転生者の教え子兵藤一誠 A new HERO new LEGEND 作:影後
一誠は学校に戻ることもせず、静かに自宅に帰っていた。
「?」
「ミャー」
「シロ!」
それはかつての飼い猫である純白の猫。
一誠が心を開ける存在である。
「あっ!姉さん!!シロが帰って来たんだよ!!!」
「!……よっ、良かったわね」
「ミッ?!」
何処か暴れそうなシロを一誠は慣れた手付きで宥める。
シロ自身も優しく撫でられ、ゆっくりと暴れるのを止める。
「姉さんもシロを撫でてよ、昔みたいに」
「えっ……えぇ、そうね。あら、一誠髪が汚れてるわよ?先にお風呂入っちゃいなさい」
「あ〜〜、ごめん。俺が準備すれば」
「良いから」
自分が汚れている理由も知っている一誠は頷き、部屋に着替えを取りに向かいそのままバスルームへと向かうだろう。
だからこそ、ここに二人で話せる空間ができた。
シロは床に下りると真の姿を見せる。
「白音」
「黒歌姉様」
方や優しく自愛の満ちた目で、方や戸惑い、そして多少の怒りが入った視線を向けている。
「……一誠先輩に何をしたんです」
「救ってあげてるの、でないと心が死んでしまう」
「一誠先輩が未確認4号、知ってたんですか」
黒歌は苦しそうに話す。
「ずっと見てきたから。私が会いに行った時もそう、帰りに堕天使に襲われたわ。一誠は私を守る為に……変身した」
白音も理解している、その時の情報が主であるリアス・グレモリーから話されたからだ。
未確認の再来と並行して、堕天使の活動が活発になっている。
「彼は変身した、私を守るために。堕天使の…光の矢すら効かず、私を殺そうとした堕天使に怒りをぶつけた」
そして、一誠は苦しんだ。
人を殴る感覚、元々優しい一誠はそれが嫌いだ。
だから、人を守るという矛盾を抱えている。
だが、堕天使は未確認ではない、堕天使も人間ではないが、人と同じ目を持っている。
その目は、一誠が一番恐れている、自分を怪物とする目であった。
「それに、あの子の両親は襲われたわ。未確認じゃない、もしかしたら悪魔や三大勢力」
「なら、私達のほうが!」
「……ここで私が消えればあの子は本当に死んでしまうの。私も、私もここまで依存される何て予想外なの……白音理解できるの?毎晩、うなされて、泣いている、そんな恩人の姿を……」
「……先輩は」
「白音、お願い。定期的でいい、シロとして合ってあげてほしいの」
「……はい」
〈???side〉
「ふぅ……しがらみなんて必用ない、俺はただ不自由ない暮しなんかより喫茶店開いてそこのマスターやってるほうが性に合うんだがなぁ」
その男も転生者である、cv子安武人のキャラに転生できるというランダム性を求め、何故かこの世界で面倒くさい立場に生まれ落ちたのだ。
「まったく……ままならないもんだねぇ」
何処かお気楽な雰囲気で物件を探して回る。
家では適当なキャラを演じて使命を全うする気もない。
「はぁ……クウガも居るし、なんか知らないやつがグレモリーのお嬢様の下についてるし……」
自身の婚約者候補でなり、逃げ出したい女である相手。家族が勝手に決めた事、全てを投げ出して労働の有難みを知る人生を送りたい。
「……へ?まじか」
この男、資金なら腐る程ある。
家族に隠れ、へそくりを地道に増やして生活してきたのだ。それが何年も続けば巨万の富とはいかなくとも、普通に生活する分の足しにはなる。
「はぁ〜っと、うし……」
それは古い洋風の民家だった。
翌日、男は不動産に連絡するとその民家は売りに出されている物だと知った。
元の家主は喫茶店を経営していたが後継者もなく引退、内装まで自由に使って良い分非常に高い値段と言われたが、即金しても自分の資産の10%程であった為、すぐさま入金し購入したのだ。
「いい店だなぁ」
元の店主は既に自分の雑貨などは持ち出している。2階に生活するための空間があり、自分の望んだ生活のできる場所だった。
「良いじゃないか……」
男の料理の腕は一流とはいかないが、誰もが笑顔になる料理は作れる。
「よっし、開店だ。俺の城、俺の店、さよなら家族。さよなら我が妹よ!」
男は名前と顔を変えた。男の名は
《オリビエ・マーキス》
自分の愛するキャラクターから名前を貰い、
新たな生活を始めるのだ。
《兵藤一誠》
「姉さん、シロ洗って良い?」
一誠が着替を持ってリビングに入ると慌てた様子の姉、黒歌とそんな黒歌の頭に爪を立てるシロが居た。
「なにしてるの?」
「シロが…シロがおかずを!」
「ミャーー!!!」
まるで講義するように爪を立てた猫パンチを何度も何度も黒歌に与えるシロ。
「っいた!やめ!止めて!!」
「シロ、よーし、よしよし」
黒歌の頭の上にいたシロを優しく撫で、抱きかかえる。着替に毛が付くがそれぐらいは気にしない。
「シロ洗ってくるね、風呂ついでにさ」
「ニャァ?!」
「!…えぇ、!…お願いね」
何処か笑顔な黒歌に変だという顔を向けながらシロを風呂場にいれる。
「ニャァァ」
「駄目だ、おかしいなぁ…昔はお風呂大丈夫だったのに」
シロの内心など知らず、呑気に着替え始める。
逃げ場なしと悟ったシロは視線を向けないように隅に隠れる。
