お腹が空いたのでお金を稼ぎたいです。剣術極めた死神の無自覚ライフ 原作にちょっと沿ったver   作:狂骨

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虚圏にて再会

 

「う…嘘……だろ…?」

 

目の前の光景を目の当たりにしていた石田は唖然としていた。目の前には自身らが歯が立たなかった破面『ザエル・アポロ』が自身らよりも小柄な少年死神の手によって粉々に切り刻まれ、粉の様に風に溶けて消えていく光景が広がっていた。

 

「全く。副長に手を出すからですよ」

 

その一方で、ザエルアポロを切り刻んだ千弘はやれやれと首を横に振りながら刀を鞘に収める。

 

「み…見えていたか…今の…」

 

「いや…というかアイツって確か席管でも無かった筈…」

 

その光景を目にしていた恋次は何が起こったのか理解できず石田に問いかけるも、彼も同じ反応であった。

 

 

そんな中であった。

 

「さてと…あとは」

 

千弘とネム、そしてマユリの目線が2人へと向けられた。

 

「怪我人の治療ですね」

 

「そのようだネ」

 

「「え…?」」

 

ーーーーーーー

ーーーーー

ーーー

 

「ぐぁぁぁぁ!!!離せぇえええ!!!」

 

それから石田は治療のために千弘とネムに手足を抑えられていた。注射を指す相手がマユリなために完全な危険信号を受け取った石田は必死に抵抗するも、脚はともかく、両腕は千弘の腕力で押さえつけられていたため動かせなかった。

 

「ほら暴れないでください。副長、足をもっと強くお願いします」

「はい」

 

千弘の言葉に頷いた事でネムの脚を抑える力は更に強まり完全に抵抗できなくなった。

 

「よし。グサっといきますよ」

 

「ちょ!!擬音!!擬音がおかし_____」

 

 

グサっ

 

それから千弘は暴れる石田へと注射を打ち終えると、恋次にも同じく薬を注入する。恋次自身はマユリについて知っていたためか、抵抗しなかったため、アッサリと終わった。

 

「局長、二人とも薬打ちましたよ」

 

「ご苦労」

 

薬を打ち終えた事を報告すると、周囲を見渡していたマユリはある一点を指差す。

 

「では次はここを掘り起こしてくれたまエ」

 

「ここを…?」

 

マユリが指したのは瓦礫の山であった。なぜかマユリは何かを見つけたのでここに指を向けたのか不思議に思いながらも千弘は頷く。

 

「分かりました。副長」

 

「はい」

 

承諾した千弘は袖を捲ると、ネムと共に軽い手つきで次々と巨大な瓦礫を掘り返していった。

 

「どわぁぁ〜!?だ…誰だチミ!?いきなり何する____どひゃぁぁ!?」

 

途中、出てきた二人組の虚も一緒に瓦礫と共に投げ飛ばしながら千弘とネムは更に掘り進めていく。

 

そして、その数秒後、

 

 

ガシャァァァン

 

掘り返していると、瓦礫が崩れ去り、巨大な空洞と共に部屋の入口らしき扉が見えてきた。

 

「これは…」

 

「ふむふむ。見る限りザエルアポロの研究室のようだネ」

 

その扉を見つけたマユリはその場から飛び降りると、ゆっくりとその扉を開ける。

 

「…ほぅ?これはこれは」

 

「なにがあったんですか…ってなんだ、死体ですか」

 

開けた先には大量の文献や器具は勿論だが、その天井に血だらけとなり、肉のように吊るされている破面の遺体があった。常人が見れば嘔吐ものだが、好奇心旺盛かつ探究心が凄まじいマユリにとっては宝庫のようなものであり、興味津々に見ていた。

 

「どうするんですか?これ」

 

「実に興味深い。調べるとしよう」

 

その後、マユリは千弘とネムの3人でその研究室を漁り、その間に薬を打たれて回復した石田と恋次は一護達を救出するために『天蓋』を通り戻っていった。 

  

