龍狐のネタ倉庫   作:龍狐

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ゾンビが蔓延る世界で不死身の闘牛は生きる
仮面ライダーバッファ×現代×ゾンビ


 突然だが自己紹介だ。俺の名前は【東間(あずま)道長(みちなが)】。平凡な生活をしている高校三年生。季節は夏、もうそろそろ夏休みに突入する時期だ。暑い日差しが俺から体力を奪っていく。そして今の時間は昼休み。一言で言えば飯時だが、そんな俺が今いる場所は――、

 

 

「やっぱりここが一番落ち着くな」

 

 

 学校の屋上の屋根の上だ。言葉だけじゃ伝わり辛いから、絵で例えると俺は今ここにいる。

 

 

【挿絵表示】

 ↑フリー素材です。

 

 俺は騒がしいのは嫌いだ。普通なら冷房の効いた教室で食うだろうが、何分周りがやかましい。ファッションやらなんやらで騒ぐ女子、趣味のことを語り合いながら食事をする男子。かくいう俺は一人で食べるのが日常だ。だからここは静かでいい。ほとんど人が来ないから、温度のことを抜きにすれば最高の環境だ。

 朝一でコンビニで買った合計金額約300円ほどのパンとおにぎり。それをさっき自販機で買ったジュースで流し込む。一日の出費は約500円程度。週に一回食べに行くラーメンが唯一の楽しみと言っていい。

 

 そんなに金を使って大丈夫なのかと思うが、生憎俺の家庭は両親共々海外で働いていて家にいない。放任主義と言い換えてもいいのか、家に帰ってくることもほとんどない。常に俺の口座に毎月お金が振り込まれている、そんな冷たい関係だ。元よりこの両親に愛情らしい愛情は期待していない。週一で両親が雇った家政婦さんが来る程度だし、小学校の授業参観とかならまだしも、運動会や小中の卒業式にすら仕事を理由に来なかった奴らだ。期待するだけ無駄なことは分かっている。

 

 そんな俺の半生とも言える出来事は粗方説明したが――一つだけ、周りと決定的に違うことが存在する。それは、俺の正体が転生者であるということだ。前世の記憶をもって違う人間として生まれ変わった者――それが転生者。

 

 俺の前世は極めて普通だ。顔も家庭も平凡。今世のよりは酷くなく、父親は普通のサラリーマンで母親は専業主婦。授業参観には母親が来てくれてたし、運動会や卒業式なんかも父親は有給を使ってきてくれた。本当に前世が恋しい。そんな俺は25歳と言う若さで亡くなった。理由は玉突き事故。車に乗ってる最中に後ろから大型トラックが突っ込んできて俺はその衝撃で死んだ。そのトラックは居眠り運転をしていたようだった。ふざけんな。

 

 そして死んだ俺だったが、どういうわけか今こうして転生を果たし、再び高校生活を謳歌?している。前世のことを思い出す度に今世の両親への怒りが湧いてくる。元々俺の性格もこんなんじゃなかった。前世は普通に愛されていたから、普通に生活できていたし、なんなら話せる友達だっていた。

 だが今世は家庭環境のせいでいじめに近い仕打ちを小学校のときから受けたが、こちとら人生二回目の精神年齢大人だ。証拠と言う証拠を収集し、最後は子供らしく派手にそいつらをぶちのめした。当然話し合いの場になったとき相手方の親は俺に向かって「教育がなってない」だの「息子に謝れ」など言ってきたが、俺が耐えに耐えた末に確保した証拠を教師(校長や教頭含める)の前で見せたときのあの顔は未だに忘れられない。

 そのあとは結局話し合いだけで済んだが、俺の親は仕事を理由に最後までくることはなかった。これが俺がやさぐれている原因の一つ。はっきり言って俺の両親の放任主義は異常と言っていい。俺が集めた証拠の内の一つに映像データがあるのだが、それを利用できた理由としてはまだ子供だった俺が銀行が使えないからという理由で月に一回両親のどちらかが返ってきてお金を置いてすぐに帰るからだ。親子らしい会話はないに等しい。これでやさぐれるなと言う方が無理だ。法律仕事しろ。

 まぁそんなこんなでそのまま暴力事件を起こした俺は学校では孤立。友達ができることなく小中と卒業を果たし、現在高校三年生―――ってわけだ。

 

 これで俺の全てを話したわけだが、あと“二つ”――まだ俺には『力』がある。

 

 

