ペルソナの主人公に転生したらしい   作:明人

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P5Tのニューヒロインが可愛かったので、初投稿です。


プロローグ③

下宿先の喫茶・ルブランは前世では存在しなかった四軒茶屋という町に店を構えている。

俺が下宿するにあたり、ヤタガラスが急いでルブランとその経営者の調査をしたらしいが、悪魔やペルソナなどの異能が関係しない部分の調査までは手が回らなかったらしく、店の評判なんかの情報は資料には殆ど載っていなかった。

 

なので、ルブランに向かう道すがら道行く地元の人に評判を聞いてみたところ、コーヒーとカレーの味は素晴らしいが、肝心の店主が無愛想、というのが全体的な評判なようで、街の住人からは愛されているが繁盛はしていない店のようだ。

 

「ここか」

 

四軒茶屋駅から暫く歩いて、大通りから入った小道にあるルブランの店内を覗くと、書き入れ時の真昼間にもかかわらず、お客の姿は一つもない。

扉に掛けられている開店/閉店を示す札はOPENになっているので、一応店自体は開いているはずだが。

 

事前の連絡では今日のこの時間にルブランに来い、とのことだったので、保護司であり、この店の店長でもある人がちゃんと居るはずなのだ。

 

「取り敢えず、入ってみるか」

 

店の前で待ちぼうけしててもしようがない。

店長がいれば御の字ぐらいの考えで、入店を知らせるドアベルの音を鳴らしながらルブランの中に入る。

 

ルブランの中は適度に空調が効いていて、12月になったばかりの低気温をじんわりと温めてくれるくらいまでの体感温度に設定されている。

店内カウンターの壁面には所狭しと様々な産地のコーヒー豆が入った瓶が並べられていて、淹れたてのコーヒーの香ばしい匂いが鼻腔をくすぐる。

店内にはやはり人影は無く、どうしたものかと考えていると、店の奥から男性の声が聞こえてくる。

 

「なんだ、今日の営業はもう終わったぞ」

 

カウンターの奥、恐らくはこの店のキッチンから悪態を吐きながら出てきたのは、黒縁の眼鏡を掛け、ピンクのワイシャツと白黒のストライプ柄のエプロンが特徴的な壮年の男性だった。

ヤタガラスから回ってきた資料通りの人相だから、恐らくはこの人が俺の保護司である『佐倉惣次郎』さんだろう。

 

「初めまして。これからお世話になります、雨宮蓮です」

「・・・へぇ」

 

俺の挨拶を聞いた佐倉さんが片眉を上げて、妙なモノを見たかのような表情をする。

前世で処世術として身に付けた無難な挨拶をしただけなのだが、何か気に障ったのだろうか。

 

「あの・・・」

「いや、悪い。妙な奴が来たもんだと思ってな」

 

カウンター席に座った佐倉さんが未だに湯気の立っているマグカップを傾け、コーヒーを啜る。

コーヒーの出来に満足がいったのか、僅かにほほ笑んだ後、マグカップをソーサーに置いて俺を真っすぐに見つめてくる。

 

「俺は保護司として今まで何人かの面倒を見てきたが、お前は今までの奴らとは違うな」

 

俺にカウンター席に座るように促した佐倉さんが立ち上がって、コーヒーを淹れる装置である、サイフォン、だったか。

その装置の下に貯められていたコーヒーをカップに注いて俺の前に置く。

 

「俺が今まで見てきた連中は前科者になった自分の将来に絶望した面をしていたり、この世の在り方を憎んだような面をしていたんだが」

 

佐倉さんの話を聞きつつ、いただきますと口にした後、出されたコーヒーを一口飲む。

途端に広がるコーヒーの味と香りに舌鼓を打っていると、怪訝そうな顔をした佐倉さんがさらに続ける。

 

「お前は、そういう空気感がない。そう、まるで、自分の行動を少しも後悔してないように見える」

 

なるほど。

顔面を変形させるくらいの力で他人を殴って前科者になっておいて、俺が何の反省も後悔も抱いてなさそうなのを不思議に思っているという所だろうか。

 

直接殴ったのが俺ではないというのもあるが、あの時召喚していた悪魔は人類史に名を遺す英傑でもあり、人間の英霊としての側面も兼ね備えた状態で召喚した悪魔だった。

そんな彼が問答無用で殴り飛ばしたということは、あの男が過激派のメシアンや人間を食料にするタイプの悪魔と同じ類の人間だったということの証左でもあるのだ。

 

