ペルソナの主人公に転生したらしい   作:明人

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過去話は要望があれば物語として展開しますが、とりあえずこのインタールード期間はペルソナ3~4の間で何があったかだけ、あとがきに置いていきます。


インタールード①

俺がルブランで生活を始めて一週間が経った。

あのメメントスに初めて入り込んだ夜以降、異能絡みの事件の発生はめっきりと減った。

特に、ここ最近巷を騒がせていた精神暴走事件や無気力症といった調査途中だった事件も発生件数が減り、表面上は平和な時間が続いている。

 

メメントスの調査もまるで進展が無く、入り口から入ったほんの二階層分のみしか調査出来ていない状態だ。更に地下に降りるには、エスカレーターを閉め切っているあの封印を解く手段を見つけるしかないというのが、ヤタガラスとしての最終的な結論となっている。

 

一応、メメントス内部の悪魔やシャドウを殲滅したり、長時間同じ場所に居座ったり、壁を破壊してみたりもして反応を窺ってみたが、あの偽イゴールも刈り取るものも出てくることはなかった。やはり、封印を解く手段を見つけるしかないということだろう。

 

そんなことを考えながら、コンクリート張りの薄暗い通路を歩き続ける。

普段であれば、秀尽学園に入るまでの昼間はルブランの手伝いをすることになっているのだが、今日は喫緊の用事が出来てしまったのでドッペルゲンガーを影武者にして、俺は東京都、築地にある根願寺に来ていた。

今日は土地の上側に作られている寺院やその他施設に用事がある訳ではなく、用事があるのはその地下だ。

 

地上の根願寺のとある場所で、以前モルガナに手渡したヤタガラスの文様が刻まれた根付を翳す。すると、その場に掛けられていた幻術が解け、異界に入るための扉が姿を現す。

そう。ヤタガラスの本部は根願寺の地下異界に存在するのだ。

 

先代の十四代目ライドウが活動していた時代に作られ、今なおその規模を大きくしているヤタガラスという組織が本部を置くその場所は、現在四つの部署と区分で分けられている。

 

『装備局』武器、防具、消耗品、その他諸々の霊能者用の物品を管理し取り扱う部署だ。俺のライドウ衣装や愛刀の『赤口葛葉』もこの部署で造られたものだ。

『情報局』悪魔の情報を収集したり、特定の組織へのスパイ活動や情報の隠蔽、カバーストーリーの流布などが彼らの仕事だ。

『医療局』怪我人を治療するだけでなく、霊薬の開発や呪いの解呪も行う人命を救うエキスパートが揃った部署だ。琴音さんも戦闘力はずば抜けているが、一応ここの所属だ。

『戦闘局』ここが、俺や真琴さんが所属する悪魔やダークサマナー相手に斬った張ったをする人間が揃った、ダークサマナーや過激派メシアンから蛇蝎の如く嫌われている戦闘集団だ。戦闘局所属の人間は一律で黒い衣装を身に纏っているのでここに所属している人間は一発で分かる。

 

霊能を持たない者も含めて、述べ一万人弱の人員が揃った巨大組織。それがこの世界の『ヤタガラス』だ。

21世紀当初は二千人いるかどうかという程度の組織だったそうだが、ある時点から急増した悪魔絡みの事件に対応する為に、地方の零細組織や個人のサマナーを全力でかき集めて十年以上の時間をかけてこの大人数を確保したらしい。当然、これだけの大人数を抱える組織の本部が小さなはずもなく、根願寺の地下異界と本部の建物は、年々文字通りの意味で物理的にも大きくなっている。

 

さて、そんな巨大組織が所有する装備局の建物の中をのんびりと目的地に向かって歩いていると、遠目に見える結界で覆われた実験場から絶叫が聞こえてくる。

 

「やべ、爆発するぅ!」

「退避、退避ー!」

「あ、ちょま」

 

ヤタガラスの中でも一、二を争うくらいに頭のネジが飛んでるのが揃っている第一開発部の連中が、マガツヒの赤黒い光と盛大な爆発に巻き込まれながら吹き飛ばされているのを無視しつつ、歩を進める。

あんな連中ではあるが、彼らの手で作られた霊能装備の性能は、すべて一級品なのだから不思議なものだ。

 

実験場を横切り、時たますれ違うヤタガラスの職員から近況を聞いたり、雑談をしながらコンクリート張りの廊下を進み続ける。

そうして暫く歩いていくと、一際大きな扉の前に辿り着く。

 

「入るぞ」

 

