ここはLDSの所有するセンターコート。フィールドに立つのは俺を含めた4人。観客席には満員のLDS生が俺の活躍を見ようと
「遊勝塾の落ちこぼれがー!」
「LDSに勝てるわけないだろー!」
「真澄ちゃーん!!そんな奴より俺とデュエルしてくれー!!」
……いやこれアレだから。これから俺のデュエルに驚愕と羨望の眼差しに変わるエンターテイメントの前振りだから。
「赤馬社長が僕たちを呼び出して何事かと思えば、LDSじゃない一般人の相手をしろだなんて」
「確かあなた、沢渡シンゴの師匠だとか言ってたわね……本当に強いのかしら?」
「沢渡はああ言ってたが、俺達の敵じゃねえ!さあ早くデュエルしようぜ!!」
LDSだからとこき下ろす『志島北斗』、俺の実力を訝しむ『光津真澄』、デュエル脳の『刀堂刃』。周囲もくつくつと笑い声をあげる。もう許さねえからなあ(静かな怒り)?
「……ふふっ」
「あん?」
「今、僕たちを笑ったのかな?」
「おっと失礼。これから素っ頓狂な声を上げて吹っ飛ぶ姿を想像すると面白くてね」
「へえ、自分の姿を想像して笑うなんて、おかしな趣味しているのね」
「成程、君は自分の実力を鑑みることができないと」
「なんですって……」
刀堂が横にいる真澄から少し距離を取る。一応講師として来てるし、モチベを上げてもらおうか。
「レディース&ジェントルメン!!ボーイズ&ガールズ!!今から俺が教えるのはLDSでは教わらない戦術だ!」
「LDSでは……」
「教わらない戦術……?」
「へえ……」
おお食いついた。このやり方好きじゃないけど遊矢達から様になってるって言われてからいい感じなんだよな。
「その実験台に付き合ってもらうのはこの3人!諸君は知るところだろう。LDSの誇る融合、シンクロ、エクシーズコースのトップ達だ!この3人には今から
先攻ワンキル、先攻制圧、先攻ロックのどれかを選び、受けてもらう!」
「ワンキル?」
「制圧?」
「ロックぅ?」
瞬間、観客席からドッと笑いが起きた。興奮ではない。嘲笑の声だ。
「弱小塾がLDSのトップに先攻ワンキルだってよ!」
「自分の実力も判断できないらしいな!」
「お前ごとき、ライフを削るのだって不可能だ!」
おーおー出るわ出るわ罵詈雑言。遊勝失踪時もそうだったけどこいつらなんでこんな人煽れるの?実力把握してないくせに。
「さてさてさーて、諸君。話し合って誰が何を受けるか決めてくれ。それを実演しよう」
「その前に、ひとついいだろうか?」
「なんだ?」
「先攻ワンターンキルは確かに素晴らしいが、そんな低い確率は現実的じゃない。それに制圧やロックって
『冥王結界波』で解決されないか?」
「……は?」
「だってそうだろう?ダメージは与えられないが、モンスターの効果は全て無効となる。それを壊滅させてしまえば先攻制圧なんて意味のないものじゃないか!」
観客席のLDS生も同調し俺を笑う。刀堂と真澄も口には出さないが表情は俺を笑っている。
「……ふーん」
「なんだい?いい負かされて何も言えないのかなあ?」
「やめてやれよ。自身満々だったんだから……キヒッ!」
「そうよ……ふふふ」
なぜここまで傲慢に行けるのだろう。確率というものはいつだって俺達を殺す悪魔なのに
「……33%」
「なに?」
「40枚デッキの初手で目当てのカードを引ける確率だ。後攻なら1枚ドロー分で更に上がって39%、4割弱と言っていい」
「そう部の悪い賭けじゃないわね。2回に1回程度でしょ?」
「そうか、ならそれの証明もしてもらおう。ほら誰が何受けるんだ?」
「……なら僕が先攻ロックを破ってみせよう!」
志島北斗が一歩前に出る。よし、まずはお前だ。
「その前に、お前にはこれを渡しておく」
「これは……冥王結界波?」
「3枚入れろ。入れ替えの時間くらい待ってやる」
「……ふっ精々後悔のないようにね」
すぐさまカードを入れ替えデッキをセットする。今回はスタンディングだというのを聞いて、もう何人か退出しようとしてる。うーん成長性E!!