なので、日夜悪魔やダークサマナーと斬った張ったをしているの俺の認識としては、邪悪な性根の男の顔面を凹ませる程度の事は日常茶飯事レベルで良くある些細な出来事であり、今回は運悪く法治機関にバレてしまったので、罰を食らった程度の感覚でしかなく、罪の意識や後悔を抱くほどの事ではないというだけなのだが。

 

「今更どうこう言う気はありませんよ。俺にとってはもう終わったことですから」

 

まあ、吐き気を催すような邪悪な性根の人間だったとはいえ、俺が召喚した悪魔が俺の許可なく一般人に怪我を負わせてしまった以上、その責任は召喚者の俺が取るべきではあるので、そういう意味では俺が前科者になったのは自業自得だったとも言えるのだが。

 

「・・・お前の両親も変わり者だが、お前はそれ以上だな」

 

今世の両親とは葛葉家に修行に行ってからはあまり交流をしていないので、俺個人としては彼らの人となりは全く知らない。

なので、とても反応し辛い話題でしかないので、曖昧に笑って誤魔化すとしよう。

 

「あはは・・・」

「ふん、まあいい。社会には抗えない秩序や権力ってもんがある。今回の件は高い授業料を支払ったと思って、これからは真面目に生きるこったな」

「ええ。以後、気を付けます」

 

今回は俺にメリットがあったし、召喚者としての責任もあったから、甘んじて罰を受け入れた。

だが、もしも次があったらあの手の輩には面倒事を引き起こすことができなくなるように、物理と魔術の両方を使って徹底的に潰しておくことにしよう。

ただでさえ世界が崩壊しかねない事件が頻発するせいでとんでもなく大変なのに、これ以上問題を起こされるのは御免だしな。

 

内心とは正反対の殊勝な言葉が俺の口から出てきたことに、一瞬だけ驚いた表情をした佐倉さんだったが、気を取り直すように咳払いした後、強張っていた表情を崩して俺の隣の椅子に腰かける。

 

「大の大人を一撃で10m近くブッ飛ばしたと聞いてたんでな。こちとら、どんな筋肉ムキムキのマッチョマンの暴れん坊がやってくるのか戦々恐々としてたんだぜ?」

 

そう笑いながら、顔写真しか資料にはなかったからな、優男の顔の下にどんなムキムキの身体がくっついてるのか想像しちまってたぜ、と言いながら俺の肩を叩く佐倉さん。

 

まあ、実際にあの男をぶん殴った悪魔は、筋肉ムキムキで金髪碧眼の鉞担いだ大男だったので佐倉さんの考えは概ね正解なのだが。

それに加えて、俺が悪魔召喚を行えばこの場に実行犯のマッチョマンを出現させるのも容易いし、相応の術を使えば彼の姿を佐倉さんに見せることも可能だ。

色々と面倒ことになるので絶対にやらないけれど、佐倉さんの反応を見てみたくはある。

絶対にやらないが。

 

「そんな話を聞いてたんでな。俺の心の平穏の為にも本来の予定から四カ月ほど早めに来てもらった訳だが」

 

ああ、なるほど。

ルブランで世話になる予定がヤタガラスから聞いていた日程から四カ月ほど早まったのはそういう理由か。

普通は大人を殴って10m近くブッ飛ばせるような奴は警戒されて当然だし、そんなヤバい奴の世話をするともなれば、事前にそいつがどんな奴か把握するためにも交流の期間を設けようとはするか。

 

「すみません、ありがとうございます」

「なに、どんな奴が来ても面倒はちゃんと見るつもりだったからな。お前なら今日から此処の二階に住まわせても問題なさそうだ」

 

俺の覚悟の問題さ、と笑いながら席を立った佐倉さんに促されて、喫茶店の二階についていく。

二階は完全に物置になっていたようで、多少埃っぽく、色々なものが置きっぱなしだが今から片付ければ今日の寝床としては十分に使えはするだろう。

 

どうやら今日店を早仕舞いにしていたのは二階の整理の為だったらしく、二人で3時間かけて二階の物置の整理整頓、不用品の廃棄まで終わらせるのだった。

 




花山薫みたいなのを想像して戦々恐々としていたら、やってきたのが真面目なふりをした範馬刃牙だったのでちょっと優しくしてしまうそーじろーの図
なお、危険度的には大差ないものとする。

プロローグそろそろ終わるので『他のキャラクター視点から見た主人公』はみたいですか?

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