転生者の教え子兵藤一誠 A new HERO new LEGEND   作:影後

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『新たな未確認の存在、それは世間を再び震撼させた。誰もが怯える中でも、希望はある。
未確認四号、彼が居る。
そして、警察がいる。
我々、市民は彼等に感謝に、それを示さなければならない』

『何を!被害者が出ている!それに……未確認四号は死んだというのが警察の見解だったろう!今更、』

『では、次のニュースに』

誰も居ない家の中で朝のニュースを一誠は見ていた。変わらない、好意的な意見や、否定的な意見。だが、一誠はそれを受け入れて戦うのだ。



黒翼

「一誠、一誠?どうした、気分が悪いのか?」

 

「すみません、先生。ぼうっとしてました」

 

「……そうか」

 

兵藤一誠は普段から優秀な生徒として教職員だけでなく、大半の生徒から思われている。

そして、現在仲の良い生徒以外で一誠に声をかける物は居ない。

それは新たな未確認事件としてニュースになってしまったからだ。

兵藤夫婦は殺されなかった物の、今だに意識不明の重体。

そんな状態で学業が務まるはずがない。

 

「……一誠、この答えを」

 

「はい、−−−だと思います」

 

「惜しいな、正解は−−−だ。だが、良い間違いだな。勉強はおろそかにしていないな」

 

教員の言葉に力ない返事をする。

だが、一誠が悩んでいるのはそれだけではない。

 

(……また、僕は)

 

自分が戦うしかない、自分以外に誰も居ない。

だが、今度の未確認はグロンギと違うのだ。

日本語を悠長に喋る、それだけで周りの人達は疑心暗鬼になってしまう。

放課後、一誠の不調は続いた。

 

「兵藤?お前……どうしたんだよ」

 

「どうしたって?」

 

「悩んでるなら、俺達が」

 

「大丈夫!俺、クウガだから……」

 

いつもの覇気がない、誰もがそう感じた。

だが、仕方がないのだ、彼等には判らない。

ソーナにしか理解できないのだ。

一誠の苦しみ、葛藤、秘めた悲しみは。

 

「……兵藤君、今日はもうあがりなさい」

 

ソーナがそう呟くと後輩や同級生達が優しく声をかける。大丈夫、仕事なら任せてと。

 

「…ごめんなさい」

 

一誠はトボトボと生徒会室から歩きさる。

 

「重症です」

 

「……でも、未確認四号だもんな。俺達には」

 

「あの、未確認って悪魔より強いんですか?」

 

「……強いです、私は偶然未確認一号と戦いましたが、生き残るのが精一杯でした。それこそ、魔王なら……」

 

「……どうせなら…いえ」

 

「そう、未確認には私達は対処できない。もし、彼等を眷族にする悪魔が出たなら、私は……この手で殺すでしょう」

 

それは、普段とは考えられないほど冷たい言葉だ。そうだろう、ソーナも知っているのだ。

グロンギの残虐さを。

生徒会室は重苦しい空気に包まれる。

 

そして、とおの一誠はと言うと彼の秘密基地に来ていた。寂しさを紛らわせる為に、もしかしたら会えるかもという考えの、下で。

 

「な~ご」

 

シロとは違う、より低い鳴き声が響く。

それは、木の枝から一誠の背中に飛び降りた。

 

「な~」

 

「……クロ?」

 

「な~」

 

一誠はクロと呼んだ黒猫を抱きしめると声を上げて泣いてしまう。

 

「やっと……やっと………シロ……にも………クロにも……会えた………」

 

「な~〜〜」

 

まるで『泣き虫だなぁ〜』と可愛い弟を見るように黒猫は頬を舐め続ける。

 

「クロ………ごめんなさい……俺、守れなかった。友達も、家族も……俺、俺クウガなのに……やらなくちゃ駄目なのに」

 

クロは知っている、兵藤一誠がクウガであると。

何度も見てきた、姉として。

血の繋がらない弟の事を陰ながら大切に見てきた。傷付き、ボロボロになってしまう姿を。

 

