転生者の教え子兵藤一誠 A new HERO new LEGEND   作:影後

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誰も居ない家、イエローテープが敷かれ、中では今だに警察による検分が行われている状態だった。

「……母さん……父さん……」

それを見て、兵藤一誠は涙を流さずにはいられなかった。誰の前でも笑顔を忘れない、そんな事は不可能だった。
一誠は山の秘密の場所に登り、静かに泣いていた。

「ニャァオ」

そこに、一匹の白猫が現れる。



再会

「……シロ?」

 

「ニャア!」

 

白猫は一言鳴くと、一誠の頬に垂れる涙を舐める。それは、『泣かないで』と家族を思いやっているようにすら見える。

 

「シロなんだ……よかった……よかった……」

 

白猫を一誠は抱きしめると、今度はまるで

『苦しい』という様にジタバタと暴れる。

 

「ごめん、シロ」

 

毛づくろいしつつ、一誠の肩に乗る白猫。

一人と一匹は静かに夕暮れの街並みを眺める。

 

「……シロ、母さんと父さんがさ、未確認に襲われたんだ。俺、全部倒したって、第零号と戦って終わったんだって」

 

白猫は驚く顔を一瞬するが、鳴かずに一誠の頬に右前脚を当てる。

爪も出ておらず、肉球の優しい感触と優しい毛並の肌触りが頬をくすぐる。

 

「……うん、ありがとう。シロ」

 

肩にのる白猫の背を撫でながら、呟く。

 

「……クロにも会いたいね」

 

「な〜〜お」

 

小さく鳴く白猫、一誠は白猫を優しく抱くとそのまま家に帰ろうとするが、白猫は暴れる。

 

「……駄目なのか」

 

「な〜お」

 

「クロを探してるのか?」

 

「にゃぁ~」

 

「大丈夫、クロは俺達の、お姉ちゃんだから」

 

悲しげに鳴く白猫に一誠はサムズアップ を行う。一誠は振り返らない、溜まった涙を流さないために。

 

―――

一誠が立ち去ったのを確認した白猫はその姿を変える。元の家族が泣きそうで、ボロボロで、それでも姿を見せたくなかった。

 

「……一誠先輩、ごめんなさい」

 

まだ、会いに行く勇気もない。

擦れ違おうとするたびに、隠れてしまう。

兄にも等しい存在に、まだ打ち明けられない。

 

「……黒歌姉様、一誠先輩は泣いています」

 

自身の姉であり、幼少期、泣き虫であった一誠を慰める存在たる姉を思い出す。

姉を探す為、だが……その思いは今だに届かないのだ。

 

―――――

杉田は刑事である、新たな未確認生命体による事件。〘兵藤夫婦襲撃事件〙の会議を終えたばかりであった。

 

「まず、未確認生命体は兵藤夫婦を襲撃したにも関わらず、命を奪っていません。いえ、正確にはまだ、ですが」

 

「兵藤夫婦、夫である兵藤○○氏は肋が砕け、内臓にもダメージが入っています。また、通報の状況から妻である兵藤○○氏を守ろうとしたのではと考えられます」

 

「奴等はゲームの邪魔をする警官を簡単に殺した。今回は運がよかったという事か」

 

「いえ、そうとも言えません。どうやら兵藤○○氏のアキレス腱が斬られています。まるで」

 

「殺害を見せるようにか………」

 

会議室の空気が重くなる。

似たような未確認生命体は存在した。

未確認生命体第四十二号、かの存在は今でも警察関係者の中に深く根付いている。

 

「そして、兵藤○○氏ですが腕を砕かれていました。それこそ、見せつけていたのかもしれません」

 

「……なんだと」

 

「杉田さん、落ち着いて」

 

杉田は兵藤夫婦の息子である一誠とは1年になる。

子供でありながら、かの存在達に苦しめられる誰かを助けるため、共に戦ってくれた事を知っている。だからこそ、許せないのだ。

 

「……しかし、おかしな点があります」

 

「なんだ」

 

「これがゲゲルかどうかです」

 

ソレは捜査班全員に驚かれるものだった。

 

「どれも、制限時間があります。しかし、襲われたのは兵藤夫婦のみ。それに……兵藤○○氏のアキレス腱を切った物は既にわかっています」

 

「おい……それなら」

 