「「デュエル!!」」
本郷敦人
VS
志島北斗
LP4000
「俺の先攻、俺は幻爪の王 ガゼルを召喚!効果でデッキから合成獣融合を手札に、手札のコーンフィールド コアトルを捨て効果発動。デッキから『合成獣融合』がテキストに記されたモンスター、大翼のバフォメットを手札に加える。そして合成獣融合を発動!フィールドのガゼルと手札のエッジインプ・チェーンで融合!
爪を研ぎ 鎖を鳴らし 混ざり合う身に我は思う 幻の中に棲む獣よ 次元を飛び越え今いでよ!融合召喚!幻獣王キマイラ!!」
俺は第一の準備を済ませる。ハンデスは強い。古事記にも書かれている。
「キマイラとガゼル、チェーンの効果発動。チェーンの効果でデッキから『
幻の中に棲む獣と共に 剣に誓う我が想い 悪魔との盟約と共にいでよ!融合召喚!!『マグナム・ザ・リリーバー』!!」
マグナム・ザ・リリーバー ☆8
ATK2800/DEF2000
「リリーバーの効果発動。墓地の融合をデッキの下に送り、デッキから1枚ドローする……っ!魔法カード『烙印融合』!手札・フィールド・デッキから『アルバスの落胤』を素材とする融合モンスターの素材を墓地へ送り、融合召喚を行う。デッキからアルバスの落胤と『超魔神イド』で融合!
白き烙印よ 破滅の魔神と交わり 神の炎をその身に受けよ! 赫き烙印、今降臨!『神炎竜ルべリオン』!!」
2体目の融合モンスターに志島北斗が驚愕の表情を向ける。ようやく表情が変わった。
「ルべリオンの効果発動。融合召喚に成功した場合、手札1枚を墓地へ送り、フィールド・墓地・除外状態のモンスターをデッキに戻し、それらを素材とするレベル8以下の融合モンスターを融合召喚する。素材にするのはルべリオンとアルバス!」
「3回目の融合召喚!!」
「まだ終わらないっていうの!?」
「
氷剣竜ミラジェイド ☆8
ATK3000/DEF2500
「『スプリガンズ・キット』を特殊召喚。こいつは俺のフィールドか墓地に『アルバスの落胤』を融合素材とする融合モンスターが存在する場合、特殊召喚できる。特殊召喚に成功した場合、デッキから『烙印』魔法・罠カードである『分かつ烙印』を手札に加える。墓地の合成獣融合は、フィールドか墓地に『有翼幻獣キマイラ』が存在する場合、墓地から手札に戻せる」
「はっ!君のフィールドにも墓地にも、有翼幻獣キマイラなんていないじゃないか!文字も読めないのか?」
「テキスト確認したか?」
「は?」
「幻獣王キマイラはフィールドか墓地に存在する場合、『有翼幻獣キマイラ』として扱う。よって有効!」
「なにぃ!?」
「カードを3枚伏せてターンエンド。さあお前の全てをロックしてやらあ!!」
多少怖気づいている志島北斗だが、すぐに気を取り直して不敵な笑みを取り戻す。
「ふんっ確かに4回もの融合を見せたのは素晴らしいね。だが、僕の手札は「あっエンドフェイズに効果処理」え?」
「キマイラの効果でハンデスするわ。右から2番目な」
「え……こ、ここは……」
「はよ」
「う、うう……」
捨てられたのは『セイクリッド・グレディ』。初動潰せたのはデカいなーまあ結界波はどうせ引くでしょ。
「僕のターン……!ふふふ……はっはっはっはっは!!僕は冥王結界波を発動!!相手フィールドのモンスター効果を全て無効にする!!」
カードから放たれる波動が俺のモンスターに襲い掛かる。モンスター達が跪き、どこか苦しそうだ。キットの吐息がなんか……良いです。
「笑いが止まらないよ!君は自分のカードで負けるんだからね!!『セイクリッド・ポルクス』を召喚!ポルクスはその効果で『セイクリッド』モンスターをもう1度召喚できる!」
「よし!これで『セイクリッド・カウスト』を召喚すれば」
「2体のレベルをひとつずつ上げて『セイクリッド・プレアデス』をエクシーズ召喚できる!」
「ロックなんてどこにある!君が僕を倒す要素がどこにあるのか教えて欲しいものだーーーー!!!」
「じゃあリバースカードオープン」
「へ?」
「分かつ烙印」
「それはさっき手札に加えた……」
「俺のフィールドの融合モンスターであるマグナム・ザ・リリーバーをリリースして、互いの墓地と除外状態の融合モンスター以外のモンスターを2体対象。1体ずつ互いのフィールドに特殊召喚する」
「……ふんっ!それじゃあ僕にモンスターをプレゼントしようというのかい?ならお望み通り受け取ってあげるよ」
「じゃあ俺の墓地から2体、幻爪の王 ガゼルと超魔神イドを選択。俺のフィールドにはガゼルを、お前のフィールドには超魔神イドを特殊召喚」
フィールドに突如赫い球体が現れ、エネルギーの膨張で破裂する。そこから現れたガゼルとイドが互いのフィールドに現れた。
「ガゼルの効果。デッキから合成獣融合をサーチ」
「……突然何事かと思ったけど、なんてことはない。君はガゼルを呼び出すためにわざわざそんな手間をかけたという事。それだけだ。後悔させてあげるよ!セイクリッド・カウストを召喚!」
志島北斗は勢いよくカードをデュエルディスクに叩きつけ
ビ――――――――――!!!