「なーご」

 

『大丈夫』あやす様に一誠の頬を擦るクロを、一誠は抱きしめる。

 

「クロは……居てくれる?」

 

一誠は、一誠の心は既に折れかけていた。

目覚める気配のない両親、そして『自分がやらなくちゃ』という責任感。

一誠はいつしか周りが見えなくなっていた。

 

「な〜ぉ」

 

『わかったよ』と言わんばかりにクロは一誠の肩に乗る。

 

「ありがとう、クロ」

 

「な~ぅ」

 

『お姉ちゃんだからな』とでも言いたいのだろうか、一誠には胸を張っているように見えた。

 

「帰ろうか、クロお姉ちゃん」

 

一誠はクロを肩に乗せると静かにあるき出した。

そして、運命は交差した。

 

「人払いの結界を張ったのに……あら、貴方は悪魔ね?」

 

黒翼を背中に持つ異形の存在、それはまるで聖書に記された

 

「堕天使?」

 

のようであった。

 

___________________

 

 

 

「堕天使?」

 

にしては見た目が色々と奇抜すぎるが、一誠はクロを抱えて何時でも逃げられるようにしている。

 

「あら…あらあら、その黒猫をおいていきなさい。悪魔じゃないなら、今だけは見逃してあげる」

 

何故か、そんなのは簡単に理解できた。

駒王学園生徒なら知っている問題児の一人だ。

それが大量の血を流し、倒れている。

 

「巫山戯るな、これ以上、これ以上俺の家族を、誰かを傷つけさせない!!」

 

それは二度目だった、一誠が自分から殴ると決めたのは。

 

「……変身」

 

暗い夜の中、街灯の光に照らされ現れる戦士。

 

『炎の技よ雷の力を加えて邪悪を鎮めよ』

 

かつて、恩師が残した碑文の内容が再び頭に蘇る。

 

「まさか……セイクリッドギア?!」

 

「そんな物は知らない、俺は……クウガ!クウガだ!」

 

赤きクウガとなった一誠は人の形をするそれを殴る。

 

(これは……)

 

その感触は人だ、未確認生命体達を殴ったそれではない。人の、生きている人の感触だ。

 

「痛い……痛い………」

 

それは殴られた位置から赤い血を流す。

 

「許さない……許さない!!!」

 

光の矢と思える何かが一誠に向けて投げられる。

しかし、それが一誠をクウガを傷つけることはない。

 

「なんで…………嫌……来るな!」

 

クウガは拳を握り締める。

 

「駄目……止めて………」

 

クウガに怯え、這いずってでも逃げようとする未確認にクウガは心を殺した。

金の力でない以上、被害はない。

 

「待ちなさい!」

 

それはクウガの視線を逸らすには十分だった。

 

「……何者?うちの生徒に何を」

 

「!」

 

クウガは逃げた、闇の中に。

隠れる様に…そして、自分の家に。

 

「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…はぁ………俺は……俺が………違う、俺は………」

 

手の甲には殴った時に付着した血液がまるで呪いの様にべっとりと付いている。

 

「な~お」

 

「……クロ、違う、俺は……違う、ごめんなさい。ごめんなさい……」

 

一誠はクロを抱き締めて泣いている。

人を殴る痛さ、苦しさは知っている。

でも、未確認達はそれを殺せた。

でも、アレはどうだ。

アレは……本当に未確認達と同じ………違う、人、人なんじゃ

 

「……一誠、眠るにゃ。大丈夫、お姉ちゃんがついてるにゃ」

 

「だ……れ?」

 

「大丈夫、大丈夫」

 

翌日、俺は変わらないように起きた。

 

「おはよう姉さん!」

 

「おはよう一誠!今日は」

 

「バイクで行くよ!」

 

「事故らないでよ!お父さんとお母さんが入院してるんだから」

 

「……うん、大丈夫だよ」

 

「そう?いってらっしゃ~い」

 

