偽装証明ルクセリア~巻き込まれ体質な彼女は今日も事件に遭遇する~   作:ぱすたご

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舞台は2003年、山奥にある古びた洋館。資産家の比井我石屋が主催するパーティーで事件はおきた。偶然居合わせた探偵、瑠久瀬 理愛は事件を解決するべく、月光の下で推理をはじめた。


偽装証明ルクセリア
#FILE1 n回目の推理ショー


 

「この光の下で見抜けぬ嘘はない!!比井我石谷(ひいがいしや)を殺した犯人。それはあなたです!」

 

探偵姿に身を包み込んだ瑠久瀬 (るくせ)理愛(りあ)はくるりとふりむくと、その場にいた一人を指差した。

 

その姿はすべての光を包み込むかのような黒い髪、真実を見抜くためにあるかのような輝く黄金の双眼をしていた。

 

「わ、わたしですか?!一体何を根拠に!!第一、私にはアリバイが!アリバイがあるんですよ!!」

 

指差された凶野半任(きょうのはんにん)は動揺し、理愛を糾弾した。

 

だが、そんなことで臆する理愛ではない。

 

「簡単なことですよ。アリバイなんて、あるトリックを使えば、簡単に捏造できますよ。」

 

「そ、そのトリックとやらを教えてもらおうじゃないか。」

 

(落ち着け、トリックがわかったとしても、絶対に凶器のナイフは見つからないんだ。そこで強引に誤魔化してやる。)

 

男は動揺した返しをしつつも、心のなかでは笑っていた。

 

「いいですよ。まず、あなたは犯行時間11時40分に洋館から離れの湖で釣りをしていたといいましたね。」

 

「それは前にも確認したはずだ。目撃している人もいる。ですよね、岸屋さん」

 

「はい。私は11時45分頃に散歩に出掛けた時、凶野さんを後ろ姿ですが湖でみかけましたね。釣りをしているようで「よーしっキタキタって」大きな声で叫んでいましたね。」

 

話を振られた屋敷の使用人、木下岸屋(もくげきしや)は答えた。

 

「ほらね。不可能なんですよ。湖まで片道15分かかります。もし、11時40分に犯行をしたら、どうやって5分で湖まで行けるんですか?」

 

(馬鹿だなぁ、あれは藁でこしらえた身代わりだよ。カセットレディオをなかに仕込んで、木下が散歩する時間を見計らって流したのさ。)

 

カセットテープ、藁人形、、、ですか。上手いこと考えたものですね。

 

考え込む振りをした後、瑠久瀬は次の言葉を紡ぐ。

 

「簡単なことですよ。あなたは犯行時間に湖には存在しなかったのです。岸屋さんが見かけたのは人形なんですよ。彼は藁人形をこしらえて湖に設置していたんです。そして、聞いた声はおそらくカセットレディオの声ですね。」

 

(なぜ、わかった。このままじゃ、部屋においてあるカセットテープの音声を聴かれたら言い逃れはできない、、、なにか言い訳を)

 

額に冷や汗を浮かべる凶野を見つつ、さらに追い討ちをかけるべく瑠久瀬は次の言葉を撃つ。

 

「先程、あなた証拠を出せといいましたよね。なら、そのカセットテープ、あなたの部屋に置いてあると思うので、今から見に行きますか。では、みなさん凶野さんの部屋で続きを、、、」

 

その後、凶野の部屋からはカセットテープが見つかり、その録音からは岸屋が聞いたと言う声が録音されていた。凶野半任のアリバイは崩れ落ち、凶器であるナイフも見つかり事件は閉幕することになった。

 

見事、完全完璧な推理をした瑠久瀬は帰路の車のなかで冷静沈着な表情を崩し、ため息を吐く。

 

(屋敷の弱い光で心が読めるか不安だったけど、なんとか、ギリギリ犯人がわかってよかった。これ以上、面倒な事件はやだよ。なんで、行く先、出る先で死人がでるのかなぁ、今日も絶対に事件が起こらないと太鼓判を押されてきたのに。なんなのかね、この体質は)

 

己の不運を呪いつつ、それでも数々の事件を解決した彼女は多くの人々から人の嘘を見抜き、証明する探偵としてこう呼ばれる。

 

『偽装証明探偵』と。

 

世間では容姿端麗、才徳兼備な人物として崇め称えられているが、現実は違う。

 

私は確かに容姿端麗でそれを自負している部分はあるが、才徳兼備な点については否定しよう。

 

なんせ、この私、瑠久瀬 理愛は特定の条件下でしか相手の心を読むことのできない能力を持っているだけのよわっちい人間だ。

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