。

この場合、シトリー家とレヴィアタン家は関係ないと思われるが違う、グレモリー眷属、荒島賢人の殺戮風景を見せられ、

弱みを2家に握られたグレモリー家はシトリー家とレヴィアタン家を援護、フェニックス家は最後まで止めようとしたが、

現当主たるルヴァルがライザーにある条件を与え、許可した。

それは、ベルギットを完全に殺さないこと。

ベルギット以外はどうなって良いというルヴァルの意思だ。

ルヴァル自身、ベルギットという愚弟には嫌気がさしている。

自分より優れた弟は、自分を尊敬し、愛していた。

だが、そんな兄弟が壊れる原因を作ったのだ。

 

「……兄上。あぁ…我が敬愛するルヴァル・フェニックス。

お見せしよう。俺の力、俺の姿、俺の全てを!」

 

ライザーの炎が燃え上がる。炎の色で最も危険な色は何か?

それは赤ではない、赤色はだいたい1500℃。

黄色は3500℃。白は6500℃。

 

「さぁ…燃え盛る蒼炎の餌食になるが良い!」

 

青い炎は10000℃以上。

一歩一歩ライザーが進むたびに総てが燃えていく。

大地が融解し、沸々と煮だつ。

大気が燃え、皮膚がだんだんと焼け爛れる。

 

「さぁ……燃え盛れ!我がフェニックス!!」

 

ライザーを中心に蒼炎がまるで蛇のように大地をうねり、

ベルギットの配下達へ向かう。

 

「ひっ………」

 

「させないわ」

 

「……ユーベルーナ。お前か」

 

ライザーと同じ蒼炎を扱う妖美な女性。

本来なら、ライザーの女王となる筈だった女性。

 

「退け、貴様なら赦してやる。

降伏し、仲間が死ぬ様を見届けよ。

それが、このライザーからお前に与える慈悲だ」

 

「いいえ、それは出来ない。かつて…いえ、

私を捨てた貴方をここで倒す」

 

「……なんだ、俺に対しての未練か?

俺は元々話していた筈だ。

出家する事、お前の王には無れん事を」

 

「連れて行ってくれるだけで良かった!なのに、

貴方は私を見捨てた……だから……私と一緒に死になさい!」

 

「ちぃ…面倒な女だ!」

 

ユーベルーナ、家名はなくただ悪魔の一市民として産まれた。

ライザーに使え、ライザーと歩む未来を夢見ていた。

だが、そんな乙女の心は打ち砕かれた。

ライザーの暴走、ライザーの出家。

彼女は最期まで共に歩もうとした。

だが、それをライザーは斬り捨てた。

まるで価値がない人形の様に、

始めから興味など無かったとでも言いたげに。

 

「ちっ…炎が効かんだと?!

ユーベルーナ、貴様…一体何を!」

 

「殺す…殺してやる!ライザー!!!」

 

「ええぃ…貴様に構っていられるか!」

 

ライザーの視線の先では仲間とともに逃げようとしている

ベルギットの姿が見える。仲間の火傷を治しつつ、

グレモリー眷属を攻撃するつもりだろう。

それだけはさせるわけには

 

「私を見ろ!!!!」

 

「ちぃ……邪魔をするな!」

 

ユーベルーナは憎愛に満ちた瞳をライザーに向ける。

ウルミという特殊な武器を持ち、ライザーを斬り裂く。

本来の武器ならライザーに触れようとした瞬間に融解する。

それが万物の真理だ。魔力的な何かが付与されたとしても、

それこそ神々の武器でもなければ簡単に破壊できる。

破壊できる筈だった。

 

「なんだ……この」

 

ライザーの頰を刈り取る様にウルミが走る。

いや、刈り取るだではない。肉が削ぎ落とされた。

頰の肉が無残に落ち、痛みで頰を抑える。

 

「貴様……ユーベルーナ!!!」

 

「あぁ……見た……そうだ。私だよ。ライザー」

 

怒りが入った視線を受け、ユーベルーナは妖艶に微笑む。

まるで好きな男子に見られた少女のように、笑いながら

ウルミを振るう。

 

「ハハッ……あはは……」

 

「ちぃ…肉弾戦では対応が…」

 

ライザーも想定外だった。

自分よりも強い存在は知っているが、それは規格外だからだ。

同じ悪魔で、しかも自分よりも弱かった筈の女に此処までやられるとは思っても居なかった。

 

「ちっ…」

 

火炎を弾丸のように撃ち出し距離を取る。

だが、ユーベルーナのウルミが生きているかの如く、

それら全てを斬り裂いた。

 

「……ちっ、手加減は終わりだ」

 

蒼炎に聖なる力が宿る。

それは悪魔にとっての毒そのもの。

悪魔の生命を奪うための炎。

ユーベルーナは殺すつもりが無かった為、

使用しなかったが、それどころではない。

最悪、目的達成の前に自分自身が危険になる。

 

「あぁ……まだ遊ぶのね。踊りましょう、ライザー。

かつてのように、私と二人きりで」

 

「気色の悪い女だ!」

 

「ライザーはそのようなことは言わないのよ!」

 

「なんなんだ…お前は!!」

 

ライザーとしても冗談ではない。

何故この様な女性になってしまったのか一切の心当たりがない。

 

「ライザー!!!」

 

「なん?!」

 

ウルミがまるでレイピアの様に直線に伸びる。

回避は間に合わない、ライザーはそのまま腹部を貫かれた。

 

「……なっ」

 

内臓がグジュグジュとかき乱されたままユーベルーナが

迫ってくる。

 

「さぁ……私達も行きましょう」

 

「なら、俺がお前と共に死ねば…お前は気が済むのか?」

 

「_え?」

 

ユーベルーナをライザーは受け入れるように手を広げ、

囁く。そして、幼き日の様に静かに抱き締め、

 

「……無様だな」

 

ユーベルーナの腹を割いた。

 

「かは……」

 

「此奴らは回収する。回復も、攻撃もさせん」

 

ウルミとフェニックスの涙を回収する。

倒れたユーベルーナを一瞥し、目的達成の為に歩く。

 

「待って………待って」

 

「……眠れ、ユーベルーナ」

 

最期の別れのようにユーベルーナの唇にキスをする。

血の味がする醜いキス。

だが、ユーベルーナは微笑みをしながら力尽きる。

 

「……生きているか、まぁ回収はされるだろ」

 

ライザーの目的は弟陣営の抹殺なのだ。

ウルミを軽く振る、ユーベルーナの様に扱えず不満顔だ。

 

「此奴は返そう」

 

ユーベルーナの手の届かない位置に置き、そのまま走る。

 

「なんだ……まるで……母上に抱かれていた時の様な……

でも…なんだ………涙が…勝手に」

 

その時だ、ライザーが感じたことのない光が身体を巡る。

 

「これは……そうか、イッセー君か。

ふっ…私は醜いな。彼の様に、俺は光には成れないか。

だが、それならそれで良い。俺は、漆黒の意思で歩もう」

 

「まさか…ユーベルーナが……」

 

「……見つけたぞ、お前達」

 

そこにいるのはライザーではない。

真に世界の原初たる火を宿し、破滅と再生を繰り返す。

 

「受けてみろ、これが……不死鳥の焔だ」

 

「たっ……たすけ」

 

ライザーの本気。

怒りと憎悪、そして守るという意思が合わさった力を受け、

ベルギット陣営はその日、灰燼に帰したのだ。

 

 

 

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