お腹が空いたのでお金を稼ぎたいです。剣術極めた死神の無自覚ライフ 原作にちょっと沿ったver   作:狂骨

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引き摺り込む影

 

藍染との決戦より17ヶ月。騒ぎが起きた現世にて、舞台となった空座町のレプリカと、実際の空座町の入替が無事に終わり、尸魂界も完全に機能を回復させていた。

 

だが、藍染との戦いの中で一護は死神としての力を失い、一護と関わりのあった護廷隊からは困惑の声が上がっていたのだ。

 

「ラリラリラ〜♪」

 

そんな日々が続く中で、千弘はいつも通りに鼻歌を唄いながら研究室に資材を運んでいた。

 

長い長い回廊をステップを踏みながら進んでいき、技術開発局の前に到達する。

 

「局長ー!持ってきましたよ〜!」

 

そう言いながら扉を開けると、そこには、マユリの他に機器やモニターを操作する局員達の姿があった。

 

「おや君か。そこに置いておいてくれたまエ」

 

「は〜い」

 

指定された場所に置きおえると、千弘はマユリ達の操作する巨大なモニター画面を見上げる。

 

そこには、何やらたくさんの数値やら波長やら映し出されており、それらがリアルタイムで変形していた。

 

「これ、霊子濃度を観測してるやつですよね?何かあったんですか?」

 

「ふむ。より高密度の霊子を感知できるように機械の精度を上げてみたのだが、不可解な記録が取れてネ。原因を調べているところダ。これを見たまえ」

 

そう言いマユリはある画面を見せた。それは過去に観測した霊視濃度の波長の録画であり、マユリは再生させる。

 

「…ふむ?」

 

その録画を見た千弘はある点に目を向ける。再生された霊子濃度の波長の変化がたった一瞬だが、大きく乱れていたのだ。

 

「これは…」

 

「どうにも瀞霊廷内からの反応でネ。一瞬だけども大きな霊圧の波長の変化が読み取れる。だが、現場に駆けつけてみても何もなかった。君はこれをどう見る?」

 

「う〜ん」

マユリから尋ねられた千弘は首を傾げながらも答える。

 

「何かありそうですね。なんかデカい霊圧の持ち主が一瞬だけ現れて、消えた的な?」

 

「そう。そして問題となるのは、どうやって一瞬で消えたのかダ」

 

そう言いマユリは現地視察の際の画像を見せると、そこには何の変哲もない瀞霊廷内の路地の風景が映されており、見ても特に変化や痕跡などは見当たらなかった。

 

「その場から逃げたとなると、霊圧の波長が変わらず感知される筈だが、変化はない。穿開門が開いた形跡もない。さぁ?どうしてだろうネ?」

 

「………まさか、それを調べろと…?」

 

「うんその通り」

 

「はぁーーー!?」

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

その後、千弘はネムの付き添いの元、泣く泣く現地調査へと向かっていった。

 

「さて、厄払いも済んだ事だし、作業を進めるヨ」

 

「厄払いってアンタ…」

 

ぞんざいすぎる扱いに阿根は呆れ、ニコも苦笑する。

 

そんな中であった。

 

「隊長!」

 

千弘と入れ替わるように研究室の扉が開き、局員の1人が慌てながら入ってきた。

 

「なんだネ?うるさいヨ」

 

「いや…その…八番隊隊長が…」

 

「お帰り願エ」

 

「えぇ!?でも____」

 

 

すると

 

「いやいやいや。すぐ帰らせるなんて酷いんじゃない?」

 

「ひぇ!?」

 

駆けつけた局員の背後から声が聞こえ、驚いた局員が振り返ると、そこには既に京楽の姿があった。

 

突如として現れた京楽は相変わらず飄々とした笑みを浮かべながら手を振る。

 

「忙しいところ失礼するよ。涅隊長」

 

「全く。私は君のようなアルコール依存症と違って忙しいんだヨ?その点について理解はしてもらいたいモノだネ」

 

「えぇ?酷い言われようじゃない!?これでも最近は結構控えてる方なんだよ!?

