ペルソナの主人公に転生したらしい   作:明人

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感想数が減って見てくれている人がいるのか不安になりつつも投稿です。
まあ、元々は自給自足の為に書き始めたので別に辛くは……

ごめん、やっぱつれぇわ


第八話

「お、おおおおお!!」

「はああああああ!!」

 

 覚醒した二人のペルソナが各々の得意な魔法属性、キャプテン・キッドは雷を、カルメンは炎を纏って、雑多な雑魚シャドウを焼き払いながらカモシダに突撃する。

 

『お、お前ら! 俺様を助けろ!』

 

 自身の内から溢れる衝動に任せただけの力圧しにもかかわらず、二人のペルソナが発する力に恐れをなしたカモシダが、アイギス達と鎬を削っていたアスモデウス達を自身の傍に呼び戻す。

 

 何らかの異能を使用したのだろう。瞬間移動のようにカモシダの傍に呼び戻されたアスモデウスはキャプテン・キッドの突撃を、ガブリエルはカルメンの炎の鞭をその身で受け止める。

 

「チッ、窮地に陥ればネズミとて猫を噛むというが!」

 

 本来、異能に目覚めたばかりでロクに鍛えられていないペルソナでは異能力の格、ありていに言えば『レベル』が足りないのでアスモデウスやガブリエル程に強力な悪魔に傷を付けるなど不可能だ。

 だが、目の前の光景はそんな常識を嘲笑うかのように、平常時であれば奴らに傷一つ付けられない筈の二人の攻撃によってアスモデウスは業火に焼かれ、ガブリエルは雷撃に貫かれ、確かに怪我を負い、痛みに身を捩っている。

 

「この私が異能に目覚めたばかりの者に、力負けするなど!」

 

 ある程度異能を使うことに慣れていれば自身のマガツヒを節約することや自分が有利になる戦法を考えたりしながら戦うものだが、今の彼らは覚醒時特有の全能感に従ってただただ打ち倒すべき敵に向かって突撃している状態だ。

 誰がどう見ても二人のペルソナも彼ら自身も暴走状態に陥っていると分かるが、今この瞬間においてはむしろそれがプラスに働いている。

 

「あいつら、どうしたってんだ?」

 

「ある程度年齢を重ねてから異能に覚醒するとああなり易いんだ。今まで生きてきた中で積み重ねて来たものを一気に放出する感覚に酔ってしまうからな」

 

 この世界の人間は多かれ少なかれ皆マガツヒを発生させ、自身の体内に保有している。

 これはマガツヒが意識存在の精神から発生するエネルギーである以上、異能を覚醒するほどの才覚がない一般人でも同様だ。

 

 日々の幸福や不幸といった精神を揺さぶられる経験をした時に微量のマガツヒを生み出し、それを自身の精神活動に用いて消費し、また生み出して、というのが人間を含めた意識存在のマガツヒ循環サイクルだ。

 だから、自身の精神そのものであるシャドウを害されるとマガツヒを生み出せなくなって無気力症候群を発症したり、逆に生み出したマガツヒを消費することが出来ず精神を制御できなくなり、精神暴走事件が起きるのだ。

 

 だが、異能の才覚を持つ人間は事情が違ってくる。簡単に言えば、異能を持つ人間はマガツヒを溜め込む事が出来るのだ。

 逆に言えばマガツヒを貯め込む事が出来るから、魔法や悪魔召喚、ペルソナ能力といった能力を使用できるということでもある。

 

「自身の精神を確立させ、異能に覚醒するまでの長い期間溜め込んだマガツヒを一気に燃やすんだ。ほんのひと時、数分程度ではあるが圧倒的な力を発揮するのは当然だ」

 

 俺がラウールを覚醒させてあの『刈り取るもの』に打ち勝ったように、彼らに自覚はないだろうが今この瞬間に十年以上体内に溜めたマガツヒをいっきに燃やしてあの強力な力を実現させているのだ。

 

「だが、長くは持たない」

 

 長年溜め込んだとは言っても、異能を覚醒していないとマガツヒの生成効率も一般人と同程度であり、溜めたマガツヒの量もそれ相応だ。

 あれだけの力を発揮しながら暴れていることを考えれば、持ってほんのひと時、時間にしておよそ数分程度でガス欠になるだろう。

 

「全員、狙いをアスモデウスに集中!」

 

 俺のその号令と共に、アイギス、コロマル、金時、ピクシー、モルガナという普通の異界ならピクニック感覚で攻略できる戦力がアスモデウスに集中する。

 超回復能力で擬似的に不死身になっているとはいえ、これだけの数と質の暴力に晒されては然しものアスモデウスも反撃に移れないようで、自身の耐性と謎の超回復能力で耐え切る方法に切り替えたようだ。