 『保管』の能力。一つは日常生活で役に立つ。この能力を使えば買いだめができるし、冷蔵庫の電気代も浮く。食べ残しが出来たら『保管』しておけばすぐにそのままの状態で食べれる。

 

 

 別にこの世界がこういう『異能』が溢れてる世界だとかそういう意味ではない。まぁ俺が知らないだけでこういう力を持っているヤツが他にもいるかもしれないが、俺には知り得ないことだ。

 そしてもう一つの力―――。これはあまりにも強大すぎて、普段の生活じゃ使うことは絶対にない。むしろ使う日が来るなと思うくらいだ。そのくらいヤバい力。

 

 

 まぁ俺の自己紹介はこれくらいにしておこう。

 

 

 スマホを起動して時間を確認する。まだ次の授業の開始まで30分も残っている。まぁ屋上までの移動の時間がかかったとはいえ、ご飯はパンとおにぎりだけ、食事もすぐに終わるからこんなに時間が余るのは当然か。そう思えば、少し眠くなってきた。食事の後だということだけあって、非常に眠い。

 

 

「寝るか…」

 

 

 スマホのタイマーを20分後になるように設定する。休み時間の終わりの5分前になるようにした。少し短い気もするが、仕方ない。俺は手持ちの折り畳み傘を展開して日傘にし、バックを枕替わりにして眠りについた。

 

 

 街中の喧騒の音――悪夢の始まりを知らせる鐘の音に気付かずに。

 

 

 

 

 

 

* * * * * * * *

 

 

 

 

 

 

ピピピッ ピピピッ ピピピッ ピピピッ

 

 

「あッ…?」

 

 

 アラームの音で俺は目を覚ます。もう20分経ったのか…。寝ていれば一瞬か、早かったな。体を起こし、目をかいてアラームを止める。もうそろそろで授業の時間だ。さっさと教室に戻らないと――

 

 

「……なんだ、この音?」

 

 

 意識が覚醒していくと同時に、日常では聞きなれない音が聞こえてくる。近くからじゃない。もっと遠くからだ。辺りを見渡すと、そこには衝撃の光景が広がっていた。

 

 

「なんだ、こりゃ…!?」

 

 

 街の至るところから煙が噴き出ていたのだ。東西南北、どこを見てもボヤ騒ぎが起こっていた。パトカーのサイレンなどが、ここまで聞こえてくる。

 

 

「連続同時放火でも起こったか…!?」

 

 

 屋根から飛び降りて、フェンスの方まで近づけば、そこには俺の想像を遥かに超える光景が広がっていた。ボヤ騒ぎなんてどころの問題じゃなかった。

 まず俺の目に飛び込んだのは、校庭に無数にいる俺と同じ学校指定の制服を着ている男女が何十人もいた。だが、なにか様子がおかしい。歩き方がフラフラしてるし、なにより遠目だから確定はできないが、肌の色もおかしい。それにうめき声も聞こえてくる。

 

 

「嘘だろオイ…!!?」

 

 

 その光景を見て、俺の頭の中にとある“3文字”が浮かんでくる。だが、そんなわけがないと否定する。その存在はフィクションの中だけの存在のはずだ。現実にいるだなんてありえない。

 

 

「そんなはずが…」

 

 

 頭の中で否定と肯定を反芻していると、俺の背中の方――屋上と校舎を繋ぐ扉の方から何かが走ってくる音が聞こえてくる。その音を聞いた瞬間、俺は反射的に屋上の屋根に飛び移った。俺は小学校での事件以降、いつ絡まれてもいいように体を鍛えている。だから身体能力だけならそこら辺の奴らに敗ける自信はない。

 飛び乗った俺はすぐさま背を低くして扉の方を見下ろした。そして少しすると、勢いよく扉が開いた。出てきたのは黒くて長い髪が目立つ女子生徒で、息を切らしながら扉の鍵を閉め、その身をもって扉を押さえていた。それと同時に中側の扉から、“ドンッドンッ!!”と、扉を叩く凄まじい音が聞こえてくる。必死さが顔が見えなくとも伝わってくる女子生徒と裏腹に、放心状態だった俺の耳に、“ミシリ”と嫌な音が聞こえてきて――、

 

 

「掴まれッ!!」

 

「―――ッ!!」

 

 

