ペルソナの主人公に転生したらしい   作:明人

34 / 55
以下、主人公の現時点の手持ちの悪魔&ペルソナ
金時、黄龍、ドッペルゲンガーの三体が主人公との正式契約悪魔です。
ピクシーは『ライドウ』という名前と契約していて、グレムリンはヤタガラスから借りてきた悪魔なのでノーカンです。
契約枠が最大6つで、ベルベットルームでとある悪魔を呼び出しているので後二枠余っている状態です。

ペルソナは、合体&破棄不可の『愚者:アルセーヌ』と
『戦車:アガシオン』『魔術師:ケットシー』『恋愛:サキミタマ』『死神:マンドレイク』『刑死者:カハク』の計6体です。
愚者コミュが発生していないので現状だとペルソナの所持枠がキツめです。


第十五話

「それじゃあ、渡した護符とお守りはセットで肌身離さず持っておいて下さい。それがあれば強力な霊的防御が得られます。もし少しでも護符に異変があったら、必ず俺に連絡してください」

 

 イヌガミを撃退し、店に仕掛けられていた幾つかの呪詛を破壊して安全を確保した後、岩井さんに悪魔や霊能の事を掻い摘んで話す。

 最初は怪訝な表情をされたが、魔法を見せれば割とあっさり信じてくれた。まあ、ついさっきイヌガミに食い殺されそうになった時に一時的にイヌガミの姿が見えていたみたいだから、開き直って現実を受け入れたというのが正確な表現な気もするが。

 

「ああ。分かった。それに悪いな、追加でもう一人分用意してもらって」

 

「いえ、お気になさらず。今回の件がどういう因縁で起きているのかは分かりませんが、ああいう呪いを使う奴はターゲットの身近な人間を巻き込む可能性が高いので、必ず渡してください」

 

「肝に銘じておく。あいつ(息子)にも必ず持たせるよ」

 

 取り敢えず今出来る対策はこんなところか。これ以上の対策をするなら護衛を付けたりしないといけないが、色々と忙しい今のヤタガラスには捻出できる人員がいない。

 今後も同じダークサマナーから狙われ続けるのか否か。襲撃される頻度がどのくらいなのかも確認して他の事件との優先度を考慮しつつ調査していくとしよう。

 

 そんなこんなで、定期的に会いに来るという約束をしてから岩井さん会心の出来だという、ハンドガン(エリミネーター)ショットガン(ヘルファイア)サブマシンガン(タランチュラ)狩猟用のスリングショット(ノーザンライト)を購入し、ついでに買ったタンカラーのミリタリーバッグに詰め込んで店を出る。

 パレスやメメントスで使用する予備武器の調達はこれで十分かな。パレスの件も片付いてないのに新たな事件の調査も抱え込むことになったが、優秀なガンスミスと今後も取引き出来るのなら収支的には大きくプラスと思っていいだろう。

 正直ヤタガラスの方で遠距離武器のクオリティアップを手伝って欲しいと思えるくらい、岩井さんは逸材だった。

 

 お国柄、銃火器に触れる機会が殆どない事と、銃刀法で基本的に銃器の所持が禁止されている事、そして大正時代以降から1999年まで霊能絡みの事件が激減していた事も相まってヤタガラスの銃火器に関してのノウハウは殆ど戦前の知識で止まっている。なのでテクノロジーが発展した現代においても悪魔退治に使用する遠距離武器の主流は弓矢と呪符、そして魔法なのが現状だ。

 弓矢に関しては古くから積み上げられてきたノウハウと近現代で技術が発展した機械弓の相性が思ったよりも良くてヤタガラスでも割とあっさり受け入れられたのだが、銃に関しては所持がバレた場合のリスクとそもそもの悪魔に効果がある銃弾の補給に難があり、人間を標的にすることの多いダークサマナー以外には余り好まれない傾向にある。

 

 そして実は技術的な問題も存在していて、大昔からのノウハウが蓄積されている上に、それなりにサイズがある(やじり)や呪符に加工を施すのとは違い、小さな弾丸一つ一つに属性効果を発揮させる為の呪式を組み込んだりするのが大変という問題がある。

