転生者の教え子兵藤一誠 A new HERO new LEGEND 作:影後
戦士は傷を癒やし、何時でも消える用意をしている。
「もう、必要ないもんな」
まだ、学生という身分のせいだが戦士は青空を眺めることを続ける。
「よぉ!兵藤!!」
「匙!そうだ!コレ匙の方から会長に渡しておいてくれない?なんか…俺避けられてる感じして」
匙元士郎、兵藤一誠と同じ17歳の少年にして同じ生徒会役員である。
「あぁ……だな、何かしたのかよ?」
「……仕事頑張り過ぎたかな?」
「あぁ……」
兵藤一誠は生徒会からよく各部活動に支援として駆り出されている。
それこそ、柔道であれば大将すら一撃で。
剣道であれば恐怖せず、何度打ち込まれても最後に一撃を。
剣道だけおかしいが、兎に角全部活から引っ張り凧であるうえ、何かと学校関連の仕事を持ち込み自分を忙しくしているのだ。
「なぁ、生徒会だけど俺も兵藤も生徒なんだぞ?なんか、生き急いでる様に見えるし」
「大丈夫だって、俺クウガだもん」
「だからクウガって何だよ」
匙は敬愛する生徒会長であり自身の主であるソーナ・シトリーから一つ指示を与えられている。
同じ生徒会役員の兵藤一誠を監視する事。
悪魔でもなく、一人の生徒会役員として参加しているのが兵藤一誠なのだが、ソレは匙から見てもおかしいとしか言えない物だ。
「俺がやらなくちゃって、彼奴、そう思ってないか?」
勿論、頼られる事もある。
だが……基本的に兵藤一誠は自分で最後まで努力し、駄目ならば頼る。
人としては素晴らしい人材だろう、だが、どうしても生き急いでる様に匙には見える。
「監視じゃなくて、お目付け役かぁ……」
「あっ!兵藤先輩!あの、花壇の修復予算が」
「部室に覗き穴があって、修復予算が」
「監視カメラの」
「まって!流石の俺もそれらへんは」
「……あの三馬鹿のせいで」
一誠の辺りに女子生徒が群がる、ソレらの内容はけして許される物ではない。
「あー……其処までにしてくれよ。俺も兵藤も、今忙しいんだ」
「待って、部室に覗き穴がって何処の部活?」
「剣道部です」
「花壇の修復予算は何とかしてみるよ!募金とかするかもしれないからその時はよろしくお願いします!」
「はい…」
「監視カメラは……ごめん、蒼那先輩と話してみるけど校長とかの分野だから」
「ごめんね、兵藤君」
一誠はメモを取り出し、即座に返答と内容をメモする。こういう所が律儀だと思い、匙は好感が持てるのだ。
「うん、匙、早く行こう!今度は備品の確認だよ、各部マネージャーから話を聞かないと」
「待てってば」
一誠と匙が消えたところで女子生徒達が話す。
「あの二人、真面目よね」
「うん、うちの男子生徒にも見習ってほしいわ」
「一番は三人組だけどね」
「……そうですね(兵藤先輩)」
外回りが終わり、生徒会室に戻る二人。
そこでは案の定、蒼那が悩んだ顔をしている。
「蒼那先輩、戻りました」
「会長、あの」
「匙、サッカー部から感謝状と兵藤君のサッカー部参加の嘆願書が来ています……兵藤君は何をしましたか?」
「え?俺何もしてないですよ」
「………多分、前々回の模擬戦に一誠が支援で参加した時ですね。エースストライカー並みにゴール決めて、サポートも完璧で、最終的にキーパーに落ち着いたんですけど、一点も入れさせなくて、顧問の先生から泣いて」
「……はぁ、困りますね。問題の多い駒王学園で兵藤君は必要な人材です。それに、エースストライカーのかわりなんて………はぁ」
「俺もそう思います」
「?でも、あの時匙も参加してましたよ!4点決めて、ディフェンスも鉄壁で、相手から鉄壁の元士郎って呼ばれてまし」
「………匙、生徒会が嫌いですか?」
「違います!!偶然です!!!」
「それに……俺がすごいんじゃ無いです。チームの勝利ですよ!」
「はぁ……わかりました。では次に、今回は何を持ってきましたか?」
そして一誠はメモ帳の上から順にホワイトボードに書き出す。
そして優先順位を付け、予算配分を行うのだ。
「それで花壇の修復ですが……」
「寄付募って良いですか?元々、俺ともう一人で作った物です」
「駄目です、あの花壇は素晴らしいと校長のお墨付きです。花壇は此方で何とかします、してみせます」
「…はい」
「いや……だって、手入れも行き届いてて……皆の憩いの場だろ。あれ、花壇っていうか庭園だけど、設計したのも兵藤なんだろ?」
「うん!皆の憩いの場とか必要だろ?だからさ、嘆願書と設計図も渡したんだ。そしたら、上手くできて」
「そのスペックが羨ましいよ」
「……あぁ先生とな約束なんだ、1000の技を持つ!皆の笑顔を守れる男になるって」
「そうか……」
匙は自身の相棒とも呼べる親友の肩を叩いた。