「兵藤○○氏が趣味にしているガーデニング用のハサミです。しかも、綺麗に指紋が拭き取られています。奴等だとしたら、そんな無意味な事をする必要はありません」

 

「ならなんだ!未確認対策班のしごとじゃないぞ!これは……これは捜査一課の仕事だ!」

 

杉田は叫ぶ、兵藤一誠には未確認生命体による襲撃と話してあるのだ。

ソレが、ソレが同じ人間による

 

「いえ……ソレも違うでしょう、近隣住民が屋根伝いに走る何者かを目撃しています。その身体能力は人間のものではない」

 

「………まさか………」

 

「はい、今回、未確認対策班が再招集されたのは旧未確認生命体、

種族名で言うなら〘グロンギ〙ではない、新たな未確認生命体が発見されたからです。我々は、再び戦う事になるのかもしれません」

 

研究者かそう言うと重々しい空気となり、会議が終わった。

自分達の知らない存在、ソレが新たに産まれているのだとしたら、否…かつてから居たのだとしたら。

いったい、どれ程環境に適応し、生きているのだと。杉田は顔を青ざめた。

 

――――

 

兵藤一誠は現在、家がない。

正確には寝る場所がない、自宅はイエローテープが貼られ立ち入り禁止。

かと言って、頼れる親戚は近くに居ない。

 

「雨は振らないし、公園で寝るか」

 

ソレは偶然だった。

ソレは運命だった。

ソレは偶然現れた。

 

「なんで……なんで……嫌だ……嫌だ嫌だ!!」

 

悲鳴が聞こえる、一誠は悲鳴の主の方へ向かう。

 

「逃げて下さい!」

 

一誠は自身の鞄を投げ、襲われている人から視線を自身に向けた。

 

「なっ……未確認」

 

距離はある、一誠は懐から電話を取り出すと杉田に電話する。

 

「一誠くん、な」

 

「未確認です!場所は駒王町○○公園、人が襲われてます!杉田さん、後は…後はお願いします」

 

「待て…待つんだ」

 

それは街灯に照らされて現れた。

まるでジャガーのような頭部をした異形。

 

「ふっ……」

 

腰に手を添える、そして一誠は叫んだ。

 

「変身!!」

 

赤きクウガ、基本形態であるその姿で新たな未確認と対峙する。

 

「……クウガか」

 

「なっ…喋っ」

 

一誠の胴から火花が飛び散る。

それは目の前の存在の爪であった。

 

「……つぅ……」 

 

だが……一誠は慣れているわ1年間、その身を、心を擦り減らし戦ってきたのだから。

 

「……征くぞ、守護者よ」

 

「……ふぅ……超変身!」

 

一誠は倒すのではなく、引かせることを目的として金の赤へと変身する。

 

「はぁ!」

 

「がぁ!」

 

パンチがぶつかり合い、ジャガーの怪人が吹き飛ぶ。

 

「……!」

 

だが、その先にはジャガーの怪人の姿はない。

 

「後ろか!!」

 

「何?」

 

「その力……速い」

 

「舐めるなよ、守護者よ」

 

一誠は何とか食らいつくが、段々と疲労が溜まっていく。

 

「!」

 

そして、ついに時間が来てしまった。金の力が絶え、通常の赤へと戻る。

 

「くっ……」

 

その時だ、聴き慣れた音が響き、数多の人間がライフルを構えて現れる。

 

「四号に当てるな!確実にあの未確認を仕留めろ!!」

 

「「「了解」」」

 

銃声が響き、狙われたジャガーの怪人が走る。

 

「させない!」

 

一誠は警察官を襲おうとしたジャガーの怪人を吹き飛ばす。

 

「…四号」

 

「大丈夫ですか!」

 

「あぁ……それより」

 

「……あれを倒します。誘導お願いします!」

 

「……わかった」

 

「バイク無いだろ、コレ使えよ」

 

「……必ず返します!」

 

白バイ隊員は最新型であるトライチェイサーを一誠に渡す。すると何処からともなく相棒であるゴウラムが現れる。

 

ソレはトライゴウラム、トライチェイサーと相棒ゴウラムの合体した姿だ。

 

「何……ぐぉぉ」

 

ゴウラムの角がジャガーの怪人を襲う。

 

「四号!そのまま東に進め!!そこなら倒せる!!」

 

