転生者Bは結構受け入れられている。大きなものしか覚えていないし正確な日時は覚えていなかったが災害のいくつかが的中した。
アメリカで大規模な森林火災があったというのは外れたがもしかしたら人災だったのか、それともほんの少し気をつけた人々が未然に防いだののかも知れない。
一部ではなぜか転生者Bが預言者だと言ったり、しらなかった災害で亡くなった家族が怒りの矛先を向けてきたりもした。
それでも発明や特許、そして何よりも楽曲が受け入れられてきたのは素晴らしい。今では多くの人が歌ってくれるし、前世のクオリティとほとんど同じものが聞けるようになった。
苺プロの人員では出せない声域もあったし、転生者Bの作曲で他が盛り上がれば更にアイさんたちの人気もあがる。
アイさんはテレビでは美しいし、完璧っぽく見えるがアクアを通して話してみればやはりなにか胡散臭い気がしていた……それでもアクア達と接するうちに自然になってきている気がする。
「愛してるよー、アクアー瑠美衣ー」
「私も大好きー!」
「アクアはー?」
「言わせんなよ、わかるだろ?」
「えー私はアクアの口から正直な気持ちが聞きたいなぁ」
「…………」
「あ、逃げた!ヘタレ!!」
もうすぐアクアも高校生、芸能界でも働いているが昔映画でお世話になった監督とつるんで演技を学んでいる。目指せアクションスターを!!
それはそれとしてミヤコさんにはやっと受け入れられたと思う。それでもアクアが狙われる可能性も知っているし、社長と歌手の二本でバリバリのミヤコさんはどちらにせよ表向きには付き合ったりはしないことにした。
もはやテレビで出会ってそのまま振られるのはお決まりである。
ミヤコさんもアイさんも色気ムンムン過ぎて誰かと付き合ったら相手が死ぬ。きっとファンが暴徒と化す。
あれから自分もアイさんもアクアも襲われるようなことは起きていない。警察沙汰になったことと言えば……自分がライブで警備員に連れて行かれてたまたま近くにいた警察官にドナ・ドナされたことと、転生者Bの紙袋頭が流行ったことによってどっかの犯罪の犯人として事情聴取がされたことと、ミヤコさんの出たライブで別の紙袋男が告白されたことぐらいか……作曲家転生者Bが転生者であるという説得力を増やすためにつけていたその辺の紙袋でまさかこんなことになるとは……。
商売も、投資も、作曲も今のところうまくいっている。
東京の田舎に買ったビルの設備も一新できた。音響関係の機材は自分が価値を認められないのかすごく高くは感じたが悪くはないだろう。
作曲家の安本くん兄妹も金と環境で囲えたし、今では音楽性で怒鳴りあって楽しんでいる。……作曲家の名前を載せられないのは申し訳なく思うがそれでも彼の安全のためでもある。それにどん底からすくったからか給料だってもっと少なくてもいいと逆に減らす交渉までしてくる。
どこから知られたのか親と親族の新興宗教に染まった人たちが凸してきたもんね……いや、ゴリゴリのマッチョを前に向かってくるとか宗教家こえーわ。
中古の物件だった5階建てのビルも改造しまくっている。5階は俺の城で武器も、長期食料も用意してるし、裏の山にはシェルター完備している。
4階は客用スペースやスタジオ、安本兄妹の住居もある。3階トレーニングスペース。趣味は悪いが24時間鍛えているゴリラ共がいるエリアを通らないと先には進めない。ヨーロッパマフィア方式だ、映画知識だけど。
1.2階はうちで雇った私兵やうちの社員たちの巣だ。
裏山にはいろんな資材もおいている、もしもゾンビ世界になったらと太陽光発電や小さな川を使ってて水力発電も試している。
「お前……こんなことしてたのか?」
「うん、映画やクラシックみたいな娯楽もいっぱいあるよ」
アクアが久々に来た。終末世界に向けて住居に集めている映画や漫画の中にある希少な古いモノクロ映画が見たかったらしい。監督と見たかったらしいが僕が済む住居は汚れているとでも思ったか?先に一人できた。開発エリアは床は見えないがこういう場所は綺麗にしているのだよ……キッチン?見ないで?見ないで―!!?
