弱いのが嫌で転生したら、初っ端から最強でした。 作:くらんもち
「くっ……、やはり劣勢ね……。」
私は、大きすぎる戦力差に、半ば絶望していた。今までこんな大きな群れが攻めてくることはなかった。それゆえに、この街の防備は貧弱なのだ。だが、指揮官が絶望していては、兵達の士気も下がる。だから、たとえ嘘でも、強い言葉を投げかけ続けなければいけない。そうしてこの防衛戦を維持してきたが、そろそろ限界だ。私の目の前まで、フルメタルゴーレムが迫ってきていた。死を悟りながらも抜剣。
「逃げるのは騎士の名折れ……、せめて一太刀。」
そう考えていたその時。フルメタルゴーレムの眉間を、後ろから光の矢が撃ち抜いた。その周りに居たモンスター達も、次々と光の矢の餌食となってゆく。今度は幾重にも斬りつけられ、コンゴウヒュドラーが倒れた。突然の状況に困惑していると、『彼』が目の前に降り立つ。
「さてと…、やりますかね。」
夕焼けのような髪が、目に焼き付いた。
「さてと…、やりますかね。」
俺は近距離モードにした得物を握りしめる。すると頭の中に、
『スキル:龍閃流闘術がアンロックされました』
と響いた。即座にそれをセット。早速初陣だ。気合い入れてやらないとな。
走りだし、すれ違いざまに人型のモンスターを斬り刻む。幸い、あいつらはこちらを追えない。ならば、蹂躙する!
さらに加速。ここら辺で使ってみるか!
「龍閃流、
剣に焔を纏わせ、ダイヤモンドのヒドラを倒す。ダイヤモンドの構成元素は炭素。だから火に弱いと予想したが、大当たりだったようだ。
身体が思った通りに動いて、しかも足りない部分はひとりでにやってくれる。
「これが《戦神》スキルか……。」
やはりチートなスキルだったようだ。でも、チートで良かったかもしれない。こうして、誰かを守ることができる。
「……悪くないな。」
そうしてモンスターの群れを殲滅し、さっき助けた騎士の元へ。
「大丈夫ですか。」
「え、ええ……。でも、貴方は、一体……?」
こんなに強い剣士が居るなんて聞いたことがない。見たところ彼は18歳程度。これ程の実力を持っているなら少なからず噂にはなるし、その噂が王都に届けば、騎士団が必ずスカウトに動くはず。それに見た事のない装いをしている。謎は深まるばかり。
本当に、彼は一体……?
「俺ですか?レン。ミヤバシ レンです。」
「レン・ミヤバシね。私はフルール・フォン・クラスモンテ。見ての通り、騎士をしているの。」
「フルール・フォン・クラスモンテ……。長いですね、貴族ですか?」
「ええ、私の家は王国宰相の家だから……。」
「そうなんですか?でもなんでこんな田舎に?」
「……話せば長くなるわ。一言で言うと、嫌われてるのよ。」
「嫌われる要素、どこにもないと思うんですけど。綺麗だし。」
「へっ……?」
彼女……、クラスモンテさんは驚いたような声をあげる。いやこれまでに何回も言われてきてるだろ。何で今更驚くんだよ。
「そ、そうかしら……。」
正直、物凄く恥ずかしかった。綺麗だなんて、今まで一度も言われたことはなかった。ずっと『醜い』と聞かされてたから、こう言った褒め言葉には慣れてない。顔が熱くなっているのが自分でも分かる。傍から見たら、みっともないほど赤くなってるんだろうな……。
「それはそうと、街の人達は無事なんですか?」
「え、ええ。貴方のお陰よ。ありがとう。」
「いえいえ、お気になさらず。」
まさかあそこまで戦えるとは俺自身も思っていなかった。さすが転生特典、良いじゃん。