悪魔でなく、人間の友人けん相棒だ。
寿命は勿論違う、どうしょうもない。
でも、学園では親友でありたいと思えるのだ。
「……?ごめん、匙。両親が怪我したらしくて……蒼那先輩も」
笑顔で何事もないかのように振る舞う一誠。
「構いません、此方で推敲し、選別しておきます。匙、」
「大丈夫です、会長。自分も手伝います」
「……ごめんなさい」
一誠は急いで駆け出した。
普段の彼ならありえないほどの速度で廊下を走る。
「……あの勢い、余程何でしょうね」
「椿姫先輩、一誠のやつ」
「………皆、生徒会の仕事だけでなくもうすぐ時間になります。ソレも忘れなく」
「「はい!」」
生徒会一同は悪魔である、だが生徒会役員でもある。おそらく、教師と同じレベルの激務を行うのだろう。
そして、とおの一誠は。
「父さん!母さん!」
一誠が向かったのは警察だった。
「………あっ……あぁ…………」
「……一誠君か」
「杉田さん…教えてください!また…また…未確認なんですか!!」
一誠の前に立つのは警察側の協力者である杉田であった。
彼を助けた事を皮切りに杉田経由で本庁の刑事や未確認対策部と協力を築けていたのだ。
「……判らない、襲われた二人は鋭利な爪で裂かれた様な傷があった」
「………杉田さん…ありがとうございます。父さんと母さんを頼みます」
翌日、一誠は校長室に居た。
周りには教師も居る。
「自主退学とは……一誠君、君は何を考えて」
「……両親が、未確認生命体と思われる存在に襲われました。両親の治療の為にも働かなくてはいけません。ですから」
「一誠君、何も奨学金制度だけでも」
「でも…………」
「……君達、私達は教師だ。教え導く事はできるが、一誠君の友ではない。一誠君、友人達と話しなさい。そして、決めるのです」
「校長……先生」
「………君は昔、私が教えていた生徒に似ている。私は…私はそんな君を支援したいとすら思っている」
校長は一誠にサムズアップ をして見せる。
「兵藤君、コレを知っていますか?
古代ローマで満足できる、納得できる行動をしたものにだけ与えられた仕草です。
アナタはこれに相応しい男です。
コレを教えてくれた彼はもうこの世に居ませんが……君がいる」
「校長…先生、まだ中堅だった私の大切な生徒が教えてくれたんですよ。挫けそうな私に、笑顔を向けていた。向けてくれた、君が生徒にするように」
「……俺、話します。その後、必ず」
一誠は泣いていた。校長はそんな一誠を抱き締めたりせず、ただ出ていくまでサムズアップを続けたのだ。
「……兵藤君!アナタは」
「もう……生徒会の皆に隠し事はしたくないんです。俺の中で、皆は最高の人たちだから。すみません、蒼那先輩。ずっと……守っていただいたのに」
「兵藤君!止めなさい!!!」
「変身」
一誠の姿が変わった。
ソレは真紅の戦士。
誰もが知っている、死んだはずの戦士。
「……未確認生命体……第四号」
同級生の由良翼沙がそう呟くの。
誰もが言葉が出せない、出るはずがない。
自分達も秘密があるが、目の前の仲間の秘密はそれ以上なのだから。
「俺……学校を自主退学したかった。両親が…両親が未確認に襲われて、また……また誰かの笑顔が奪われるかもしれなくて……でも………皆は仲良くしてくれ……校長先生とも話して…………駄目だった………皆と話してた時間が楽しくて……でも…」
「なぁ、一誠。誰にだって秘密はあるだろ、俺もそうだよ。それこそ、この生徒会のメンバー全員もだ。お前の知らない秘密を共有してる。お前が四号でも、俺達の態度は変わらない!お前は…お前は俺の、俺達の、生徒会の仲間だ!」
一誠は昨年の事を考えて、罵倒も覚悟していた。
なのに、かけられとは優しい言葉だ、
「……皆さん、見せてください」
蒼那いやソーナ・シトリーの言葉と同時に、生徒会メンバーから蝙蝠の様な翼が生える。
「私達は悪魔です、一誠君。私は、それを隠し、アナタを1年間サポートしました。この力を使えば、アナタを救えた事もあった。なのに」
一誠は変身を解いた。
「……受け入れて……貰えますか」
「当たり前だろ、出なきゃ、俺達も」
生徒会メンバーは頷くとソーナ・シトリーは静かに話す。
「…あらためて、よろしくお願いします。生徒会役員、兵藤一誠君」
一誠は悪魔、天使、堕天使の説明を受けた。
「未確認生命体の他にも……そんな奴等が」
「でも…貴方が戦う必要はありません。貴方が人を殴ることを是としない人だと私は知っています、ですので極力関わらないでください。私は、貴方がどれ程苦しんだか知っている。貴方はもう休んで良い。それを…忘れないで」
一誠は頷いた。
その代わり、未確認は自分が戦うと。
これが、兵藤一誠の新たな戦いの始まりである。