 そんな事情もあって大量生産が難しいくせに、消耗品としては呪符や矢に比べてかなり割高なので、一般サマナーの中で銃火器の普及が上手くいかないのも当然ではある。

 

 だが、岩井さんの加工技術を取り入れることが出来れば、銃のバレルやグリップに魔法陣なり呪術なりを組み込むことで弾丸を特殊な物にするのではなく、銃本体を特別仕様にするという事で何らかの魔法効果を持たせる事も不可能ではない筈だ。

 つまり、銃の装飾やエングレーブに実用的なタクティカルアドバンテージを持たせる事も可能になるのではないかと考えているのだ。

 

(ハンドガン程度なら弓と比べて持ち運びし易いし、呪符や魔法よりも少ない労力で早く敵に攻撃を当てられる優れものなのだがな)

 

 そんな事を思いながら駅に向かって歩いていると、ポケットに仕舞っていたスマホが振動する。スマホを取り出して確認すると、どうやらトークアプリを通じて直斗さんが連絡をくれたようだ。

 絵文字やスタンプの無いシンプルなメッセージは、依頼していた予告状が出来上がったから確認に戻ってきて欲しいという内容だった。

 

 丁度駅の近くに居るし、一旦確認しに戻るか。

 確認に戻るという内容の返信を手早くして、スマホを仕舞って渋谷駅から少し離れた場所に向かい、とある二十階建てのビルに入る。

 十九時を過ぎた時間帯ということもあり、帰路に就く人々でそれなりに賑わっている複数のテナントが入っている商業ビルのエントランスをくぐり抜け、周囲に相乗りしようとする人がいないことを確認してからエレベーターに乗り込む。

 

 エレベーターに乗り込んだ後、懐から三本足と三つの勾玉が特徴的なヤタガラスを象った文様が入った根付のキーホルダーを取り出してマガツヒを流し込む。

 すると、このエレベーターに常時掛けられている視覚情報を改竄する幻術が一時的に解除され、さっきまでは上層へ向かう為のボタンしかなかった所に地下へ向かうボタンが現れる。

 現れたボタンを押すとエレベーターがゆっくりと地下に向かい始めたので、エレベーターの壁に寄りかかって暫く待つと、目的地に着くと同時にエレベーターの扉が開き、その先の光景が視界に入る。

 

 マガツヒが込められた石材や霊木で上下左右を覆うように作られている事で、並みの核シェルターよりも高い耐久性を持つ廊下を抜けて唯一の扉を開けると、幾つかの家具が配置されたセーフハウスが広がる。

 ここは、全国各地で活動するヤタガラスのサマナーが、一時的な拠点として使用する為に用意されているセーフハウスだ。

 

 東京をメインの活動範囲にしているサマナーは、基本的に根願寺の地下にあるヤタガラス本部を拠点にしているが、リスク分散の為に拠点として使用できる場所というのも勿論、複数存在してる。

 そんな拠点の一つである2LDK程度のこのセーフハウスには既に人影があり、部屋の真ん中に置かれたテーブルの上には試作段階の予告状が散らばっている。テーブルの近くに寄せられたホワイトボードには怪盗団のシンボルマークのデザイン案が書き連ねられているが、途中で飽きたのかそこかしこにラクガキがあるのはご愛嬌って所か。

 

「お疲れ様です。蓮」

 

「すみません。色々と助けてくれてありがとうございます。直斗さん」

 

 完成した予告状を手に雑談をしている人影達の中でいち早く俺に気付いた女性──予告状作成のアドバイザーとして協力を依頼した直斗さんに目を向ける。

 探偵業をしている時に普段着ているグレーのスーツ姿(ペルソナ×探偵NAOTOの衣装)ではなく、ベージュ色のリブ生地で出来た春先用のニットセーターと黒のタイトパンツ姿で、この数年で腰に届くほどに伸びた濃紺の髪をポニーテールにした直斗さんが俺に声を掛けると、他の三人も俺に気付く。

 

「おー。お疲れ。収穫はどうだった?」

 

「良いモノが手に入ったよ。いい出来だからパレスでも問題なく使えるだろう」

 

