転生者の教え子兵藤一誠 A new HERO new LEGEND 作:影後
「…………」
兵頭家そのトイレで、只管に一誠は吐いていた。
我慢していた、人を殺したという事実に耐えられなかった。
未確認を倒しただけだと、そう思いたいのにできなかった。
「はぁ……はぁ………」
「僕は…………」
扉の先では、只管に無く白猫がいる。
飼い主を慰めようと何度も何度も鳴いている。
ただ、出てきて欲しいがために鳴いている。
しかし聞こえてくるのは嗚咽だけ。
「………一誠」
彼の姉たる黒歌も、もう耐えられなかった。
何故、恩人の家族が死ななければいけないのか。
何故、恩人は仇を討ったにめ関わらず泣いている。
「ねぇ、白音。なんで、なんで一誠が泣いているの。
なんで被害者が……なんで、私達の恩人が」
「………優しすぎるんです。だから、先輩は」
一誠はあの日から学園では仮面をつけている。
普段と変わらない日常を過ごしながら、
己の罪を背負ってしまい、只管に苦しんでいるのだ。
「…籠絡、何て言い方じゃない。
でも、それぐらいしないと今の一誠は心が」
「私に姉が抱かれるのを見ろと?
愛する人が姉を抱くのを?止めてく………
いえ、それも一つの方法かもしれません」
仔猫も一誠が苦しむのを見たくない。
女性なら、慰める手段などいくらでもある。
だが、一誠がそれを受け入れてしまえば自殺しかねない。
一誠は、黒歌を本当の姉だと思うように
術をかけられているのだ。そう、黒歌本人から。
「…戸籍は偽造できるわよ。
私が養子縁組された孤児という風にすればね」
「一誠先輩は、大丈夫なんですか?」
「一誠には教えなかった、家族にべったりだから。
そう言うふうに装うわ。それとも、仔猫ちゃんが一誠先輩と
その、」
「仔猫ちゃんって言い方よしてください!黒歌姉様!」
「……冗談で済まないから言ってるの」
人の心を理解するのは不可能だ。
特に、画面の下で涙を流し続ける存在を慰める?
どうすれば良い、何をすれば良い。
救う方法は、誰も判らない。
「………一誠、聞こえるか」
「誰!」
そこに居るのは未確認生命体4号。
しかし、それが4号でないことを2人は知っている。
「4号B」
だが、4号Bは2人に目もくれず泣いている一誠の居る
トイレに向けて言葉を綴る。
「…一誠、ご両親が亡くなって、
お前は酷く悲しんでいる事だろう。
私は………私は……お前にクウガを知らされた時、
あの場所からお前の運命を知っていた。
お前は、辛く、苦しい戦いに身を投じる事になると」
「……先生」
「一誠、もう良い。もう良いんだ、私が居る。
私は、蘇った。ここからの戦いは、私に……アギトに任せろ」
「……アギト?」
「お前の……お前の枷になってしまった私の贖罪だ。
もう、泣かなくて良い。苦しまなくて良い。
私が全て終わらせる、だから……」
一誠はトイレの扉を開けた。
目の前に立っている4号B、
だがその姿は若かりし頃の恩師の姿となる。
「……先生は、先生はどうして」
「クウガは戦士、アギトとはリントの守護者。
一誠、憶えてるか。これは、古代ローマにおいて、
良くやった、素晴らしいという」
「憶えてます、だから……僕は」
「……もう、良いんだ。泣かなくて良い。」
「………できません」
「一誠、何を言っている。私は、力を得た!
もう、もうお前に全て背負わせる必要など」
「俺が殺したから……俺が倒したんです。
それを……それを忘れちゃいけない、
俺がそれを忘れちゃ駄目なんです!
俺が背負うべき業なんです、決めたんです!
もう……誰かの涙は見たくないって!
だから倒したんです!俺は…………」
「なら………」
4号Bは一誠の頰を打つ、それは酷く苦しく辛いもの。
「泣いてはいけない、それを業として背負うなら!
泣くことは許されない、一誠。この世界には闇がある。
天使、悪魔、堕天使、そんなチンケなものじゃない。
人という業、人が存在し続ける限り生まれる罪。
お前は、そんな存在を…護ると……背負う言うのか」
「……できません、でも、それでも……
俺は戦う!それは…誰から言われた事でもない!
ましてや、先生に導かれた選択でもないんです!
俺が選んだ!俺自身の選択なんです!!」
そこに居るのは優しいだけの青年ではない。
生命を奪う覚悟をし、再び戦う意思を示す一人の戦士。
「……俺は、もう迷わない。俺は、
究極の闇すら受け入れ、
その力をさらなる高みへと昇華させた。
そして、クウガのアギトという、己と白き王の共に戦うべき
存在へと進化し、さらに強くなるだろう。
「……三門に会え、そして戦いの第二章を知るのだ。
私の滝の絵の裏にある資料を解読させろ。
そこに、我々が倒すべき敵が記されている」
4号Bはまるで風のように消えた。
確かにそこに立っていたのだ。猫又の悪魔たる黒歌と仔猫は、
それを理解できなかった。魔術的な力ではない。
悪魔の転移では決してない、その力は未知なるもの。
ただ一つ言えることは、
「……一誠」
兵頭一誠は、クウガとして、戦士として、覚醒したのだ。
背負い、苦しみと、哀しみを力に変えて、悪と戦う。
決して、表に出てこない歴史の存在。
〘仮面ライダー〙。この世界での1号ライダー。
仮面ライダークウガへと。