 

 こちら側のマガツヒが尽きるまでではあるがアスモデウスは抑えられた。カモシダも坂本と高巻から本気の敵意を浴びせられたことに恐れを抱いたのか、追加で召喚したシャドウを肉壁にしてガブリエルの背後から動く気配はない。

 であれば、後は

 

お前(ガブリエル)を斬るだけだ」

 

 状況は依然劣勢だが、ここで厄介なガブリエルを始末できれば今後の活動に大きなプラスとなる。

 無茶のしどころってヤツだ。

 

あの方の恩寵(異常な回復力)を突破できないくせに、何を」

 

「キャプテン・キッド!」

 

「づうぅ、こ、の、小僧ぉぉぉおお!」

 

 戦闘中によそ見するからそうなるんだよ。

 

 坂本と高巻のヘイトはカモシダに向いているが、別にアスモデウスとガブリエルを無視しているわけではない。それに偶然でもなんでもカモシダを守るような位置に立ってしまっている以上、カモシダを標的にしている二人の攻撃に晒されるのは当たり前だ。

 キャプテン・キッドが放った雷撃が弱点属性だったこともあってか、右半身を炭にされて怒り心頭なガブリエルがキャプテン・キッドを無視して本体である坂本に襲い掛かるが、それを見過ごすほど耄碌はしていない。

 

「アルセーヌ!」

 

 ガブリエルの進行ルートに突如として現れたアルセーヌが、ガブリエルの腹部を蹴り飛ばして強引に距離を離させたのと同時に俺も手にしている刀で斬りかかる。

 

 かつてこの世界に実在していた、俺のご先祖様の葛葉ライドウ(十四代目)は、刀、槍、斧という三種類の武器を駆使して戦うことができる武芸の達人でもあったのだが、生憎と俺自身には複数の武器種を操る才能はない。

 だが、基本となる『刀術』に限定してみればそれなりに才能はあったらしく、葛葉家に伝わる秘伝の刀術は免許皆伝を師範から戴いている。

 

「煉獄撃·()

 

 アルセーヌに蹴り飛ばされて死に体を晒しているガブリエルの胴体を輪切りにするように右から左への水平斬り。

 

「煉獄撃·(かい)、煉獄撃·(しん)

 

 返す刀で左から右に向かう逆袈裟斬り、そして上段の構えから真下に振り下ろす唐竹割を繰り出す。

 一撃、二撃はモロに入ったが、三撃目はガブリエルが背中の翼を羽ばたかせたことで僅かに彼我の距離が開いてしまったので躱されてしまう。

 そのまま地面スレスレを滑る様に飛ぶことで俺の攻撃範囲から逃げようという魂胆なのだろう。

 

 だが、甘い。

 

「修羅虎突き」

 

 石畳を踏み割る程の踏み込みから繰り出される心臓を狙った一突き。

 マガツヒによって強化された身体能力による瞬間移動染みた加速から繰り出された突きが、ガブリエルの心臓を抉らんとするが、それを見たガブリエルが何故か血相を変えて隙を晒すことすら厭わずに、身を捩って必殺の突きを回避する。

 

 妙だな。何者かに与えられている尋常ではない回復力に加えて、高位の悪魔であるガブリエルは心臓を貫かれた程度で死ぬほど軟ではない。

 あんなに血相を変えて必死に回避する必要なんてなかった筈だが。

 

「く、う、天使共!」

 

 一連のコンボをどうにか躱しきったガブリエルが、背中に生えている翼から羽を振り落とす。

 空中にバラまかれたその羽を起点にマガツヒが増大し、下級の天使達が召喚される。

 

 だが、この状況でそれは悪手だ。

 

「『マハラギダイン』」

 

 召喚された『エンジェル』と『アークエンジェル』の混合部隊はカルメンが放った広範囲火炎魔法でロクに行動する事すら許されずにガブリエル諸共焼き払われる。

 

「羅刹龍転斬・修羅回転蹴」

 

 カルメンが放ったマハラギダインに巻き込まれてもなお原型を保っていたガブリエルに対して、爆炎を目暗ましにして接近した俺は、円を描くように振り抜いた回転斬りで殆ど炭になっていた翼を斬り落とし、その勢いを保ったまま回し蹴りをガブリエルに叩き込んでその体を奴の意志とは反した状態で上空にかち上げる。