 俺はそいつに手を伸ばしていた。俺の存在に気付いたそいつは咄嗟に俺の手を掴んで、俺はソイツの腕を両手で掴んで、精いっぱいの力で引き上げた。そしてそいつを引き上げたとほぼ同時に、扉は決壊した。そこから出てきたのは、何人、何十人もの人。だが、それは人であって人じゃなかった。動きが鈍くてうめき声をあげて、なにより遠目じゃ分からなかった皮膚の色もはっきり確認できた。それは錆のように濁った色だった。目の色も、瞳孔とか結膜(けつまく)とかそんなの関係なしに全てが真っ黒だった。そんな生理的嫌悪感しか出てこない見た目をしてるそいつらは―――

 

 

「“ゾンビ”…」

 

 

 生者の血肉を求め、死体が蘇った存在の総称。ゲームでの設定として、ゾンビに襲われた人間はまたゾンビになるという最悪の特徴があり、いつか人類全てがゾンビに変わってもおかしくない。

 それが現実に出てくるとかなんの冗談だッ!?

 

 

「あ、ありがとう……間一髪で助かったわ…」

 

 

 後ろから声が聞こえてくる。俺が助けた女子だ。

 

 

「礼なんていらねぇ。俺も咄嗟で――って」

 

「えっ――って、あッ」

 

 

 お互いの顔を見合わせた瞬間、俺たちは固まった。石像のように。何故なら互いに顔見知りだからだ。良い意味ではなく、もちろん悪い意味で。

 

 

「あ、東間くん…!?」

 

「風紀委員長…」

 

 

 目の前の人物――黒目黒髪で長髪の、10人中10人が美少女だと回答するであろう容姿を持った女子生徒。こいつは風紀委員会の委員長で、毎度俺につっかかかってくる面倒くさい奴だ。まぁ突っかかってくる理由に心当たりがないわけではない。俺は基本的に校則では禁止されている髪の毛をワックスでセットすることや、制服も着崩しているから、突っかかっれる理由としては十分だ。まぁ他にも一番の理由とかがあるが、その度に無視しているのでこいつとは嫌な因縁がある。面倒なヤツを助けちまった。

 

 

「風紀委員長じゃなくて、【西園寺(さいおんじ)亜弥奈(あやな)】。いい加減覚えなさいよ」

 

 

 あぁ思い出した。コイツの名前は【西園寺亜弥奈】。俺の同級生で日本じゃ有名な西園寺グループの長女。親が金持ちだからその分厳しく育てられて、クソ真面目な性格になって今じゃ面倒くさい風紀委員長だ。

 

 

「そんなことはどうでもいい。なにがあった?どうしてこんなことになってる?」

 

「……私にも分からない。お昼休みに急に悲鳴が聞こえたと思ったら、校庭にあいつらがいて…最初は皆、なにかの撮影だって思ってたけど、光景があまりにもリアル過ぎて、一気にパニックになって、それで…」

 

「たった20分で、この(ザマ)か」

 

 

 俺は屋根からゾンビどもを見渡す。全員が獲物を探して徘徊しており、俺たちを探す真っ黒な目からは嫌悪感しか感じられない。そもそもあいつらに視覚があるとは思えないが。

 

 

「学校だけじゃなくて町中がパニックだったってのに、あなた今まで何してたの?」

 

「寝てた」

 

「寝てたぁッ!?」

 

「大声出すなッ!!ゾンビどもに気付かれる、だ、ろ…」

 

 

 時すでに遅しとはこのことだ。俺たちの声に反応したゾンビどもが一斉にこちらを振り向き、俺たちの血肉を求めて呻き声を上げながら壁をよじ登ろうとしてきた。だが、この高さなら上ってくることはないだろうが、それでも絶望的な状況には変わりなかった。

 

 

「しまったッ…!」

 

「どうするのよッ!?囲まれちゃったじゃないッ!!」

 

「お前が大声出すからだろうがッ!」

 

「それは…ッ。逆になんでこんな状況で寝ていられたのよッ!」

 

「知るかそんなことッ!―――あぁ~~クソッ!!ここで言い争ってても埒が明かないッ!」

 

 

 強制的に口論を中断する。現に俺たちの大声で扉からより多くのゾンビどもが集まってきている。状況は最悪以上だ。

 もうあの力を使うしかないのだろうか。そう考えていると、西園寺が泣き始めた。

 

 

「もう駄目…私たち、ここで死ぬんだわ…」

 

「―――おい、何勝手に俺を数に入れてんだ。俺はこんなところで野垂れ死んでやるつもりはないぞ」

 