 頭を捻ってアイデアを出すような普段はあまりやらない頭脳労働が辛かったのか、部屋の中央に置かれたテーブルに突っ伏している竜司に返事しながら空いてる席に座り、テーブルに散乱している完成した予告状を手に取る。

 赤を基調としたカードに、刑事ドラマなんかでよくある幾つかの新聞から切り抜いた文字で鴨志田の行いを揶揄する文章。

 余程察しが悪くない限り、この予告状を読めば誰でも鴨志田が何か良くない行いをしているのではないかという事に気付くし、鴨志田本人も自分の行いを告発されると意識するのは間違いないだろう。

 

「へえ、いい出来だな」

 

「俺はもっとカッコイイ感じにしたかったけどな」

 

「無茶言わないでよ。絵心の無い私達じゃこれが限界だって」

 

「というか前にも言っただろ。今回の予告状はそんなに出来の良い物にしない方が良いって」

 

 モルガナのいう通り、今回の予告状は完璧すぎてはダメだ。

 わざとチープな作りにしてデザインもごく一般的な普通の学生が作ったと連想出来るような仕上がりにしないといけない。

 

 そうする事によって、学園に所属している人間が自分の行いを告発しようとしているとターゲットである鴨志田に連想させ、奴の歪んだ欲望(オタカラ)を強く認識させる事が出来るからだ。

 そしてもう一つの目的は、この事件が片付いた後で公権力の調査が学園に入らない様にする為だ。何だかんだ言ってもこの国の警察の捜査能力は優秀なので、学園に捜査の手が伸びれば面倒事に発展する可能性がある。

 だから、警察の捜査事情に詳しい直斗さんに、ギリギリ警察が調査対象にしないレベルにしてもらう為に、予告状の作成に参加して貰っているんだからな。

 

「まあ、今回はこれで十分さ。お手製感満載のこれなら、パレスを片付けた後に犯人探しが始まっても最悪学生のイタズラでケリを付けられるだろうし」

 

「そうですね。唯一の物的証拠になる予告状を量産する時はDNAや指紋を残さないように気を付けて貰う予定ですが、『もしも』を考慮するならこのくらいが妥当かと」

 

 想定していたよりも予告状の出来が良かったから、デザインはこれで行こう。あ、折角怪盗団メンバーが集まってるからついでに予備の武器も渡しておくか。

 床に置いていたミリタリーバッグから怪盗団のメンバーの為に買ってきたモデルガンを取り出して各人に渡していく。

 それぞれが扱える銃の種類がギリギリ鞄に入るくらいの物ばかりでよかった。ロケランとかミニガンを要求されたりしたら持ち運びも大変な事になっていた。

 

「え゛」

 

「いやいや、これ本物じゃね?」

 

「八十稲羽で使っていたモデルガンも完成度が高かったですが、これはそれ以上ですね」

 

 確かに本物の銃器と同じ素材ではあるが、発射機構はオミットされ銃腔も塞がれている以上、ただ単に銃器としての機構を再現されただけのオモチャである。だが、あまりにも完成度が高いので初見では本物と誤認してしまうのも仕方ない。

 事情を知っている面子でこの反応なら、パレスやメメントスでも問題なく武器として使えそうだな。

 

「とりあえず、竜司と杏は今後このモデルガンとヤタガラスから貸し出している近接武器を常備しておくこと。いつ何時(なんどき)戦いに巻き込まれるか分からないからな」

 

 霊木バットと鞭はよしんば見つかっても誤魔化せはするが、本物の銃は流石に誤魔化しが効かない。だからなんとか誤魔化せる範囲の近接武器とモデルガンくらいは各人が常に持ち歩いてもらう事にしよう。

 

 これから二人にも武器を持ち歩いてもらうようにするのは、認知異界の変化が原因だ。

 今までの認知異界は基本的に、侵入する側がある程度突入タイミングを決めることが出来ていた。タルタロスは午前0時になった上で月光館学園に行く必要があったし、マヨナカテレビも異界に繋がったテレビを通して侵入する側だった。

 

