推しの子の弟は兄を推す   作:oz-ono

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転生したおじさんは推しのために全力である。

 

いくつも賞を取っている瑠美衣ちゃんがアイドルになりたいらしい。

 

これまでアイドル部門だけはB小町の禁忌であった苺プロだがどうしてもやりたいらしく苺プロに所属することになった。アイドルソングもストックがあるから問題ないのだが瑠美衣ちゃんは音痴だ。僕ほどじゃないが。

 

アクアは中学校が学ランで今どき古風とも思うけどこれはこれで可愛い。

 

 

高校は陽東高校という芸能関係に理解のある学校に通うらしい。

 

何を考えているのかアクアは積極的ではないものの芸能活動をしているのに普通科を受けた。

 

 

「あれか?スランプとかなんか迷ってる?」

 

「俺の演技は一流には程遠い」

 

「詳しく」

 

 

パラパラとそのまま本を読み始めたアクア。映画監督とつるんで動画の編集なんかが得意だしと裏方がしたいようだ。

 

いや既にファンも居るし世間様と苺プロという環境がそれを許してくれるとは思えないのだが……うむ。

 

 

「ちょっとでかけてくる」

 

「行ってらっしゃい」

 

 

ちょっとパリッとした服に着替えておしゃれステッキを少し良いおしゃれステッキに変える。

 

 

「陽東高校へ向かってくれ」

 

「はい」

 

 

―――――………根回しは素早く、先んじて行うべきだ。

 

 

「おい、セータ」

 

「なんだいアクア」

 

「な ん で お 前 が 顧 問 の 部 活 が あ る ん だ よ !?」

 

 

翌日にはバレた。

 

 

「HAHAHA!」

 

 

「笑うんじゃない……!新芸能研究部ってなんだ……!?」

 

「いやー、ちょっと金の力でねー、ほら、アクアのことが気になってね、アクアは入部済みだから」

 

「なにするんだよ?」

 

 

アクアは『このバカは何をまたし始めたんだ』って冷たい目で見てくる。

 

 

「学校内には芸能界の人間もいるし、彼ら用の待機スペースやコネづくりかな、参加資格は事務所に所属してたり芸能活動をしたことがあればオーケー、教えるのは俺の自費でマナー講師呼んだりジムの人間呼んで筋トレしたり、メイクやエゴサの方法、心理学、雑学を学ぶみたいな感じで自由参加……あとはみんなの要望で講師呼ぶのと空き部屋で好きに稽古でもしててって感じ」

 

 

それと寄付してきた。どうせアクアは芸能活動に巻き込まれることになるんだし後々出席日数がヤバかったりするかも知れない。芸能に関わる人間はアイドルや歌手、女優のみではなく脚本家やスタッフ、マネージャーなんかもいるし、後々出席日数が足りなかったりしたときのための布石だ。

 

基本的な内容はこちらの社員が常駐して引き受けるし普通科で芸能科を支える仕組みを作り出せばそういう生徒に頼めば良い。生徒も生徒で芸能界に興味があるならそこから芸能人が生まれるかも知れないし、さらにマネージャー志望で働くかも知れない。

 

 

「まぁ良いけど」

 

「うん、頑張れ部長。基本はたまり場になるかもだけど、運営は俺がするからアクアのコネになれればそれでいーよ」

 

 

アクア達を少しでも守るための場所だし投資は惜しまない。一般科からマネージャー志望者も呼びかける。

 

 

「学校になにかしたか?」

 

「寄付した、三千万円ほど」

 

「………どこからそんな、あぁまで言わなくてもわかるから」

 

「にーさんも、第二の人生何だから好きに生きたほうが良いよ?」

 

「だからってこれは……」

 

「にーさんが芸能界で表立って活動するにしても裏側で良い作品作るにしても売れないしょうもない一人になってほしくない。どうせやるなら一角の人間にしたい」

 

「……せめて相談しろ。いつも唐突なんだよ」

 

 

