ペルソナの主人公に転生したらしい   作:明人

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誤字報告をくれる方々、いつもありがとうございます。
大変助かっております。

感想欄でちょいちょい言及がありましたが、別に型月世界と世界線が合体している訳ではないです。
正確には、世界の法則すら異なる全くの別世界の要素を断片的に拾ってしまう位に、この世界を隔てる壁がボドボドになっている、というだけです。

デビチル世界と繋がったり、悪魔も泣き出すデビルハンター(ダンテ)や人修羅がホイホイこの世界にやってこれていたのもその辺が理由です。

この世界の住人は泣いていい(断言


第三話

「遅刻ギリギリで登校とはいいご身分だな、坂本。そして、転校生も」

 

 あの薄暗い裏路地から秀尽学園までの道のりは、ほんの数分程度だった。

 遅刻しないギリギリのタイミングではあるが、どうにか学園に辿り着いた俺達を待っていたのは、校門の前で仁王立ちをした鴨志田だった。

 

「うっせーな。遅刻してなきゃ問題ねぇだろ」

 

 小さくだが、ハッキリとした口調で坂本がそう言ったのが癪に障ったのか、鴨志田の気の良い教師としての仮面が一瞬剥がれ落ちて坂本を睨みつける。

 ここで騒ぎになると面倒だ。適当にやり過ごそう。

 

「すみません、鴨志田先生。以後気を付けます。坂本、高巻、早く行こう。本当に遅刻するぞ」

「お、おう」

 

 鴨志田の行動に付き合ってたら、折角遅刻せずに済んだのが無駄になってしまう。

 さっさと話を切り上げて坂本と高巻と共に校舎に向かおうとしたのだが、鴨志田が俺達の行く手を阻むように立ち塞がってくる。

 遅刻がどうとか言ってた人間の行動か、これ?

 

「おい待て、話はまだ終わって」

「まだ、なにか?」

 

 きちんと謝罪したにも関わらず、尚も邪魔をしてくる鴨志田が余りにも鬱陶しかったので、つい、これから始末するダークサマナーを相手にする時のような視線を向けてしまう。

 

 次の瞬間、俺と目が合った鴨志田の表情が凍り付き、奴の額から大量の冷や汗が流れ落ちる。

 正に、蛇に睨まれた蛙、という表現がピッタリな状態になった鴨志田を放置してさっさと校舎に向かう。

 あんなのが教師とは世も末だな。

 

 

 

 鴨志田を放置して校舎に到着した後、坂本と高巻に別れを告げて職員室を目指す。

 

 それなりの敷地面積を持つ秀尽学園だが、間取りは既に頭に入っているので特段誰かに案内してもらう必要はない。最短距離で職員室に向かい、入り口のドアをノックした後、職員室に入って担任である川上先生に挨拶をする。

 

「おはようございます」

「ん。流石に初日から遅刻はしなかったわね」

 

 どこかホッとしたような様子の川上先生は、思い出したように深刻な表情で、他の教師に聞こえないようにする為か、声のボリュームを限界まで落とす。

 

「何でか知らないけど、君の『前』の事が学校中に広まってるみたい」

「へえ」

 

 人の口には戸が立てられないし、俺の前歴がバレるのは想定していたことだ。

 認知異界を片付ければ、直ぐにでも退学して『雨宮蓮』から『葛葉ライドウ』に戻るのは既に確定事項なのだから、俺のサマナーとしての事情に誰かを巻き込んだりしない為にも、この学園に在籍している間は友人を作ったり、誰かと親しくしたりするつもりは全くない。

 なので、この状況は都合がいいとも言えるのだ。

 

「私が言いふらした訳じゃないわよ。ただ、そういう事をする誰かが居るとなると、その、君も辛いかもしれないな、って」

「何の問題もないので大丈夫です。そんな事よりも、もうすぐ始業時間ですよね。早く教室に行きましょう」

 

 最初に会った時は事なかれ主義の何処にでもいる普通の教師だと思っていたが、俺の境遇に同情して配慮しようとしている所から、どうやら川上先生は生徒のメンタルを心配できる良い教師らしい。

 

「…そう。じゃあ、行きましょうか」

 