「こっちは?」
「あっ、そっちは………」
おかん根性で片付け始めたにーさんがキッチンをピカピカにした後で家探しし始めた。不味い部屋を見られたのでにーさんを押しのけてドアをしめた。
「おまっ………」
「だって、この世界が核戦争とかゾンビが発生しないって言い切れないだろう?転生したんだし」
「まぁ、気持ちはわかるが………だからってかなりやばいのあったよな?」
ボウガンを大量に買った。射程もあるし道具と人数が揃えばそれだけで強い。
アメリカで銃持ってても周りの人も持ってるからどれだけ準備しても足りないが日本だったら人数とボウガンの数でどうにかなるはずだ。
中古クルーズ船を買ってそこに住みたいとかの気持ちもあるが流石にそこまで踏ん切りはつかない。海外ではクルーズ船を使った事業もあったはずだしやってみようかなとも思うけど流石にまだ先になりそうだ
船よりも前に島を買わないといけない。
一応知ってる限りの地名も調べた。漫画とかだと変な名前の架空の市町村名とかあって、そこで超能力バトルが行われてるかも知れないし……確実に違うというものは見つからなかったが答え合わせできるものじゃないしな………改めて調べると怪しい地名はあった。
落地(オロチ)とかまじかよ?っておもったし今でもチェックしているがなにもない。戦国ものとかで普通に闘って普通に終わってくれてれば………ワンチャンここは普通の異世界日本なのか?
それにこんな量の武器や防具を集めたのは別の理由もある。
「ほら、兄さんを殺したのがヤクザだったらさ、人数が必要かなーって………ごめんなさい」
「………あんまり無茶すんなよ」
足が痛んで座る。何もなかったら小走りぐらいはできるが不意に内股の筋肉が痛むからおしゃれステッキは持っているが家の中だし持っていなかった。皿洗いを一緒にしていたのが悪かったかな?
これは、にーさんには、アクアには見られたくなかったなぁ……背の高い自分の頭を掴んで胸に当ててきたので素直に従う。
あのときは本気で壱護を恨んでいたし、壱護がヤクザではなくてもヤクザの力を借りる業界人なんてあるあるで……いざというときのためだった。
「俺は復讐なんかしてほしくない。そんなことよりもお前の人生、幸せになって欲しいよ」
「ごめん……だってさ、にーさんいなくなったあと、俺、病院でも前に両親が死んだのも俺のせいなんじゃないかって言われたりさ、ビラ配りしても、いくら探し回っても見つからないし……ずっと心配で、もしも殺されて海にでも捨てられてたらって思ったら、もう二度と会えないって」
アクアに久々ににーさんの面影を見てしまって、墓まで持っていこうと思っていたことがつい漏れてしまって、止められなかった。
もうにーさんは、アクアはこんなに大きくなっていたんだな………。
「どうしようもなかったんだ。でも、ごめんな?」
「…………吾郎にーさんの遺産が入って、やっぱり、吾郎にーさんは慕われてたから、石投げられることもあって、村八分みたいになって、道でヒソヒソされたり、いきなり怒鳴られたりして……登山道具であの崖降りたら兄さんの骨が転がってたんだ」
「うん……うん………」
「転がってる骨の場所も考えてさ。もしかして僕に助けを求めて、何日もそこで飲まず食わずで餓死したんじゃないか、獣に襲われて苦しんで食われたんじゃないかって」
ずっと聞きたくて、それでも幼いアクアには言うことが出来なかった。
――――もしかして、恨んでるんじゃないかって
「そうか……」
「もしもこんなことしてるやつがのうのうとしてたら、もう笑えなくて、兄さんはアイさんの幸せを願ってたし通報したら騒ぎになるだろ?しかも容疑のかかってる俺が見つけたってなったら刑務所行きかも知れない」
「…………毎日、夢であの場所の兄さんに責められてたんだ「仇を討ってくれ」「せっかくお前を引き取ったのに役立たず」って」
ずっと言わないようにしてたけど、言ってしまった。