学校の一室とすぐ近くのビルを買取る。ちょっと古いが不動産部門の部下に任せて突貫工事だ。レッスン場や鏡の設置。本の少しのスペースさえあれば練習できるものは多い。以前使っていた音響関係の設備もいれるか……。

 

マネージャーたちもここでたむろって学校上がりの待機ができるように駐車場も増やさないとな。

 

 

それはそれとして、以前から会いたかった人にアクアがやっと会わせてくれることになった。

 

 

「おじゃましまーす」

 

「あん?坊主ー誰か客がいんのかー?」

 

「あんたが会いたがってた世間を賑わすおっさんだよー」

 

「何だよおっさんって……そんなのきいて……な………」

 

「どうも、転生者Bです。いつもアクアがお世話になってます」

 

「お、おあ、おま、おあああ、おあいしたかったですぅ!!!」

 

 

五反田スタジオ、来るのは始めてだが普通に民家であった。アクアがお世話になってるし調べてはいた。

 

なんかアクアはモノクロ映画でネットにデータも残ってないようなものを監督と話題に上がったからとこの間ビルに取りに来ていた。終末世界対策も兼ねているが詳しい部下が買ってくれていたらしい。ナイス部下!

 

 

「はじめましてぇ!もうすぐご飯だけど、なんか食べてくぅ?」

 

 

大阪のおばちゃんっぽい人が来た。すごいスタッフさんだな。

 

 

「大事な客なんだから下がっててくれ!?」

 

「ありがとうございます。あ、これお土産です」

 

「あらまぁ!気を使わなくてもいいのにぃ!」

 

 

これが五反田スタジオ、なんというかアットホームだな。うちのビルにも料理番はいるが社員やゴリラ共に作らせてるだけあってすごく偏る。

 

筋肉至上主義者も多いから基本鶏胸肉はある。ブロッコリーなんかもぜったいあるし、筋肉と健康が好きすぎて管理栄養士の資格を持っているやつもいる……が、年単位でそればかりなので飽きも来る。こういうおばちゃん系のスタッフも居るかな?少なくとも食事にプロテインは出さなそうだ。

 

 

五反田監督の経歴は超一流ではない。作品はそこそこ良いが流行るほど良いものが出ない。世の中に作品を出せる時点で一流ではあると思うけど今ひとつ、惜しい、もう一歩という印象もある。

 

それでも、アクアを使った始めての監督で、アクアが懐いている……正直飯食いに行くのにこっちを優先すると断られたときは嫉妬もした。

 

 

「転生者Bの曲、使わせてほしいんですが!」

 

「良いですよ。でも、条件があります」

 

 

こういう申し出は多い。音楽は素晴らしい。売り方一つで業界で目立つような瞬間的な売れ方はかわるがそれでも何十年前の曲だって名曲は聞かれ続ける。作品を思い出すのにも曲が頭をよぎる人も多いだろう。

 

作品への評価には俳優や名監督、脚本、原作、話題性、音響、演出、宣伝、予算……それに素晴らしい音楽というのも一つのピースである。監督という立場ではどうしても妥協もあるかも知れないがそれでも話題沸騰中の転生者Bのブランドを使いたいと見た。

 

 

「やはり、アクアの起用ですか?」

 

「もちろん、端役とかだったら契約しない。だけどまぁ、五反田監督には個人的に応援したい部分もあるし………作品との兼ね合いもあるからそれ次第かな」

 

 

ぶっちゃけアクアと仲良くしてる段階で恩に感じているから正直楽曲の提供は問題はない。それよりもコミュ障気味のアクアと付き合えているということは一定の知識があって、おそらくグイグイ話すタイプだ。私的に興味深くもある。

 

このおっさん知識も結構深いし、結構思ったことをズバズバ言って面白い。アクア抜きでもちょっと話したりもしてみる。

 

ちょっと時間もあったしアクアの作品をいただきにこようとこっそり来ているとアクアがいた。有馬かなちゃんも一緒に。

 

 

「こんにちは有馬かなちゃんだよね」

 

「だっ!?転生者Bィ?!!」

 

「アクアがお世話になってます」

 