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

それからしばらくして、解析を終えたマユリは千弘とネムへと指示を出し、指示を受けた2人はザエルアポロの研究室から機材を次々と巨大な台車へと運び込むと、その場を後にし、現在は荒野を進んでいた。

 

「ねぇ局長〜本当にこれだけで虚圏と現世を繋げられるんですか?」

 

「私の頭脳が導き出した答えだ。間違いない。こんな簡単な素材のみで黒膜を開けられるのは浦原でも思いつきまい。奴の悔しがる顔を見るのが楽しみだヨ」

 

「はぁ」

 

マユリは荷車に積み上げられた機材を引く千弘に頷きながら答えた。

 

因みに、ここへ来た目的である藍染達の姿はもうない。解析している最中に既に現世へと向かう手筈を整えていたのか、研究を開始したと同時に現世へと向かい、更に千弘達が通ってきた黒膜が閉ざされて閉じ込められてしまったのだ。

 

そんな中でザエルアポロの研究室で発見した機材を手に入れたマユリはその施設と機材によって黒膜の構造を解析し、一時的ではあるものの、黒膜の発現を可能とさせたのだ。

 

「取り敢えず、黒崎一護の霊圧が感じられたから、まずは合流するヨ」

 

「なるへそ。というか、やけにご機嫌ですね」

 

「当たり前だろ?浦原でさえもなし得なかった、任意の場所での黒膜の出現を私は解析し成し得る事ができたのだヨ?奴の悔しがる様を想像しただけで気分が高まってくる」

 

そんな中であった。

 

 

ドガァァァァン

 

遠方から巨大な音が響き渡った。その音に千弘達が目を向けると、そこにはケンタウルスのような超巨大な虚の姿があった。

 

「あれは…それにこの霊圧…朽木隊長と更木ン隊長…黒一さんやルキアさんまでいるじゃないですか」

 

「ふむ。どうやら探す手間が省けたようだネ。では向かうとしよう」

 

ーーーーーーーー

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

千弘達が到着した時にはすでに闘いは始まっていた。

 

「オラァ!!!」

 

「ふん!」

 

巨大な虚『ヤミー・リヤルゴ』の何十メートルものある拳の一撃が、更木目掛けて放たれるが、更木はそれを避け、その腕に飛び乗ると次々と指を切り落としていった。

 

「凄え…あんなデカい奴を…」

 

その縦横無尽な戦いぶりに一護は圧倒されており、改めて更木の力を実感する。

 

「何をしている黒崎一護。貴様はさっさと現世へ向かえ」

 

同じくその戦いぶりを目にしていた白哉が一護へと現世へ向かうことを勧めた。

 

「え!?でも…」

 

向かいたくとも向かう事ができないのだ。彼らがここへ来れたのは浦原が黒膜を開いたからであり、彼が開かなければここから出る事はできない。

 

「ここへ来る時も初めて尸魂界へ来た時も浦原さんのおかげで来れたんだ!浦原さんが開いてくれねぇと…ここからは」

 

 

その時であった。

 

「浦原浦原とやかましいネェ」

 

「!?」

 

背後から声が聞こえ、振り返るとそこにはマユリと巨大な荷車を引く千弘とネムの姿があった。

 

「お前は…涅マユリ!?それに藍染の時にいきなり出てきた…」

 

「ふむ。この私を呼び捨てか。だが、朽木白哉や更木剣八のように下の名前で呼ばないだけ良しとしよう」

 

「どうも死神代行さん」

 

一護の声にマユリはやや不機嫌を混じらせた表情を浮かべ、荷車からヒョコッと顔を出した千弘は手を振る。

 

「…寛大だな。その荷車が原因か…?」

 

「そうさ。私はいますこぶる機嫌が良い。貴重なサンプルだけでなく…黒膜の機構まで解析できたのだからネェ。しかも半永久的に…!!!」

 

「なに…!?」

 

白哉の言葉にマユリが答える中、その一言に一護が反応する。

 

「黒膜を!?」

 

「あぁそうさ。奴の悔しがる様が目に浮かぶ…気分が良くないわけがない…!!」

 

そしてマユリはすぐさま千弘とネムへ目を向ける。

 