引き取ったことを後悔して、実は僕を恨んでるんじゃないかって。
「まず、俺は即死だったし、お前の枕元に立ったこともないし恨みなんてまったくないよ。でも、そうだな、俺が慕われていた分だけ、かなり辛い思いをしてただろ?田舎だったしな」
「うん」
弟が転生者だったことには驚いたが色々と頭おかしいな。
大量のボウガンやナイフやよくわからんものの置かれた武器部屋、まともな頭の人間なら絶対にあんな部屋を作らない、そもそも金の使い方も稼ぎ方も異常すぎる。
なんか転生したってことはなにかあるかも知れないっていう妄執に囚われているしこの世界がゾンビにまみれるかも知れないとかもガチで考えてるのだと思う。謎に缶詰が何千個とあるし。
それでも色々抱えてきたんだと思う。俺は全く恨んだりしてなかったのに、あいつの中の妄想の俺はさぞ恨み言を言っていたのだろうな……。
一応全ての部屋を見て回る。完璧とは言えないが手術室に医療器具、メスや鉗子の揃った部屋まである………あいつガチだな…………。
ギリギリ手術室や医務室は許そう、何かあったときに役に立つかも知れない。
漫画部屋や映画部屋にゲーム部屋は面白そうだが、…ん、何だここ?あ、俺の昔集めてたアイドルグッズ!!?色褪せてはいるけどポスターや俺の部屋にあった私物が一つ一つ保管されている。さりなちゃんとの思い出まで………。
あいつ頭おかしいけどこういう部分きっちりしてるんだよな……でも頭おかしいからミヤコさんに相手にされないんだ………しばらく色々見て懐かしんだが次の部屋を見よう。ん?鍵付きの部屋がある、ボウガン部屋よりも恐ろしい部屋なのか?いや、兄として一度見て見たい気もする。
電子ロックで暗証番号か……なんだろ、俺の誕生日、あいつの誕生日、電話番号……ちがうな、わからん…………あいつがしそうな暗証番号………ごろーにーさん……、5623ははっ、まさかそんなはず……。
カシャリと音がして、ドアが開いた。
あいちゃったよ……。
部屋に電気をつけると、ゾッとした。ガムテープ、縄、結束バンド、目指し帽、ククリナイフ、スタンガン、防弾チョッキ、ヘルメット、そして壁一面にアイや俺、そして周りの関係者のデータが書かれている
これまでアイが昔いた孤児院や働いていた劇団、事件を起こしたであろう怪しい関係者に変な発言をしたフォロワーとの繋がりに住所に顔写真。
知ってる名前もある、特に壱護さんのあたりには殺意が込められていて同じ写真の顔にナイフが突き刺さっている。俺の前世の交友関係や恨んでいた人の情報まで………あ、友人だと思ってたのにコイツ俺の悪口言いふらしてたのか!!?
俺の親にまで遡って調べられているが……そうだよな。俺の家族が不仲だったのは知ってるだろうし、殺人犯が誰かわからないあいつにとってはすべてを調べていくしか道はなかったのか………。
結構新しい情報まで見ると知った名前があった。
劇団ララライ、鏑木P、五反田監督……五反田監督は間違いなく違うが劇団ララライか……
神木?何だこの赤文字で1って
あ、一護さんにも書かれてた数字だな、ということは1-5の赤い数字は暗殺者と関係の有りそうなリスト?
この神木ってのも一護さんと同じく最重要容疑者なのか!?
「アクアーご飯食べようぜー、どこだー?」
そっと部屋を出て、声の方向に向かう。
自分なりに調べてきた。アイの古い携帯から馬鹿みたいにパスワードを漁って、鏑木は自分も目星をつけていたがまさか奴が事件の犯人?
自分なりにセータを守るべく、セータに心配をかけないように、アイと瑠美衣、ミヤコさんを守ってきたつもりだった。それでも守られてきたことをひしひしと感じる。
もうちょっと自分も気合を入れないといけないな――――………いざという時のために。
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予約投稿できてたと思ったら出来てなかった(´・ω・`)