「あわわわわ、ほ、本物!!?え、なに、なにこれドッキリ!?」

 

「白木さんも食べてくかい?」

 

「ありがとうございます。これお土産です」

 

「あらまっ!ありがとねぇ!」

 

 

彼女の音楽は全て聞いた。ぶっちゃけ好みだから聞いているわけではない。アクアの初映画で、一緒にいたのが有馬かなで……アクアのために全てのCDや情報を集めていただけだ。いざという時に情報は武器になる。

 

それににーさんの出た映画で隣で一緒に演技してて、にーさんの噛ませ犬というか引き立て役というか対比となっていてとても良かった。こういうつながりの相手は何十人も何百人もチェックしている。プロファイリングや関係のためだけに雇ってる部下もいて……ぶっちゃけ兄の恋愛とかにまで発展してくれると面白い。

 

 

「何?緊張してんの?」

 

「だって転生者Bよ!?話題の神作曲家で預言者の!!」

 

「HAHAHA!」

 

 

面白い子だな。………一緒にいるってことはもしかしてワンチャンある?にーさんの初恋相手!?

 

 

「何の話ししてたの?」 

 

「今日は甘口でって作品、欠員が出たからアクアにどーかって話してたところ」

 

 

皆、食後っぽかった。

 

その作品は読んだ。前世の作品なんかを探しつつ、色んな作品に触れて、漫画は面白かったからドラマも見てみた。部屋の片付けと同じで面白そうな作品があればやはり摘んでみた。こちらにはこちらの世界で面白い作品がある。

 

だが……

 

 

「あー、あのドラマ見たよ……糞だった」

 

「ふぐっ」

 

 

原作が面白かったから期待したのにあれは酷い。酷すぎる。

 

 

「人を見せる角度とか構図は良いのに男の子達のあれ、凄いよね」

 

「ふぅーん、そんな酷いのか?」

 

 

五反田監督は見てはいないが気になっているようだ。映像作家だから他の作品が気になるのかな?

 

 

「なんかアメリカ人が日本に来て日本語上手ですねって言われてる人みたいなオーバーなアクションと発音っていうか……仕事中に流しっぱなしだったんだけど思わず噴いちゃったもん。あ、もしかして俳優さんは日本人じゃないの?なんとかメルトっての」

 

「日本人デス」

 

 

すごいダメージを食らっている有馬かな。現場でもよっぽど酷いのかも知れない。

 

 

「え、あ、ほんと?あ、そっか、あの話し方ってもしかしてアメリカ資本のドラマだったりする?」

 

「違いマス。いや、ほんと酷いですよね、なんで監督もあんなのでオーケー出すのか……」

 

「現場には現場の事情ってのがあるからなぁ、現場はどんな感じ?」

 

「地獄ですよ、演技舐めんなって感じです」

 

 

 

駄目な現場らしいがやると決めたのならアクア頑張れ、超頑張れ

 

 

 

「でも、かなちゃんもよくやってるよ」

 

「……え?」

 

「だってあんなひどすぎる演技、一人いたらきっついのに回りみんなじゃん?そんな中でペース崩さずにヒロイン像に合わせて動けてるのって凄いよ。もっと最高の、輝く演技が出来るのか、それともあれが君の本気なのかはわからないけどあんな世紀の駄作の中でよくまともにやれてると思う」

 

「それって褒めてます?」

 

 

微妙な表情のかなちゃんだが……これは褒めている。もしも自分があれに参加しろって言われれば金払ってでも逃げると思う。もしくは監督ぶん殴る。

 

 

「うん、でもほんと、この世界のこういうとこがなぁ……」

 

「この世界?」

 

「なんでもない」

 

 

まぁいいや、それよりもチェックしないとな。作品と、アクアと有馬かなの関係!!

 

いやー楽しくなってきた。

 

 

「この魚美味しいですね!」

 




評価や感想などいただけると僕はうれしーです(●´ω`●)

なんか編集では1行しか改行してないのに読んでみると改行数が2倍になってる……。読みやすいか読みにくいかだけでも教えていただけると幸いです。
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