 

「御託は良い。さっさと要件を話したまえヨ」

 

「…」

 

すると、京楽の雰囲気が変わり、先程とは目の色が変わる。

 

 

「ちょいと会わせてくれないかい?『園原千弘』くんに」

 

○◇○◇○◇

 

一方で、ネムと共に現地の調査に向かった千弘は写真の場所を訪れていた。

 

「ちくしょぉぉぉ!!あの腐れ局長!!いっつもいっつもタダ働きさせやがって!!」

 

「心中お察しします」

 

 

「まぁあの野郎に対する悪戯は後にして…早速始めましょう!!」

 

「はい」

 

千弘の号令にネムもノリ良く返答すると、すぐさま調査を開始する。

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

「う〜ん…」

 

改めてその場所と周囲を見渡して、何か痕跡などはないか探してはみたものの、特にこれといった物は見つからなかった。

 

「どうですか?ネムさん」

 

「コチラも特に何も見当たりません」

 

「まいりましたねぇ」

 

どうすれば良いか?何か他に手掛かりは無いものか?そう考えながら千弘は様々な場所を触り調査していく。

 

 

 

そんな中であった。

 

「千弘さん…」

 

「はい?」

 

周囲の建物の至る所に触れていた千弘をネムは呼びかけた。振り返ると、いつもよりも何故か彼女の頬が紅い。

 

「どうしました?顔赤いですよ?熱でもあるんですか?」

 

「…」

 

建物から降りて、顔を俯かせるネムに千弘が首を傾げるとネムは胸元を抑える。

 

「千弘さん。最近、貴方に触れるたびに、何故か身体の奥底から熱のような暑さを感じる時がありました。今までそれが一体何だったのか、分からず、ずっと悩んでおりました」

 

「え?」

 

そして、ネムは胸を押さえながらも目を大きく開きながら千弘に向き直る。

 

「貴方と過ごす内に、ようやくわかりました。この気持ちが_____ん?」

 

言いかけようとした時であった。ネムは言葉を詰まらせてしまう。

 

「千弘さん…?」

 

そこには先程まであった千弘の姿が消えていたのだ。

 

 

その一方で、彼女の背後にあった建物の影が不自然に揺れていた。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

「……え?ここどこ?」

 

一方で、千弘は目を何度も何度も開く。

 

「え?ええ!?えええ!?いきなり暗くなったかと思ったらなに!?嘘!?ここどこ!?」

 

慌てながらも周囲を見渡す千弘の目の前に広がっていたのは、暗い空に加えて青く輝く白い町並み。

 

そして

 

「哀れな死神よ。我々を嗅ぎ回らなければ良かった物を」

 

自身を取り囲む何十名もの軍服を着た人間達。謎の集団は千弘を完全に包囲すると、白い武器や霊子で生成したマシンガンや、刀剣の鋒を向ける。

 

そんな様子に千弘は恐る恐る尋ねた。

 

「あえっと…いきなり怖いんですけど…あの、ここってどこですか?」

 

「知る必要はない。やれ」

 

 

その言葉と同時に、向けられたマシンガンや銃、弓矢が一斉に照射された。

 

 

 

 

 

その時であった。

 

 

「はぁ。そうですか」

 

「「「「「「!?」」」」」」」

 

 

_____千弘の姿が消えると同時に、包囲網の外に現れた。

 

 

背後から聞こえてきた落胆する声に、そのリーダー格の男は恐る恐る振り返る。そこには、腰に収めた斬魄刀の鞘に刀を納める千弘の姿があったのだ。

 

「な!?貴様…なんだその速____」

 

 

「答えないなら用はありません。死んどけ」

 

__カチン

 

鞘と刀の鍔の部分が重なり合う音と共に、振り返ったリーダー格の男に加えて、千弘を取り囲んでいた集団全員の身体に亀裂が走ると共にバラバラに切り刻まれたのであった。

 

「さて、ここは何処なのか調べないと」

 

背後から血が飛び散る中、千弘は未知の世界へと歩きだしたのであった。

 

 

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