偽装証明ルクセリア~巻き込まれ体質な彼女は今日も事件に遭遇する~ 作:ぱすたご
推理能力0でも一年間に100件以上の事件に遭遇。そのすべてにおいて、犯人の思考を読み取っていた。そんな経験をしたら否応にでも推理力とはいかないが観察能力は身についてしまう。
殺人事件専門の探偵としての集中英才教育を受けたわたしは屋上に向かう。
学校の屋上は中庭を形成するために取り囲んだ校舎の上に東西南北、計4つ存在する。死体が落ちてきた屋上は南棟の6階に位置する。
それぞれの大きさはテニスコートを縦に三面、横に二面の長さで並べたよう感じだ。
どの屋上にもおよそ3m程の自殺防止用の柵が周囲には張り巡らされていて、簡単には乗り越えられないようになっている。昼間は日当たりが良く、お昼ご飯を食べる場所として使われる。
けど、今は夏だから昼時になるとアツアツのフライパンの上にいるみたいに熱くなから誰も使わない。
屋上のドアを開ける。太陽の光が熱く、じめじめとする。
辺りを見回すと、先客がいるみたいだ。そりゃそうか。上から死体が落ちてきたら屋上に向かうのは当然か。
誰かに話を聞いて、屋上の状況を知りたいなぁ。誰か顔見知りは、、、
ん?さっき話した先生がいる。確か名前は・・・あ、思い出した。化学の
周囲の生徒の評価は烈という暑苦しい名前とは対照的に人当たりのいい雰囲気が生徒にとって慣れ親しみやすいらしい。そのせいもあってか、一部の女子生徒から告白されたという噂もあるぐらいだ。
だーけど、試験がめちゃくちゃ難しいのと規則に厳しい。そこが玉に。
一学期に出たあの人の試験問題の問題、すごく難しかったんだよ!わたしは仕方なく先生の心を読んで解いたおかげでなんとかいい点とれたけど。
こんな時だから人は選んでられない。
他に知っている人もいないし、聞いてみるか。
他の教師と話し終わった合間を見計らって状況を聞くことにする。
「
「あぁ、
「先生。いま、どんな状況ですか?」
「上から死体が落ちてきただろう。もしかしたら、突き落としたやつがいるかもしれないと思ってな。慌てて、他の先生を呼んで一緒にここに来たわけだ。誰もいなかったから先生は下の階を今から見に行くつもりだ。」
「そうですか…途中で誰かとすれ違いましたか?」
「いや、自分たちが屋上まで行く途中の階段には誰ともすれ違わなかった。屋上は締め切って、警察が来るのを待つのがいいだろうな。ここは先生たちに任せて教室で待ってろ。」
「屋上の状況を見せてもらうことはできないんですか?」
「あのなぁ、
「いえ、そういうのは慣れているから大丈夫です。それとも、先生が犯人だから証拠を見つけられるのが怖くて、わたしを追い払う算段では?」
「おいおい、その言葉は反則だろう。日本一の名探偵に言われたら、白も黒になる。だが、だめだ。どうしてもというなら警察が来た時に見ればいいだろう?」
それじゃあだめなんだよ。現場検証しないと証拠なんていつ消えるかわかんないのに。証拠と死体は鮮度が大事なんだよ!!
証拠なしに真実を語ろうにも根拠に欠けてしまう。せめて少しでも見れないかなぁ。
ぐぬぬぬとどうしよもなく立ち往生になっているわたしにジャストタイミングで救世主は現れた。
「
でっぷりとした脂肪ののった体つきに狸のような顔。その風貌から生徒の間で化け狸と呼ばれる
「こ、校長…どうしてここに?!」
「どうしても何も状況がわからないと保護者や警察の方にも説明のしようがないでしょう。こうして、わたしが来たのは情報の伝達に齟齬が生じないようにするためです。で、
「そのつもりできたんですけど、、、ねぇ」
ちらっと
「まぁまぁ、
「しかし、校長……。」
「それに早期に解決すれば、事件の火は大きくなることはなく、学校のイメージ低下を防ぐでしょう。このまま警察を待つよりは瑠久瀬さんに任せては?」
「あーもう、わかりました。瑠久瀬、
「わかりました。では、好きにさせてもらいます。」
校長も忙しいのか屋上にいた他の教員に事情を聞いて、去って行った。まぁ、タイミングよく来てくれたことはわたしにとってありがたかった。
許可が下りたわたしはとりあえず、金網に近づく。
はじめに金網の向こう側に男子生徒の物と思わしき靴をわたしは見つけたからだ。
金網の高さは3m。乗り越えるだけでも一苦労。ましてや、この外に死体を投げ飛ばすのは可能だろうか。
投げられた女子生徒の体重はだいたい40-50kg。それを3m上に放り投げる?ありえない。
それに投げ飛ばしたら、腹部から血が流れ出ている状態では周囲に血が飛び散る。
周りに血痕が飛び散ったあとはないから投げ飛ばされた線はない。と、なると一個下から落とされたのかな?
とそんなことを考え、金網を見ているとあることに気が付く。
あれ、金網の上側にある一か所の交叉している部分だけ異常に塗装がはがれている。
一か所だけあんなに削れるものなのかな?よくわからないので思考の片隅においておく。
それからわたしは周囲を観察して回ったが、特にめぼしい事件に関りがあるものはみつからなかった。
まぁ、このままここにいるのも意味がないし、他の場所も確認したいな。降りて下の階を確認するか。
「もういいんですか?
「はい。十分です。」
「では、警察が来るまで待機して、教室に戻っていなさい。」
「はーい。」
よし、いつ戻れとは言われてない。5階にレッツゴー。
事件を解決して早く平穏な新学期を迎えるべく、階段を下りるわたしであった。
瑠久瀬理愛が優れた探偵より推理力を持ち合わせていないのに事件に首を突っ込むのには理由があります。
それは事件の早急な解決をすることで平穏な生活を取り戻すことができると考えているからです。実際にほったからしにするよりも事件を素早く解決することで平穏な時間を得ることができています。