転生者の教え子兵藤一誠 A new HERO new LEGEND   作:影後

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「蒼那先輩」

「兵藤くん、ここから貴方は関わらないでください」

「そんな、先輩だって!」


「私は…私の覚悟がある!シトリーの名にかけて奴等を滅ぼす覚悟が!」

一誠の前で蒼那は動く。それは子供のそれではない、一誠はただ蒼那を見送るしかできなかった。


プロローグ 決意

「未確認生命体、奴等、そう呼ばれてるんだ」

 

毎朝のニュースに昨日起きた事件が表示されている。

 

〘未確認生命体第一号及び未確認生命体第二号との戦闘により、駒王学園所属の少年少女ら6名死亡〙

 

あの時、警察はまだ動いていなかったが監視カメラの映像さら凄惨な姿を誰もが知ることとなった。

 

「……」

 

「一誠……今日は、学校休むか?」

 

父親がそう言葉をかけてくる、思い出されるのは昨日の戦い。

自分がうまく立ち回っていれば、倒していれば6人が死ぬことはなかったのだから。

 

「……ごちそうさま」

 

朝食を食べ終え、身支度を整えるとまだ時間があるが一誠は家を出た。

何かするでもない、ただ

家に居たくなかった。

 

「あの!生徒の安全はどうなりますか!」

 

「未確認生命体に対して何か」

 

まだ朝早いというのにマスコミは入り口を覆っている。隠れるように裏口から学園に侵入する。

 

「君は……そうか、表が」

 

「……はい」

 

「酷いもんだよ、人が死んだのにアンナ奴等しか湧かない。警察の方で対処してほしいのにね」

 

用務員はそう言うと何処かに消えた。

一誠が下駄箱に靴を起き、クラスに向かおうとすると女子達が集まって話をしている。

 

「ねぇ、この頃○○教会の神父様見た?」

 

「いつも朝早くに掃除してて……教会もずっとしまったままだし」

 

「すみません、そのお話聞いても?」

 

「蒼那先輩?!」

 

一誠はつい隠れてしまった、だが声は聞こえる。

 

「あの……実は蝙蝠の怪人を見たっていう噂話があるんです。考えたら、その話が出たあたりから、神父様を見なくなって」

 

蒼那の顔が一瞬歪んだのを見た。

一誠と同じなのだろう、一誠は放課後その教会に向かった。

 

「あの……お邪魔します?」

 

持ち前のクライム技術で窓から入り込む、一誠もこの教会は知っている。

人当たりの良い神父が礼拝を行うのだ。

しかし、おかしい。

理由はわからないが、おかしいという感が一誠に働きかけた。

 

「あっ…神父様!お元気そうで良かったです!」

 

一誠を見つめる神父にそう返事をすると扉を開けて外に出る。拭えない違和感を感じながら、一誠はもう一つの予定に向かった。

 

「…………」

 

未確認生命体第一号被害者の葬儀だ。

出席できるはずもない、自分のせいで死なせてしまったのだから。一誠はただ、中を見つめる。

泣いている、そうだろう。

今までの日常が砕け、非日常が始まったのだから。家族、親友、恋人がその日のうちに殺されたのだから。

 

「…お兄……ん」

 

小学生位の子供が泣いている、なんで。

守れなかったからだ、

どうして。

力が、足りなかったから。

 

「………」

 

一誠は拳を握るともう一度、あの違和感の正体を突き止める為に教会に向かった。

だが、教会では火の手があがり中は燃える炎しか見えない。

 

「キャァァァ」

 

居る、誰かが襲われている。

 

「…やめろぉぉぉぉ!!!」

 

一誠はステンドグラスを破壊し、新たな未確認生命体に蹴りを入れた。

 

「一誠くん?!何故来たのです!!」

 

「……俺、浮かれてました。1000番目の技を覚えて……それが、どんな事を生むかなんて」

「馬鹿でした、でも……もう、もう見たくない。

もう、誰かが苦しむ姿は見たくないんです!」

「皆の…皆の笑顔を守りたい……皆に笑顔で居て欲しいから……」

「だから……見ててください。俺の……変身!」

 

あの記憶で古代の戦士がしていたと同じポーズを取る。

 

「ハァ!」

 

迫る未確認生命体に右ストレートを放つ。

右腕が変わる。

左で未確認生命体の攻撃を受ける。

左腕が変わる。

駆ける、未確認生命体との距離を詰めるために。

足元からゆっくりとそして、

 

「うぉぉぉぉ!!!赤くなった!!!よし!」

 

古代からリントを護りし戦士がこの時、再び目を覚ましたのだ。

 

「ゾボラゼロジャラゾグセダグル!クウガ!!!」

 

燃え盛る炎中、未確認生命体第三号とクウガは殴り合う。火の手が段々と強くなり、クウガすら呼吸が辛くなる。

 

「いまだ!」

 

未確認生命体第三号を祭壇に蹴飛ばし、蒼那ヲ抱きかかえると跳躍し、炎の中から飛び出す。

 

「これは」

 

「刑事さん、この人を頼みます!!」

 

「なっ!未確認生命体が喋った!!!」

 

