転生者の教え子兵藤一誠 A new HERO new LEGEND 作:影後
「こんなの……ただの虐殺よ」
「……ルヴァル、お前はこんな物を」
「父上、母上、別に問題はないでしょう。
誰一人、死んでいませんよ」
「死ん……私の後輩が未確認に!」
「姫島さんだったね、リアス・グレモリーお嬢様の女王の」
ルヴァルは敗退した朱乃に微笑みながら言葉を綴る。
「主の預かり知らぬ所で無差別殺人をしていた。
我々悪魔は、人間を今この時代で殺す事をしないとしている。
無論、敵対者に関してコレは認められない。
だがね、面白い事に件の赤龍帝はグレモリーの領地にある
病院で日本人を無差別に殺した。
これね、かなり高度な政治的介入がされるのさ。
元々、駒王はグレモリーの領地だか管理者は実際人間さ。
領地と言うにはいささか問題がある。
それに、領地と言いつつ正確には霊的な守護。
我々悪魔が滅びない様にする為、
日本神話の神々に頭を下げた結果なんだよ。
悪魔に魂を捧げて死後、此方に来るのは選択したから。
っと、話が削がれたね。兎に角、私達悪魔の陣営。
しかも、逸れでもない。さらに言えば、グレモリー眷属が
虐殺したのが大問題。天照大御神様、直々に言われたのさ。
『日本の子らを殺した者を殺し、我等に示せ』とね」
「彼が殺人!?そんな馬鹿な」
「……なら、伊邪那美命様と閻魔大王に自分で話して来な。
君、元々どっかの神社の巫女だろ?元とはいえ日本人さ。
伊邪那美命様も多分受け入れてくれると思うけど」
ルヴァルは心底どうでもいい様に話す。
実際、どうでも良いのだろう。
ルヴァルの話の通りなら、グレモリー家の眷属のせいで
悪魔陣営は政治的大問題に直面しているのだから。
「しっかし、未確認生命体4号なんて。
我が弟は何処で見つけてきたんだ」
ルヴァルの視線は一人、戦場に佇む4号に向けられている。
リアスに破壊の力を受けても抵抗せず、
ただその場に立っている。
「クワバラ、クワバラ」
結局、力尽きたリアスを眷属たちが保護。
試合続行不可能でライザー・フェニックスの勝利となる。
ルヴァルは勝利を讃えるため、フェニックス家当主として
ライザーとクウガを迎い入れた。
まるで歓迎の席と言わんばかりに円卓が用意され、
リアス、グレイフィア、そして何故かソーナまで座らされる。
「……先ずグレモリー家の諸君。お疲れ様でした」
「…ルヴァル様、何がお疲れ様でした。なのでしょう!
私の眷属はそこの怪物に」
「……はい。
私だけでなく旦那様も死人が出るのは想定外でした」
ルヴァルを攻めるのはリアスとグレイフィア。
しかし、ルヴァルはニコニコと笑いながらライザーとクウガを
自身の前に立つように誘導する。
「次に、ライザー、そして未確認生命体4号。
逸れ悪魔〘荒島賢人〙の討伐。そして、我が愚弟眷属の討伐。
感謝する、ありがとう」
深々と頭を下げるルヴァルにライザーは慌てた。
「兄上、そんな事をしなくとも。それに、荒島賢人は彼が」
「そうだね、未確認生命体4号。
いや、古代の名を言わせて貰おう。リントの守護者。
クウガ、ご苦労様でした」
「ルヴァル様、逸れ悪魔とは?」
ライザーとクウガに向けた真剣な眼差しから一転し、
ニコニコとした笑みでグレイフィアを見た。
「いやはや、フェニックス家当主たる私にですね。
日本神話の方々から苦情が来たのです。
しかも、天照大御神様直々の書簡です」
そう言いながら紙飛行機を折り、
ヒューっとグレイフィアに向けて飛ばす。
受け取ったグレイフィアが驚く顔をするが、
ルヴァルは止まらない。
「荒島賢人と言う、悪魔に堕ちた人間が日本の子らを虐殺した。
これに貴様ら悪魔は関わっているのかと。
でしたから返答したんです。我々フェニックス家が内々で処理をする予定でした。とね」
「兄上…それでは」
「はい、ライザー・フェニックスは私。
ルヴァル・フェニックスの密命により荒島賢人の討伐を
行いました。その事に関して、我がフェニックス家より
グレモリー家の皆様、及びリアス・グレモリー様には賠償を
お支払い致しますよ」
「そう言う問題ではありません!私も、4大魔王も」
「私は知ってるわよ!」
「姉さま、いきなり出て来るのは止めてください」
ジト目のソーナとそれを抱き締め、
魔法少女のコスプレをする女性。しかし、その姿は
普通とは言い難く、クウガは驚く素振りをしてしまう。
「君がクウガ君ね!私はセラフォルー」
「姉さま!」
「もう…じゃあ。真面目に話すわ。
私、セラフォルー・レヴィアタンは此度の件。
ルヴァル・フェニックスより秘密裏に情報共有されていました。
内容が内容の為、4大魔王としても知っている存在は少ない方が良い。その考えで、私で情報をせき止めていました」
「セラフォルー、それは此方としても養護は」
「サーゼクス・ルシファー様の妹溺愛は有名でした。
私がセラフォルー様へ進言しました。
まぁ、証拠もありますしリアス嬢の見る目が無かった。
それとも、管理不足と言ってあげた方がよろしいですかね」
「…兄上、お戯れを」
「ライザー、君は優しすぎるよ?
