偽装証明ルクセリア~巻き込まれ体質な彼女は今日も事件に遭遇する~   作:ぱすたご

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晴れ時々、死体
#FILE2 晴れ時々、死体①


瑠久瀬理愛は日本一の探偵である。世間では偽装証明探偵と呼ばれているが、一部の熱狂的なファンからはIQ200の天才、美少女探偵、災難を招く者と数々の異名で呼ばれている。

 

中学生の頃はこれらの異名はかっこいいと思っていた。密かにネットの掲示板で自分の考えた異名を広めようと考えた時期もあった程だ。

 

だが、今となってからは恥ずかしい記憶、正直に言って探偵なんてすぐにやめたい。こんな事件に遭遇する体質でなければね。

 

そんなわたしは、平日は学生として高校へと通い、休日はたまたま遭遇した事件を解決する探偵という二足の草鞋を履いている。

 

今日は夏休み明けの学校。服装は白のシャツ、紺色のチェック柄のスカート、同じく紺色のリボン、そして目を隠すための黒いサングラス。髪形はポニーテールにしてある。

 

いつもと同じようにわたしはみおねぇに学校へ車で送ってもらう。みおねぇは私より11歳年上の27歳だ。黒髪の私とは違って、みおねぇは茶髪だ。目も茶色い。身長は172cmでわたしもいつかみおねぇと同じ身長になることを望んでいる。

 

普段はよくわからない会社の社長として働いているらしい。わたしが学校にいくときは決まって送迎をしてくれる。べつに電車やバスで十分行ける距離なのだが、みおねぇは許してくれない。

 

理由は単純、わたしがバスや電車などで通学すると3日に一回は必ず事件に遭遇するからだ。その都度、保護者として呼び出しを喰らっていた姉が計測していたから間違いないらしい。

 

学校の駐車場まで送ってもらった私はみおねぇに礼を言う。

 

「みおねぇ、ありがとね。じゃあ、いってくる!」

 

「ちゃんとお守り防犯ブザー持った?」

 

「持った。」

 

「防刃シャツは?」

 

「着た。着た。」

 

「スタンガンは?」

 

「まぁ、一応?」

 

「持ってんだったらよし。んじゃ、気をつけて。もし、何かあったら連絡してきて。」

 

「大丈夫だって。わたし、もう高校生だよ。まぁ、事件は起こるかもしれないけど。」

 

「もし、理愛になにかあったら、そいつのこと絶対に許さないから」

 

姉が心配そうな視線を向けるのも無理はない。なんと、夏休み明けの学校で私は5年連続で殺人事件に遭遇しているからだ。人口一億二千万人の日本において、一年あたり起こる殺人事件は1300~1400件。だいたい、殺人事件に遭遇する確率は十万分の一だ。一年に一回事件に遭遇する確率でこれだ。これが5年連続遭遇する確率を問われた場合、天文学的な確率になるだろう。もしかしたら、隕石が真上に落ちてくる確率といい勝負ができるかもしれない。

 

あっ、でも一週間に一回は殺人事件に遭遇しているからそれ以上の確率かも、、、

 

心配する姉に何かあったら携帯に連絡すると伝え、わたしは校舎のほうへと向かう。

 

久しぶりの学校だ。夏休みはどこかへ行くたびに事件に遭遇していた。

 

プールに行けば、水死体。

 

花火に行けば、焼死体。

 

キャンプに行けば、生き埋めの死体。

 

仕方なく、著名人の集まりへと招待されれば、刺死された死体。

 

旅行に行くのは美味しいものや観光ができて楽しい。だが、必ずと言っていいほど、殺人事件に巻き込まれる。

 

死体を見るのが嫌になった私は仕方なく家に引きこもって、ゲームをしていた。

 

そんな私にとって、夏休み明けの学校は死体のフルコンボで埋め尽くされた陰鬱な気分を晴らしてくれるいい機会だ。

 

夏休みの旅行の土産話何話そうかなー。もちろん、死体は抜きで。元気にしているかなー。

 

