お腹が空いたのでお金を稼ぎたいです。剣術極めた死神の無自覚ライフ 原作にちょっと沿ったver   作:狂骨

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探索は怖い

 

千弘が侵入し、次々と聖兵が倒された事で、城内は緊急警報が鳴り響き、超警戒体制が敷かれていた。

 

「現場に残されていた衣服から、奴は今、真っ裸か我々の服を奪って潜入している!!引き続き警戒を怠るな!!特に日本刀を所持している者を見つけた次第、すぐに報告せよ!!」

 

部隊長らしき男の命に兵士達は頷き、場内を見回る。

 

 

そんな中であった。

 

「ぐぇ!?」

 

1人の聖兵が何者かによって路地裏に引き摺り込まれた。

 

ーーーーー

ーーー

 

場内はざわめいていた。星十字騎士団の出動を迫られる程の事態に兵士達は緊張感を露わにし、騎士団達も項垂れながらも侵入者を探し回っていたのだ。

 

 

そんな中、ハッシュヴァルトは最上階付近の階層の警備のため、暗い道を歩いていた。彼は星十字騎士団団長にして皇帝である『ユーハバッハ』の側近であるためだ。

 

 

すると

 

「…ん?」

 

奥の通路から何者かの気配を感じ取った。

 

「何か来る…何だ?」

 

闇の奥から感じられるのは得体の知れない気配。同じ人間ではない。まるでこの世の物とは思えない程の悍ましく血生臭い異質な気配だった。

 

「…」

 

その気配を感じ取ったハッシュヴァルトはすぐさま腰に差した剣を握り締める。

 

 

すると、

 

ガラガラガラ

 

闇の奥から車輪の回る音と共にその正体が現れた。

 

現れたのは、

 

 

____台車を押す1人の小柄な聖兵だった。

 

「(聖兵…?なぜここに…?)」

 

この階の警護は自身のみだ。他の聖兵達は全て他の階層の警備に当たらせていたため、ここに来るはずはない。

 

故にハッシュヴァルトは警戒して、腰に刺してある剣を握ると呼び止めた。

 

「待て。この先は陛下のおわす部屋だ。掃除係は私が召集した時にしか来ない。私は清掃を命じた覚えはないぞ?」

 

「……」

 

ーーーーー

ーーー

遡る事、数十分前。

 

路地裏で1人の兵士を拘束し、衣服を奪い取った千弘は見事に溶け込む事に成功して、場内に侵入していた。

 

「ふぃ〜何とか潜り込めた…取り敢えずいまのところ…」

 

滅却師達が闊歩する場内の影に隠れていた千弘は、現在の情報をまとめたメモを広げる。

 

地点名:不明

特徴:滅却師達が多く暮らす場所であり、中でもこの城には『星十字騎士団(シュテルン・リッター)と呼ばれる精鋭の滅却師達が住んでいる。

そしてそれらをまとめる者がおり、“陛下”と呼ばれている。

 

「こんな感じか…後はどうやって戻るか…」

 

一先ず、場所の特徴はある程度は抑えた。なので後は帰るだけだ。だがこの世界のどこに帰れる場所があるのか?そのヒントさえ行き着けていない。

 

「まずい…どうしよう…」

 

 

そんな中であった。

 

___おい。まずは太陽の門を閉鎖した方がいいんじゃないか?

 

___そうだよな。あそこから別の場所に行けるんだしよ

 

「!?」

 

別の場所から聞こえてきた滅却師達の話し声に千弘は驚く。

 

「太陽の門…!?それがここから出られる方法…!?」

 

ようやく掴んだ脱出口だ。ならばその『太陽の門』と呼ばれる場所へ向かうしかない。

 

だが、急がなければならない。話が本当ならば、そこの警備が厳重になる。

 

「(急がないと!!あぁ…でもどうすれば…)」

 

そんな中であった。キコキコと、掃除用具を載せた台車を押す兵士の姿が目に入る。

 

それを見た千弘は何か閃いた。

 

「これだ…!!!」

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

そして変装し、他の聖兵から『太陽の門』の場所を聞き出した千弘はそこへ向かうべく、この階層へと来ていたのだ。

 

だが、その階層の警備にあたっていたハッシュヴァルトに警戒されて今に至る。

 

「おい。聞いているのか?」

 