 俺の発言に複雑そうな表情をして、職員室を出て行く川上先生について校内を歩く。

 教室までの道中で何人もの生徒とすれ違うが、どことなくどの生徒からも距離を置かれているし、俺が通り過ぎた後にコソコソと噂話をしているのが聴こえてくる。

 やれ、通行人にいきなり殴りかかっただの、顔面をボコボコにしただの、ナイフを持ち歩いてるだの、妙な薬を持っているだのといった噂話が聞こえてくるあたり、そういう話は学校中に広まっているらしい。

 

(うーん。全部正解なのが笑えるな)

 

 あの夜道で、どこぞの国会議員の顔面がボコボコになったのは事実だし、退魔刀という危険物やエリクサーとかマガツヒ補給用の怪しいクスリを持ち歩いているのも事実だ。

 噂話をしてる連中も、面白そうな話題で騒ぎ立ててるだけだろうが、まさか大体の話が本当の事だとは思いもしまい。

 正に事実は小説よりも奇なり、というやつだろう。

 

「じゃあ、一旦ここで待つように」

 

 とりとめもなくそんな事を考えていたら、いつの間にか教室に着いていたようで、川上先生は俺を置いて教室に入っていく。

 簡単な挨拶と連絡事項を話し終わった後、川上先生が転校生の話題を出した瞬間にざわついていた教室の中が静かになる。

 どうやらこのクラスの連中も俺の噂話を知っているらしい。

 

「そ、それじゃ入ってきて」

 

 生徒たちの変わりように川上先生の声が引き攣っているが、そんなのを気にすることなく教室に足を踏み入れる。

 俺を見た生徒の何人かが掲示板で言ってた奴じゃん、とか、ガチの前科持ちなんでしょ、とか言っているのが聞こえてくるが、まあ、こんなので傷付くようなメンタルはしていない。さっさと自己紹介してしまおう。

 

「雨宮蓮です。コンゴトモヨロシク」

 

 オレサマ オマエ マルカジリ の方がインパクトはあっただろうが、色々と面倒くさい事になりそうだったので、自重しておくとしよう。

 こうして、無難な自己紹介と最悪な第一印象から俺の二度目の高校生活はスタートしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、時間は飛んでその日の放課後。

 初日から針の筵に寝転がる様な学校生活になる事が確定した俺は、その日一日の授業時間全てを戦闘用の呪符とモルガナ直伝の怪盗道具作成、そして今日のパレスでの出来事をまとめた報告書作成に全振りしていた。

 

 学生の本分は勉学に励むこと、という意見もあるだろうが、前世ではそこそこ勉強出来ていた方だったので、前世と全く同じ内容だった理数系の教科と語学は高校生活を送る分には何の支障もない事は、事前に教科書を読んだ時に分かっていたので問題はない。

 ただ、歴史系で知らない偉人がいたり、いるはずの偉人が存在しなかったりと微妙に差異があるので、歴史教科はある程度履修し直す必要がありそうなのが誤算だったが。

 

 

 そう言う理由もあって内職ばかりしていた授業時間が終わって放課後になると同時に、偶々同じクラスで席が目の前だった高巻杏と別クラスだった坂本竜司を連れ、ヤタガラスの車に乗って本部である根願寺に向かい、今は地下にあるヤタガラス本部の応接室で休憩をしているところだ。

 

 本部の第一応接室に備えられた本革仕立てのソファーに腰掛け、用意されていた飲み物と軽食で腹ごしらえをしながら、ヤタガラスの部隊が定期的に調査してくれている秀尽学園の霊視結果を読み進める。

 うちの調査で判明したのだが、ここ数日という短期間であの学園は一種の霊的スポットに成り果てているらしく、段々と学園の敷地内に澱んだマガツヒが溜まってきているのだ。

 

 そして、溜まったマガツヒはパレスに流れ込み、内部の悪魔やシャドウの強化に使用されているというのがヤタガラスの見解だ。

 学園の全校生徒と教師、その他学校に通う人間からマガツヒを常時徴収することで能力を強化させていたのだとしたら、木っ端悪魔や雑魚同然のシャドウがそれなりに身構えて戦う必要がある位に強化されていた理由には納得がいく。

 

 だが、それだとあれだけの力を持っている大天使:ガブリエルと魔王:アスモデウスがパレスに拘る理由にはならない。奴らにしてみれば、たかが千人にも満たない一般人から徴収する程度のマガツヒでは顕現維持の足しにすらならない筈だ。

 そうなれば、自前のマガツヒで顕現を維持する必要があるわけで、そこまでしてパレスに拘る理由ってのは何なんだ?