エラーの警報が鳴り響いた。
「え!なんで!?」
「カウストが……」
「召喚できない?」
「超魔神イドのコントローラーは、召喚・反転召喚・特殊召喚できない」
「「「なんだってー!?」」」
主席3人は面白いくらい良い反応を見せてくれる。いやーやってる甲斐があったもんだ。
「ほら、他に何かないのか?」
「くっ……カードを1枚伏せてターンエンド」
伏せた場所は合成獣融合とは違う方の伏せと同じ縦列になっている。ここまで話したらもうお気付きだろう。
「その前にキマイラの効果発動。相手ターンに墓地のこいつを除外して獣・悪魔・幻想魔族1体を蘇生させる。ミラーソードナイトを蘇生する。一応メインフェイズ続けられるが、どうする?」
「いや、このまま終わる」
(くくく……伏せたのは『聖なるバリア-ミラーフォース-』攻撃してきたらそのままドカンだ!)
とか考えてそうな顔してる。心理戦ダメそう。
「俺のターン、リバースカードオープン『無限抱影』発動。イドの効果を無効にする」
「なんだ?急にイドの効果を無効にするなんて」
「もう1枚のリバースカードもオープン。合成獣融合で場のガゼルと手札の大翼のバフォメットを融合!再びいでよ幻獣王 キマイラ!!キマイラの効果でエンドフェイズにハンデス。バフォメットの効果でコーンフィールド コアトルを蘇生。ガゼルの効果で2体目のミラーソードナイトを手札に加える。手札から合成獣融合を発動!」
「まだあるのか!?」
「自引きした。キマイラと場のコーンフィールドコアトル、ミラーソードナイト、手札も同じペアがある。この5枚で融合!」
「5枚全てで融合!?」
「
「夢と現を遍く満たす 双剣の誓い 双頭の獣の形を変え ここに醜く顕現する!融合召喚!!幻想魔獣キマイラ!!」
特に制圧もロックも必要無かったが、まあこれだけでもいいだろう。さあ締めに入るか。
「幻想魔獣キマイラは融合素材の数まで相手モンスターを攻撃できる。素材は5体、よって5回!!」
「5回……だが僕のモンスターは2体しかいない!」
「キマイラはバトルするモンスター共々戦闘で破壊されない。そしてバトルしたモンスターの効果は無効となり、攻撃力を0にする」
「そんな!?」
「バトル!キマイラで食い尽くせ!!」
「それを待っていた!リバースカードオープン!!聖なるバリア-ミラーフォース-これで君のモンスターは全滅……っ!」
「発動できないだろ?さっき発動した無限抱影はこのターン、発動した場所と同じ縦列の魔法・罠カードは無効になる」
「そ、そんな……」
「バトル続行!“キマイラインフィニティダッシュ”!!」
「う……うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
LP4000→2600→0
ミンチより酷くなる志島北斗。あと3回攻撃できるから他のモンスター含めて8000ライフでもオーバーキルだよやったね!
「す、すげえ……」
「本当に……先攻1ターンでロックを決めた……」
相手ターン使ってるから実質1.5ターン?まあ準備に1ターンで済んでるから誤差だよ。
「さあ、次の相手は誰だ?」
キマイラ楽しい。新規も発表されて嬉しい……嬉しい……