「あ…いや…」

 

その声を耳にした瞬間 全身が悪寒を襲うと共に、冷や汗が流れ始める。だが、その反応が更にハッシュヴァルトを掻き立て、腰の剣へと手を伸ばす。

 

「答えろ。貴様、誰の命令でここに来た?」

 

「すいません…新入りの者でまだ全員の方の名前を把握出来ておらず…“部屋を掃除しろ”と言われたのですが場所が分からず…」

 

すると

 

「『掃除をしろ』…?この時間帯に掃除を命令する者など……」

 

その言葉に彼の耳が反応して、剣が下ろされる。

 

「まさかバンビエッタ・バスターバインのいつもの後始末の事か?」

 

「…!!そうそうそうそう!!!」

 

彼の口から出た言葉に何となく必死に頷く。すると、彼は納得したのか武器を鞘にしまう。

 

「なら別の階だ。ここは違うぞ。着いてこい」

 

ーーーーー

ーーー

 

その後、階段を降りて部屋の前に到着した。

 

「ここだ。今後は気をつけるんだな」

 

「はい!!ありがとうございますぅ!!」

 

それからハッシュヴァルトは去っていくと、千弘はふぅと安堵の息を吐く。

 

「ひと安心!」

 

すると

 

「あら?随分と来るのが速いじゃない」

 

「ひゃい!?」

 

背後から声が聞こえ、振り返るとそこにはミニスカート状の軍服を纏い帽子とマントを纏った少女の姿があった。

 

自身よりも華奢で小柄でありながらも上背があり、淡々と見下ろす彼女に千弘は恐る恐る頭を下げる。

 

「ど…どうも…」

 

「ん〜?よく見ると可愛い顔じゃない……まぁいいわ。さっさとやっちゃって」

 

「はいい!!」

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

その後、千弘は彼女の部屋に入ると掃除を始めた。内容としては『遺体処理』だ。彼女の部屋の真ん中には真っ二つにされた男性兵士の遺体があった。

 

それは彼女のストレス解消法であり、鬱憤が溜まれば顔の整った兵士を部屋に招いては惨殺して発散しているらしい。

 

「(ひゅ〜…掃除スキル身につけておいて良かった〜…)」

 

そんなこんなで、部屋に案内された千弘は安堵の息を吐きながら、掃除へと取り掛かった。

 

ーーーーー

ーーー

 

それからしばらくして、遺体を処理し終えて血も拭き取り終えると、千弘は息をついた。

 

「ふぃ…終わった…。終了です」

 

「随分と速いじゃない。ま、いいわ」

 

千弘に呼びかけられて、戻ってきたバンビエッタは、跡形もなく清掃された部屋に納得すると、千弘の手を掴み、ベッドの上に押し倒した。

 

「ほいっ」

 

「いやん!?な…何ですか!?」

 

そう言うと、バンビエッタは下唇を舐めとると、千弘の上に跨った。

 

「アタシのストレス発散に付き合いなさいよ」

 

「いやいやいや!私は掃除に来ただけですし!それに心に決めた人が…!!」

 

「いいでしょ?別に。それともなに?アタシとやるのが嫌だって…の!?」

 

そう言いバンビエッタの手が千弘の頬をなぞると、服を破いた。

 

「いやぁん!!痴漢!!」

 

「誰が痴漢よ!?というか、アンタ、ガキの癖にやけに鍛えてるじゃない。これはけっこー楽しめそうだわ」

 

その言葉と共に、バンビエッタの人差し指が、千弘の鍛え上げられた肉体をなぞっていき、それに千弘は益々、恐怖心を露わにする。

 

 

「ひいいいい!!!やめて!!離してくださ___ふが!?」

 

 

「うるさい」

対抗しようとした瞬間 バンビエッタの手が口を覆う様に掴むと、鋭い瞳を向ける。

 

「どうせアンタの様なガキが惚れる相手なんて、“優しいってだけでそれ以外は何の取り柄もない女”でしょ?顔もスタイルも何もかも完璧なこのアタシとヤったら気持ちよさで忘れるんだし、どうでも良いじゃない」

 

そう言いバンビエッタは服を脱がせ始める。

 

「アタシに目をつけられた時点で逃げられないんだし。そもそも雑用が天国味わえるんだから光栄に思いなさいよ」

 