 

「おい、雨宮」

「ん?」

 

 報告書を読みながら色々と考察を重ねていた俺の耳に坂本の声が聞こえてくる。

 報告書から顔を上げると、異界での悪影響が人体に及んで無いか確認する為の健康診断を終えた高巻と、マガツヒを活用してマスコット姿になったモルガナが、ヤタガラス専属料理人渾身の食事を堪能している傍らで、坂本が居心地悪そうにしているのが見える。

 

「健康診断の結果はもう少しで出るとさっき連絡があったから、それが終わり次第、帰れるぞ」

 

 健康診断の結果を待っている間に、坂本と高巻には『悪魔』と『シャドウ』そして『認知異界』についての基礎的な知識はインプットした。

 最初は信じられないとでも言いたげだった彼らも、俺がペルソナや悪魔を召喚したり、簡単な低位の魔法を見せたことで理解はしてくれたようだったが、何か、思うところでもあるのだろうか。

 

「いやそれも気になってたけど、そーじゃなくて。さっきの話、鴨志田が、あの趣味の悪い城の発生源ってのは本当なんだな?」

「ああ、事実だ。今日は出てこなかったが、現実の奴と瓜二つのシャドウがあの異界に存在している」

「…そうか」

 

 どこか物憂げな表情をしている坂本は、自分の手を握ったり閉じたりしている。大方、鴨志田の事を考えているのだろう。

 

 パレスの主が鴨志田卓だと分かった時に、奴の素性と悪行の数々はほぼ完全に、ヤタガラス側の調査で明らかになっている。

 当然、少し前に強豪だった秀尽学園の陸上部が廃部となったこと。それの発端になったのが目の前の坂本竜司であることも、そもそもの原因が鴨志田のシゴキという名の無意味な虐待紛いの行為にあったことも把握している。

 

 胸糞悪い話だが異能が絡まなければ俺達が手を下すことはない。だが、今回はパレスとかいう厄ネタの発生を引き起こしてくれた以上、鴨志田にはパレスの問題が解決した時に、それなりに覚悟して貰う事になるだろう。

 

 具体的には何処からともなく、陸上部に対しての体罰やバレーボール部への練習という名の虐待行為と女子部員へのセクハラの証拠がバラ撒かれたり、な。

 

「…あのさ」

 

 何れ鴨志田に下る罰の事を考えていると、坂本が意を決したように何か言葉を口にするが、応接室の扉が凄まじい勢いで開かれた音で掻き消されてしまう。

 

「蓮! これ、ヤバいって!」

 

 応接室の扉を蹴破って入って来たのは、ヤタガラスの制服を着て目の下に隈を作った双葉と、白いチャイナ服にヤタガラスの制服をマントの様に羽織ったスタイル抜群の女性、『菅野フミ』さん。

 その後ろから付き添うようにやって来たのは、ピンク色のナース服と白衣、明るい金髪が特徴的な『柳谷オトメ』さん、そしてしかめっ面をしたヤマトだった。

 

「やばいって、なにが」

 

 俺の言葉を聞いた双葉とフミさんは、濃い隈を作って充血した目を爛々と輝かせながら矢継ぎ早に、坂本と高巻のスマホにインストールされていた赤いイセカイナビについての説明を捲し立ててくる。

 

 二人とも凄まじく早口だし、寝不足のせいか若干呂律が回っておらず、二人が喋っている話の内容は殆ど理解出来なかった。

 そんな二人は喋るだけ喋ってから、電池が切れたようにソファーで爆睡し始めるし、オトメさんは二人を看病してたので、ヤマトがこの赤いイセカイナビの仕様を簡潔にまとめて説明してくれる。

