ペルソナの主人公に転生したらしい   作:明人

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アンケが圧倒的『はい』だったので別キャラ視点です。

ちょっとだけよ(登場人物少ないので)
あんたも好きねぇ(書いてて楽しかった)


幕間の物語 File.1

【『佐倉双葉の激動』】

 

惣次郎がまた保護司としての仕事を引き受けたらしい。

 

私が惣次郎のとこで暮らすようになる前は何人か世話をしていたらしいが、今回の奴は前歴がヤバいらしい。

どうやら罪状は暴行罪らしく、事件を軽く調べてみたけど、成人男性を拳で10m近くブッ飛ばして、現場に急行した警官が目を逸らすくらいに被害者の顔を変形させていたとかなんとか。

 

そんな奴の世話をすると聞いたときは惣次郎の正気を疑ったけど、コッソリとルブランに仕掛けた監視カメラでそいつ…雨宮蓮を見た時は、野暮ったい眼鏡が印象的な至って普通な優男って感じだった。

 

ルブランで惣次郎と話していた時も、屋根裏を掃除していた時も普通というか、なんならその辺の連中よりも大人しそうな感じで、もしかしたらあいつは案外普通の奴なんじゃないかと思っていたのだ。

 

だけど

 

「え、は?」

 

惣次郎が店を閉めて出て行った後、ルブランに残った雨宮蓮が屋根裏部屋で荷解きを始めた。

そこはまあいい。普通のことだし。だけど、その荷物の中に刀や銃が混じっていて、更にはそういう物の整備道具なんかも広げだしたのだ。

 

始めは模造刀やエアガンだと思ったのだが、エアガンに使用する為のBB弾は見つからない上に映画なんかでしか見ない金属質な実弾っぽいのがあるし、手榴弾みたいなのもあるし。

情報の処理が追い付かず呆然としていたら、今度は雨宮蓮が二人になったのだ。

 

「いや、いやいやいや」

 

人間がいきなり分身したりする訳がない。

そんな固定概念を嘲笑うように、同じ顔の二人がモニターの向こう側で笑い合うという異常現象を飲み込もうとしていると、最初にいた方の雨宮蓮がルブランの二階の窓から飛び出して行ったのだ。

 

「い、意味が分からない」

 

あり得ない、あんな訳の分からないことがあっていいのか?

 

「いや、でも」

 

 あいつは、分身する前に『ドッペルゲンガー』と口にしていた。

 ()()()()()()()()()()には悪魔や都市伝説の怪物が現実に存在していて、人間社会の影に潜んでいるという疑問符付きの記述があった。

 あの時はただの与太話だと思っていたけど、もしかしたら、本当のことだった?

 あいつが、資料にあった悪魔を使役する、悪魔召喚師だったとしたら?

 

「だとしたら」

 

 もしもそうだったら、あの日、私の目の前で『神隠しにあった』おかあさんの事を調べてもらえる、かも?

 

 ようやく掴んだ手掛かりなのだとしたら、絶対に逃がすわけにはいかない。

 一刻でも早くおかあさんを見つけたいけど、まずはあいつが信用できる奴か、しっかり確認しよう。

 もしも大丈夫そうなら、どんな手を使ってでも協力させる。絶対に。絶対にだ。

 

「お前の全部を見ているぞ、雨宮蓮」

 

 

 

 

 

 

 

【『汐見琴音の熱情』】

 

メメントスという新たな大規模認知異界から脱出した後、夜明け前にも拘わらず忙しく動き回っているヤタガラスの調査隊と意見を交わしつつ、ついさっき下宿先に帰っていった蓮くんのことを思い出す。

 

彼が、『ワイルド』に覚醒した。

 

私がそれを感じ取ったのは、蓮くんがメメントスから抜け出した直後だった。

恐らくは、ニュクスが私の中に封印された時のように、悠君がイザナミに力を与えられた時のように、彼も何かの切っ掛けで力に目覚めたのだろう。

 

実は、蓮くんにワイルドの力が宿っている事を、私と悠君は知っている。

二年前の八十稲羽でのマヨナカテレビ事件を解決して暫く経った頃に、悠君と共にベルベットルームに呼び出されてイゴールから直接その話を聞かされたからだ。

 

蓮くんに大きな危機が迫っている、という不吉な警告と共に。

 

実際に、今日彼は今までにないほどの危機に陥ったと聞いている。

持っている力もそれを運用する能力も並外れている彼が、あんなに怪我をするなんて、私が知る中では()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