ノックをして部屋の中からの了承の返事を貰った後、重量のある扉を開けて中に入る。

落ち着いた雰囲気の物の少ない部屋は、部屋の主の性格を表すように質実剛健という言葉がそのまま形になったような部屋だ。

どうやら部屋の主はマホガニーの机でなにやらペンを奔らせているところを見るに、事務仕事の途中だったようだ。

 

「久しいな、ライドウ」

「や、久しぶり。『ヤマト』」

 

サインを書ききった書類を紙束の上に重ねて俺の方に目を向けたのは、薄い紫色のような髪色が特徴的なJP's(ジプス)局長の「峰津院大和」・・・真琴さんと同じく、『デビルサバイバー2』に登場する人物だ。

 

「君がここに来るのは珍しい。大体電話か、式神で済ませてしまうというのに」

 

デビサバ2だと外敵から国を守っていた組織はジプスだが、この世界の土台がデビルサマナーになっているからなのか、ジプスを含めた幾つかの聞き覚えのある組織がヤタガラスの傘下、もしくは一部署として存在している。

ジプスに関しても同様で、基本的には霊能力を持った技術者の集団といった組織で、葛葉家伝統の悪魔召喚術や陰陽術に魔法などを科学的に再現することを試みている装備局の一組織に収まっている。

 

どうやらこの世界にはSTEVENのような存在がいないので、悪魔召喚プログラムは開発も発見もされていない。

まあ、悪魔の使役にはそれ相応の能力や才能が必要なため、プログラムで容易に悪魔を呼び出すことが出来るようになると、今度は呼び出した悪魔の制御が出来ずに被害が広がってしまう。

そういう点を踏まえて、先にヤタガラスで技術を抑えて、よそに広がるのを防いでおきたいという思惑がヤタガラスにはあるのだろう。

 

「小型カメラと盗聴器が俺の部屋に仕掛けられてるとグレムリンが言っていてな。どうやら俺を監視している奴がいるらしい」

「…ほぅ」

 

ヤマトの額に青筋が浮かんだような気がしたが、冷静沈着で思慮深い彼がそんな事をする訳ないしな。気のせいだろう。

 

それよりも、カメラとかの方だ。ルブランで生活を初めて一週間が経ったが、どうにも誰かに見られているような違和感があったので、契約しているグレムリンを呼び出して調べさせてみたら、なんとルブランとその屋根裏部屋に幾つかの監視カメラと盗聴器が仕掛けられている事が分かったのだ。

俺が住み始めてからは結界や悪魔の監視があったから、この一週間の間に仕掛けられていないことはハッキリしている。

 

「俺が住む前にモノが仕掛けられていて、情報局の『洗浄』を逃れられたとは考えにくい。であれば、『洗浄』が終わって俺が引っ越すまでのほんの二、三日の間にモノを仕掛けたということになる」

 

行動力もあるようだが、それに加えて電子機器に関わらず、あらゆる機械を弄ることに長けた俺のグレムリンが電子情報の行き先を特定することが出来なかったとなると、相手は凄まじいファイアウォールを作れる凄腕のプログラマーなんだろうし、それに付随してハッキング能力などもずば抜けて高いと見て間違いないだろう。

 

「今のところ実害はないし、見つけた機器にマガツヒの残滓がないから悪魔やサマナーの仕業とは考え辛い」

「まさか、君のグレムリンの攻勢を退けたのが一般人だとでも?」

「俺はそう考えている。俺が来る前は仕掛けられて無かったのに、急な予定変更で早く住むことが決まった時には仕掛けられていた。前科持ちの私生活を暴こうとでもしたのかもしれないが、表の組織にタレコミがあった様子もない」

 

それに、引っ越してきた当日に刀やら銃やらを並べたり、ドッペルゲンガーの召喚やらをやっていた所も見られているはずだ。

表の警察組織に通報はされていないようだし、よしんば通報されたとしてもヤタガラスの権力で通報自体が無かったことには出来るし、当然通報者を特定することも可能だ。

ネットにも情報が流れていないのは俺のグレムリンが結構な頻度で確認してくれている。どうやら電子戦で負けたのが腹に据えかねたらしく、今回の件に関してはとても協力的だ。

 

なので、ちょいちょい一般人にも見えるように悪魔を召喚してみたり、モルガナから教わったピッキングツールや煙玉、投げると特定の属性魔法が発動する『ストーン』系のアイテムを絶妙に監視カメラにチラ見えするように作ったり、日課の筋トレを上半身裸でやってみたりしたのだが、盗撮者からの反応はない。

