転生者の教え子兵藤一誠 A new HERO new LEGEND   作:影後

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それは居てはならない存在だった。
倒したはずの過去、傷がその場に舞い戻る。
クウガはより絶望を歩むこととなる。


再来

 

「はぁ……はぁ」

 

男性がトンネルを走っている。

何にものかに追われるように、何ものかから逃げるように。

 

「ガァ、ガサダバゲゲルンザジラシザ」

 

「うっ…うわぁぁぁぁ」

 

パシャパシャパシャ

 

警察の鑑識のカメラのフラッシュが何度も瞬き、その遺体を確認する。

 

「………未確認いや『グロンギ』か」

 

「アンノウンなんて化物が出てきた上、コイツラまで活動を再開するなんて」

 

杉田の前では親指を千切られ、道路に鉄パイプで突き止められた遺体がある。

さらに、これがゲゲルだと理解できたのは付近の監視カメラに未確認24号に酷似した存在があたかも怯える様を愉しむように虐殺する姿が映し出されていたからだ。

さらに、現在地以外にも親指を千切られ、同じ手法で殺害された遺体が6体も発見されたのだ。

 

「4号は」

 

「捜査協力はしているだろう、今はそれだけで十分ではないか!」

 

杉田は子供を、しかも両親を襲われ、何時も以上に心が傷付いている少年を戦わせたくはなかった。現在、警察では対未確認用パワードスーツの開発が行われている。

 

「しかし……未確認と」

 

そう、誰もが思う。

未確認はあの4号すら倒したことのある相手もいる。さらに、未確認よりも理解できないアンノウンという存在も生まれた。

日本は、さらに恐ろしい立場に立っているのだ。

 

 

 

 

そして、兵藤一誠はと言えば今日も変わりなく生徒会の手伝いをしていた。

 

「蒼那先輩、書類終わりました!」

 

「えっえぇ……一誠君、あの」

 

一誠は昨日とは違い、元気だ。

しかし、その元気さが生徒会長であり、一誠の戦いを隣で見ていた蒼那だからこそ、理解できる。

 

「姉が帰ってきてくれたんです!俺が心配だからって、大学もこっちの近くにわざわざ転学までして。だから、大丈夫です!俺!」

 

サムズアップをして、蒼那に返事を返す一誠が心なしか寂しそうに見える。

 

「じゃあ俺、次の準備してきますね」

 

「えぇ、朝早くからありがとうございます」

 

 

 

 

 

兵藤一誠の駒王学園での評価は優等生である。

生徒会長からの信頼も厚く、わからない所があれば積極的に質問を行う。

授業の妨げでなく、休み時間にだが……

生徒会所属であるために一般生徒以上に激務のはずだが、自身と一部の生徒と共に庭園をつくりあげ、手入れもしていた。

今、それは用務員を追加して生徒から本職へと変わったが、本職に劣らぬ仕事振りを見せていたのだ。

 

「兵藤、ここの化学式を」

 

「はい!●●です!」

 

「あぁ、流石だな」

 

また、常に成績優秀であり駒王学園有数の特待生でもある。

学年1位を取り続ける事が必要であるが、一誠は人一倍努力し常にソレを取る。

 

「一誠!ボール行ったぞ!」

 

「匙、一騎打ちだ!」

 

「止めてやるよ」

 

そして、運動部の助っ人としても日夜、匙元士郎と切磋琢磨している。

 

「止められた」

 

「舐めるなよ、ディフェンスとキーパーには定評がある俺だ」

 

「二人共、サッカー部来てくれよ!!」

 

「「すみません!できません!!」」

 

女性人気も高いが、誰からも告白はされない。

というのも、告白よりも今の関係のほうが良いというのがある。

誰かのものではなく、皆に分け隔てなく接する一誠。そんな一誠が紡いだ友情に誰も亀裂を入れたくない。まぁ、とうの本人達は逆に告白されたらokを出す気は満々だが。

 

「ふぅ……監視カメラに、壁の中に鉄板。無理だよ、そんな……まったく」

 

「また、3馬鹿の事か?」

 

「うん、水泳部からね。覗き穴はないけど視線を感じるって。証拠を見つけるまでは断定はしないでねって、釘は差したけど」

 

「……兵藤先輩。少しは休んだほうが良いですよ。今日も私達より仕事をしてますし、ほら……私達悪魔なので」

 