今でも思い出す。

 

全ての存在に死をもたらすニュクスの降臨。

それが成されれば、この星の生命体は文字通りの意味で全て消滅してしまう。

そんな事態を防ぐ為にニュクス・・・彼女との最後の決戦に挑んだ私たち特別課外活動部のメンバー。

大切な仲間たちと彼の力を借り、辛くもニュクスを退け、この星に住む全ての命を守る事は出来た。

その代償として命がけで守り絆を紡いだ人が影時間に関わる記憶を失った中で、たった二人だけ当時の記憶を保持したままだったアイギスと蓮くん。

 

そんな二人と過ごした二ヶ月間の思い出は、()()()()()()()()()()()()()()

そして、私は美鶴や荒垣さん、真田さんたちの卒業式のあの日、蓮くんに抱きかかえられながら、死を退けた代償として自分の死を迎えた。

 

次に目が覚めた時、私はニュクスと共に小さな認知異界にいた。

そしてすぐに、この認知異界を破壊して、ニュクスに触れようとしている脅威に気付いた。

 

それは、他者の死に触れようとする人間の好奇心の化身『エレボス』

 

もしも、人間の意識の一側面であるエレボスが死の具現たるニュクスに触れてしまえば、人間の意識に死が伝播して、そのまま人類は『死』という概念に侵食されて死滅してしまう。

だから私は、エレボスが彼女に触れられなくなるように、その認知異界にニュクスを封印し、ユニバースに至った自分の魂を代償に、迫りくるエレボスを退ける為の防壁となることにした。

そうなれば勿論、私の魂は人類が死への好奇心を克服するか、人類が絶滅するその時までこの異界に永遠に縛られることになり、私という個人は死ぬはずだった。

それでもいいと思った。みんなを、『彼』を守れるならば。

 

 

『諦めるな!あんたが笑ってない世界なんて、俺は認めないぞ!』

 

 

エレボスから、ニュクスと私を守るために、何度も立ち上がる彼の姿が今でも脳裏に焼き付いている。

文字通り死の痛みを味わっているはずなのに、仲魔が倒れ、ペルソナを出せなくなっても、何度も何度でも。

それが、生き返る前の私が見た最後の光景だ。

 

結局、その後どういう経緯で私が生き返ることが出来たのかは、私自身も分かっていない。

何度か蓮くんに聞いてはみたものの、『死んだこともない奴に、負ける訳がない』としか言わないので具体的な事は、教えるつもりはないのだろう。

そんな原因不明な状態で生き返った私だが、ヤタガラスでの健康診断や検査でも健康体だと言われたし、今もちゃんと成長しているし、子供を産めることも分かっている。

彼は、私の人生を取り戻してくれたのだ。

 

そんな超人的な彼も、不死身ではないし怪我だってする。

今日あの場所でボロボロになった彼を見て、イゴールの警告が現実になる日が来たんじゃないかと私は思っている。

 

であれば、私のやることはたった一つだ。

 

「今度は、私が君を守るよ」

 

私の中にある『メサイア』と『ニュクス・アバター』はきっと、その為にいるのだから。

 

 

 

 

 

 

 

【『迫真琴の歓喜』】

 

黒塗りの専用車に乗って帰宅する彼を見送る。

ズタボロになった服と付着していた血液の量から察するに、一度彼は死にかけている。

 

「全く、だから私は反対だったんだ」

 

やはり異能の事を知らない人間が経営する喫茶店などではなく、ヤタガラスの本部に彼を住まわせるべきなのだ。

万全の準備、もしもの時の増援、最悪の場合の殿(しんがり)要員、朝から晩まで完璧な警護。

そのどれもを彼の為になら用意する準備があるというのに。

 

「ままならないな」

 

不測の事態、理不尽な出来事は誰にでも訪れる。強大な力を持つ彼であっても。

 

「しかし、あれ程疲弊していたのだから、今日くらいはお世話したかったのだがな」

 

ふと、彼と出会った時のことを思い出す。

 

地方都市の霊能者一族に生まれた私は、一族の中でもサマナーとしての資質が高かった。

家族からは愛されていたが、その態度のどこかに『有能な霊能者を産む為の女』としての扱いを感じ取らなかったと言えば、嘘になるだろう。

 