 だが、今回はいつもと勝手が違う。

 基本的に傍観者であったニュクスやイザナミと違い、今回の異界の主は積極的に人間からマガツヒを搾取し、邪魔者を排除することも厭わない類の輩だ。

 それに加えて、ガブリエルの高位分体やアスモデウスという大悪魔が異界で何やら企んでいるとなれば、こちらの都合なんぞお構いなしに面倒事を引き起こすのは想像に難くない。

 

 ペルソナという異能に覚醒してる二人は、良質なマガツヒを溜めこんだ獲物として確実に奴らの目に留まっている。今後もしも突然パレスやメメントスに引きずり込まれたとしても、救援が来るまで自分の身を守れるように最低限の武器防具は身に付けさせておいた方が良いという判断の下の対策だ。

 こっちにやって来た当日の俺みたいに準備を怠ったせいで死にかけたりする様な目にはあってほしくないからな。

 

「よし予告状の量産はこっち(ヤタガラス)でやっておくから、もう良い時間だし今日は解散するか」

 

「うお、もう7時かよ。やべ、今日飯当番だった」

 

「あ、私も今日は久しぶりに親が帰ってくるから早く帰らないと」

 

 慌てて帰り支度を始めた二人は通学鞄にモデルガンを突っ込み、そのまま急いでエレベーターに乗る。

 

「じゃあ、また明日」

 

「ああ、またな」

 

「また明日ね。蓮」

 

 そう言って地上へ向かった二人を見送り、セーフハウスには俺とモルガナ、そして直斗さんだけになる。

 

「ワガハイ達もそろそろ帰るか?」

 

「いや、直斗さんとモルガナにはちょっと聞いて欲しい話がある」

 

 俺の顔を見て厄介事の気配を感じ取ったのか、直斗さんは小さく苦笑いした後、おもむろに立ち上がって部屋に備え付けられているキッチンに向かう。

 近場に置いてあった青いエプロンを普段着の上から付け、人が常に住んでいるわけではないので基本的に空っぽであるはずの冷蔵庫から作り掛けの料理を取り出す。

 

「それは?」

 

「遅くまで作業をする可能性もあったので、食事があった方が良いかと思いまして。蓮もお腹が空いてるでしょう?」

 

 確かに昼から何も食べてないので腹は空いている。

 そこらのチェーン店かコンビニで適当にすませるつもりだったが、直斗さんの手料理と比べれば、どちらに軍配が上がるかなんて考えるまでもない。

 

「是非。お言葉に甘えさせてもらいます」

 

 俺の反応に対して、笑顔で頷いた直斗さんが料理の仕上げをしている間に、スマホを取り出して惣治郎さんに帰りが遅くなると連絡しておく。

 これまでの生活でそれなりに信用を得られたからか、連絡さえ入れておけば帰りが遅くなるのも許される様になったのは、活動範囲と時間を広げるのに大きくプラスになった。

 

 そうして惣治郎さんに連絡をし終わると同時に、湯気を出している鍋を持った直斗さんが部屋に戻ってくる。

 配膳を手伝いながら戻って来た直斗さんにメニューを聞いたところ、献立は野菜たっぷりのミネストローネと焼き立てパンらしい。

 鍋から漏れ出ている匂いだけでも、ハッキリと美味しそうだと分かる手料理に我慢できず、手早く配膳を済ませてから料理を口に運ぶ。

 

「うわ、おいしい」

 

 今まで食べてきた料理の中でも屈指の美味しさだ。

 色々と話したいことがあった筈なのだが、それらが一時的に吹っ飛んでしまうレベルの料理に舌鼓を打っていると、俺の様子をニコニコしながら見ていた直斗さんが口を開く。

 

「それにしても、昔は探偵王子なんて言われていた僕が、怪盗の予告状を作る日が来るとは思ってもみませんでしたよ。偶には悪事を企む側に回るのもいいですね。個人的にも探偵の宿敵として描かれる事の多い怪盗らしさという物を考えるのも意外と楽しかったですし」

 

「まあ、ほら。警察の捜査方法に詳しくて足がつかないようなやり方を知ってそうなのが直斗さんしか居なかったので。後、()()()()()()()()()のノウハウを作っておきたかったってのもありますが」