蒼那を警察には任せるとクウガを追って未確認生命体第三号が炎の中から飛び出す。 

 

「ぐや?!」

 

掴まれ、空を飛ぶ。そして、廃工場へと落とされた。

 

「ここは……ぐっ?!」

 

シュルルという音と共に何かが首に巻き付いた。

 

「ギベ、クウガ!!!」

 

動けない身体に未確認生命体第三号の牙が付きたてたれた。

 

「ぅっ……くぁぁぁぁ!!!」

 

傷口から血が垂れるが、クウガは未確認生命体第3号の顔を殴り付けると牙が食い込んだまま折れている。糸を引きちぎり、牙を投げ捨てる。

だが、第三号は形勢不利を確認すると闇に紛れた。残るのは糸を出した未確認生命体だけだ。

 

「……未確認生命体第1号」

 

クウガはそう呟く。

警察のヘリコプターがクウガ達を照らす。

ファイティングポーズを取ると、クウガは駆け出した。

 

「はぁ!」

 

放たれた糸を掴み、ギチギチギチという音がなる。クウガと第一号によるパワー勝負が始まる。

最初は拮抗していたが、ソレは段々と崩されていく。

 

「ここだ!」

 

まるで一本釣りのように第一号を引き寄せるとそのままラッシュを叩き込む。

 

「クウガ……クウガガァァァ!!!」

 

怒りの咆哮を受けて尚、クウガは止まらない。

 

「バンザ……バンザボセパ」

 

第一号は戸惑う、身体に力が入らない。

 

「……ふ」

 

クウガは溜める、そして必殺技であるマイティキックを放ったのだ。

 

「……クウガ」

 

第一号はそう言い残し、爆発四散した。辺りには警官が蔓延り、拳銃を構えている。

それでも、クウガは彼等にサムズアップを行った。 

 

「……君は敵なのか」

 

初老の警官が話しかける。

 

「俺、嫌なんです。こんな奴等のせいで、誰かが傷つくのは」

 

そう告げるとクウガは闇へと消えた。

現場の警察は理解した、未確認生命体第四号は、人類の味方なのだと。そして、翌日

 

「まったく、貴方は自分が何をしたか」

 

「怪我が無くて良かったです、先輩」

 

「はぁ………」

 

駒王学園の屋上、そのベンチの一つで蒼那はつい一誠の肩で眠ってしまっていた。

昨日からの疲労もある、ある種仕方のないことだ。

 

「……不覚です」

 

「良いじゃないですか…………」

 

一誠は言葉を止める、そして再び決意を伝えた。

 

「俺、戦います。クウガとして」

 

「……判りました、曲がりなりにも関わってしまったのです。まったく……困った後輩です」

 

蒼那と一誠は握手をする。

そこには微笑みを見せる蒼那と、ニッコリと笑う一誠が確かに居た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、兵藤一誠は1年間戦い続けた。

蒼那のサポートだけでない、警察組織のサポートを受けながら。

傷付き、挫折し、それでも笑顔の為に戦い続けた。死にかけ、その度に復活した。

 

 

――――

とある雪山にて

 

「一誠くん!一誠くん!!」

 

蒼那の前には倒れ伏す二人の男性の姿がある。

 

「生きてます………何とか」

 

弱々しく、サムズアップをする一誠。

蒼那はただ、よくやった。頑張った、という言葉しかかけられなかった。

 

「……これで、戦いは終わったんですよね」

 

「えぇ……もうすぐ警察の方も来ます。もう、休んで良いんです」

 

「すみません……蒼那先輩、おやすみなさい」

 

この日、公式には未確認生命体第四号は原初の未確認、未確認生命体第零号と相討ちになり死亡がされたという。 

 

しかし、ソレは公式には……である。

 

「……あの、兵藤先輩……無理ですよ。こんなの」

 

「大丈夫!出来るって、思うんだよ。最初から諦めちゃ駄目なんだ、見てて」

 

ソレは高校生の記録をゆうに超える高さ2mのバーである。現在、兵藤一誠は生徒会から陸上部の支援に出向いていた。

 

「……出来る、フッ」

 

陸上部員からしたらフォームもあった物ではない。誰もが出来ないと考えていた。

 

「ふっ!」

 

だが、兵藤一誠はやり遂げた。陸上部でもない、ただの高校生が。

 

「……凄い」

 

「出来るって思うんだよ、飛べるって」

 

「……何でそう」

 

「信じるよ、俺も信じてもらったから」

 

「へ?」

 

サムズアップする一誠は呟く。

 

「俺、クウガだもん!」

 

 

 

 

 

 




理由のない笑顔、理由のない善行。
兵藤一誠は誰かの笑顔の為に常に戦い、傷付いて来た。

「……椿姫、彼を生徒会に入れたのは正解でしたが」

「巻き込みたくないですか?会長」

「………はい、失格でしょうか」

「判りません、一誠君はもう休んで良いでしょう。知っていますよね、今でも」

「はい……第零号との戦いは彼に深い傷を残した。私は…私は見ているだけだった。力がありながら、ソレを……隠し、涙を流しながら戦う彼を」

ソーナ・シトリーの前にはチェス盤が。
そして、サムズアップするクウガの写真が置いてあった。

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