「バカ!ネム!すぐ準備しろ!!この半死神を現世へ送るヨ!」

 

「はい」

「後で覚えてろよ…腐れ局長」

 

マユリの指示にネムと千弘はうなずくとすぐさま用意を始める。

 

「ちょ…ちょっと待ってくれ!」

 

「うるさいネ。被験体がベラベラと喋るんじゃないヨ。これは実験ダ。拒否権は認めない。君は検体だからネ」

 

「検体…!?」

 

マユリのその言葉に一護は不安のあまり冷や汗を流す。マユリについては事前にルキアや恋次、一角など知り合いから聞いておりその素性からいまだに信用できない状態なのだ。

 

すると

 

「心配には及びません。私も一緒に参ります」

 

「その声は…」

 

近くの岩場から声が聞こえ、その声に一護が目を向けると、そこには勇音を連れた卯ノ花の姿があった。

 

「卯ノ花さん!?」

 

「おやおや。自ら志願するとは酔狂な事だネ」

 

マユリの言葉に岩場から飛び降りた卯ノ花は笑みを浮かべる。

 

「私は信頼しているのですよ?この実験は成功します。虚圏まで来て破面から奪った機材で解析した黒膜が失敗したとなると浦原喜助に笑われますからね」

 

「…牙を隠した獣が随分と言ってくれるネ」

 

 

「あ!確かに!」

その言葉にマユリは眉を顰める一方で、立ち上げた機材の影からヒョコっと千弘が顔を出して反応した。

 

「そうなったら局長の面目丸潰れですね!」

 

「ぬ……うるさいヨこのバカチビ!喋ってる暇があったらさっさと準備しないか!」

 

「ば…ばか…チビ!?」

 

マユリの言葉にヒョコッと顔を出した千弘は額に眉を潜めると、ズカズカと歩み寄る。

 

「準備が完了したから喋ってんでしょうが!ちゃんと状況見て言いなさいや!!言っときますけどアンタがネチネチ言ってる間に終わりましたから!バカなの?アンタヴァカなのぉ!?」

 

「なんだと貴様ぁ!なんなら貴様を先に放り込んでゲートを閉じてやろうかぁ!?」

 

「やってみろや腐れ局長コラァ!なんなら今度のコーヒーに王水いれてやろうかぁ!?」

 

パンパン

 

「お二人とも。そこまでです」

 

言い争う千弘とマユリを卯ノ花は手を叩きながら制すると、話を戻す。

 

「さて。行きますよ黒崎さん」

 

「ま…待ってくれって!あのヤミーって奴は強いんだ!!俺も残って3人で戦った方が…」

 

一護はいまだに更木と戦いを繰り広げる巨大な破面ヤミーへと目を向ける。見れば護廷隊において元柳斎につぐ強さを持つ更木を追い詰めていたのだ。

 

だが、その言葉に対して白哉は首を横に振る。

 

「みくびるな。兄の心配など必要ない」

 

「白哉…」

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

「頑張ってくださ〜い!」

 

その後、説得された一護は卯ノ花と共に開かれた黒膜を通って現世へと向かっていった。その様子を手を振りながら見送った千弘は、その場から立てられた機材のうち、ネムが座る機材へと飛び移ると、彼女の隣に座りヤミーと交戦する更木を観察していた。

 

「さて。お前の目から見て、あとどれくらいで片付くとおもうかネ?」

 

「う〜ん。このままなら、数十分くらいですかね?普通だったら一瞬で終わると思うんですけど」

 

「ほぅ?」

 

その言葉にマユリは笑みを浮かべると聞き耳を立てる。

 

「随分と面白い見解だネ。今この状況のどこをどう見たらそんな考えになるんだネ?」

 

「いや、前々から思ってたんですけど、更木ん隊長って何か相手に合わせながら戦ってる感じがするんですよ。私に切り掛かってきた時なんか、あんなに遅くなかったですもん」

 

「成る程…つまりあの脳筋が本来の力を発すればすぐに終わるという事か」

 

すると、その言葉に付近で聞いていた白哉が耳を向ける。

 