聞き慣れた声がする、一誠はそこに大声で返事をした。

 

「はい、杉田さん!!」

 

もう一度、変わる。金の力、その力はゴウラムにも同じ力を授ける。

 

「うぉぉぉぉ!!!」

 

「ぐぁぁ」

 

弾き飛ばされるジャガーの怪人、ダメージの為かよろめいている。

 

「ふっ……はぁぁぁぁぁ!!!!」

 

金の力、ライジングマイティキック。

約50tにも及ぶ衝撃がジャガーの怪人を襲う。

 

「ぐっ……ぐぉぁぁぁぁ」

 

封印の紋章が現れるとジャガーの怪人は跡形もなく爆発四散した。

 

「……四号!」

 

警官たちが現れる、彼等も仲間である。一誠はバイクを白バイ隊員に返す。

 

「やりました」

 

「おつかれさん、一誠」

 

そう、皆知っている。

誰が四号であるかを。

 

「……杉田さんが話したいらしいから、このまま本庁に向かうぞ」

 

一誠は本庁にある未確認対策班に再び立ち入る。

 

「お久しぶりです、班長さん!」

 

「ふむ、元気そうで何よりだ。夜遅くにすまないね、聞かせて欲しい。新たな未確認を」

 

ソレは戦った本人である一誠から聞かされたことで空気は更に重くなる。

 

「……なんと、悠長に喋舌るか」

 

「薔薇のタトゥーの女と同じでしょうか」

 

「……わからん」

 

「班長、一誠君は学生です。仮眠室で寝かせても構いませんか?」

 

「うむ、そうだったな。所で、何故公園に」

 

「……実は、家には入れないですし、通帳も、カードも無くて、公園で一晩明かそうかなって」

 

「……こちらのミスだな、仮眠室ですまない。寝ると良い。学生は学業が本文だからな」

 

「そうだ、蒼那さんにも、彼女は君のお目付け役だからな」

 

「…あはは」

 

翌日、警察から新たなニュースが日本全国に発信される。

 

〘新たな未確認出現!

警察、未確認四号と協力し、撃破!〙

 

その題名で朝からニュースが出るのだ。

勿論、出演しているのは杉田や班長である。

 

「行かないとな」

 

一誠は受付の婦警に感謝を述べるとそのまま駒王学園に向かう。

 

「……兵藤か、今すぐ生徒会室に来てくれ。ソーナ会長がお怒りだ」

 

そう呼び止めたのは匙だった。

疲れ果てた顔で待っていたのだろう。

 

「わかった、行くよ」

 

そして生徒会室に入ったのだが、空気は良いものではなかった。

 

「みんなどうしたの?ほら、換気しないと」

 

「……兵藤君、貴方昨日は?」

 

「はい、あのジャガーみたいな奴を倒しました!」

 

「………怪我がないのは何よりです。しかし、何故私に連絡しないのです?それに……何故、ビートチェイサーを使わないのですか!アレは警察からの譲渡品です!アナタの相棒でもあるのですよ!無線も、なんのために搭載されているか」

 

「…はい、これからは使います」

 

「それに……此方に連絡しませんでしたね?」

 

「杉田さんに伝えたから……良いかなと」

 

「貴方は………まったく」

 

「それに……俺、クウガだから!」

 

一誠はサムズアップ を行う。

 

「クウガ、クウガ、クウガ、確かに、貴方は世間からしたら未確認四号というヒーローです。しかし、この駒王学園の生徒なのですよ!私は生徒会長として、生徒を守る義務が」

 

「……大丈夫です、蒼那先輩。俺、大丈夫ですから」

 

その時、生徒会室にいた全員が見た。

泣きそうな顔で大丈夫と言う一誠を。

 

「待ちなさい!話は」

 

「すまない、一誠はいるかな?っと、今はまずかったかな」

 

教師が入ってくる、一誠はそのまま教師に連れられて離れてしまった。

 

「ソーナ、リアスに勘付かれる可能性も」

 

「阻止します、クウガの情報はリアスには絶対入らないように。無論、願うなら全勢力にですが……」

 

生徒会は頷きあうと、自分ができることを考え始めた。

 




はい、ジャガーロードさんの登場です。
しかし、アギトは居ない。
つまり?
まだ、戦いは終わらないということ。
やったね!また心を殺して相手を殴るんだ!
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