そして、千弘の服を脱がせ、胸元が顕になると、バンビエッタ自身も胸元のジッパーを下げて豊満な胸元を曝け出す。

 

「さぁ、楽しませてよ…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その時であった。

 

「おい…今なんて言った?」

 

ガシッ

 

手を伸ばしたバンビエッタの手を千弘の手が掴む。突然と捕まれ抵抗されたバンビエッタは不快感を顕にし鋭い目を向ける。

 

「なによこの手?まさか、雑用の分際でアタシに逆らおうっての?」

 

「黙れアバズレ」

 

「…は?」

 

千弘から発せられたその一言にバンビエッタは遂に怒りを見せる。

 

「“アバズレ”?へぇ可愛いかと思ったらとんだクソガキね。今すぐ手を離しなさいよ。じゃないと殺して_____ん?」

 

千弘のその一言によって、彼に殺意を覚え、サーベルに手を伸ばそうとしたバンビエッタはある違和感を覚える。

 

「え…ちょっと待って…やけにアンタ…力強くない…?」

 

自身よりも逞しいが体格は遥かに小柄にも関わらず、その腕に掴まれた自身の腕は一ミリも動かす事ができなかった。

 

「おい」

 

「ひぃ!?」

すると、バンビエッタの表情から先程の傲慢な感情が消え去り、恐怖に染まる。その彼女の目の前には、首元や額からから筋を脇立たせ眉間に皺を寄せる憤怒に満ちた千弘の姿があった。

 

その怒りを顕にさせた千弘は更に掴む力を強める。

 

「ネムさんはな…アンタよりも背は高いし胸も大きいし足も長い…いや、それよりも…どんな人でも分け隔てなく接する心優しい人なんだよ…!!小さい頃から面倒見たのは私だけど、今じゃ落ち込んだ時は慰めてくれる“姉”のような存在なんだ…!!!」

 

ゆっくりと起き上がった千弘は拳を握り締める。

 

「テメェの様なアバズレが…」

 

咄嗟に武器に手を伸ばそうとするものの、間に合わない。バンビエッタの瞳が震える中、千弘の拳が握り締められる。

 

「ま…待ちなさいよ!?ねぇ待っ____」

 

「私の大好きなネムさん侮辱してんじゃねぇぞッ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

その時であった。

 

「失礼いたします。清掃の命を受けたため参りました」

 

「「!?」」

 

扉が開き、そこから軍服を身に纏った兵士が現れた。それを見たバンビエッタと千弘は驚きの表情を浮かべ、千弘自身も拳を止めた。

 

その一方で、千弘とバンビエッタの格好から、それを見た兵士は頬を赤くそめながらすぐさま離れる。

 

「し…失礼しました!!すぐ出て行きます!!」

 

「待ちなさいよ!!!」

 

バンビエッタは咄嗟に呼び止めると、千弘へと目を向ける。

 

「掃除係ってどういうこと…?コイツじゃないの…!?」

 

「え…?」

震えながら尋ねるバンビエッタに対し、その場に止まった掃除係の兵士は何が何なのか分からず、首を傾げながらも答えた。

 

「いやあの…私は出動の要請が出たので来たのですが…」

 

「要請が出た…?」

 

その言葉を聞いた途端、バンビエッタの瞳が更に震えると、再び千弘に向けられた。

 

「アンタ…まさか…!!!」

 

「いやいやいや!!私はただの雑用で____」

 

バンビエッタに問われた千弘はすぐさま首を横に振りながら部屋を後にしようとする。

 

だが、

 

____ガン

 

不意に台車に躓いてしまい、その拍子に台車に被せられた風呂敷の中から“斬魄刀”が溢れでて床に落ちてしまう。

それを見たバンビエッタは一瞬驚くと共に思わず口に出してしまう。

 

「これって日本刀…」

 

「あ、やべ」

 

 

千弘はすぐさまその場から斬魄刀を拾い握り締めると部屋を飛び出した。

 

「あ…」

 

飛び出して逃げていく千弘を見つめていた兵士は勿論、唖然としていたバンビエッタはようやく正気に戻ると大声を上げた。

 

「あああああああああ!!!!見つけたぁああああ!!!アイツが侵入者よぉおおお!!!!!」

 

その瞬間 場内中にサイレンが鳴り響く。

 

 

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