一瞬、姉の姿のノイズがかかる。

まるで陽炎の様に揺らめくその姿に頭痛を覚えるが、一誠はすぐに扉を開けて外に出る。

 

「大丈夫……大丈夫、俺は……クウガなんだから」

 

一誠の心は、まだ折れていない。

 

「……不味い、暗示が甘いにゃね。なんて……一誠、お願いだからコッチに踏み込まないで」

 

一誠は久し振りにバイクによる通学を行った。

 

「あっ…一誠先輩」

 

「ん?君は……ごめん。俺、名前覚えるの苦手で……また後でね!匙!何か仕事ある?」

 

「仕事って!まずはバイクを置いてこい!そしたら挨拶運動手伝え!」

 

「りょーかい!」

 

一誠は挨拶運動を時間ギリギリまで行う。

これも、一誠がいたから良くなったのだ。

 

「挨拶ってさ、人と人を繋ぐ架け橋なんだよ!だから、皆もやろうよ!」

 

自主的な参加だった。

生徒会役員でもなかった一誠は自主的に教職員の挨拶運動やボランティアに参加する。

動かないなら、自分から。

誰かよりも自分から。

それが一誠の周りの生徒や後輩の意識を変えたのだ。

 

「そうだ……匙、蒼那先輩は」

 

「生徒会だけど、どうしたんだよ」

 

「……昨日、羽根の生えた未確認に襲われたんだよ。その事を話したくてさ」

 

一誠は自分の拳を見る、蘇るのはあの感触。

自分の手に触るべっとりとした血の感触。

 

「……わかったよ、行ってくれ。大丈夫だからさ」

 

「……ありがとう」

 

一誠が去るのを見送り、匙は溜息をつく。

 

「……相談位はのるぞ?一誠」

 

「あっ!匙先輩!!おはようございます!」

 

「オッス!」

 

「匙おはよう!一誠は一緒じゃないんだな!」

 

「まぁな、彼奴は仕事だよ!まったく、こっちに頼めよな……」

 

「わかるよ、今週末なんて、卓球部の助っ人だぞ?まぁ、匙も俺達バスケ部の助っ人だけど」

 

「……まじでそろそろ俺も止めないとな。会長から最後通知が」

 

「でもなぁ……お前達2人だぞ?生徒会だけど優秀な選手なんてな」

 

そんな会話をして、匙は一誠の暗い顔を忘れようと努力したのだ。

 

 

「蒼那先輩」

 

生徒会室ではソーナが一人で作業していた。

朝早くから片付けていたと思われる書類が束になっている。

 

「……一誠君?」

 

「先輩、堕天使って存在しますか?」

 

「何処で」

 

「昨日、堕天使に襲われました。最初は未確認とかと同じだって!そう思ってたのに……殴って…骨を砕く感触と……べっとりとした血の感触が」 

 

「……一誠君、もう戦うのは」

 

「やれます、皆の笑顔を守りたい。それは、それは先生との約束なんです。いつでも、誰かの笑顔の為に頑張れるって、それって凄く素敵なことじゃないですか」 

 

一誠は変わらずサムズアップして見せる。

 

「貴方はその言葉を」

 

「先生だけだったんです、家族以外で…俺のことを真摯に見てくれたの。自分の仕事もあるのに、ずっと、それこそ小学校が終わってからも、ずっと、先生は俺を支えてくれました、先生とよ約束なんです。それに……1年前、未確認1号の時に決めました。約束だけじゃない、自分の意志で。

俺は、クウガとして皆の笑顔を護りたいって」

 

一誠はその時、サムズアップをしていなかった。

ただじっと、決意の目でソーナ・シトリーを見つめていたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




一誠はいろんな人から愛されて、いろんな人を大切だって思いながら育った優しい人です。
そんな一誠君を作者はどうしようかと悩んでいます。構成を考えたら闇落ちするし、近いうちに暴走します。
あとネタバレしますけどオリジナルフォーム出します。
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