 すかさず俺自身も身体能力に物を言わせて重力の軛に抗うように空高く飛び上がって、空中で自身の傷を癒すガブリエルの上を取る。

 

「ずっと考えていた。アスモデウスが『ネガイ』を欲していた理由を」

 

 押しも押されぬ大悪魔であり、その力量に関しては間違いなくトップクラスであるはずのアスモデウスが、わざわざ人間のシャドウに付き従い、従者のように振舞っていた事。

 四大天使の一角であり、唯一神以外には従わぬと豪語し、姦淫を嫌うガブリエルが色欲を司るアスモデウスと肩を並べ、好色なカモシダの言うことに従っていた事。

 

 つまり、奴らの狙いは認知存在であるカモシダに味方しなければ手に入れられない、()()()()()()()()

 

「今回で言えば『ネガイ』が超回復のカラクリだな?」

 

 

『羅刹飛討撃』

 

 

 空中で炸裂させたマガツヒの爆風を自分の背中で受けとめ、空を飛べない人間には本来不可能であるはずの空中での加速を行い、超常的な回復力で傷を癒す為に隙を晒したガブリエルの心臓に刃を突きたてる。

 どれだけ攻撃を浴びようと気にも留めていなかったガブリエルが唯一戦闘中に庇っていた場所、心臓に当たる部分を貫いた愛刀が固いモノと衝突した手応えを感じる。

 

 ガブリエルの体を貫いた愛刀に押し出されるようにしてガブリエルの身体から飛び出て来たのは、小指サイズの『真っ白に染め上げられた宝石』だ。

 

 やっぱり、心臓に何か仕込みをしていたか。

 誰かの『ネガイ』だと思われるその宝石を器用に切っ先で弾いて高巻の方に飛ばした後、一切の遠慮なく再度マガツヒを背中で炸裂させてガブリエルの肉体ごと地面に激突する。

 

「『十文字斬り』」

 

 ガブリエルの肉体を貫いて地面に突き刺さった刀を、マガツヒで強化した身体能力で強引に動かして剣技を放つ。

 

 ガブリエルの心臓を起点に地面ごと四等分に割断された肉体は、ついさっきまで見せていた超回復の兆候がない。

 やはり、さっきの『ネガイ』があの馬鹿げた超回復のカラクリだったのだろう。

 

「な、ぜ」

 

「お前たち悪魔が人間を利用しようとしていたら、その利用方法を予想して妨害するのが俺達の仕事だからな」

 

『認知異界』で『認知存在(悪魔)』が『人間のネガイ()』を利用して成す事柄。

 大して考えなくてもロクでもない考えがいくらでも思い浮かぶが、今回は割と予想をつけ易かった。

 

 恐らくは適当な人間を洗脳してそいつの思考を『不死身になりたい』とか『どんな怪我も治る体が欲しい』とかに固定して『ネガイ』を取り出し、自身の体内に埋めることでそのネガイを認知上の能力として成立させて利用する、といった感じか。

 

 肉体の大部分がマガツヒで構成されていて、認知上の力であり方すら変えられる存在だからこそ使える手段だ。

 だが、この方法は現実では使えない。こいつらがこのパレスから出てこなかったのもその辺が理由だろう。

 

 本当に、ロクな事をしないな。こいつら。

 

「回復手段は奪ったし、致命傷も与えた。何か言い残すことはあるか?」

 

 実際に斬り殺して分かったが、四等分になったこいつもガブリエルの本体ではない。

 相当力を分け与えられているみたいだし、その力は本体にも勝るとも劣らないレベルなのだろうが、アスモデウスに比べて力の、マガツヒの密度が低い。

 カモシダやアスモデウスには上手く隠していたようだし、俺も傍から見ているだけでは気付かなかっただろう。

 実際、数年前に戦った時のTOKYOミレニアムでは気付かなかったが、あれから俺も色々経験を積んだからこそ今回のこいつが本体でないことが分かったようなもんだしな。

 

「この、バケモノ、が」

 

「ハッ。本体に伝えておいてくれ。そのバケモノがそう遠くない内にお前(本体)を必ず殺しに行く、とな」




ライドウの素の戦闘力はこんな感じです。タイマンではほぼ負け無しです。
バケモノ呼ばわりも当然っすね。先代もこんなんだったようなので問題ないな、よし!

ゲームのライドウのコンボ技にちゃんと名前が設定されてるのを二次創作する段階で知りました。
今作では『葛葉流刀術』という設定で使っていきます。

竜司と杏がこの戦闘でだけ強いのは、覚醒した時のムービー演出だと思って貰えれば
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