 どうやら、普段は無表情なヤマトが凄まじい顰め面になるくらいには厄介な機能が盛り込まれているらしい。

 

 そもそも論として、イセカイナビがプログラミング言語を使用して組んだアプリケーションではないというのは、俺が持っている青いイセカイナビを解析した時点で分かっていた。

 電子的なアプリケーションに見せかけた、この異能アプリの機能は主に二つ。

 

 三つのキーワードを言う事でパレスに侵入出来るようになる機能。

 そして異界に侵入した際に、心の防壁が形になった怪盗服に対して、異界の主から発見される可能性を下げる一種のジャミングのような異能を付与する機能。

 

 それに対して、今朝方の俺の簡易的な報告で存在が判明した赤いイセカイナビは、パレスに侵入できるようになる機能は同じだが、もう一つの機能が問題だった。

 

 つまり、赤いイセカイナビを持っているだけで『悪魔から狙われ易くなる』機能が搭載されているのだという。

 

 しかも、この赤いイセカイナビは多少の霊的資質を持っていて未覚醒状態の人間に限定して問答無用でインストールされているのだという。

 実際、何らかの異能の素養があることが分かっていた未覚醒者である双葉や、異能に目覚めないくらいの僅かな霊的資質を持つヤタガラスの人員のスマホにもイセカイナビがインストールされていたのだという。

 

「覚醒者ではなく、未だ力に目覚めていない人間、そしてそもそも対抗手段を得る事ができない人間を狙い撃ちして、良質なマガツヒを得ようという算段なのだろう」

 

 未覚醒者を率先して襲うことで、将来的に敵対する可能性のある異能者を減らし、集めた良質なマガツヒは自分たちの力に変換するという、一石二鳥の作戦だ。

 しかも、イセカイナビは本人の霊的資質に紐づいているのでスマホを変えたりイセカイナビをアンインストールしてもいつの間にか再インストールされているという手の込みようだ。

 それだけでも悪辣なのに、この赤いイセカイナビは、その存在を認知しなければアプリの存在を認識出来ないので、一般人は異変に気付かない可能性が高いのだという。

 

「知らない内にイセカイナビが起動していたのは未覚醒の異能者である坂本竜司と高巻杏をパレスに取り込むためだろう。お前が居たのも理由の一つだろうがな」

「俺達がパレスに引きずり込まれたのはそう言う理由か。随分と大雑把だが、効果的なやり口ではあるか」

 

 更に厄介なのは、このイセカイナビを無力化するには、異能に覚醒して対抗手段を手に入れるか、そもそもの元凶であるイセカイナビを拡散している存在を始末するしかないという点だ。

 

 ヤタガラスとしても()()()()()()()()()()()この現象への対処を急ぎたいが、この赤いイセカイナビが今日の早朝方、俺が存在を報告する前後ぐらいで一斉に発生したことが確認されたため、ヤタガラスもまだ混乱が続いているらしい。

 一般人を守るために対悪魔用の護符を急ピッチで大量生産したり、国の重要施設の霊的防御性能を向上させたり、国や大企業の重鎮達に事情を説明して対抗手段を作って国民全員に配布する必要があったりと本当に大忙しな状態なのだ。

 

「現状、東京だけでなく日本全域で同様の現象が確認されている。正直に言って手が足りん」

「そんな状態だったのか。だったら俺も」

「ライドウ、お前はパレスに集中しろ。今はパレスで大人しくしているから問題ないが、もしも大天使と大罪の魔王が現実世界に出てきて暴れ始めれば、もっと大きな被害が発生しかねん」

 

 優先順位を見誤るな、というヤマトの言葉に二の句が継げなくなってしまう。

 実際、あのレベルの悪魔を相手に出来る人間はこの国では十人にも満たない。ましてやそれが認知異界の中での出来事ならペルソナを使いこなせる人間が適任だ。

 だから、その辺を踏まえて一番近くで即座に対処可能な俺を、秀尽学園に置いておきたいという事なのだろう。

 

「イセカイナビの問題はヤタガラスでも対処が可能だ。実際、急ピッチで対抗パッチの製作に取り掛かっている」

 