異能の素養が高い一族唯一の若い女ということもあり、次代の子供を生むための存在として大切にされていた私は、ロクに異能に触れずに生きてきた。

普通の人のように学校に通い、中高大一貫してシンクロナイズドスイミングに打ち込み、競技選手として国の代表候補に選ばれるようにまでになった。

結婚相手を家に決められるのは不満だったが、それ以外は概ね順風満帆で、このまま人生が続くものだと思っていた。

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

事の始まりは、私の婚約者が決まったと実家から連絡を受けた時だ。

相手の男は陰陽術を得意とする名家の長男で、それなりの実力をもつ陰陽師という事で評判だった。表向きは。

 

そして、運命のあの夜。

件の婚約者が前当主から契約悪魔を譲り受ける為の儀式が執り行われることとなり、私もその席に同席することになったのだが、その名家の長男は悪魔を従えることが出来なかった。

 

当然だろう。奴の実績は、金で買った他人の物だったのだから。

力の無い者に悪魔は制御できない。

あの場であの悪魔・・・『土蜘蛛』を調伏出来るだけの力を持っていたのは、契約者だった前当主のみ。

最悪だったのは、儀式のせいで一時的に弱った前当主が一番最初に土蜘蛛に排除されたことだ。

 

当然、土蜘蛛は大暴れした。

 

あの場にいたサマナーの選択は様々だった。

立ち向かった者、命乞いした者、逃げ出した者。色々いたが、私の婚約者は逃げ出した者だった。

当時はサマナーとしての資質があるだけのただの一般人同然だった、私を見捨てて。

数分もしない内に儀式場は全壊し、あの場で唯一の女で、悪魔に対抗する力を持っていなかった私が捕食しやすい対象として真っ先に狙われ、あの醜悪な悪魔に食べられそうになった時に、彼は現れた。

 

 

闇夜にたなびく黒いマント、学ランのような改造服と学生帽を身に纏って。

 

 

こうして、陰陽師の名家を襲った災いはたった10歳の少年の奮闘により、解決された。

私も生死を彷徨いはしたが、怪我は完全に治癒した。

しかし、肩から背中にかけて大きく傷跡が残ってしまった私は、競技選手としての道を諦めることになってしまった。

いや、もしも傷跡が残っていなかったとしても私は競技選手の道を歩まなかっただろう。

この世界で生きていくならば、力が必要だと理解したから。

そして、力なき人々を守る彼の姿に運命を感じたから。

 

傷を癒した私は、家の反対を押し切りヤタガラスに入局し、順調に力を付けて熾烈な競争を勝ち抜き『彼』の側仕えの座に就いた。

『彼』…雨宮蓮、または葛葉ライドウと呼ばれる、現代最強の異能者と目されている彼の、だ。

 

「・・・長、・・・隊長、真琴隊長!」

「ん?ああ、すまない。調査を続けよう」

 

どうやら過去の思い出に耽り過ぎたようだ。

彼のことも大事だが、まずは与えられた任務をこなすとしよう。

彼の片腕と呼ばれている私が無様を晒せば、彼の格にも傷をつけることになってしまうのだから。

 

 

 

 

 

 

 

【『とあるサマナーの憧憬』】

 

超國家機関『ヤタガラス』

 

今やデビルサマナーならば、いや、何らかの異能者であれば世界のどこに住んでいようが、一度は名前を聞く日本の護国組織だ。

 

ほんの十年前までは『嘗ては隆盛を誇ったが今は斜陽にある組織』という評判だったヤタガラス。

一般家庭出身ではあるもののサマナーとしての力を買われて、十年以上前からヤタガラスに所属していた俺だが、当時は本当に、施設や装備は十分だが実力者の少ない組織だと入りたての小僧ですら理解できるほどに、弱体化した組織だった。

 

そんな中で稀に出てくる強力な悪魔に苦戦しながらも順調に訓練と任務をこなしてヤタガラスに馴染み切ったある日のこと。

ヤタガラスに名を連ねる名家の中でも五指に入る程の名家である葛葉家が、麒麟児、いやそんな言葉では生温い程の才覚と力を持った少年を保護したとヤタガラス内部で話題になった。

噂好きな奴はしきりにその話題を擦っていたが、どうせどこぞのボンボンを持ち上げる為の方便と思っていた俺は、特に追求したりはしなかった。

 