「よーし、捕まえた」
「ニャァァァ」
普段よりも低い鳴き声、一誠は聞いたことのない鳴き声に笑いを零しながら自身の身体をみる。
「つぁ……また増えたなぁ……」
「ニャァ?」
「大丈夫、ほら…洗うからな」
「ニャァ!」
首から下を念入りに現れる。
そこに羞恥心を持つことは許されず、身体を優しく揉みほぐされ、尻尾は末端まで撫でる様に現れる。
「ふぅ……」
洗い終われば今度は一誠が身体を洗い始め、幼少期に見た肉体よりもより男として成長した肉体にシロは目を釘付けにされる。
そして、日常生活では絶対につかないであろう傷がついているのに気付く。
銃創だけでない、裂傷、刺傷、自分の知らないうちにどんな生活をしてきたのかと哀しみが溢れる。
「ミャ!!!!」
だが、見えてしまったアレに意識が持っていかれ止まってしまう。
「終わり……よし、完璧だ」
なれた手付きでドライヤーからのブラッシング。
それを受けてシロはうとうとしてしまう。
「眠ったかー……」
優しく抱きかかえると、一誠はシロをリビングのソファに優しく乗せる。その上に青いタオルを乗せる。
「一誠、将来はあれ……動物の」
「ならない、ならない、俺は世界を冒険したいんだ。昔、先生から聞いたことのあるんだ」
「へぇ、どんな」
「俺の見てる世界って、テレビや情報からでしかない。自分の目で見て、触れて、体験しないと理解できないって」
「……」
「でも……もぅ…無理だけど」
「一誠?」
「俺さ、警察の未確認対策班にどうにか参加したいと思ってるんだ。もう、俺達みたいな人を増やしたくないから」
一誠は冒険という夢を捨てた。
捨てなくては、守れないから。
誰かの笑顔を守るためなら、自分の夢くらい、
「大丈夫、一誠、大丈夫だからね」
一誠の心情を、離れていた黒歌にはわからない。
だが、一誠の優しさは忘れない。
「夕食、食べちゃいましょうね」
「うん」
一誠は食事が終わると即座に自室に入る。
予習復習を忘れず、自身に割り振られたタスクを終わらせて、眠るのだ。
「…クウガ、君も成ったんだね。大いなる闇に」
「うわぁぁぁぁ!」
変身が解けても、雪山で殴り合う。
拳が赤く染まっていても、目の前の存在は笑っている。
「あはは……あはは、あははは」
最後の一撃が相手の命を止めた。
「……僕の変わりに君がなるんだ」
死んだはずの相手が一誠の顔を
「はぁ…はぁ…はぁ…」
時計を見れば既に4時を回っている。
「くそ…………」
リビングに降りると、棚から愛用するステンレスグラスを取り出し、ウォーターサーバーから水を注ぐ。
水道水よりも冷えた水が渇ききった喉を一瞬で潤してくれる。
「……」
一誠は私服に着替えるとビートチェイサーに跨り、墓地へと向かった。
「………先生、また現れてしまいました。先生の言うグロンギじゃない、別の何かも……先生がご存命なら」
「……一誠、お前はまだ戦うのか」
それは聴き慣れた声だった。
自分の記憶に深く刻まれながら、その声は確かな優しさと、若々しさを持っている。
「そんな……先生」
「……お前はもう良い、俺が戦う。それが、俺の罪だ」
「なにを!」
「…変身」
月明かりに照らされて、その姿がはっきりと映る。ダグバの様に白く、そして、一誠が二度とならないと決めたあの大いなる闇のように角が力強くそびえている。
「ふん!」
「なっ……」
「俺の生徒に手を出すな」
一誠の背後に何かが居た、一誠を狙い、殺さんと。もう一人のクウガはそれを祓うと闇へと歩き出す。
「待ってください!先生!!」
「………」
「待って!先生!!!」
一誠の視界が揺らいでいく、身体は疲労し、動くことが出来ない。
「おい!大丈夫か!おい!!」
そこに一人の金髪の男が現れる。
その男は店を構えてから日課の早朝ジョギングをしていた。
「兵藤一誠……まじ?まぁ……いっか」
男は一誠を近くの公園のベンチに寝かせると隣でじっと起きるのを待っていた。
「あ…ここ………」
「起きたな、缶コーヒーだけど……うわ、微温くなってる」
「あの、ありがとうございます」
「うんうん……やべ?店の仕込みの時間だ?!悪いね少年!缶コーヒーはあげるから、それじゃあ!」
男は急いで立ち去ると何かを落としていった。
「あの!行っちゃったって…コレ財布!」
一誠は一旦家に戻るとビートチェイサーにまたがろうとする。
「一誠、何をしてたのかしら」
「あ…姉さん」
「来なさい」
「いや……でも…」
「来なさい」
一誠は嘘を交えながら話す。
夢だと思えてしまう、幻覚だと、思えてしまう。
(でも、先生。俺も戦います、皆の笑顔を護りたいから。今日みたいな日常を過ごしたいから)
「あ?!そうだ!!財布届けないと!」
「早く行ってあげなさい、朝ご飯は用意するから。まったく……」
その頃その男は……
「あ~小銭入れ落としたか……お届け先入れてあるし大丈夫かなぁ?」
と呑気に開店の準備をしていた。
ギャグっぽいのと、おやっさんキャラ作りたくて転生者生やしました。
この転生者もとい馬鹿のせいで色々と不味いことになったりします。
ですが、エボルト枠ではありません。
おじさんや、おやっさん枠です。