校舎の入り口に近づくにつれ、ざわざわという人の声が大きくなる。

 

夏休み明けだからか、友人と久しぶりに会えて喜んでいるのだろう。誰か救急車を呼んで来いとか、なんでなんでなのおおおおおとか悲壮な声が聞こえるのは気のせいだ。うん、気のせいだと思いたい。だって、これで殺人事件に遭遇したら、六年連続だよ。

 

そろそろ、某探偵6年連続で殺人事件に遭遇。すべての事件の根源は彼女にありとかゴシップ記事に書かれるって。

 

とはいえ、一応探偵をやっているということは同じ高校の人間には周知の事実。探偵として、殺人事件ではないことを願って人だかりの方へと歩く。

 

「あのー、瑠久瀬ですけど。なにかあったんですか?」

 

「瑠久瀬か。ちょうどいてくれて助かる。すぐに来てくれ。」

 

現場である校舎の中庭にたどり着く。慌てる教師に出迎えられ、周囲の人間もわたしの存在に気が付き、人だかりの中心のほうへと道が開く。

 

道が開いた輪の中心にはスイカ割りの棒で思いっきりぶったたかれ爆散したような頭部を備えた死体がそこにはあった。地面に血がしみ込んでおり、時間はそこそこ経っているようだ。何があったのか、教師に聞く。

 

「いったい、これはどういうことですか?」

 

「朝、来たらそこで生徒が死んでいたらしい。今、警察を呼んでいるところだ。」

 

「第一発見者は?」

 

「そこにいる。2年の落下一突(らっかいちとつ)だ。どうやら、朝学校にきて、中庭に来たところ見つけたそうだ。まぁ、自殺だろうな。」

 

なぁーんだ。飛び降り自殺か。じゃあ、今回はノーカンノーカン。

 

どうやら、たまたま5年連続で遭遇しただけ。不謹慎ながらわたしはほっとして、天を仰いだ。

 

「え?」

 

理解できない状況に思考が固まる。

 

サングラス越しの目線の先には青空を背景に上から落ちてくる人。遠くてぼんやりとしか見えないが、腹部が赤く染まっている。

 

何かに刺された?それよりも悲鳴をあげていない。この状況で経験則から考えると、たぶん死んでいる。

 

下には死体に群がる野次馬。このままだと間違いなく何人かが巻き込まれる。

 

とっさにわたしは叫ぶ。

 

「危ない!!上から人が!!」

 

何人かが気づく。落下地点はわたしのちょうど2メートルぐらい真横。咄嗟に何人かがその場から離れる。

 

再び、ゴッッという頭蓋骨と地面がぶつかる鈍い音が出る。飛び散る血肉。わたしの顔にも血が数滴こびりつく。

 

もはや、呪いかなにかだろうか。まぁ今に始まったことではない。

 

表情を変えることなく、周囲の状況を確認する。吐瀉物を吐く者。悲鳴をあげる者。反応は三者三様だ。わたしはというと、慣れたものなので特に何も感じなかった。

 

とりあえず、探偵として警察が来るまで状況を整理しよう。

 

2体の死体を確認する。

 

1人目は男子生徒。頭から落下したのか、頭部はぐちゃぐちゃだ。体の骨は衝突と共に折れたのか、あらぬ方向へと折れ曲がっている。

 

2人目は女子生徒だった。腹部には刃物で刺されたような跡。制服のシャツは血まみれだ。それに首を絞められたような跡もある。

 

おそらく、何者かに死体を校舎の屋上から投げられたに違いない。

 

1人目と2人目の落下地点は2メートルとさほど離れていない。

 

ぶっちゃけ、状況からわかるのはここまでだ。あとは屋上を見に行かないと。

 

そう考えた私は屋上へ向かうことにした。

 




瑠久世澪(るくせみお):主人公の姉。重度のシスコンである。毎日、妹の日記を取っている。しかし、妹が殺人事件に遭遇しすぎるせいで、もはや日記ではなく事件簿となっている。
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