「仁村ちゃん、駄目なんだよ。先輩達が居ないから話すけどさ……動いてないと、駄目なんだよ。あり得ないくらい、激しい怒りが湧いてくるんだ。何もできなかった自分への怒り、ぶつける事のできない激しい憎悪が。怖いんだよ、なにかしてないと、俺が……また、闇に飲まれそうで」

 

由良翼紗、巡巴柄、花戒桃、草下憐耶、仁村留流子、匙元士郎は誰も喋れない。

その苦しみは本人にしか理解できないものだから。軽々しく、判ります等とは誰も言えなかった。

 

「それに俺……本当は、未確認0号を倒して終わりだって、もう戦わなくて良いんだって、本気で思ってた。……でも、戦いは終わってなかった」

 

涙を流しながら、それでも笑顔で話を紡いでいく。

 

「でも、俺約束したんだ。皆の笑顔を守れる男になるって。だからさ、ごめん。まだ、頑張らせてよ。俺は、大丈夫だから」

 

『此方、5号車!未確認48号を追跡中!なんだ、あっ!アレは』

 

その言葉と共にノイズが走る。

 

「一誠!」 

 

匙が何か言い終える前に一誠は窓から飛び出した。既に、身体能力は人間のものではない。

この程度で傷は負わない。

一誠は、ビートチェイサーに跨るとヘルメットをつける。

 

『ーー街道路を南下しています』

 

『了解だ、ーーで抑えるぞ』

 

その通信を頼りに一誠は走る。

 

「変身!」

 

バイクに乗りながらその姿は赤き戦士へと変化する。そして、ビートチェイサーにゴウラムが合體する。ビートゴウラムとなり、さらに加速する。

 

「未確認4号?!」

 

「それに、警察まで」

 

市民も知っている、それが何を意味するのかを。

クウガが目的地へと到着するとそこでは機動隊と未確認48号との戦闘が行われている。

 

「ぐぁぁ」

 

「リントンゲンギレ、ジャラゾグスバ」

 

「危ない!」

 

紫のクウガとなり、未確認48号の攻撃から警察を守る。未確認48号はまるでカマキリのような鎌を持ち、紫のクウガの装甲に傷が付く。

 

「鋭い……でも、借りますね」

 

「4号、ありがとう」

 

警棒を借りればそれは剣となる。

紫のクウガは剣を構え、未確認48号との距離を縮める。

 

「クウガ、ボボゼビガラドガサゴグヅロシパバギ」

 

「なんだ」

 

未確認48号は地面に鎌を突き立てるとアスファルトをそのまま持ち上げ景観に投げた。

紫のクウガはソレを拳で砕き、被害を無くす。

 

「……どこに」

 

「……クソっ、一誠君。大丈夫か」

 

「はい、杉田さん」

 

クウガは変身を解き、一誠に戻る。

幸いなのは重症の警官が居ても死んだ警察が居ないことだ。

 

「…あの未確認、鎌を使ってました」

 

「あぁ、もしかしたら君の」

 

「……いぇ、杉田さん。違いますよ。あの未確認は絶対に」

 

「何故だい、あれ程の斬れ味なら……そうか」

 

「アスファルトを瞬時に斬り裂けて、…紫のクウガの装甲すら斬れたんです。一瞬で終わりですよ。それに……」

 

一誠は未確認48号を再び思い出す。

 

「あの未確認は、また現れます。その時に」

 

「……そうだな、了解した」

 

一誠は警官隊の手当を手伝った後に、ビートチェイサーに跨る。

 

「待ってくれ、君が……未確認4号なのか」

 

それは、一誠が救った機動隊の一人だった。

 

「未確認4号じゃなくて、クウガです!警官さん!」

 

サムズアップした一誠は夜の街にビートチェイサーと共に戻った。

 

「クウガ、アレが………未確認4号」

 

「どうする、仕掛けるか」

 

「いや……彼とは戦いたいが彼女の家族だ。それに」

 

「下衆を仕留めるほうが先決か?」

 

「あぁ、戦う理由もない殺しは俺は好きじゃない。相手に怒りを覚えさせる物も、そして、第一。母親を狙うのは気に食わん」

 

グレーの髪をした170cmほどの少年が走り去るクウガを見ていた。

白き龍の翼を生やし、闇夜に浮かぶ。

 

「………それに……彼と戦えば俺は負ける」

 

「珍しいな、お前が負けるとは」

 

「心の問題だ、彼は………俺よりも遥かに強い」

 

ブラックの瞳は静かにその姿を見据える。

 

「近いうちに会おう、クウガ」

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