 

「それは、鴨志田以外の人のパレスも脅威になる可能性がある、という事ですか?」

 

「今はまだ可能性の話ですが」

 

 メメントスという大きな認知異界が出現し、個人の欲望を元にした認知異界(パレス)も出現した。

 現状確認出来ているパレスは鴨志田のパレスだけだが、マガツヒの総量も一般人程度で異能の才覚も無い鴨志田ですら、普通のサマナーが苦戦するレベルのシャドウが闊歩し、大天使と大悪魔を抱え込んでも壊れない異界を作りだしている。

 しかも、大天使と大悪魔に憑りつかれたに等しい状態になっている人間の精神が崩壊する事無くある程度の理性を残している。これだけの事をただのシャドウに出来る訳がない。

 恐らくは、大本の原因だろうメメントスの主が何らかの形で手を貸していると見て間違いないだろう。

 

「誰でも抱えている欲望を認知異界として変貌させ『ネガイ』とやらを使った実験までやっている。しかも既にある程度の成果を上げている(ふし)がある」

 

「それなりに研究が進んでいるということは、実験を行っている場が一つではない可能性もあるという事ですね」

 

 アスモデウスやガブリエルが人の『ネガイ』を活用する方法を既に把握して悪用しているということは、鴨志田のパレスで俺達と遭遇する前からそういう実験をしていたという事になる。

 まず間違いなく、サマナーに発見されたり、実験に失敗してパレスが崩壊する様なリスクを分散する為に、他にもパレスを作ってそこで実験をしていた筈だ。

 実際、『ネガイ』を使った疑似的な不死能力の獲得なんかを、あのタイミングでアスモデウスとガブリエルがやっていたのも、不死能力の試運転を鴨志田のパレスでしていたからかもしれない。

 

「それに、実験をするのなら、試行回数と成果の保全方法は増やしておきたいでしょうから」

 

「成る程。筋は通っていますね。つまり今後も何者かのパレスに侵入して『オタカラ』を奪いパレスの解体をする必要がでるかもしれないという事ですか」

 

「まあ、パレスを持っていて悪魔に付け入れられてそうなターゲットを探すのは大変そうですが」

 

 この辺は地道に探していくしかないだろう。

 

「それで、本題ですけど、パレスとは絡みはなさそうなんですが、とある人がダークサマナーに命を狙われているようで、直斗さんに捜査の協力をお願いしたいです」

 

 ミリタリーショップで起きた事と、岩井さんに掛けられていた呪詛のことを説明し、岩井さんから聞き出した事件の詳細と被害者の名前と所属を直斗さんに説明する。

 岩井さんから聞いた話では、どうやらこの事件は既に十人以上が犠牲になっているようで、遺体に残っていた傷から、どの被害者も同じ方法で殺害されているらしい。

 完全に同一犯による犯行だろうな。

 

「ヤクザを狙った連続猟奇殺人……話を聞く限りだと、僕が警察から捜査協力の要請を受けていた件と同じ事件のようですね。わかりました。捜査に進展があったら情報共有しますね」

 

「ありがとうございます。今度、何かお礼します」

 

「それはそれは。楽しみにしておきますね」

 

 悪戯っぽく笑う直斗さんと談笑しながら料理を食べきり、一緒に皿洗いとセーフハウスの片付けを行ってから、完成品の予告状を持って外に出る。

 夜遊びしている学生や帰宅中の大人が歩いている駅の近くは人通りが多いとは言え、完全に夜になっている時間帯に女性を一人で帰らせるわけにはいかないな。

 

「もう夜も遅いし、送っていきます」

 

 俺の言葉に意外なモノを見たような表情をした直斗さんが微笑みながら俺の左手に指を絡ませる。

 直斗さんの白くて細い指がいきなり絡まってきたので、気恥ずかしさで若干体温が上がってしまう。顔が赤くなっていないといいが。

 

「ふふ。ありがとうございます。では、エスコートお願いしますね」

 




確信犯な直斗。
モルガナは空気を読んで黙ってました。できるぬこ。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。