「いくらあなたが喧嘩が強いからって、この数に勝てるわけないでしょ!?囲まれてゾンビにされるのが関の山よッ!いい加減現実見なさいよッ!!」

 

「――――」

 

 

 コイツが弱気になるところ、初めて見たな。まぁこの状況で発狂するなと言う方が無理か。俺みたいに心に余裕があるわけじゃない。だが、コイツに構ってやるほど俺は優しくない。

 

 

「だったらそこで泣き崩れてろ。俺は勝手にやらせてもらうぞ」

 

 

DESIRE DRIVER

 

 

 『保管』の力で取り出したIDコア付きの【デザイアドライバー】を腰に装着し、ベルト部分が自動展開される。そして【ゾンビレイズバックル】を右側に装填する。

 

 

SET

 

 

 俺の横に紫色のZOMBIEの文字が浮かび上がる。

 すると、西園寺が異変に気付いたのか、俺の隣の文字に視線が集中していた。

 

 

「なに、それ…?」

 

「黙ってそこで見てろ。いられても邪魔なだけだからな」

 

 

 ジャンプと同時に、ゾンビバックルの鍵パーツを捻った。

 

 

「変身ッ!!」

 

「嘘でしょ!?東間くんッ!??」

 

 

 それと同時に、蔓延るゾンビの群れの中に、自ら飛び込んだ。

 西園寺の悲鳴にも似た声が響くが、俺は着地と同時に既に変身している。ここからが本番だ。

 

 

GRAB! CLASHOUT! ZOMBIE! Wooooo···

 

READY FIGHT!

 

 

 着地と同時に回転して、周辺にいたゾンビどもチェンソーの音とともに一刀両断する。毒液を強制的に傷口から注入されたゾンビどもは、傷口から溶解されていく。それでもまだ上半身をジタバタしているから、生命力だけはピカイチだ。

 

 

「えっ…?」

 

 

 今の俺は、闘牛だ。ただ目の前のものをぶっ潰す、闘牛。

 紫色の体に闘牛を模したマスク。右手には剣とチェンソーを一体化させた武器、左手には巨大なかぎ爪、大きな棘がついた肩アーマー。

 

 

「東間くん…?」

 

「違う。今の俺は――【仮面ライダーバッファ】だ。さぁかかってこいよゾンビども。全員まとめてぶっ潰してやるよ…ッ!!」

 

 

 【東間道長】。彼は高校一年生の時にこの学校に存在していた“スクールカースト”を崩壊させた人物。力と恐怖で学校を支配していた不良どもに真正面から闘いを挑み、100人近い不良たちを一人で壊滅まで追い込んだ狂人

 不良たちはスタンガンや釘バット、メリケンサックに鉄パイプなど、ありとあらゆる武器を使いながらも敗北。対して東間道長の武器は“拳”のみ。どんなに電撃や打撃を喰らおうとも喰らいつくように立ち上がり、力によるゴリ押しで勝利している。

 

 そんな彼の二つ名は、どんなに傷を負おうとも立ち上がる不死身性、彼が好んで来ている牛柄の私服に、真っすぐ向かってくる闘牛のような戦い方から――

 

 

不死身の闘牛

 

 

 そう、呼ばれている。

 

 

 




登場人物設定

東間道長(あずまみちなが)

 現在一人暮らしの不良生徒。両親が過剰なまでの放任主義(育児放棄とも言う)なため、やさぐれている。見た目は黒髪に五五分けのストレートヘア。見た目は良いのだが悪評と本人の性格で忌避されている。
 実は転生者で転生の際に『保管』と『仮面ライダーバッファ』の力を持っている。現状『保管』の能力の中に全てのバックルが入っている。ジャマ神の姿にもなれるが、ゾンビフォーム単体でも十分だと思っているため、よほどの強敵が出なければ使うつもりはない。


西園寺亜弥奈(さいおんじあやな)

 道長のクラスメイトにして風紀委員の委員長。黒目黒髪の美少女。実家が超絶お金持ちであり厳格な両親に育てられたため真面目な人物。
 風紀委員長であるため、道長の服装や態度などをいつも注意しているが本人は全然直す気がないため、印象は互いに最悪と言っていい。裏設定として亜弥奈は道長の過去と家庭環境を実家パワーで知っており、同情しているため強くは出ていない。もし彼女が本気で道長を矯正するつもりでいるのなら今頃道長は学校を自主的に退学していた。
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