そんな噂も21世紀(2001年以降)になってから、それ以前と比べて10倍以上に増加した異能関連の事件に対応する忙しさで忘れられ、増え続ける一般人の行方不明者や不審な事故死の調査、頻繁に発生する事件を解決する為に、無理な出撃を重ねる毎日が続いた。

 

今はもう死んでいるが、当時のヤタガラス頭領だった男は、日和見主義の風見鶏野郎で、ガイア教やあまつさえメシア教にすら、おもねる様な輩だった。

奴の無謀な作戦や「外部組織への配慮」のせいで一人、また一人と見知った顔や共に肩を並べて戦った戦友が無残な最期を遂げ、彼らの遺族に「どうして守ってくれなかったのか」と罵倒されたりもした。

 

そんな鬱屈とした日々で心が削られ、いっそこの身もダークサマナーに堕ちてやろうかと考えていたある日、俺は本物の()()()()()を見たのだ。

 

 

 

 

 

 

 

「わあ、見ろよあれ、真琴隊長の隣にいるの、ライドウさんじゃね? ちょっと挨拶しに行こうぜ」

「バカ、やめなさいよ。っていうかあんたが行くと恥さらしそうだし、ライドウ様に挨拶するなら私一人で十分よ」

「えぇー。俺が先に気付いたんだぜ?」

 

夜明け間近の渋谷駅で、目立たない為に黒一色に統一された戦闘服を身に纏いながらも、バカ騒ぎしている新人隊員の姿を見る。

思えば、遠いところまで来たもので、五年前はただの戦闘員だった俺も、努力に努力を重ね死に物狂いで力を付けた結果、今やヤタガラスでも屈指の戦闘要員として精鋭部隊の隊長に収まっている。

 

年齢を理由に部隊を抜けた老年の隊員の穴埋めとして俺の部隊に追加された二人の隊員は、どうにも個性が強すぎる。

慎重で準備を怠らないが、名門出身でプライドが高すぎる気性難な少女と、以前からこの部隊にいる3人のベテラン隊員に冷ややかな目で見られているのも気にせずに、ライドウに向かって全力で手を振る、天才的な戦闘力を誇るが、迂闊で考えが足りない男の新人隊員の頭を叩く。

 

「いっだい!」

「痛っ!…なんで私まで」

「遊んでないで準備しろ。ライドウが生きて帰ってこれたのだとしても、我々も同じ事が出来るとは限らんのだからな」

 

二人とも俺の攻撃を察知して瞬時にマガツヒを頭部に集めて防御力を向上させていたようだが、まだまだ対応が温い。

地べたを転げ回る馬鹿と、抗議の視線を向けてくる阿呆を無視しつつ、ふとライドウがいる方向を見ると、魅了と石化対策が施されたサングラス越しに、彼と目が合っていることに気付く。

ほんの一瞬の事だったが、こちらに会釈してくれた所から察するに、どうやら彼は、ただのサマナーでしかない俺を覚えてくれていたらしい。

 

彼を見ると、あの日、()()()()()()()()()()()()()()()()()()に介入した時の彼を、思い出す。

あの日、天使共に捕まって足手纏いになってしまった俺達を救うために、一般人を守りながら、ただ一人で大天使(四大天使)大悪魔(サタン)に立ち向かって啖呵を切った、12歳の彼の姿を。

ヤタガラスに入局した時に俺が理想としていた、護国組織として、国と力なき民衆を守る彼の姿を。

 

ほんの五年前の出来事を思い出していると、ライドウの姿は既に消えていて、その代わりにやってきた調査隊の連中が、地下鉄の出入り口を隔離し、事故調査というカバーストーリーを用いて、大規模認知異界『メメントス』の調査準備をしている姿があった。

 

新たな異界メメントスは、タルタロスやマヨナカテレビと同じくらいの規模の認知異界である可能性が高い。

何一つ不備の無いように自分自身の装備を整え、部下達の準備が完了したのを確認した後、白い隔離幕で遮断された地下鉄の入り口から、認知異界に侵入する。

 

「いくぞ。作戦開始」

 

今日もまた、闇の中を進む。

心に焼き付いた(葛葉ライドウの姿)を胸に抱いて。

 




関わった人間からは大体こんな感じの事を思われている主人公です。

次回からは原作開始までの4カ月の話になります。
イベントだけ描写して4~5話で締めてほんへ(ペルソナ5)に行きます。

インタルードそろそろ終わるので他のキャラクターが主人公にどうゆう感情を向けてるか一覧欲しいですか?

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