「おい。前から気にしてはいたが…兄が連れているその隊士は何者だ?」

 

「私のただの雑用だヨ」

 

「解せんな」

 

マユリが淡々と答えるも白哉は眉を顰める。

 

「更木と対峙した隊士がただの雑用な訳なかろう…まさか…涅ネムと同じく貴様が作り出した人造死神とでも言うのか…?」

 

「随分と詮索するネ。まぁ気になるなら試してみるといいヨ」

 

「なぁ!?何言ってんですか局長!」

 

「…」

 

マユリのその言葉に千弘は驚き慌て始める一方で、白哉は冷静に千弘を見つめる。

 

「…ここを出てから確かめるとしよう」

 

「おやおや。流石の貴族なのか、少しばかり勘づいているようだネ」

 

 

 

その時であった。

 

「達観してんじゃねぇぞテメェらッ!!!」

 

「「「ん?」」」

 

更木と殴り合い、彼を吹き飛ばしたヤミーが千弘達目掛けて口を開ける。

 

 

その瞬間 

 

「虚閃ッ!!!!」

 

ヤミーの口内が光ると共に真っ赤な血の色の霊圧の光線を発車した。

 

発射された光線は目の前の空気を突き抜けていきながら白哉達に目掛けて迫ってくる。

 

それに対して白哉は鼻を鳴らすと、迎え撃つべく千本桜を構えた。

 

 

 

 

その時であった。

 

「よっ」

 

「!?」

 

突然と目の前に千弘が割り込むようにして降り立った。千弘が現れた事で白哉は驚きのあまり刀を握り締める手の力を弱めてしまう。

 

 

だが、そんな驚く中でも虚閃は此方へと迫ってきていた。

 

 

「な……」

 

何をしている!?

 

白哉がそう叫ぼうとした時であった。

 

 

「どっせいッ!!!!」

 

「!?」

 

千弘が突然と脚を振り上げ、それによってその場に凄まじい衝撃音と共になんと、此方へと向かってきた虚閃が上空へと蹴り飛ばされた。

 

「な…に…!?」

 

一瞬だがその光景を目にしていた白哉は驚きのあまり蹴り飛ばされた方向へと目を向けると、蹴り飛ばされた虚閃は既に遥か彼方へと消え去っていた。

 

 

そして、その光景を後ろからみていたマユリは笑みを浮かべる。

 

「おい。ついでにあのデカブツも片付けてくれたまエ。解剖に支障をきたさない範囲でネ」

 

「分かりました」

 

「なんだと…!?」

マユリと千弘の会話にまたしても白哉は驚き、千弘へと目を向ける。見れば千弘は既に刀を握り締めながらヤミーを見据えていた。

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

「テメェ…まさか俺とやろぅてのか…?

 

「えぇ。命令なので」

 

「虚閃をぶっ飛ばしたくれぇで調子乗りやがって!!ぶち殺してやるぅ!!!!」

 

千弘のその様子にヤミーは激怒すると、千弘目掛けて拳を放った。

 

 

「死ねぇええええええ!!!!!」

 

虚閃には及ばないが、威力も範囲も桁違いの拳がまるで隕石のごとく空気を突き抜けながら迫ってくる。

 

「…うん」

 

それに対して、千弘は刀へと手を掛けると______

 

 

 

 

 

 

_________ゆっくりと手を離した。

 

「終わりましたよ」

 

「はぁ!?」

 

突如として、何の動作もなく、ただ刀に手をかけただけで此方へと背を向けたことに白哉は驚き、ヤミーはその額に青筋を浮かび上がらせる。

 

「何言ってんだテメェ!まだ何も________」

 

その瞬間、ヤミーの言葉が途切れると共に迫り来る拳が動きを止めた。

 

 

周囲が沈黙に包まれる中、千弘は振り返りながら告げる。

 

「終わりだって言ってんでしょ」

 

その瞬間 

 

「が……あ……」

 

ヤミーの数十メートルにも及ぶ巨体が真っ二つに裂け、ゆっくりと大地に倒れたのであった。

 

 

 

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