情報量に耐え切れなくなった遊矢達を家路に帰し、俺と赤馬零児達はLDSに場所を移していた。遊矢には柚子と一緒にいるようにそれとなく伝えたが、何事も無いといいが……
「それじゃ、融合次元への対抗策と組織の選定方法の計画書寄越せ」
「……これだ」
わざと横柄な態度で物をねだる。計画書を受け取ると、パラパラとめくり詳細を確認していく。……確認……して……い……く……。
「なあこれ会議かけた?」
「次元戦争などというものを信じる者がいると?我々だけで計画した」
「……大人のプロは?」
「チャンピオンのストロング石島でさえエクストラデッキを十全に扱えないのだぞ?君の父上ならばまだしも、いたずらに危険に晒す事は良しとしない」
「その割には遊矢は巻き込む気満々だよな。子供の命は軽いって皮肉か?」
「そうではない。ペンデュラム召喚を発現させた榊遊矢を初めとしたあの世代、仮に『遊矢世代』と称する彼らは、他の世代と比較しても様々な召喚法に順応している。彼らが戦ってくれるのなら、この戦争に勝利する事が「ふざけるな」何?」
「子供をなんだと思ってるんだ?お前と大差ない年齢のガキに何を期待してんのか知らねえけど、そんなガキ共が戦争行って、トラウマ抱えたら勝ってもそいつには意味ねえじゃねえか。しかもそれ公表してないんだから勝手に選出しようとしてるんだろ?戦争の道具に選ばれて喜ぶ親がいるかっての」
戦争を止めるために戦争しようとしてるからなこいつ。やるんならメタギアバリのステルスミッションで赤馬零王暗殺するのが適切のはずなんだよ。こいつ絶対それ選択肢に入ってないんだもん。身内だからって忖度してんじゃねえぞオラア!!
「しかし、これは必要な……」
「ふざけるな!」
「「「「!!」」」」
そう叫んだのは意外にもユートだった。
「誰しも人を殺めようと望む者などいない!融合次元の人間の中には、戦いたくないと俺達に助けを求めた者達もいた。結果として彼らもカードになり、真相は分からないままだが……あの時の表情を、俺は疑いたくない!!」
「ユート!あれは奴等の「そうだとしても!!」っ……」
「何の説明もなく、戦場に引きずり出すのならそれは、赤馬零王と何も変わらない。そうじゃないのか!?」
「なんだと!!」
それには零児も我慢ならなかったようだ。ユートの胸倉を掴み、それを黒咲に止められている。口を挟まないとリアルファイト行きそうだなー(鼻ほじ)
「でもよー、対策読んでる感じ、赤馬零王も子供に洗脳教育施してるっぽいぞ。これ見ると親子だよな」
「貴様ァ!!」
「よく考えてみて欲しいんだわ。アカデミアっていうんだから元は教育機関なのか、少なくともデュエルは教えてるんだろう。そして今お前はLEOコーポレーションのLDSというデュエル塾で育成している塾生を駆り出そうとしている。そこに何の違いが?」
「我々は、赤馬零王が行おうとしている計画を阻止するためのものだ!」
「黒咲、アカデミアの連中何か言ってなかった?御大層なスローガンとか」
「スローガン?ああ、『理想郷を創る』などとほざいていた。そのために俺達を狩ると……くっ!!」
「オーケーオーケー。向こうも向こうで大層なもん掲げてるじゃねえか。こちらも対抗ってか?予想は的中。やっぱ親子だわ」
「黙れ!!」
零児の喝に場が静まり返る。零児は俺を敵かのように睨みつける。
「では何か、私のやり方はあくまでも赤馬零王の後追いでしかないと?」
「分かってんじゃん。計画変更のあてはないのか?」
「既にこの次元にも融合次元の者が入り込んでいる。そしてそれは……君の塾生、紫雲院素良だ」
「「なんだと!!」」
2人は驚愕の表情で俺を見るが、俺は表情を崩さない。零児はそれを訝し気に見る。
「驚かないのだな。自分の近くに融合次元の者がいたというのに」
「融合次元が狙うなら次はここだなってのは予想してたし、それならスパイの1人や2人いてもおかしくないし、いるんだとしたらここ最近ビッグニュース流した奴の近くだろうなって事で遊矢の近くで何か起こるとは考えてた」
実際遊勝さんがいなくなった時も遊矢の周りで色々起きたし、そんなもんでしょ。
「兎に角、ここから路線変更は無理だ。我々は否が応でも戦いに身を投じなければいけない。そのための戦力がLDSで鍛え上げたデュエリスト達、そしてこれから新設する精鋭部隊、Lance Defence Soldiers……
『ランサーズ』だ」
すっげえ自信満々に語ってる。でもこのままだとハッピーエンドじゃないし仲間割れ起こすの確定なんだよね。
「それに、我々の目的は融合次元の人々をカードにする事ではない。ユートや黒咲の仲間を取り戻し、赤馬零王の野望を阻止する事。次元の平和を取り戻すには「それで終わると思ってんのか?」何?」
「現在、俺達の抱えている課題は融合次元をぶっ潰す事、確かにそれはそうだが、それは最後だ。更にそれが終わった後もアフターフォローは欠かせない。仕事だってそうだろ?」
「何が言いたい」
「つまり、今アカデミアにいる連中をどうするかって事だよ。社会生活を送れる程度には精神が安定しているのか、それとも次の獲物を求める戦争中毒者となり果てているのか、少なくとも赤馬零王の首は獲らないとエクシーズ次元の溜飲は下がらないだろうさ」
「それは……」
「当然だ。奴の計画でハートランドは地獄と化した。今度は奴を地獄に落とさねば、俺達の戦いに何の意味があったというんだ!!」
ユートは気が進まなそうだが、黒咲は相変わらずだ。さっきのユートの台詞はある意味で正しいし、黒咲の言葉も否定材料が今はない。いいのあればいいんだけどなー
「……赤馬零王の処遇は、奴の目的を聞いてからだ」
「貴様、家族だからと見過ごすつもりか!!」
「違う。ここまでの規模で起こした戦争、その目的は未だ明かされていない。唯一の手がかりは、私が融合次元で偶々目にした『アークエリアプロジェクト』という計画のみ。その計画には恐らく……彼女も関わっている」
零児はプロジェクターをつけ、1枚の画像を見せる。そこに映っていたのは
「っ!!瑠璃!!」
「彼女は瑠璃ではない」
「何っ!瑠璃ではないのか!?」
「彼女はセレナ。融合次元の者だ」
「融合次元の……?それにしても似ている」
「柚子にもそっくりだよな」
「そう、そしておそらくそれはシンクロ次元にも……攫われた黒咲の妹、柊柚子、そしてセレナ。この顔の少女達は赤馬零王にとって何か重要なカギを握る存在ではないかと私は予想している」
「ただのロリコンに目覚めた可能性は?」
「それでここまでするというのなら……私が奴を消す」
ヒエッ……家族をないがしろにして自分の性癖に正直になった父親を想像したのかもしらんけどオーラが怖いよぅ……
「まあにしてもだ。計画を変更せずとも、急ごしらえで融合次元と戦える方法は一応あるぞ」
「あるのか!?」
「教えてくれ!それはなんだ!!」
「禄でもないものだとしたら承知しないぞ!!」
一気に圧が強くなるなぁ……仕方ない。ならば教えてやる。
「まずは、俺がLDSの講師になります」
「「「……は?」」」
次回からは講習回、LDSを根本から改変や!!
まずは出番の無かったあの3人を出します。