 ヤマト曰く、曲がりなりにもアプリケーションとしてスマホにインストールされているのだから、電子的なアプローチで干渉できる余地があるらしい。

 その為、情報分析や霊具の電子化実験で色々と忙しい筈のフミさんと、若葉さん捜索に力を注いでいた双葉を主軸に、桐条財閥を筆頭とした政財界や各地の名家から支援を引き出して、イセカイナビの機能を無効化ないしは制限するパッチの製作を、朝一から相当数の人員を動員して製作しているということだった。

 

「…分かった。俺はパレスの方に専念するよ」

「ああ。そうしてくれ。頼んだぞ、ライドウ」

 

 俺の返答を聞いたヤマトは、時間が惜しいと言わんばかりに、ぐっすり眠っているフミさんと双葉を召喚した悪魔に運ばせながら応接室を出て行く。

 恐らく、これから二人は問答無用で叩き起こされてパッチ製作の修羅場に放り込まれるのだろう。

 

 フミさんは大人なので問題ないだろうが、双葉は未成年な上に、ヤタガラスに協力している事を惣治郎さんに隠しているから、ちゃんと家には帰してあげて欲しいのだが、この分だとドッペルゲンガーで影武者を立てて数日徹夜コースになりかねないな。

 

「はい、それじゃあ皆の健康診断の結果ね。全員問題なしだけど、各自検査結果はしっかりと確認しておくように。少しでも異変があったらライドウ君を通して連絡して頂戴」

 

 バチコンッ☆みたいな効果音が付きそうなウィンクをして、俺達に健診結果を手渡してくれたオトメさんも急いで部屋から出て行ったところから察するに、やはりヤタガラス全体が忙しく動き回っている状態なのだろう。

 

 俺にはプログラミングの知見はほぼ無いが、呪いや陰陽術に神道系の異能には一家言あるので今回のパチモノのイセカイナビ騒動を治める手助けくらいは出来るはずだが、ヤマト直々にパレスに集中しろと言われてしまった以上、未練たらしく考え込まずに目下の問題である、鴨志田のパレスの攻略法を考える方に意識を切り替えるとしよう。

 

「それじゃあ、目的は果たしたし、帰るか」

 

 坂本と高巻は一般人なので、この話に関わることはないし、モルガナは俺のサポートがメインの仕事だからイセカイナビ対策に混ざらなくとも問題ない。

 調査の為に回収されていたスマホは二人に返却されているし、万一の時の護身用の霊具も幾つか渡した。

 

 こちら側の事情を知った二人には、パレスの件が片付くまで極力一人にならないこと、近しい人間にはそれとなくスマホを見せて貰って、赤いイセカイナビがインストールされてないか確認しておくこと、もしもイセカイナビがインストールされているようであれば、真っ先に俺に連絡することを言い含めておいた。

 

 これでこの二人が異界がらみの面倒事に関わる確率はグッと低くなっただろう。

 ようやく一安心、と言ったところだな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 深夜。

 耳元で鳴るスマホのコール音で目が覚める。

 こんな夜中に一体誰だ?

 

「高巻…?」

 

 寝ぼけた目を擦って確認したスマホに映っていたのは、今日出会ったばかりの少女の名前。いや日付が変わっているから昨日か。

 特殊な体験をしたとは言え、殆ど初対面と言っていい俺に電話を掛けてくるとは、何の用だろうか。

 

「もしもし?」

『あ、雨宮くん、志帆、志帆が!』

 

 最後に会った時は明るく元気だった少女の涙ぐんだ声に、嫌な予感が沸々と沸き上がってくる。

 

「おい、どうした、高巻!」

 

『お願い、助けて…』

 




どれだけ忙しくても近くに来たらライドウの顔を見に来るヤマト。

青いイセカイナビは所持者をパレスの主から隠すために目を閉じたデザインになってます。
逆に赤いイセカイナビは獲物を見つける為に、目を開いたデザインになってます。
原作のイセカイナビにも獲物である怪盗団を監視する意味合いがあったのかもしれませんね。

実は黒幕がバラ撒いた赤いイセカイナビには、もう一つ隠された機能があります。
黒幕的にはこの隠された機能によって引き起こされる事態の方が、イセカイナビを全国にバラ撒いたメインの狙いですね。

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