政治と言うのはどのように相手を蹴落とし、立場を得て、
相手の弱みに漬け込むか。それが先決さ。
と言う事で、サーゼクス様、リアス嬢、
コレで手打ちにしましょう」
「は?!」
「ルヴァル、それは」
「サーゼクス様も責任取れますかな?
日本神話の神々との戦争となれば我々は勝てませんよ。
相手は太陽の化身、大地の化身、海の化身。
それだけでなく、八百万の神々もおります。
さらに言えば、妖怪陣営は神々の隷下。
わかりますね、私はこの〘魔界〙のためを思っての活動。
まさか…4大魔王ともあろうサーゼクス・ルシファー様が、
私欲のために権力を使うなど……ありえませんよね?」
「……ルヴァル、君には追って沙汰を下す。
だが、魔界存続の危機に対して活躍したこと。
ルシファーの名の下に感謝する」
「いえいえ」
ルヴァル・フェニックス。
優男の様に見える風貌だが、
その中身はフェニックス家において
政治と陣頭指揮において右に出るものは居ない秀才だ。
ライザーは己の力で何でもこなす天才だが、
唯一勝ちたい、そう思いひたすらに尊敬に努力する相手。
それがルヴァル・フェニックスという男だ。
不死鳥の羽根を忍ばせ、常に己が優位に立てるように立ち回る。
そして、家族愛が深くライザー、レイヴェルを溺愛する。
当主として、父親を蹴落とし隠居生活に押し込め、
更に愚弟たるベルギットに権力が行かないようにする。
そんなルヴァルだが、オフでは優しい兄である。
「ふぅ……会議は疲れるねぇ…まったく」
「兄上、お巫山戯が過ぎるかと」
「ライザー、私はお前のように腕っ節は無いのさ。
だから、政治で戦うしか能が無い。
クウガ君も、変身を解いて構わないよ。
安心し給え、君が弟ライザーを裏切らなければ、
私も君の秘密を拝聴するつもりはない」
「彼は裏切りません、兄上。私が保証します」
「……あの、ルヴァルさん。で、良いですか?」
変身を解いた一誠をルヴァルは値踏みするように見る。
「……兵頭一誠、君だったのか。クウガは」
ルヴァルの目は面白い物を見たと言う目だ。
しかし、決して悪感情はない。
「安心したまえ。と言える立場ではないか。
此度の一件、我が悪魔陣営が大変申し訳ない事をした。
私が頭を下げた所で君の心は浮かばれんだろうが、
それでも、下げさせて欲しい」
「え?…いや、自分は」
ルヴァルは自己満足としか言えないが、
それでも頭を下げた。。
「君の家族には手を出させない。
必ず私が根回ししよう、我々フェニックス家の恩人であり、
友人たる君にはね」
「あっ…ありがとう…ございます」
一誠は一度別室に案内される。
どうやら、ルヴァルは個人的にライザーと話したいようだ。
「……良いな。好青年だ、私からしても」
「兄上……何をお考えで?」
「いや、レイヴェルの結婚相手にと思ったが……
ライザー、お前はどう思う?」
「兄上」
「冗談だ、しかしグレモリー家との縁談が潰れたからには
何か考えんといかんな」
「……はぁ」
「そう言えば、シトリー家と彼は親しいらしいな。
いっそ、私の養子として」
「兄、上」
「冗談だ、だが保護すると言うのは考えている。
クウガの正体がバレたら狙われるぞ。
シトリー家のお嬢さんと、その眷族にはバラしたらしい。
私が片手間に集めた情報で見つられるのだ。まったく」
ライザーはそれが嘘だと思いたい。
だが、ルヴァルは政治闘争と諜報には力を入れており、
恐らく本当に片手間に手に入れた情報なのだろう。
「まぁ、子供を出汁にするつもりはない。
第一、リント、つまり日本人の先祖だ。
その守護者を陣営に迎え入れる?それこそ、
日本神話の神様と戦争だ、冗談じゃない」
ルヴァルはリスクも考えられる大人だ。
リスクとリターンを天秤かけ、クウガというリターンと、
悪魔絶滅というリスクを理解している。
「………まぁ、お前はそのままで良い」
「はぁ……」
「何かあれば頼りなさい。私は家族を愛しているのだから」
「でしたら、あの自分のメンヘラストーカーとかしたその」
「アレはお前が原因だ、自分で対処なさい」
ライザーはルヴァルにそう言われら天を仰いだ。