 

「仕掛けた奴が誰か特定頼めるか?」

「ああ。任せてくれ。どこの馬の骨かは知らないが、キッチリ暴いてやるとも」

 

ジプス局長であるヤマトにこういう雑事を頼むのは気が引けるが、真琴さんや一度『洗浄』をやっている情報局にお願いすると、色々と暴走してやり過ぎてしまいそうなのだ。

彼等ではなくヤマトに頼んだのは、個人的に交友があり、その辺上手くやってくれそうだったからに他ならない。

 

「あまり事を荒立てないように頼む。推定一般人が、どういう理由で俺を監視しているのか知りたかっただけしな」

 

もう一つ気になることがあるとすれば、俺がルブランに下宿していることを知っている人間は本当にごく一部の人間だけということだ。

ヤタガラスや葛葉の幹部、『雨宮蓮』の両親、手続きをしたヤタガラスの息がかかった行政の人間に、保護司の佐倉さんぐらいのはず。

…ああ、佐倉さんには義理の娘がいるんだったか。

 

パッと思いついただけでも、この中に犯人がいるとは思えないので、恐らくは外部の人間だろうと当たりを付けてはいるが、一応ヤマトに念押ししてから近況の報告や雑談をした後、地上に戻って駅に向かう。

 

「んん。天気もいいし、散歩がてら買い物もしていくか」

 

折角遠出しているので、ついでにモルガナの食事やツール類の材料を買い足すとしよう。たしか、渋谷駅の近くにロシナンテって店があったか。

前世のドンキ張りに品揃えが豊富だったし、あそこで買い物をするとしよう。

 

 

 

 

 

渋谷駅に到着したあと、目的の店の場所を近くの地図で確認する。

スマホは盗聴やGPSで追跡をされている可能性を考慮して私用も仕事用もルブランに置いてきた。なので仕方なく、買いたい物のリストを頭に思い浮かべながら歩いていると、赤信号を無視して渋谷のスクランブル交差点に飛び出した女の子が見えたので、『アルセーヌ』を召喚して少女を抱えさせて安全な場所に避難させる。

 

そして、事故に遭いそうになった少女にプリンパを掛けていた悪魔:モコイが、性懲りもなく彼女に襲い掛かったのが見えたので、呼び出したままのアルセーヌに『ザン』を撃たせる。

ブギーマンだったころと比べて弱体化したとはいえ、あのくらいの格のモコイなら一撃で消し飛ばせるのは他の異界攻略で確認済みだ。そして想定通り真っ二つになったモコイを視界に収めつつ、人混みに紛れながら召喚者であるダークサマナーの顎に相当な威力の拳を叩き込んで気絶させ、近くのベンチに寝かせる。

勿論逃げられないようにそのサマナーから目を離さないようにしつつ式神を飛ばしてヤタガラスに連絡を入れる。

 

やっぱり、アルセーヌは現実で召喚出来るんだよな。

 

あの日、モルガナとコミュニティを築いてからメメントスの調査に赴いた時に、ピクシーの姿をしたシャドウをペルソナとして獲得したのだが、ピクシーは現実で呼ぶことが出来なかった。ブギーマンが変化したアルセーヌは現実で召喚できるのに、だ。

モルガナにも協力してもらいながら色々と検証を重ねてはいるが、何故アルセーヌだけが特別なのか、理由はすぐには分かりそうにない。

 

ふと、歩道の方を見ると、自分の身に起きたことに驚いているのか、頻りに周囲を見渡している、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()と、その子に抱き付いて大泣きしている()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()の姿を遠目に見つつ、出したままだったアルセーヌを自分の精神の海に戻す。

他にシャドウや悪魔の気配は感じないので、あのまま放置しても問題ないだろう。

 

さて、想定よりも時間が掛かってしまったが、引継ぎ要員がやってき次第さっさと買い物して帰るとしよう。




ペルソナ3の時にTOKYOミレニアムを作ろうとしたメシアと、それに反発したガイアと、ドンパチ始めた2勢力を黙らせたい(始末したい)ヤタガラスとで、全面戦争が東京で勃発。
ライト版真・女神転生Ⅱです。

主人公は『ホーク』という名前のサマナーと協力して血みどろの争いをしながら、有り得ざる1時間(影時間)でも戦ってます。
なんだこの地獄

インタルードそろそろ終わるので他のキャラクターが主人公にどうゆう感情を向けてるか一覧欲しいですか?

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